映画『007 リビング・デイライツ』の概要:007シリーズの第15作目。ティモシー・ダルトンがジェームズ・ボンドを演じた初の作品。KGBの大物を亡命させたボンドが、その背景で実行される西側スパイの暗殺計画と、その計画を動かす武器密売人の陰謀に挑戦する。
映画『007 リビング・デイライツ』の作品情報
上映時間:132分
ジャンル:アクション
監督:ジョン・グレン
キャスト:ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジェローン・クラッベ、ジョー・ドン・ベイカー etc
映画『007 リビング・デイライツ』の登場人物(キャスト)
- ジェームズ・ボンド / 007(ティモシー・ダルトン)
- 英国諜報部に所属するスパイ。頭脳明晰、人並み外れた身体能力を持ち、射撃の腕や格闘術にも長けている。愛飲しているカクテルは、ウォッカマティーニ。弱点は美女に弱いところ。しかし、その性格が逆に幸いして、KGBの大物を亡命させるミッションから、東西の国際社会を戦争に巻き込みかねないような巨大な陰謀にたどり着く。
- カーラ・ミロヴィ(マリアム・ダボ)
- チェコの女流チェリスト。コスコフに気に入られ、名器ストラディヴァリウスの「レディー・ローズ」というチェロをプレゼントされる。そのコスコフの亡命に協力したことが縁でボンドと知り合い、陰謀の渦に巻き込まれる。
- コスコフ(ジェローン・クラッベ)
- KGBの部下で、プーシキン将軍の部下。そのプーシキンと、プーシキンの盟友・ゴーゴルのやり方に愛想が尽き、亡命を企てる。しかし、それは表向きの理由で、実は公金を着服してウィティカーと組み、武器を密輸しようとしていた。そして、自分を逮捕しようとするプーシキンを暗殺しようとする。
- B・ウィティカー(ジョー・ドン・ベイカー)
- 表向きは軍人を装っているが、犯罪組織と組んで武器の密売を行っている。士官学校でカンニングをして放校となり、一時はベルギー領コンゴの傭兵として雇われていた。コスコフと組んでロシアに武器を密売しようとするが、それを中止しようとしたプーシキンを暗殺しようとする。
- フィリックス・ライター(ジョン・テリー)
- 米国中央情報局(CIA)の工作員で、ボンドの盟友。コスコフとウィティカーを監視しており、標的を同じくするボンドに協力する。
- レオニード・プーシキン(ジョン・リス=デイヴィス)
- KGBの大物で将軍。愛国心に篤く、コスコフの公金横領罪を見抜き、彼を逮捕しようとする。しかし、逆にコスコフによって「スミェルチ・スピオナム(スパイに死を)」計画の推進者という濡れ衣を着せられ、米英の諜報部から命を狙われる。
- ネクロス (アンドレアス・ウィズニュースキー)
- ウィティカーに雇われているスパイだが、KGBとも一線を画し、独自の行動を取る。暗殺の能力に長けており、プーシキンやボンドの命を狙う。「世界革命計画」という不吉な言葉を口にする。
- ソンダース (トーマス・ウィズリー)
- 英国諜報部ウィーン支局のスパイ。コスコフ亡命のミッション計画を作成し、ボンドに協力する。自分のやり方を無視するボンドに苛立ちを覚える半面、彼の無理な依頼にもつい協力してしまう人の良さを持つ。ネクロスの工作で殺される。
- カムラン(アート・マリク)
- アフガニスタンのレジスタンス、ムジャハディンの副司令官。オックスフォードで学び、英語も堪能。ロシア軍の飛行場を偵察に行き、泥棒と間違われて拉致される。収監され、明日銃殺にされるというとき、拉致されてきたボンドと出会う。
- M(ロバート・ブラウン)
- ボンドの上司。英国諜報部の重鎮で、英国首相や大臣にも顔が利く。ボンドにプーシキン暗殺を命じる。
- Q(デスモンド・リュウェリン)
- 英国諜報部の発明家。ボンドの愛用するアストン・マーティンに新兵器を装着し、護身用のキーホルダーを渡す。ボンドはそれらの武器で、何度も命拾いする。コフコス亡命用のシューターを用意したのもQだった。
映画『007 リビング・デイライツ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『007 リビング・デイライツ』のあらすじ【起】
英国諜報部のスパイ、007ことジェームズ・ボンドは、00(ダブル・オー)部門のメンバーと共に、ジブラルタルでの演習に参加していた。
その訓練に何者かが潜入し、ボンドの同僚の004とSAS隊員が殺された。犯人は、「スミェルチ・スピオナム(スパイに死を)」というメッセージを残していた。軍用車を奪い逃走するその犯人をボンドは追い詰め、車ごと海に沈める。
その後、ボンドはチェコスロバキアのブラティスラヴァにあるクラシックの演奏会場で、ウィーン支局のスパイ、ソンダースと落ち合う。目的は、その演奏会に来ているソ連のKGBの大物、コスコフを西側に亡命させることだった。
大事な任務に遅刻してやってきたボンドに、苛立つソンダース。さらに彼は、女性のチェリストに目を奪われているボンドに呆れる。
コスコフは監視されており、会場の外には狙撃手(スナイパー)がいて、狙われていた。そこでコスコフは、敏腕のボンドを指名し、自分を護衛するよう英国諜報部に依頼していた。ボンドは狙撃手を射殺するため、演奏会場の向かいの建物で銃を構える。
コスコフが演奏会場から脱出してきた。そのとき、ボンドは演奏会場の窓からコスコフを狙う狙撃手を発見する。しかし、その狙撃手が美貌のチェリストだと気づくと、あえて狙いを外して、彼女の持っている銃を撃った。
ボンドはすぐにコスコフを保護し、車で逃走する。ソンダースが用意した逃走ルートは使わず、天然ガスパイプラインの中を通るシューターにコスコフを押し込める。シューターは無事、パイプラインを通って西側のオーストリアに到着。コスコフは用意された戦闘機に乗り、亡命は成功した。
狙撃手を殺さず、自分の作戦を無視したボンドに、ソンダースは怒りをぶちまける。あの狙撃手はプロではなかったので殺さなかった、と言い訳するボンド。そして、“Whoever she was, it must’ve scared the living daylights out of her.(彼女がたとえ何者であっても、死ぬほど驚いたはずだ)”と呟くのだった。
映画『007 リビング・デイライツ』のあらすじ【承】
ボンドは上司のMの隠れ家で、コスコフに再会する。コスコフは、亡命の原因は上司のレオニード・プーシキン将軍にあると言う。
また、004殺害の犯人が残した「スパイに死を」の意味は、米英の諜報部員を暗殺していく計画のことで、プーシキンが発令したものだと証言した。この計画が表沙汰になれば、西側が報復に出て、東西の核戦争に発展しかねない。
さらにコスコフは、プーシキンが3日後にタンジールで開かれる会議に出席するという情報を提供した。会議は、表向きはアフリカ通商会議という名称だが、実際はスパイ暗殺活動の推進会議だという。
そのとき、ボンドたちがいた屋敷には、1人のスパイが潜入していた。ボンドたちが屋敷を去った後、スパイは屋敷を爆破し、その騒ぎに乗じてコスコフを連れ去った。
Mはボンドに、プーシキンを暗殺するよう指示する。プーシキンという人物を知っているボンドは、彼がそんな計画を推進するはずはないと、難色を示しながらも、命令遂行のために出発する。
諜報部の発明家Qは、ボンドのために、新兵器を搭載したアストン・マーティンを用意していた。さらにそのキーホルダーには、口笛で吹く音色によって、麻痺ガスを発生させたり、爆発したりする仕掛けが施してあった。
ボンドは、チェロ奏者のカーラ・ミロヴィが、ブラティスラヴァで四重奏を行うという情報を入手する。そして、タンジールに向かう前に、再びチェコに向かう。カーラは、コスコフを狙った狙撃手だった。
演奏が終わり、帰宅するカーラを尾行するボンド。しかし、カーラはKGBの職員に連行される。彼女の残したチェロのケースの中には、照準機付きの狙撃銃が入っていた。ボンドは、そのケースにあった住所を頼りに、カーラの家に潜入する。
KGBの尋問を受けて帰宅したカーラは、ボンドの存在に驚くが、ボンドがコスコフの友人だと聞いて安心する。カーラは実は狙撃手ではなく、コスコフと親しい間柄だった。コスコフの亡命を本物に見せかけるよう、空砲でコスコフを狙撃する芝居を打ったのだ。
ボンドは、カーラの家を監視するKGBを欺き、アストン・マーティンで脱出する。しかし、カーラがどうしてもチェロを持っていくときかないため、音楽院に戻り、時間をロスしてしまう。そして、警察に追跡され、検問を閉鎖され、逃げ道を失った。
そこでQがアストン・マーティンに搭載した兵器が威力を発揮する。追跡するパトカーをレーザーで分断、検問を塞ぐトラックを小型ミサイルで吹き飛ばし、ジェットエンジンで追っ手の頭上を飛び越える。そして、ボンドとカーラは無事、国境を越えてオーストリアに入った。
その頃、タンジールでは、武器密売人のウィティカーが、自分の屋敷「英雄館」に、プーシキン将軍を迎えていた。ウィティカーは、闇のルートで入手した最新兵器を、コスコフを通じてソ連に売ろうとしていた。しかし、プーシキンは注文をキャンセルし、返金を要求する。
プーシキンは、コスコフが公金を着服してその武器を購入しようとしていると知り、コスコフを逮捕するつもりだった。そのコスコフはタンジールに来ていた。実はウィティカーはコスコフと陰で通じていた。ウィティカーがネクロスというスパイを派遣して、英国諜報部からコスコフを略奪したように見せかけたのだ。
ウィティカーは、プーシキンが返金を要求したことに不満を持ち、プーシキンを殺すため、ネクロスを刺客として差し向ける。
一方、ボンドはまだウィーンにいて、カーラとのひとときを楽しんでいた。カーラが大事にするチェロは、コスコフからプレゼントされたものだった。それが、ストラディヴァリウスの名器「レディー・ローズ」だと聞いて驚くボンド。彼は、コスコフがレディー・ローズを購入した資金の出所を、ソンダースに探らせる。
ソンダースの情報によると、レディー・ローズは、ニューヨークのオークションで落札されたものだった。落札価格は15万ドル。買い手はB・ウィティカー。ボンドはウィティカーがタンジールに住んでいると聞き、背景にある陰謀の全容を把握する
しかし、2人の会話は、風船売りに変装したネクロスに盗聴されていた。そして、ボンドと別れた直後、ソンダースはネクロスが細工した自動ドアに挟まれて即死する。風船が一つ飛んできて、そこに「スパイに死を」の文字が書かれていた。風船を握りつぶし、ボンドはカーラを連れてタンジールに向かう。
映画『007 リビング・デイライツ』のあらすじ【転】
タンジールでボンドは、プーシキンが宿泊するホテルの部屋に忍び込む。そこで戻ってきたプーシキンに銃口を突きつけ、情報を聞き出した。
プーシキンによれば、「スパイに死を」は、20年前に廃案になったスターリン時代の作戦だという。さらにプーシキンは、コスコフを公金横領容疑で逮捕する予定だと打ち明ける。ボンドは、そこでプーシキンを殺すのを思いとどまる。
その後、通商会議参加者のパーティーの席には、プーシキンの姿があった。演説を求められた彼は舞台に立つが、ネクロスの銃口が彼を狙っていた。そして、数発の銃声が会場に響き渡り、プーシキンは身体中から出血して倒れ込んだ。プーシキンを撃ったのはネクロスではなく、ボンドだった。
プーシキンの死を聞いて喜ぶウィティカーとコスコフ。しかし、それはプーシキンを暗殺者から守るための、ボンドの策略で、プーシキンは無事だった。
会場から逃げ出すボンド。その逃走を、CIAのフィリックス・ライターが手助けする。フィリックスは、武器密売の疑いで、コスコフとウィティカーを監視していたのだ。
ホテルに帰ったボンドは、カーラに自分の正体を打ち明けるが、コスコフはボンドがKGBのスパイだと、彼女に噓をついていた。ボンドはカーラが用意した麻酔剤入りのカクテルを飲んで倒れ、コスコフに拉致される。
ロシアの軍用機で移送されるボンド。機はアフガニスタンへ着陸し、ボンドはアフガニスタンのソ連基地に引き渡される。カーラはコスコフに利用されていたと知り、ボンドを陥れたことを後悔する。
収監されそうになるボンドは、キーホルダーから催涙ガスを発生させて看守たちを倒し、その場から脱出する。そのとき、そこに収監されていた1人の囚人を解放した。
ロシア軍の空港から脱出を図るボンドとカーラに追っ手が迫る。そこで2人を助けたのは、ボンドが解放した囚人だった。
映画『007 リビング・デイライツ』の結末・ラスト(ネタバレ)
囚人の名はカムランと言い、アフガニスタンのレジスタンス「ムジャハディン」の副司令官だった。ボンドはカムランの力を借りて、コスコフの武器密売を阻止しようとする。しかし、カムランは、明日行われる大きな仕事を済ませてから協力すると約束する。
カムランたちレジスタンスは、アヘンを密売し、その金でソ連に対抗するために武器を購入しようとしていた。5億ドルにもなる値打ちのアヘンの売却相手は、なんとコスコフだった。コスコフは、ウィティカーの用意したダイヤでアヘンを買い、それを高値で売って、横領した公金の穴を埋めようとしていた。
ボンドは、コスコフの企みを阻止しようと、アヘンの運搬人を装い、コスコフの軍隊のトラックに乗り込む。カーラはボンドの身を案じ、単身トラックの後を馬で追う。カムランも仕方なく手勢を引き連れ、彼女に従う。
トラックはロシア軍の飛行場に着き、アヘンは飛行機に積み込まれた。ボンドはアヘンを飛行機に運び込むと、そこに爆薬を仕掛け、脱出しようとする。しかし、飛行機を出たところでコスコフに見つかってしまう。
ロシア軍とボンドの間で銃撃戦が始まるが、そこへカムランたちがボンドを助けにやって来る。ボンドは飛行機からの脱出を諦め、そのまま飛行機を飛ばそうとする。
飛行機で飛び立とうとするボンドを、カーラがジープで追う。格納庫を開き、カーラをジープごと収容するボンド。しかしその間に、ネクロスも同じ飛行機に乗り込んでいた。
爆薬の時限装置を解除しようとするボンドに、ネクロスが襲いかかる。もみ合いになり、2人は積荷のアヘンとともに飛行機の外に放り出される。積荷の網がかろうじて2人の落下を防いでいたが、その網があわや切れようかとする寸前、ボンドはカムランを蹴り落とし、飛行機に残って命を取り止めた。
地上ではカムランたちがロシア軍の戦車に追われていた。ボンドは爆弾を再起動させ、戦車の上から落下させて、カムランたちを助ける。
隣国のパキスタンに逃げようとするボンド。しかし、飛行機は燃料切れとなり、両翼のプロペラが停止してしまう。絶体絶命のピンチの中、ボンドはカーラとジープに乗り込む。そして、ジープの後にパラシュートを装着し、墜落寸前の飛行機から脱出した。
後日、ボンドは再びタンジールに戻っていた。フィリックスの誘導で「英雄館」に潜入し、ウィティカーを殺そうとするボンド。しかし、最新の武器や防弾着を持つウィティカーには拳銃の弾は通用しない。そこで再びボンドを救ったのは、Qのキーホルダーだった。
キーホルダーの爆破で倒れてきた銅像の下敷きになり、ウィティカーは絶命する。しかし、その後も警備の兵隊がボンドを襲う。そこでボンドを救ったのは、プーシキンだった。
その現場に、コスコフが現れる。コスコフは、ウィティカーの人質になっていたと、噓をつく。コスコフの言葉を信じたのか、笑顔で抱き合うプーシキンは、コスコフをモスクワへ届けるよう、部下に命じる。得意顔でボンドを一瞥するコスコフ。しかし、プーシキンは、「手錠をして届けろ」と付け加えた。呆然とするコスコフは、厳重に周囲を取り巻かれ、連行されていった。
カーラには、出入国自由のビザが交付されることになった。ビザ交付を許可したのは、プーシキンの盟友で、KGBから外務省に異動になったゴーゴルだった。
カーラの演奏会には、アフガニスタンからカムランたちも駆けつけた。しかし、ボンドは行方不明。寂しそうに控え室に戻るカーラ。そこには、冷えたカクテルと2つのグラスが用意されていた。物陰から現れたボンドと、カーラは固く抱き合うのだった。
映画『007 リビング・デイライツ』の感想・評価・レビュー
正統派なスパイ映画を見たい方には『007』シリーズの中では今作が1番オススメです。4代目ジェームズ・ボンドを演じるのはティモシー・ダルトン。ロジャー・ムーアのユーモアたっぷりのボンドと比べるとかなり硬派で男臭いスパイの姿が見られます。
コメディ要素はかなり控えめなので、クスッと笑えるボンドを求めている方にはつまらない作品かもしれませんが、シリーズの中でも最もスパイ映画らしいと言っても過言ではないので、好きな方にはたまらないと思います。(女性 30代)
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