映画『ローン・サバイバー』の概要:ネイビーシールズに所属していたマーカス・ラトレルの手記をもとに作られた作品。監督は、ピーター・バーグ、主演は、マーク・ウォールバーグ。ほか、テイラー・キッチュ、ベン・フォスター、エミール・ハーシュ。
映画『ローン・サバイバー』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:121分
- ジャンル:戦争
- 監督:ピーター・バーグ
- キャスト:マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター etc
映画『ローン・サバイバー』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ローン・サバイバー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ローン・サバイバー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ローン・サバイバー』 あらすじ【起・承】
アメリカ軍所属のマーカスは、アフガニスタンの米軍基地に配属されていた。ある日、上官からレッドウィングズ作戦という作戦に参加しろという命令が下る。この作戦は、アフガニスタンでの極秘偵察任務だった。
マーカス他3人、合計4人はヘリコプターに乗せられヒンドゥクシュ山脈に移動した。敵の地で、また険しい山に囲まれた森林に下ろされた4人は、任務遂行のため細心の注意を払いながら道なき道を進む。本部との通信を試みるが、電波が弱くうまくいかない。やっと通信を確保して、4人は偵察任務を開始した。山の中の村で、暗殺対象である男を発見した4人は、様子を見るために静かに夜を明かす。
翌日、羊飼いと遭遇してしまった4人は、彼らを殺すか逃がすかで仲間割れを起こす。罪のない人間を無意味に殺すのはやめようという結論になんとか達するが、納得のいかない仲間もいた。しかし、結局この逃がした羊飼いが、マーカスたちの存在を村にいるタリバン兵に密告するのだった。
映画『ローン・サバイバー』 結末・ラスト(ネタバレ)
タリバン兵たちに存在を知られてしまい、逃げに転じる4人。しかし、大量の敵と、険しい山岳地帯というのもあいまってどんどん追い詰められていく。一人、また一人と仲間は死亡。途中で本部に救援要請をし、ヘリコプターが近づいてくるものの、タリバン兵のロケット砲に撃墜されてしまう。マーカスはついに一人きりになり、重傷を負いながらもなんとか湖に潜り、敵から逃れることができた。しかし、自力で逃げることがもはやできなくなってしまうマーカス。彼を湖から助け出し介抱してくれたのは、近くの村のアフガニスタン人たちだった。
手当てを受け、介抱してくれるアフガニスタン人たち。言葉がわからないながらも、彼らの優しさに心打たれるマーカス。途中でタリバン兵がやってきて、マーカスを殺すよう命じるが、家の主人は応じず、タリバン兵に銃を乱射して追い払ってくれたのだった。その後、再びタリバン兵が村を襲撃に来たが、なんとかアメリカの特殊部隊が到着し、村もマーカスも助かったのだった。
映画『ローン・サバイバー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ローン・サバイバー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
善意とは何か
見ていてずっと苦しい映画である。細部がとてもよく作りこまれていて、過剰な演出もないからかもしれない。ただただ、4人の屈強な男たちが、追い詰められていく様が息苦しい。もちろん私は戦争をしらないけれど今も世界のどこかで誰かがこんな風に戦っているのかもしれないと思えてしまうほどにはリアルだった。
特に羊飼いをどうするかの場面では本当に胸が痛かった。無駄な殺しをしたくないという意見もよくわかるし、逃がすことでどんなリスクが起こるかわからないという意見も痛いほど理解できる。結局逃がしたことで彼らは死にゆくことになるのだが、しかし最後にマーカスがアフガニスタン人たちに助けられるのは、つまりここで羊飼いを助けたことの裏返しなのだとも思うと皮肉だった。善意とはいったい何なのだろう、と考えさせられる。
アメリカ人が主人公だから、タリバンの兵士たちは敵にしか見えない。だが彼らには彼らの世界の正義があって戦っていて、もちろん死者も出ている。彼らが何のために戦っているのかなどは今回の映画だけでは何もわからない。現地の言葉で叫んでいて字幕も出ないので、何を言っているかもわからない。それがまた痛々しいリアルさで迫ってくるのだ。
答えのないのが現実
マーカスがアフガニスタン人に助けられるというラスト。結局最後までマーカスは助けてくれた村の人々とはっきりとコミュニケーションは取れずに終わる。また、彼を助けてくれたアフガニスタン人たちがどのような思想でそれを行ったかもわからずに終わる。そして彼らがその後どうなったかもわからずに終わるのだ。しかし現実というのはそういうもので行動の理由や結果なんて他人にわからないことのほうが殆どである。映画としては、視聴者に何も答えをくれない冷たい作品なのかもしれないが、だからこそ深く印象に残る作品だった。
映画『ローン・サバイバー』 まとめ
私はこういう映画がとても好きだ。見ていて苦しいし、すっきりもしないし、娯楽というには重すぎる作品かもしれない。でも、見た後に確かに何かが自分の中に残る気がする。羊飼いを逃がしたマーカス、マーカスを助けたアフガニスタン人たち。とにかく、戦争の最中にあろうとも、人には善意というものがあるということを垣間見ることができる作品だった。映画としてはもしかすると楽しめないのかもしれないが、見ている人に「きっかけ」をくれる作品には違いない。
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