映画『リトル・ミス・ サンシャイン』の概要:見た人を幸せにする映画の代表作。バラバラの家族が旅を通して再び一つになる再生ストーリー。人間の心理を描くのが抜群にうまく、悩み、傷つき、ぶつかり、大きく揺れ動くキャラクターたちに感情移入せずにはいられない。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
キャスト:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン etc
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』の登場人物(キャスト)
- リチャード・フーヴァー(グレッグ・キニア)
- フーヴァー家の大黒柱。自己啓発の道にどっぷり浸かっている。
- フランク・ギンスバーグ(スティーヴ・カレル)
- シェリルの兄。ゲイで、自殺未遂者。
- シェリル・フーヴァー(トニ・コレット)
- リチャードの妻。うまくいかない家族仲に頭を抱えている。
- ドウェーン・フーヴァー(ポール・ダノ)
- フーヴァー家の長男。パイロットになるという夢を叶えるまでは、誰とも口をきかないと宣言している。
- オリーヴ・フーヴァー(アビゲイル・ブレスリン)
- ドウェーンの妹。アイドルになることを夢見るぽっちゃり体系の女の子。
- エドウィン・フーヴァー(アラン・アーキン)
- リチャードの父親。麻薬常用者。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』のあらすじ【起】
関係性が良好とは言えないフーヴァー一家。そんなフーヴァー家の妻であり、母親であるシェリルのもとに、ある日、一件の連絡が入ってくる。なんと、シェリルの兄であるフランクが自殺未遂を起こしたというのだ。
精神的に不安定な状態にあるフランクは、そのことをきっかけにフーヴァー家で生活を共にすることとなる。フランクの自殺のきっかけは、心を寄せていた男性に振られたことだった。フランクはゲイだったのだ。フーヴァー家の面々はそのことを受け入れられず、フランクとの心の距離は開いてしまう。
その他のフーヴァー家の面々も色々と問題を抱えていた。大黒柱であるリチャードは自己啓発関連にどっぷりとつかり、その父は麻薬中毒者。パイロットを目指している15歳の息子、ドウェーンは、なんと自らの夢を叶えるまでは一切誰とも会話をしない、という自分ルールを作っていた。そして、フーヴァー家にはもう一人子供がいた。7歳の、オリーヴという女の子である。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』のあらすじ【承】
オリーヴは、ぽっちゃりとした体格で、顔にはそばかすがあり、矯正をしている女の子。しかし、そんな彼女にも年頃の女の子らしく、密かに憧れているものがあった。それは、「リトル・ミス・サンシャイン」という美少女コンテストだった。そのコンテストがカリフォルニアで開かれることとなり、オリーヴは密かにその大会に申し込む。そして、なんとその大会への出場権を手にしたのだ。
しかし、窮地に陥っているフーヴァー家には、飛行機でカリフォルニアへと向かう資金がなかった。そこで、彼らは黄色い古いバンに乗り込み、カリフォルニアへの長い旅路に乗り出したのだった。
しかし、その1287キロという長い旅路の中で、次々と家族に試練が襲いかかる。リチャードが全力で取り組んでいた自己啓発のビジネスはパーになり、エドウィンは麻薬のため亡くなり、そしてフランクは恋に破れたその相手と再会するのだった。更に、旅の途中、ドウェーンが色弱であることが判明する。そして、規則により色弱の者はパイロットになれないのだった。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』のあらすじ【転】
本気で目指していた夢を諦めざるを得なくなったドウェーンは荒む。そんなドウェーンを救ったのは妹のオリーヴだった。オリーヴは傷つくドウェーンの側に寄り添い、そっと彼を慰めるのだった。
色々とありながらも、一家はロサンゼルス行きを諦めなかった。途中、亡くなったエドウィンの死体を病院から持ち逃げするなど犯罪まがいなことをしながらも、彼らはとうとうコンテストの会場へとたどり着いた。しかし、会場についた彼らは周りを見回して唖然とする。出場予定の他の少女達のレベルがあまりに高かったのだ。
他の子供とオリーヴを見比べた一行は、オリーヴが優秀することはあり得ないことを悟る。このままだと、オリーヴが他の子供達とその親に馬鹿にされてしまう、オリーヴが傷ついてしまう、とドウェーンとリチャードは彼女の出場を止めようとする。しかし、シェリルはオリーヴのしたいようにさせてやるべきだと主張し、結局彼女を見守ることにするのだった。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』の結末・ラスト(ネタバレ)
そして、オリーヴはコンテストに参加する決意を固めるのだった。コンテストにはアピールタイムがあり、各出場者はこの日のために洗練してきた、プロ級のパフォーマンスを披露するのだった。勿論、オリーヴにはここまで他人に誇ることのできる特技はない。一体オリーヴはどうするのか、と家族が固唾を呑む中、とうとうオリーヴの番がやってきた。
ステージにリック・ジェームスのSuper Freakという名曲がかかる。そして、オリーヴはなんとその曲で、バーレスク風のダンスを踊り始めたのだ。それは、彼女がかつてエドウィンに教わった曲だった。しかし、大会の趣旨には全くあっていないそのパフォーマンスは、審査員の怒りを買ってしまう。オリーヴを止めようとする審査員であったが、そこにフーヴァー家が乗り込む。彼らはオリーヴと共に、ステージでダンスを披露するのだった。
結局、このことをきっかけにフーヴァー家は、リトル・ミス・サンシャインに今後一切の出入禁止を言い渡されてしまう。しかし、彼らは笑顔でバンに乗り込むと、往路とは違い、幸せな雰囲気に包まれながら自宅へと向かうのだった。
映画『リトル・ミス・ サンシャイン』の感想・評価・レビュー
個性豊かな家族が集まり一つの車で旅をする本作。派手な演出があるわけでは無いが、テンポよく話が進むので、ダレることなく見ることができる。個人的には、パイロットを目指す長男のエピソードが印象的であった。また、ラストの家族の決断は見てる側をハッピーにさせてくれる。何だかわからないけど、吸引力のある映画だ。(男性 20代)
ロードムービーと聞いて唯一浮かぶのがリトル・ミス・サンシャインだ。
いろいろと問題のある個性的な家族たちが、7歳のオリーヴをコンテストに参加させるために黄色いフォルクスワーゲンで800マイルの旅に出るのだが、登場人物が多いのもあってテンポよく物語が進んでいく。気付くといつのまにかクライマックスで、少し感動。
これ!というハッキリとした答えのようなものはないので、終わり方に少しもやっとする人もいるかもしれない。それでも何だか心に残る不思議な映画だ。(女性 30代)
声を出して笑っていると思ったら、クライマックスは笑いながら泣いていました。そんな、心が温かくなる映画。
黄色いワーゲンバスに乗ってくせ者揃いの負け犬家族は旅に出ます。
勝たなくってもいいじゃない、幸せって勝つことじゃないんだって気づかせてくれます。
話すことを拒絶している兄役を演じるポール・ダノ、彼の無機質な顔立ちが役にはまりすぎていて、いまだに他の役のポール・ダノを受け入れられないというのが、私のこの映画における唯一の負の遺産。(女性 40代)
この映画は家族の愛が100%詰まっている作品だ。癖が強い登場人物ばかりだが、どのキャラクターも憎めず、ストーリーが展開していきながら登場する家族に夢中になっていく。頻繁にレビューでも見るが、特に主人公のオリーブがとてつもなく愛くるしい。自宅で家族と一緒に観ていたのですが、最後の方のシーンで踊る場面では、家族みんなで体を揺らしながら観てとても楽しかったです。気分が落ち込んでいる時にまた観たいと思います。(男性 20代)
コンテストに当選したことを無邪気に喜ぶ、オリーヴという少女を取り巻く家族との痛快なコメディー。家族みんなでコンテスト会場に旅をすることになり、ハプニングを通しながら家族の絆を深めていく。初めはバラバラだった家族も、少女の無邪気さに救われたことが何度となくあることを自覚していく。彼女の存在が、彼らの人生を明るく照らしているのだと、旅を通して理解していくのだった。それぞれが家族を想う気持ちが最後には一つになり、とても温かい気持ちになれる。(女性 30代)
本作は、バラバラになった家族が旅を通して一つになっていく様子を描いたロードムービーコメディー。
大事なことが随所に散りばめられていて、家族一人一人に個性が溢れていて目が離せない。
それぞれが同じ目線で描かれているところも良かった。
そして、オリーヴを応援しようというその一点だけで家族が団結していく様子が素晴らしく、こちらも幸せな気持ちで満たされた。
自分の手で挑戦することの大切さを感じられ、背中を押してもらえたような気持ちになった。(女性 20代)
黄色いバスに飛び乗っているポスターのセンスから期待大の作品でしたが、アカデミー賞脚本賞に輝いただけあって、背中を後押しされるようなストーリーでした。ダメでいいんだ、ダメだから何もしないのではなく、ダメだからもうなんでもしてやる!といった、挑戦することを忘れず恐れず、その心をいつまでも持ち続けられる人間でありたいと、逆に何かを振り切れたような気がします。はちゃめちゃという表現が合う家族も最後には愛おしく感じるハートフルな映画です。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
楽曲のチョイスは最高だ。でもそれ以上に、家族が選択したことに、私は勇気付けられた。もしあの時、父親が一生懸命踊る娘を止めていたら、娘の夢を奪うことになる。それを一緒に踊るなんて。まるで主催者側に挑発するように。でも彼の選択は正しかったと、心からそう思う。また、健気に一生懸命踊る彼女の姿にも、どこか励まされる。落ち込んだ時、私は必ずこの作品を観て、勇気をもらっている。自分は負け犬ではないと。ただ、勝ち組と負け組のボーダーラインがあるとすれば、一体何を基準にしているのだろうか?
この作品『リトル・ミス・サンシャイン』は非の打ち所がない程、よく出来ていると私は思う。人は誰しもが少しばかり負い目を感じて生きている。この映画に登場する家族のように。
ロードムービーや旅で欠かせないのは、その移動手段。バスのほかに車、バイクなどが必需品のキーアイテムだ。はたまた徒歩でのロードムービーも何作か存在する。前記事で取り上げた『さよなら、アドルフ』もまた徒歩でのロードムービーに分類されるだろう。乗り物は、人をどこまでも遠く運ぶことが出来る貴重な存在。映画の中で登場した彼らのように、バスに乗ってどこか遠くに旅に出てもいいかも知れない。その先の向こうに、私たちが変われる何かが待っているだろう。