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映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の概要:トラウマを抱えて廃人同然のように生きていた男。兄の死をきっかけに故郷へと帰り、遺言状によって突然兄の息子の後見人に指名される。しかし、男には故郷に留まることができない理由があった。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の作品情報

マンチェスター・バイ・ザ・シー

製作年:2016年
上映時間:137分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ケネス・ロナーガン
キャスト:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、グレッチェン・モル etc

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の登場人物(キャスト)

リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)
ボストンの便利屋で働く男。兄のジョーの死をきっかけに故郷マンチェスターに帰り、ジョーから甥っ子のパトリックの後見人として指名される。故郷にはトラウマがあり、パトリックと住むことを躊躇する。過去に囚われて、廃人のような生き方をする男。
ジョー・チャンドラー(カイル・チャンドラー)
リーの兄。エリスとは離婚し、男手一つでパトリックを育ててきた。心臓の病気で死んでしまう。
パトリック・チャンドラー(ルーカス・ヘッジズ)
ジョーの息子。ジョーの死後、叔父のリーとはあまり良い関係ではなく、ジョーの残した船や家のことで口論することがある。あまり感情を表に出さない、現代の若者。
ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)
リーの元妻。リーの引き起こした火事によって娘を亡くし、リーとは離婚した。新しい夫との間に子供がいる。リーに対して酷いこと言ったと後悔していて、今でもリーのことを愛している。
エリス・チャンドラー(グレッチェン・モル)
ジョーの元妻。新しい夫と幸せに暮らしているが、パトリックともメールなどで連絡を取り合っている。ジョーの死後にパトリックを夕食に誘うが、気まずい雰囲気になってしまう。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のあらすじ【起】

雪の降るボストン。そこでリー・チャンドラーという名前の男が便利屋として働いていた。しかし、無愛想な態度などもありお客からはいつも苦情を言われていた。リーは会社に不満をぶちまける。

会社帰り、一人でバーに立ち寄ったリーを一人の女が誘ってくる。しかし、リーはその誘いに乗ることなく、そっけない態度をとるのだった。

いつものように仕事に追われるリーのもとに、兄のジョーが倒れたという電話がかかってくる。

故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーの病院にいるという一報を友人から受け、リーは急いで車で病院へ向かう。しかしときすでに遅く、リーの到着一時間前にジョーは心臓発作で亡くなってしまったのだった。

数年前、ジョーは医者に余命5年位だと伝えられていた。リーは、甥っ子でジョーの息子のパトリックのもとへジョーの死を伝えに行くのだった。その道中、車から見える故郷の風景がリーの過去の記憶を蘇らせていた。リーはかつてこの街で家族を持ち、幸せに暮らしていたことがあったのだった。

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映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のあらすじ【承】

パトリックはアイスホッケーの練習をしていた。そこへリーが現れ、パトリックにジョーの死を伝えるのだった。

父を一目見たいと言うパトリックのために病院へ向かうジョー。パトリックは一瞬だけジョーを見た後、すぐに病院を後にするのだった。

パトリックの家へと着いた二人。その日はリーもそこに泊まることにする。パトリックは友人や彼女を呼び、楽しく談笑して夜を過ごすのだった。

翌日、リーは弁護士のもとを訪れてジョーの遺言書を確認する。そこには、リーをパトリックの後見人に指名すると書かれているのだった。それは、パトリックのためにマンチェスターまで引っ越さなければならないことを意味していた。リーは再び過去を思い出す。昔マンチェスターで幸せに暮らしていた頃、リーの不注意で自宅が家事になり、最愛の娘を死なせてしまった過去があった。リーは今でもそれを後悔し、自分を責め続けていたのだ。それを思い出し、リーはマンチェスターに住むことを躊躇していたのだった。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のあらすじ【転】

リーとパトリックは、ジョーの持ち物だった漁船について言い争いをする。自分のものだと主張するパトリックに、ボストンに行くから漁船は売ると主張するリー。パトリックはそれに驚き、反抗するのだった。

ある日、リーのもとに元妻であるランディからジョーのことで電話がかかってくる。ランディは新しいパートナーとの間の子供がお腹の中にいると報告する。リーはそれを聞き、驚きながらも祝福するのだった。

ジョーの葬儀が行われる。そこへ、ランディが新しいパートナーと共に訪れる。その夜パトリックはリーに、友達やバンド仲間や彼女を置いてマンチェスターを出ることはできないと言うのだった。リーは、葬儀が終わるまでは一緒にマンチェスターにいることを決めるのだった。

ある夜、パトリックが突然パニックを起こす。ジョーが墓場に入れられるまでの間、遺体が冷凍室に入れられていることが我慢ならないと言い出すのだった。

リーが家の片付けをしているとき、ジョーの元妻であるエリスから電話がかかってくる。リーは驚き、電話を切ってしまうのだった。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の結末・ラスト(ネタバレ)

リーとパトリックはエリスの家へと向かう。そこには新しい夫と共に暮らすエリスの姿があった。リーは席を外し、パトリックとエリス夫妻で夕食を摂る。しかし、三人はどこかぎこちない雰囲気のままだった。

ボストンへの出発が迫る中、リーは街中で子供を連れたランディに偶然再会する。ランディは、火事の後にリーに酷いことを言ったと後悔していた。そして、まだ愛していると伝える。しかし、リーはそれを受け入れられないでいる。そして、リーはその場を去って行くのだった。

その日の夜、トマトソースを温めていたパトリックはそのまま寝てしまう。すると、夢に死んだ娘達が現れ、「私たち燃えているの」とリーに囁く。そこで目を覚ましたリーは、トマトソースを焦がして煙が充満していることに気付き、急いでキッチンへと向かうのだった。

リーは友人のジョージの家を訪れた後、ジョーの家でパトリックに今後のことを話し始める。リーはパトリックの後見人にジョージを選び、ジョージにそれを受け入れてもらったのだった。これで、リーもボストンへと戻り、パトリックもマンチェスターを離れなくて済むのだった。しかし、パトリックはなんでリーがマンチェスターに残れないのかと聞く。リーは、過去を乗り越えられなかったのだと答える。

葬儀が終わり、リーとパトリックはジョーの残した船に乗る。リーはパトリックを見ながら昔を思いつつ、パトリックの成長を感じるのだった。

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の感想・評価・レビュー

一人の男の心の再生を描く本作。筆者は、彼の背負う暗い過去があまりに重すぎて、見ている間は集中できない部分もあった。それだけケイシー・アフレックが役に入り込んで演じ、我々に訴えかけてたのではないかと思う。心にどんなに大きな傷を背負っても人生は続いていき、そしてそれを癒すのは人と人との繋がりなのだと胸に沁みた。見ている間、辛かったけど、またいつか見たいと思わせる不思議な作品であった。(男性 20代)


全体的にどんよりとした映像の現在と、合間に差し込まれる幸せな回想シーンの対比が苦しくなるほど切ない。彼が犯した罪は、もちろん許すことはできないのだが責めることもできなくて、それをみんなわかっているから見ていて本当につらかった。心に傷を負った誰もが次に進めるわけじゃないし、進む必要もない。主人公のリーが甥に向かって伝えた「乗り越えられない。」がとてもリアル。たぶん彼は一生この過去を乗り越えることはできないだろう。でも、少しずつで良いから、ゆっくり進んでいってほしいなと感じた。(女性 20代)


ある一人の男が辛い過去と向き合い、再生していこうとする物語。話が進むにつれてその悲しい過去が明らかになり、見ていてとても苦しい気持ちになる。
兄の死をきっかけに後見人となり、甥のパトリックとの生活によってリーの心が少しずつ変化してゆく。兄が許可なく後見人に指名していたのは、リーを立ち直らせるためだったのかもしれない。
過去のトラウマを乗り越えるのは簡単ではないけれど、それを受け入れながら生きていく人間の強さを感じられる作品であった。(女性 30代)


決して癒えることのない悲しみを、苦しみを、後悔を、“乗り越えられない”と認めて終わる、ある意味斬新で、しかしこれ以上ないくらい人間らしい映画だった。前に進めず、忘れることも出来ず、それでも生きていくしかない彼らの人生の、ほんの一部分を見せてもらったような気持ちになった。
主演のケイシー・アフレックとその甥っ子役のルーカス・ヘッジズの繊細な演技が非常に秀逸で、噛み合わないながらも、何とか互いを大切にしようとから回る姿に何度も胸が苦しくなった。
ラストで二人が再びジョーの船で海に出るシーンの美しさに心から感動した。(女性 30代)

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