映画『模倣犯』の概要:これまでに何度か映像化されている大人気作家、宮部みゆきによる本格ミステリー。主演をSMAPリーダー、中居正広が務めたことで一躍話題となった。そのほか出演俳優も実力派ばかり。
映画『模倣犯』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:サスペンス、ミステリー
監督:森田芳光
キャスト:中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃 etc
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映画『模倣犯』の登場人物(キャスト)
- 網川浩一 / ピース(中居正広)
- 天才的な頭脳を持っているが、他人を見下しているプライドの高い利己的な男。相棒の栗橋と共に一連の殺人計画を練り上げる。
- 高井和明(藤井隆)
- ピースにはめられ、殺人事件の容疑者として逮捕されてしまった男性。
- 前畑滋子(木村佳乃)
- 以前夫をピースに殺害されたジャーナリスト。
- 有馬義男(山崎努)
- 豆腐屋の主人で、ピースに殺害された古川鞠子の祖父。
- 古川鞠子(伊藤美咲)
- 有馬義男の孫で、ある日突然行方不明となる。
映画『模倣犯』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『模倣犯』のあらすじ【起】
有馬義男は静かな商店街の中で小さな豆腐屋を営むという、平凡な毎日を送っていました。しかし、平凡ながらも最愛の娘と孫娘がそばにいる為、有馬はその毎日に満足していました。しかし、とある日孫娘である鞠子が何の連絡もなく帰宅をしない夜がありました。鞠子もいい年頃なのだから友達と遊んでいるのだろうと思う有馬でしたが、それから数日しても鞠子からは何の連絡もありませんでした。
これはおかしい思った有馬は警察に相談、行方不明願いを出しました。警察の捜査が始まるものの鞠子に関して有力な情報が出ないまま、数ヶ月が経過しました。すると大川公園という場所で身元不明の女性の腕とショルダーバッグが発見されます。それらが鞠子のものであると示唆してきたのは、誰でもない犯人と思しき人物からでした。
犯人はテレビの生放送中に突如電話をし、ショルダーバッグが古川鞠子のものであるも言い切ったのでした。警察内でも緊急捜査会議が開かれましたが、今度はその会議中に、とあるビデオ映像が送られてきます。そしてその映像には手錠をかけられ監禁されている女性が映されていたのです。
映画『模倣犯』のあらすじ【承】
今まで平穏だった有馬の日常は、身内が凶悪な事件の被害者の可能性が出てきた事で一変します。鞠子の無事を案じる有馬でしたが、そんな有馬のもとに一件の匿名の電話がかかってきます。その電話の内容は、自分は鞠子の事をよく知っている。ホテルに行けば鞠子の事がわかるというものでした。
藁にもすがる思いである有馬は、その電話に従いホテルへと向かいました。しかし指定されたホテルには何もなく、イタズラ電話であったと有馬は肩を落としながら帰宅します。すると何と、自宅のポストの中に鞠子がつけていた時計が入れられていたのでした。先程の電話は、犯人からのものだったのです。
有馬は急いで警察に相談、警察は逆探知を試みますが、その行為が犯人の気に触れます。犯人は自らの知能を誇示するように英語で「余計な事をするな」という電話をかけてきます。そして更に、再び生放送中の番組に電話をすると、「指定した場所に行けば鞠子の死体が見つかる」というメッセージを英語で残すのでした。そしてその連絡通り、鞠子の死体が発見されるのでした。
映画『模倣犯』のあらすじ【転】
舞台は移り変わり、物語は犯人側の視点から描かれます。この一連の犯行は、ピースという男と、その友人である栗橋という人間によって行われていました。その中でも中心となっているのがピース、彼は天才的な頭脳を持ちながら他者のことを何とも思わない冷酷な人間でした。彼らはこの殺害計画を練りに練り、如何に完璧に殺しを遂行するか、そして最終的に殺しの罪を栗橋浩美と高い和明という人物に被せるというところまで完璧に計算します。
そして警察はピース達の思惑通り、この2人を一連の犯行の犯人として起訴してしまうのでした。ピースは、高井の美人の妹、高井由美子に近づきます。由美子は自分の兄は絶対に殺人など犯さないという絶対の信頼を持っており、兄は冤罪で捕まったと固く信じていました。
しかし、世間は高井を犯人と決めつけており、そして犯人の妹という立場である由美子にもまるで犯罪者を扱うような眼で見てきます。連日のように家まで詰め寄せてくるマスコミの存在もあり、由美子は徐々に疲弊していきます。由美子が弱った時につけ入ろう、とピースは企んでいたのでした。
映画『模倣犯』の結末・ラスト(ネタバレ)
そしてピースは由美子を自分のものにするため、自分は彼女の味方であるという風に装いました。何とピースはテレビ取材を受け、高井は無実であると訴えるのでした。そして、共に犯行を行なった栗橋を売り、「栗橋こそが今回の事件の真犯人だ」とテレビで供述するのでした。
一躍ピースは、正義の人として脚光を浴びますが、そのインタビューに疑問を感じた人物がいました。ルポライターの前畑滋子という人物で、実は彼女の夫は過去にピースに殺されていました。今回の事件も、実はピースが裏で全ての糸を引いているのでないかと考えたのです。そして前畑は自分なりに調査を進め、テレビ番組でこの事件についての討論会をする機会を得ます。
そして高畑は、今回の事件がピースとは全く関係のない事件に酷似しているという事を示し、今回の犯人は単にこの事件を真似しただけの馬鹿による犯行だ、と敢えてピースのプライドを傷付ける言葉を使います。更に、孫娘を殺された有馬からの電話が繋がり、「今回の犯人は哀れだ」と告げます。完全にプライドを折られたピースは逆上し、自ら自爆という道を選ぶのでした。
映画『模倣犯』の感想・評価・レビュー
中居正広が好きで観に行った映画でした。まだ、学生だった私には最後にピースの頭が飛ぶのが、とても印象に残っていました。この映画を観てから、宮部みゆきの作品を読み始めました。
中居正広の演技が迫力があり、役にハマっていたのを覚えています。他のキャストも豪華メンバーで配役には申し分なかったです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
原作を料理しきれなかった感じが否めない。まずは分量の問題。人間関係が複雑すぎてそれを明瞭にするためだけに時間が割かれており、結局各キャラクターに迫ることができずに終わった。また、主人公ピースに関しても、あまりにも目立つキャラクターに描かれすぎていて「普通の人の頭の中身が異常だった」という恐怖が全然描けていない。特に最後の自爆するシーンはシリアスな場面にも関わらず、笑ってしまえそうなシュールさで、非常に残念である。
確かにこの作品は、ピースという今でいうサイコパスというか、共感性を欠いた天才的な人間が起こす犯罪がメインテーマである。原作でのピースの恐怖は「普通の人が普通ではない」という点にある。しかし、映画では中居正広が演じたからか、とてもデフォルメされているような感じがした。こんなに目立つ人ならすぐに怪しまれるだろうと素人目にも思えるレベルである。
そしてなんといってもあのラストがいただけない。確かに自分にプライドがあったピースが「お前はただの模倣犯だ」「虚しい人間だ」と指摘されて憤死するという流れはわかる。が、あの絵面はいただけない。せっかくそこまで保っていた緊迫感が途端におふざけにかわるような脱力感を覚えた。いい原作、いいテーマなのだからもう少しきちんと作り上げてほしかったというのが本音である。
原作を知っているだろうか。分厚いハードカバーの、上下二冊の小説だ。相当な分量があり、人間関係も複雑に絡み合っている。それを映画の分量に圧縮するには、やはり無理があったのだろう。原作を読んで詳しく知っている後だから、私は観てもなんとかついていけたが映画だけならきっとかなり必死についていかないと途中でわけがわからなくなるかもしれない。また、人間関係というか各自のつながりを説明するだけでも非常に時間がかかってしまっており、かえって各キャラクターそれぞれを深く知る間もなく、死んだり苦しんだりしているさまだけを見せつけられることになる。それも相まって、あれよあれよと殺されていく印象が否めなかった。