映画『マイ・ブラザー(2009)』の概要:戦地で壮絶な体験を経て、別人のようになってしまった兄と、その姿を見つめる弟、その家族など、様々な人の思いが交差する感動のヒューマンドラマ。トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホールが兄弟の絆を熱演する。
映画『マイ・ブラザー』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジム・シェリダン
キャスト:トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード etc
映画『マイ・ブラザー』の登場人物(キャスト)
- サム・ケイヒル(トビー・マグワイア)
- アメリカ従軍兵士。実直な性格で、家族を大切にしている。国に忠誠を誓っている。
- トミー・ケイヒル(ジェイク・ギレンホール)
- 兄とは違い自由奔放に生き、気まぐれに起こした強盗事件で家族からの信用を失う。兄だけが唯一の理解者。
- グレース・ケイヒル(ナタリー・ポートマン)
- サムの妻。二人の娘を育てている。兄に付きまとうトミーを毛嫌いしている。
- ハンク・ケイヒル(サム・シェパード)
- サムとトミーの父。元軍人。二人を厳しく育てるが、理想通りに育ったサムとは違い、気ままに生きるトミーを嫌っている。
映画『マイ・ブラザー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『マイ・ブラザー』のあらすじ【起】
アメリカ兵であるサムは四日後にアフガニスタンへの出征を控えている。彼は自分に万が一のことがあった場合に備え、家族に宛てて遺書を書く。
家族で過ごす最後の夜。強盗事件で投獄されていた弟トミーも無事出所し、二人の両親も交えた家族団欒の食卓となるはずだったが、出来損ないのトミーを嫌う父ハンクとトミーが口論になり、場は白けてしまう。翌日、サムは出征した。
サムの不在中も、二人の娘の面倒を見るグレース。そんな中、彼女の元に米軍の大佐と牧師が訪ねてくる。彼らの訪問によって、グレースはすべてを悟り泣き崩れる。サムの乗ったヘリが敵軍のミサイルによって撃墜され、乗員全員の死亡が確認されたとのことだった。
サムの葬儀の日、再びハンクとトミーは口論になり、ハンクは勢いに任せ「サムは多くの人に悼まれた。お前が死んだら一体どれだけの人間が悲しむ?」と暴言を吐いてしまう。互いに気まずいままその日は別れた。
一方、アフガニスタンの奥地でサムは二等兵と共に捕虜となって生き延びていた。
映画『マイ・ブラザー』のあらすじ【承】
サムの生還を知らず、悲しみに暮れるグレース。そんな彼女を励まそうと、トミーは仲間を連れグレースの家へ向かうが、彼女に追い返されてしまう。
翌日からトミーは、彼女の家のキッチンを改修するという名目でグレースの家へ通うように。はじめのうちはトミーを煙たがっていたグレースも、娘たちの遊び相手になってくれる彼の姿や、彼自身の明るい性格によって次第に元気を取り戻していく。
ある夜、二人は部屋で唇を重ねてしまうが、互いに冷静になりその日は別れた。
捕虜となったサムは、アフガニスタンの軍に「アメリカへの批判を口にすれば解放してやる」と言われるが頑なに拒む。二等兵にも沈黙を命じていたが、度重なる拷問に耐えかね、遂に二等兵は降伏してしまう。
アフガニスタン軍は次に、二等兵を殺害すれば解放するとサムに要求する。仲間の命を奪えるはずもなく拒否するも、家族の存在を引き合いに出されたサムは、極限での葛藤の末、二等兵を殺害してしまう。それから間もなく、米軍の援軍が駆けつけ、サムは救出される。
映画『マイ・ブラザー』のあらすじ【転】
サムの奇跡の生還に喜び合うグレースと家族たち。しかし、帰ってきたサムは出征前の彼とは雰囲気が異なっていた。娘たちは、そんなサムの姿を恐れ距離を置くように。
自分の不在の間にグレースや娘たちと打ち解けているトミーの姿に嫉妬するサム。「グレースと寝たんだろ?」とトミーに問い詰めるが、トミーは兄の冗談だと思い取り合わない。トミーはキスをした夜から、グレースと距離を置いていた。
次女の誕生日パーティーの日、グレースを意識してしまわないよう、トミーは他所で適当に口説いた女性を連れてパーティーに訪れる。トミーを慕っていた長女はその姿を見て機嫌を損ねる。
食事の際、不貞腐れて妹にあたる姉をとてつもない剣幕で怒鳴るサム。長女は泣きながら「ママはトミーのことが好きなんだ」と嘘をつく。パーティーは最悪の雰囲気のまま幕を閉じた。
その夜、明らかに様子のおかしいサムを恐れ、グレースはトミーに電話を掛ける。トミーは急いでグレースの元へ向かう。
映画『マイ・ブラザー』の結末・ラスト(ネタバレ)
サムは自分の不在の間に弟と不貞の間柄にあったグレースをなじり、家中の家具を引っくり返し暴れ回る。不貞の事実など無く、誤解だとグレースは釈明するがサムは聞く耳を持たない。
そこに電話を聞きトミーが駆けつける。サムは懐から銃を抜きトミーのこめかみに突きつける。その時、ハンクが呼んだパトカーのサイレンが近づいてきた。
銃を構えたまま庭へ飛び出し警官に囲まれるサム。口元には笑みを浮かべ、完全に正気を失ってしまっている。警官の制止も聞かず、空に向け発砲するサム。このままではサムが撃たれてしまうと必死に説得するトミー。
「自分は決して英雄なんかじゃない」とサムは自らのこめかみに銃口を向ける。そんな兄に向け、トミーは懸命に語りかけ続ける。その言葉を聞き、どうにか自殺を思いとどまったサム。彼はそのまま逮捕され、精神病棟へと入れられる。
数日ぶりに外出許可が下りたサム。面会に訪れたグレースと共に病院の外のベンチに腰かける。グレースはすっかり人の変わってしまったサムに向かって、それでも支え続けるから、何がその身に起こったのか打ち明けて欲しいと告げる。そしてサムはついに、誰にも言えなかった戦地での経験、同僚を殺してしまったことを打ち明け涙する。これまでずっと一人で抱え続けていた夫の体を、グレースは強く抱きしめた。
映画『マイ・ブラザー』の感想・評価・レビュー
アフガニスタンでの紛争が背景にある映画だったので、この戦争の悲惨さや残酷さを感じることができる映画だった。戦争によって別の意味で心を閉ざしてしまった兄弟の話で、ストーリーが進んでいくほど胸が苦しくなるような展開だった。
無事帰還した自分は、戦争で一度死んだと表現しているところがとても印象的で、このことからもサムが戦争でいかに傷つき、他人を傷つけて苦しんできたのかを訴えているようで悲しくなった。(女性 20代)
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