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映画『マンダレイ』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『マンダレイ(2005)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マンダレイ(2005)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『マンダレイ(2005)』の結末までのストーリー
  • 『マンダレイ(2005)』を見た感想・レビュー
  • 『マンダレイ(2005)』を見た人におすすめの映画5選

映画『マンダレイ』の作品情報

マンダレイ

製作年:2005年
上映時間:139分
ジャンル:サスペンス
監督:ラース・フォン・トリアー
キャスト:ブライス・ダラス・ハワード、イザック・ド・バンコレ、ダニー・グローヴァー、ウィレム・デフォー etc

映画『マンダレイ』の登場人物(キャスト)

グレース(ブライス・ダラス・ハワード)
心優しい女性。冷徹なギャング団のボスを父に持ち、その反動から自らは人のために尽くす精神を持ち続けている。
ティモシー(イザック・ド・バンコレ)
マンダレイに住む黒人。多勢に飲み込まれる周囲とは違い、抑圧された中でも自分の信念を捨てずにいる。
ウィレルム(ダニー・グローヴァー)
マンダレイの祖に仕える黒人紳士。ただ一人グレースの存在を温かく迎える。
グレースの父(ウィレム・デフォー)
ギャング団のボス。差別主義者で荒くれ者。グレースからは軽蔑されている。

映画『マンダレイ』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『マンダレイ』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マンダレイ』のあらすじ【起】

グレースの父が束ねるギャング団は次第にその勢力を失っていき、新興のギャング団に領地を奪われてしまった。グレースとギャング団は新しい領地を求め、辺境の町マンダレイに辿り着く。

グレースのもとに一人の黒人女性が助けを求めやってくる。聞けば彼女の夫が無実の罪で罰せられ、ムチ打ちの刑に処されるという。信じられないことに、この町では黒人解放から80年以上が経った現在も、未だ黒人奴隷制度が残っていた。

彼らのことを放ってはおけず、父のもとを離れるグレース。見かねた父は、ギャング団から数人の部下を引き抜き、グレースの世話役に就かせた。そして自らは新しい領地を求め、再び去って行った。

マンダレイは「ママ」と呼ばれる白人の老婦によって独裁政治が行われていた。しかしそんな彼女も老齢から体調を崩し、余命わずかとなっていた。

「ママ」に向かい正義を語るグレース。「ママ」はマンダレイでのルールを記したノートをグレースに託し、そのまま息を引き取った。

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映画『マンダレイ』のあらすじ【承】

「ママ」に代わり、新しくマンダレイを取り仕切ることにしたグレース。彼女は早速黒人たちに、自由に食べ、自由に眠ることを推奨する。しかし長年「ママ」の決めたルールに従って生きてきた彼らは、突然に与えられた自由に戸惑ってしまう。彼らはルール無しには生きられなくなってしまっていた。

そこでグレースは新たなルールとして、収穫期に向け野ざらしになっていた畑を全員で再興させることを思いつく。

「ママ」の書き残したノートを読むグレース。「ママ」は黒人たちを、身分ごとに7つの番号で呼び分けていた。最も身分の高い1番の黒人はただ一人、ティモシーだけだった。ティモシーをリーダーに据えようと近づくグレースだったが、ティモシーはグレースを邪険に扱う。

ある日、グレースは彼らに授業を施すことを決める。彼らに多数決を教えるグレース。これまで「ママ」の独断によって物事が行われていたが、自分たちで物事を動かせる感動に、少しずつ村人たちは結束し始める。それと共に、新しい指導者として徐々にグレースも認められていく。

映画『マンダレイ』のあらすじ【転】

収穫期に向け食料を節約し始めた村人たち。そんなある日、幼い黒人の少女クレアが病床に伏す。毎日しっかりと食事もしていた彼女だったが、やがて息を引き取ってしまう。

一方のグレースは閉じられた狭いコミュニティに属するうち、黒人たちに性的な魅力を感じ始める。特に彼女が一際惹かれたのが、気高さを兼ね備えているティモシーだった。グレースはティモシーへの欲求を募らせていく。

ある日、村の喧騒にグレースが目を覚ますと、クレアの父がウィルマという老婆を罵倒している姿が見える。慌てて現場へと急ぐグレース。

実はウィルマは、クレアに与えられるはずだった食料を、陰で盗んでいたのだった。食べ物の無いクレアは徐々に衰弱し、命を落としてしまった。クレアの父は、ウィルマは裁かれるべきだと主張する。彼らに民主主義を教えたグレースは、気は進まなかったがウィルマを裁くべきか否か多数決を採る。

多数決の結果、ウィルマを罰として死刑にすべきだという意見が勝ってしまう。ウィルマを殺そうと息巻くクレアの父をなだめ「死刑は復讐であってはいけないから、私がウィルマを殺す」と発言する。

グレースはウィルマの家を訪ね、彼女を寝かしつけると、彼女の頭に銃弾を放った。グレースはそのままいつまでも泣き続けた。

映画『マンダレイ』の結末・ラスト(ネタバレ)

収穫期。彼らの育てた綿花が出荷され、その売上金が届く。喜びに沸く村人たち。

ある日ティモシーに呼び出され、体を求められたグレース。待ちに待った瞬間のはずだったが、妙に儀式めいたその行為にグレースは失望する。

その時、外で無数の悲鳴が上がった。グレースの付き人のギャングたちが、売上金を奪おうと暴動を起こしたのだった。暴動によって金は奪われ、村人が数人死亡する。

さらにこの暴動はギャングとティモシーが企てたものであることが判明する。グレースはティモシーをムチ打ちの刑に処した。今日を境に、グレースはマンダレイを去るつもりだった。

グレースを迎えに来た父だったが、遠くでムチを放つ娘の姿を見、娘が自分の血を継ぎ権力を行使していると勘違いし、そのまま帰ってしまう。

マンダレイを去ろうとするグレースだったが、新しい規律によって均衡が保たれつつある村の住人たちは、グレースを新たな「ママ」として永久にこの村に縛りつける気でいた。恐れをなし逃げ出すグレース。松明を手に後を追う村人たちの姿は、かつてグレースの父が彼らを揶揄した奴隷たちの姿そのものだった。

映画『マンダレイ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

前作『ドッグヴィル』の続編ということで期待して観ましたが、またしてもラース・フォン・トリアーらしい皮肉と不快さに満ちた作品でした。グレースが奴隷制度を廃止し、自由を与えたはずの黒人たちが、むしろ混乱に陥っていく姿は、善意が必ずしも正義にならないことを象徴していて痛烈です。理想と現実の乖離を突きつけられる、苦い一本。(30代 男性)


まさか前作から主演女優が変わっているとは思わなかったけれど、ブライス・ダラス・ハワードもよく演じ切っていたと思う。全体的に舞台劇的な構成で、照明と黒背景だけでここまで深い物語が描けるのがすごい。奴隷解放という“善行”が新たな暴力に繋がるという、皮肉すぎる展開に胸が苦しくなった。(20代 女性)


観る前は歴史的な教訓映画かと思っていましたが、実際には“自由”と“支配”の複雑な関係を描いた哲学的な問題作でした。特に印象的だったのは、グレースが「自由を与えたつもり」の人々に最後に突き放されるところ。正義を振りかざす者の傲慢さを見事に描いていて、自分の考え方を反省させられました。(50代 男性)


ラース・フォン・トリアーの作品を初めて観たのですが、非常に難解で考えさせられました。舞台のようなセットや不自然な演出が逆にリアリティを強調していて不思議な感覚でした。主人公のグレースが最終的に去るシーンは、「自分には変えられなかった」という敗北宣言のようで印象的。善意が通じない世界の残酷さに涙しました。(40代 女性)


前作『ドッグヴィル』が大好きだったので、本作も期待して鑑賞。相変わらず観客に不快感を与えることで考えさせる手法が鮮烈でした。特に、解放された黒人たちが旧来の支配体制を模倣し始める過程は、人間の根源的な“支配欲”を突いていて衝撃的。良心がむしろ害になる、という逆説が頭から離れません。(20代 男性)


正直に言うと、最初は退屈で意味が分からなかった。でも、観終わったあと、あの不快な違和感がずっと心に残った。主人公グレースの「良かれと思って」の行動が、結果的に別の暴力を生むという展開に、人間の愚かさと複雑さを感じた。普通の娯楽映画とは全然違うけど、観てよかったと思える作品。(30代 女性)


難しいテーマを扱っているけど、あえて演出を最小限に抑えているのが逆に印象的だった。特に印象に残ったのは、登場人物たちの“自由”に対する考え方の違い。それぞれの立場での正しさがあって、それが衝突して崩壊していく様子は非常にリアル。こういう映画がもっと評価されるべきだと思う。(40代 男性)


若い自分にとって、アメリカの奴隷制度とか歴史的背景は正直詳しくなかったけど、この映画を観て少し興味が湧いた。ラース・フォン・トリアーの描き方は極端だけど、「正しいと思ったことが、他人にとっても正しいとは限らない」っていう当たり前のことを強烈に突きつけられた気がする。(10代 女性)


女性の視点から見ると、グレースのキャラクターは共感と反発が入り混じる存在。理想に燃えて強いけれど、どこかで他人を支配したい気持ちが見え隠れする。特に、村の女性たちとの関係性がどんどん悪化していく様子がリアルすぎて苦しかった。自分の正義が崩れる瞬間がこんなにも痛いとは…。(50代 女性)


人生経験を積んできた立場から言わせてもらえば、この映画の言いたいことは非常によくわかる。善意や理想がいかに独善的か、それを教えてくれる。グレースの変化もそうだが、むしろ周囲の人々が“自由”という言葉をどう受け取るかが重要で、そこに深い人間理解がある。簡単には語れない重みがある映画。(60代 男性)

映画『マンダレイ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マンダレイ(2005)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ドッグヴィル

この映画を一言で表すと?

「善意」と「裏切り」が交錯する、心を抉る舞台劇のような映画。

どんな話?

逃亡中の女性グレースが、山間の町ドッグヴィルに身を寄せるが、町の人々は徐々に彼女に過酷な要求をし始める。最初は善意に見えた町が、やがて彼女にとって牢獄のような場所に変わっていく…ラース・フォン・トリアーの問題作。

ここがおすすめ!

『マンダレイ』の直接的な前日譚であり、同じくミニマルな舞台美術で構成された心理劇。善意の裏に潜む支配や暴力を徹底的に描いており、人間の本性に鋭く迫るストーリーが印象的。グレースの選択に驚愕する衝撃のラストも必見。

12イヤーズ・ア・スレイヴ

この映画を一言で表すと?

実話をもとに描かれる、アメリカ奴隷制度の極限の現実。

どんな話?

自由黒人として暮らしていたソロモン・ノーサップが誘拐され、12年間奴隷として生きることを強いられた実話を映画化。アメリカの闇を直視した衝撃作で、圧倒的な演技と映像美が観る者を引き込む。アカデミー作品賞受賞作。

ここがおすすめ!

奴隷制度の残酷さを真正面から描きながらも、ソロモンの誇り高い姿が胸を打つ。マイケル・ファスベンダーやルピタ・ニョンゴなど演技陣も秀逸で、社会的メッセージと芸術性を兼ね備えた作品。『マンダレイ』のテーマに通じる必見作。

カラーパープル

この映画を一言で表すと?

黒人女性の苦難と希望を描く、魂に響くヒューマンドラマ。

どんな話?

20世紀初頭のアメリカ南部で、黒人女性セリーが家族や社会から虐げられながらも、自分の人生を取り戻していくまでの長い年月を描く。スティーヴン・スピルバーグが監督した感動作で、アリス・ウォーカーの小説が原作。

ここがおすすめ!

女性の視点からアメリカ黒人社会の抑圧と再生を描いた本作は、深い共感と希望を与えてくれる。ウーピー・ゴールドバーグやオプラ・ウィンフリーの熱演が胸に迫り、差別と闘う人間の強さを静かに教えてくれる一作。

ミスシシッピ・バーニング

この映画を一言で表すと?

公民権運動の闇に切り込んだ、緊迫の社会派サスペンス。

どんな話?

1960年代、黒人の公民権運動家3人が行方不明となり、FBI捜査官たちがミシシッピ州の町に送り込まれる。町の白人保守層とFBIの対立が激化する中、アメリカ南部の差別構造が暴かれていく。実話をもとにした衝撃作。

ここがおすすめ!

社会正義とは何か、国家権力と人種問題の葛藤をスリリングに描いた作品。人間の偏見と暴力の根深さを突きつけられると同時に、信念を貫く登場人物の姿に胸が熱くなる。ラース・フォン・トリアー作品に通じるテーマ性も魅力。

カスパー・ハウザーの謎

この映画を一言で表すと?

“文明”とは何かを問う、哲学的かつ美しい寓話映画。

どんな話?

18世紀のドイツ、突如町に現れた謎の青年カスパー。彼は言葉も常識も知らず、長年監禁されていたと語る。文明社会の中で彼がどのように扱われ、変化していくのかを通して、人間性とは何かを問いかけるヴィム・ヴェンダース的作品。

ここがおすすめ!

他者によって“社会化”されていくカスパーの姿は、『マンダレイ』で描かれた支配と自由のテーマと通じる部分が多い。自然な映像美と淡々とした語り口が、深い余韻を残す。観る者の思考を揺さぶる、静かなる傑作。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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