この記事では、映画『マリと子犬の物語』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マリと子犬の物語』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マリと子犬の物語』の作品情報
上映時間:124分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:猪股隆一
キャスト:船越英一郎、松本明子、広田亮平、佐々木麻緒 etc
映画『マリと子犬の物語』の登場人物(キャスト)
- 石川彩(佐々木麻緒)
- 山古志村に暮らす5歳の少女。仲良しの兄、亮太と一緒に捨て犬のマリと出会う。
- 石川亮太(広田亮平)
- 彩の兄。10歳。母親の記憶がない彩のために夜ごと母の手紙を読んでやっている。
- 石川優一(船越英一郎)
- 山古志村の役場に勤める彩と亮太の父親。数年前に妻を病気で亡くした。大の犬嫌いだったが、彩の願いに根負けしてマリを迎える。
- 石川優造(宇津井健)
- 優一の父。孫思いの優しい祖父だが、長岡市への編入合併のことでは優一と対立し、老人ホームへの入所も考えていた。
- 長谷川冴子(松本明子)
- 長岡で美容師をしている彩と亮太の叔母。亡くなった妹に代わって石川家を手伝っている。
- 安田啓一“陸自二曹”(高嶋政伸)
- 被災地救助に訪れた自衛隊員。マリに導かれて彩と優造を発見し救助する。後にマリを置き去りにしてしまったことを彩に詫びる。
- 児島忠志(小野武彦)
- 山古志村の村長。震災後、全村避難を決定する。
映画『マリと子犬の物語』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マリと子犬の物語』のあらすじ【起】
新潟県山古志村は、美味しい米を育てる棚田と色とりどりの錦鯉、そして闘牛で有名な村だった。しかし、間もなく隣接する長岡市への編入合併が決まっていた。
石川家の兄妹・亮太と彩は役場に勤める父・優一と祖父・優造の4人家族。そして、幼い頃に亡くした母に代わって叔母の冴子が一家の手伝いに来てくれていた。
ある日、兄妹は捨てられた柴犬の子犬を見つけ連れ帰る。彼らは優一の犬嫌いを知っていたので、優造の助けを借りてこっそり飼うことにする。しかし、すぐに優一の知るところとなり、叱られた彩は子犬を抱えたまま飛び出してしまう。母親の記憶がない彩は同じ境遇の子犬を不憫に思っていたのだった。原っぱで子犬と眠る彩を見つけた優一は、遂に根負けして飼うことにする。
マリと名付けられた子犬はすくすくと成長し、やがて3匹の子犬を産んだ。家族の増えた石川家は賑やかな毎日を送っていた。
2004年の秋、山古志村をマグニチュード6.8の大地震が襲った。優一は仕事、亮太は課外授業に出かけていたため、家には彩と足を痛めて寝込んでいる優造の二人きりだった。
映画『マリと子犬の物語』のあらすじ【承】
彩と優造は倒壊した家屋の下敷きになった。庭にはマリと子犬がおり、マリは必死に前足を動かして瓦礫の下を掘った。そして、足に傷を負いながらも彩と優造が埋まっている側に来て二人を見守り続けた。しかしそこへ何度目かの余震が襲い、二人の姿は完全に見えなくなってしまった。
自衛隊のヘリが被災地の上空を訪れ、隊員の安田は山古志村の惨状を目の当たりにする。
やがて夜が明け、優一と亮太は電話で安否を確認し合った。村長の児島は山古志村の全村避難を決める。
亮太たちを乗せた自衛隊のヘリが生存者の捜索に向かった。地上に降りた安田を走ってきたマリが導き、彩と優造は救出された。
負傷した優造は上空で待機するヘリに吊り上げられた。自分の番になったとき、彩はマリと子犬たちも連れていきたいと懇願したが、出血する優造の状態は切迫していた。やむを得ずマリたちはその場に置き去りにされてしまう。
動き始めたヘリを追って、マリは地上をいつまでも走り続けた。悲し気に見上げるマリを残したまま、遂にヘリは飛び去ってしまう。
映画『マリと子犬の物語』のあらすじ【転】
長岡市の避難所に到着した彩たちは、優一と再会する。けれども彩は置いてきてしまったマリたちのことが心配でたまらず、元気がなかった。
一命を取り留めた優造は冴子に付き添われていた。優造も自分を助けてくれたマリを残してきたことを悔やみ涙した。
一方、残されたマリは子犬たちの食べ物を探して奔走していた。襲い来るカラスを追い払いながら、鳩を狙ったり瓦礫の冷蔵庫を漁ったりして懸命に生きていた。
避難所のテレビは大雨によって山古志村全域が水没の危機にあることを伝えていた。新聞にマリと思しき写真を見つけた彩は気が気でなかった。“もう、お母さんみたいに死んじゃうの嫌だ”と訴える彩を見かねた亮太は、自力で助けに行く決心をする。
村への道路は封鎖されており、彩と亮太は山道を進んだ。冴子から二人の不在を聞き、村へ向かったことを知った優一は、すぐに後を追った。
兄妹は降り注ぐ雨に難儀した。足を滑らせ、怪我を負った彩を亮太は背負って進んだ。彩は発熱して気を失った。
優一は小屋の中にいる子供たちを見つけた。マリを見つけるまでは帰れないと言い張る亮太に “お前と彩は何があっても絶対にお父さんが守る”と言って説得した優一は、二人を連れて避難所に戻った。
映画『マリと子犬の物語』の結末・ラスト(ネタバレ)
それからも避難所での生活は続いた。彩はもうマリのことを話さなくなったが、本当はずっと考えていることを亮太は知っていた。
それから間もなく各家から一名の一時帰宅が許された。役場の責任者として向かう優一のほかに石川家からは彩が選ばれた。さらに他の村民の計らいで亮太も同行できることになった。こうして3人そろってヘリに乗り込み、マリと子犬を捜しに行くことになった。
すっかり変わり果てた村を見た村民たちは悲しみに包まれた。全壊した我が家に到着した彩たちは、マリを捜して必死に呼びかける。優一は瓦礫の下から亮太が描いた家族の絵を見つけた。やがて彩はマリと遊んだ原っぱへ駆け出し、亮太たちも後を追った。
3人は必死に叫んだがマリの姿はない。彩は泣きながらマリに謝った。優一が慰めたそのとき、遠くから鳴き声がして3匹の子犬たちが走ってきた。“お母さんは?”彩が尋ねた。しばらくして、優一は原っぱの向こうからゆっくり歩いてくるマリに気づいた。すっかりやせ細り、真っ黒に汚れてはいたがマリは生きていた。
彩たちとマリ親子を乗せたヘリが避難所に着くと、村民たちが大喝采で迎えた。優造や冴子、安田の目にも涙が光った。優一は“いつかみんなで山古志に帰ろう”と誓うのだった。
2005年の春を迎えた。小学生になった彩が亮太と一緒に仮設住宅に帰ってきた。傍らの犬小屋ではマリが待っていた。子供部屋の壁にはマリ親子が描き加えられたあの家族の絵が貼られていた。
映画『マリと子犬の物語』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
忠犬ハチ公のように日本犬は特に飼い主に忠実だという。この映画の柴犬マリも飼い主の少女を助け、子犬たちを守るべく健気な活躍を見せて実に頼もしい。最後にやせ衰えてボロボロになりながらも飼い主一家と再会する姿は、本当に良く頑張ったという感じがする。映画はその辺りを奇をてらうことなく、ストレートに描いて幼少の観客も楽しめるファミリー作品になっている。冒頭に出てくる美しい棚田の風景が被災して変わってしまったことは残念で悲しい。(MIHOシネマ編集部)
震災という過酷な現実の中で、マリが3匹の子犬たちを守る姿に涙が止まりませんでした。人間の都合で置いていかれるマリの表情が本当に切なくて、でも最後まで子犬を守り抜く強さに心を打たれました。家族と動物との絆がこれほどまでに尊く、深いものだと改めて実感。子どもと一緒に観たい感動作です。(30代 女性)
大地震という極限状態の中で、マリの母性と生きる力に驚かされました。人間の手が届かない場所で、ただ本能と愛情だけで子犬を守り抜いた彼女の姿は、本当に尊敬に値します。震災という重いテーマを扱いながらも、温かい涙が流れる優しい映画。動物と人間が共に生きる意味を感じさせてくれる一作です。(50代 男性)
観ている間ずっと泣いていました。マリが瓦礫の中で子犬たちを守るシーンや、再会の瞬間は、涙腺崩壊です。動物映画というより、命の物語。特に、避難所での人々の葛藤や、動物に対する扱いにもリアリティがあり、人間社会の冷たさと温かさの両方が伝わってきました。心に深く残る映画です。(20代 女性)
自分も犬を飼っているので、マリの行動ひとつひとつが胸に刺さりました。置き去りにされた不安や、それでも家族を信じて待ち続ける姿は、言葉を超えて感動を与えてくれます。ペットではなく、家族の一員としての「命の価値」を改めて考えさせられました。動物好きなら必ず観るべき映画です。(40代 男性)
子どもと一緒に観ましたが、親の自分が先に泣いてしまいました。マリが一生懸命子犬を守っている姿は、親の愛そのもの。特に、再会のシーンでの表現はリアルで、演出も秀逸。家族の大切さ、動物と人間のつながりを、子どもにも伝えられる素晴らしい作品でした。家族向け映画としてもおすすめです。(30代 男性)
マリの献身的な行動に、胸が熱くなりました。人間が生き延びるのに必死な中で、動物たちが自分たちで必死に命を守ろうとする姿に、言葉では言い表せない感動がありました。映像も美しく、特に雪の中でのマリの表情が忘れられません。静かに心に響く、名作だと思います。(60代 女性)
動物映画って子ども向けな印象があったけど、これは大人が観ても涙が出る作品。地震のシーンのリアルさに驚きつつ、その中でマリが必死に生き抜く姿に、命の強さと美しさを感じました。災害時のペットとの関係についても考えさせられ、社会的なメッセージもある深い映画だと感じました。(20代 男性)
実話が元になっているということで、さらに感動が増しました。震災という非日常の中でも、マリは子犬たちを必死に守り、再会する奇跡に胸がいっぱいになりました。ラストの家族との再会シーンは、涙なしでは観られません。災害と動物、どちらにも向き合った貴重な作品だと思います。(40代 女性)
最初は「犬の映画でしょ」と軽く観始めたのですが、最後にはボロ泣きでした。マリの行動力と母性本能が本当にすごい。自分だったらできないことを、言葉もない動物がやってのけるんだと思うと、人間として見習うべきところすら感じました。震災を知らない世代にも届けたい映画です。(10代 男性)
映画『マリと子犬の物語』を見た人におすすめの映画5選
ハチ公物語(1987年)
この映画を一言で表すと?
飼い主を信じて待ち続けた犬の、涙なしでは観られない実話ドラマ。
どんな話?
東京・渋谷駅で亡き主人を9年間待ち続けた忠犬ハチ公の実話をもとにした物語。飼い主との深い絆や、時代背景の中での人々の優しさが描かれています。犬と人との強い結びつきが心に沁みる感動作です。
ここがおすすめ!
「信じる心」と「待ち続ける愛」を描いた不朽の名作。特にラストシーンは涙腺崩壊必至です。動物映画の中でも群を抜いて感情を揺さぶる作品で、『マリと子犬の物語』で感動した方には間違いなく刺さります。
子ぎつねヘレン(2006年)
この映画を一言で表すと?
小さな命と向き合うことで成長していく少年の、心温まる冒険。
どんな話?
耳も目も不自由な子ぎつね「ヘレン」を保護した少年が、獣医や家族の力を借りながら世話をしていく物語。障がいを抱えた動物との出会いが、少年や周囲の人々の心を優しく変えていきます。
ここがおすすめ!
動物とのふれあいを通じて描かれる成長と家族の物語が胸を打ちます。ヘレンの姿に、命の尊さと儚さを感じずにはいられません。子どもから大人まで楽しめる、優しさにあふれた作品です。
僕のワンダフル・ライフ(2017年)
この映画を一言で表すと?
生まれ変わりを繰り返す犬が導く、奇跡の感動ストーリー。
どんな話?
犬のベイリーが、何度も生まれ変わりながら「本当の使命」を探していくファンタジックな感動作。人間と動物との絆、家族への愛をユーモラスかつ心揺さぶるタッチで描いています。
ここがおすすめ!
犬の目線で描かれるからこそ伝わる、人間への無償の愛。ユーモアもありながら、ラストは涙なくして観られません。『マリと子犬の物語』のように、家族と動物のつながりに心動かされた方にぴったりです。
ペットは友だち(2014年)
この映画を一言で表すと?
保護犬と引きこもりの少年が、互いを救い合う再生の物語。
どんな話?
トラウマを抱えた少年が、心に傷を負った保護犬と出会い、少しずつ心を通わせていくヒューマンドラマ。人と動物が互いに支え合いながら前を向いていく過程を丁寧に描いています。
ここがおすすめ!
感動だけでなく、リアルな葛藤や成長も描かれるのが魅力。動物がもたらす癒やしと希望を改めて実感できる作品で、心に優しく寄り添うような余韻が残ります。親子での視聴にも最適です。
奇跡の旅(1993年)
この映画を一言で表すと?
家族に会いたい一心で旅をする動物たちの、涙と笑いの大冒険。
どんな話?
2匹の犬と1匹の猫が、離れ離れになった家族に会うために300kmの旅に出る物語。時に困難に直面しながらも、友情と勇気で乗り越えていく姿に心を打たれます。
ここがおすすめ!
動物たちの愛くるしい姿と健気な行動が、とにかく泣けて癒されます。吹替のセリフもユーモアたっぷりで、大人も子どもも楽しめる感動冒険ムービー。動物映画の王道として必見です。
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