映画『満月の夜には思い出して』の概要:大学生活も終盤に差し掛かった頃、映画研究会に所属する3人の学生は卒業制作の映画撮影を始める。順調に撮影が進む中、卒業を前に現実を見るのか、夢を見続けるのか悩み始める3人。そんな学生達の悩みながらも制作を続ける様子が描かれた作品。
映画『満月の夜には思い出して』の作品情報
上映時間:68分
ジャンル:青春
監督:川北ゆめき
キャスト:時吉襟加、竹内ももこ、野島健矢、進藤智美 etc
映画『満月の夜には思い出して』の登場人物(キャスト)
- 襟加(時吉襟加)
- カメラマン、演出、監督、脚本を一手に担っている。映画を作ることを生きがいとしており、萌花と雄介には宇宙人だと言われている。映画を作るために生まれてきたのだと豪語する自信を持っている。
- 萌花(竹内ももこ)
- 音楽担当兼役者。襟加が考えていることが分からず、指示されたことをやっている。夢を見ることができるのは大学までと割り切っているところがあり、卑屈になってしまう。
- 祐介(野島健也)
- 音声担当。のんびりした性格で優しい。襟加を手伝いつつ、萌花の悩みを聞くなど緩衝材の役目も担っている。
映画『満月の夜には思い出して』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『満月の夜には思い出して』のあらすじ【起】
映画研究会に所属する襟加、萌花、祐介は大学生活をかけて映画の制作に打ち込んできた。脚本とカメラマンは襟加の担当で、子供のような感性を時折見せる彼女を萌花も祐介も宇宙人ではないかと思っていた。
そんな3人も就職が決まり、卒業を間近に控え卒業制作の準備へと入る。主役は萌花で衣装は演劇サークルから貸し出してもらう。今回は友達がいない宇宙人の女の子が主人公だった。
演劇サークルの同窓生は、映画は残るからいいと襟加に言う。演劇は一期一会でその時、その時にしか感動は生まれない。映像としては残らないからだ。だが、演劇の魅力はそこにあるのだから、仕方ないのだと笑うのだった。
映画『満月の夜には思い出して』のあらすじ【承】
早速、借りた衣装を身に着け映画の撮影を始める。3人は度々、相談しつつ試行錯誤を重ねて撮影を続けた。萌花には演出や監督、脚本を作ることができる襟加が凄い人物に見える。なぜなら、萌花は音楽担当で襟加のように物語を作ることができないからだ。
襟加の中には完全な自分の世界があって、動きの指示をしてくる。何の意味があるのか聞くと、このシーンでようやく繋がると言う。萌花にはさっぱり意味が分からなかった。襟加に何のために生まれてきたのかと聞くと、彼女ははっきりと自分は映画を作るために生まれてきたのだと言った。
その日の夕方、撮影が全て終了する。襟加がさっさと帰って行ったため、萌花は祐介の家に寄って2人だけで打ち上げをした。
映画『満月の夜には思い出して』のあらすじ【転】
萌花は祐介にも襟加にした質問をしてみる。すると、祐介もなぜ生まれてきたか分からないらしい。それは、萌花も同様に感じていることで不安に思っていること。だから、同じ答えを出した祐介も自分と同じなのだと思った。
幼い頃はたくさんの夢を見ることができた。だが、大人になるにつれ幻想は消え失せ、夢を見るのが難しくなる。萌花はそれが大人になることだと言う。
祐介の家からの帰り、追加の撮影をしている襟加と遭遇した萌花。撮影の手伝いをすることになる。彼女は確固たる目標を持った襟加を疎ましく思い、これまでの鬱憤を晴らすようにいい年をして妄想のような映画を作っていると詰ってしまうのだった。
以来、卑屈になってしまった萌花は、アルバイト先の喫茶店によくやって来る同じ大学の演劇サークル部員に突っかかってしまう。全ては幻想なのに、なぜそこまで熱くなれるのか。どうせ、消えてしまうのに。そんな思いでいっぱいだった。すると、演劇部員は打ち込むことはある意味、自己満足でもあるのだろうと笑うのだった。
映画『満月の夜には思い出して』の結末・ラスト(ネタバレ)
同窓生の演劇公演へと襟加が観劇に行っている頃、萌花は撮り貯めた映画のシーンをチェックしていた。これまでのことや言葉、出来事を思い出し諦めるのが大人になることではないのではないかと思い始める。だが、彼女にはどれが本当か分からない。やりたいことへと真っ直ぐに突き進むことが、どれだけ凄いことか。本当は、萌花にも分かっていたのだ。
自分にできないことをやり続けることができる襟加は、萌花にとっての恒星だった。部室から飛び出した萌花の元に祐介がやって来る。彼は先日、萌花に言われたことを考えて話し始める。夢を見ることが容易かった時はいつまでだったか。
萌花も祐介もいつの間にか夢を諦める癖がついているが、襟加はまだ夢を見ている。そんな彼女が大学を卒業しても、夢を見続けていられたらいい。萌花は今後、そう思えるようになれたらいいと言うのだった。
映画『満月の夜には思い出して』の感想・評価・レビュー
新鋭の映像作家と音楽アーティストがコラボレーションした作品を送り出す「MOOSIC LAB 2018」の長編部門で、主題歌と劇中歌を担当したシンガーソングライターの大槻美奈がスペシャルメンションを受賞した作品。
大人と子供の狭間で悩み、迷う学生達の姿を描いている。分かりやすい反面、底が浅く感じられた。全編を通して大槻美奈のライブシーンが入っており、ストーリーとの比率が半々になっていることから、深さが出せなかったのではないかと思われる。勿体ないと感じる作品。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー