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映画『まともな男』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『まともな男』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『まともな男』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『まともな男』の結末までのストーリー
  • 『まともな男』を見た感想・レビュー
  • 『まともな男』を見た人におすすめの映画5選

映画『まともな男』の作品情報

まともな男

製作年:2015年
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス、コメディ
監督:ミヒャ・レヴィンスキー
キャスト:デーヴィト・シュトリーゾフ、マレン・エッゲルト、アニーナ・ヴァルト、ロッテ・ベッカー etc

映画『まともな男』の登場人物(キャスト)

トーマス(デーヴィト・シュトリーゾフ)
少し気弱で平凡な男だが、その反動で酒が入ると衝動的になってしまう。過去に酒が原因で同僚と問題を起こし、マルティナに内緒でセラピーに通っている。自分では家族関係は良好だと思っているが、実際はそうでもない。
マルティナ(マレン・エッゲルト)
トーマスの妻で小説家。トーマスとは小説の取材で知り合った。スキー旅行には家族で来たが、本当は一人で静かに執筆したかった。いつも煮え切らない態度のトーマスに、いい加減、愛想をつかし始めている。
ジェニー(ロッテ・ベッカー)
トーマスの娘。年頃の娘らしく、ワガママで家族といるのが楽しくない。ザラとは一年ぶりに会ったが、仲良くしろとトーマスに言われ、仕方なく一緒にいる。
ザラ(アニーナ・ヴァルト)
トーマスの上司の娘。家庭に問題を抱えており、上司から半ば押し付けられるかたちで旅行に連れていくことになる。パーティに行った際、男に強姦されたと言いだしたことから、とんでもない事態になっていく。

映画『まともな男』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『まともな男』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『まともな男』のあらすじ【起】

家族で雪山にスキー旅行に行く計画を立てたトーマス。妻のマルティナは小説家で、静かなリゾートハウスで執筆活動をする予定だ。娘のジェニーは新しいスノーボードを買ってもらえず、不服そうな顔をしていた。家族だけの旅行になるはずだったが、上司の娘・ザラを預かることになり、4人での旅行となった。

リゾートハウスに到着すると電気が来ていないことに気がつく。管理をしている友人に、それを伝えたところ、友人の息子のセヴィが直しに来てくれた。セヴィはジェニーと幼馴染で、パーティがあるのでこないかと誘った。ジェニーとザラは行きたいと言いだす。マルティナは許可しないが、トーマスは押しに負けて12時までの約束で許可してしまう。

トーマスはマルティナに内緒にしていることがあった。彼は飲酒が原因で会社の同僚と事故を起こしていた。相手が嫌な奴だったため、酔った勢いで相手の車にわざとぶつかったのだ。そのことで、セラピーを受けていた。

約束の時間になったのでバーに迎えに行く。だが、いたのはジェニーだけだった。ザラはどうしたのかと尋ねると、あんな尻軽は知らないと言って不機嫌そうな顔をするばかり。探しにいったトーマスはザラを見つけるが、彼女は青い顔をしながら、“セヴィにむりやり性行為させられた”と言いだす。対処に困るトーマスに、誰にも言わないでほしいとザラは言った。

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映画『まともな男』のあらすじ【承】

トーマスはザラとのことを誰にも相談しなかった。翌朝、ザラは具合が悪そうな顔をしながら、アフターピルがほしいと言いだす。町の薬局へと買いに行きたいが、ジェニーはスキー場へ行きたがった。ジェニーを連れていくわけにもいかない。トーマスは仕方なく、新しいスノーボードを買いに行かせて時間を潰させることにした。

ザラが薬局に行っている間に、上司から電話が入った。トーマスは思わず、ザラは楽しそうにスキーをしていると嘘をついてしまう。戻ってきたザラは、16歳未満には薬は売れないと断られたと言ってきた。トーマスは父親のふりをして、16歳だという証明書にサインし、薬を買い与えた。

スキー場では楽しく過ごすことができた。だが、トーマスは楽しそうに酒を飲む集団を見かけて、少し飲みたい欲求が湧いてくる。

深夜、寒さで目を覚ましたトーマスは、雪の中に薄着で寝そべるザラを発見。驚いて、すぐさま駆けつけると、家の中に運んで着替えさせた。ザラはただただ泣くばかり。

トーマスはセヴィの父親に相談に行った。ザラがセヴィに強姦されたと言っていると。だが、父親は“それはその娘が言っているだけにすぎない。息子はまともに仕事をし始めたばかりだ。大ごとにされると彼の人生が台無しになる”と言い、事を荒立てるなと忠告されてしまう。

考えた末、上司にザラのことを正直に話そうと電話する。だが、ザラを預かった見返りとして大きな仕事を回してもらえ、言いだせなくなってしまう。

良い仕事をもらえたと嬉しがるトーマスだったが、マルティナからは冷たい視線を送られる。見返りにもらった仕事もそうだが、ザラの体調のことや、勝手にスノーボードを買い与えたことに苛立っていた。マルティナの態度に、トーマスもストレスを溜めていく。

映画『まともな男』のあらすじ【転】

ザラはトーマスの元にやってくると、セヴィにも罰が必要だと言いだした。そして、今すぐに警察に連れてほしいと言う。トーマスは、あまり警察に行ってほしくなかった。セヴィの父親に言われたこと、仕事のこと、薬局でのサインのことなどを考えてしまったからだ。

警察署の前まで来たとき、トーマスを相手に証言の練習をしたザラは、起こったことを忘れないようにメモを書いたほうがよいと考え直し、警察に行くのは明日にすると言いだした。トーマスは少し安堵の表情を浮かべる。リゾートハウスに戻ったザラは、日記に詳細を書き始めた。

トーマスは今まで飲酒を控えていたが、度重なるストレスに負け、スキー場でとうとうアルコールを飲んでしまった。夜、バーで演奏を聴いていると、突然にマルティナが別居したいと言いだしてきた。トーマスは動揺する。

ジェニーとザラは、セヴィとのことで喧嘩を始め、怒ったザラは“家に帰る。警察にも行く”と喚きだした。焦ったトーマスはセヴィのところへ行き、ザラに謝るように忠告。彼を連れていって謝らせるが、ザラは許すことができず、その場から走り去った。

後を追いかけたトーマスは、ザラが誰かに電話をかけようとしているのを見かける。上司に報告されることを恐れたトーマスは、ザラから携帯を奪おうとした。ザラは逃げたが、その拍子にスキーリフトの高台から落ちてしまった。ザラは意識不明に陥ってしまう。

ザラが入院したことを知った上司は、トーマスたちのところへやってきた。夕食を共にした時、うっかり口を滑らせた上司は、トーマスが事故を起こしたことをバラしてしまう。マルティナに非難されると落ち込むが、意外にも“一人で抱え込まないで”と優しい言葉をかけられ、トーマスは嬉しくなる。

翌朝、ザラが目覚めたと病院から電話が入った。トーマスは重い足取りで病室へと向かったが、彼女は記憶喪失になっていた。リゾートハウスに到着した辺りからの記憶が無くなっていたのだ。トーマスはこれを幸運に思い、すべて無かったことにすると決めた。

映画『まともな男』の結末・ラスト(ネタバレ)

休暇の最終日、ジェニーは最後だからと夜遊びしたいと言いだす。ザラのことがあったので、トーマスは反対するが、マルティナは許可してしまう。

トーマスはザラが日記に詳細を書いていたことを思い出した。処分しようと探していると、運悪くマルティナに目撃されてしまう。その挙動不審ぶりに、何をしていたのか問い詰めてくるマルティナ。トーマスは日記を手に“絶対に誰にも言わないとザラと約束したのだ”と言ったが、マルティナは引き下がらず、日記を見せろという。窮地に立ったトーマスは、思わず“ザラが僕のことを好きだと言っていた”と大嘘をついてしまう。

嘘と迫真の演技で、なんとか日記を見られずに済んだトーマスは、一人で日記を読んでみた。内容に驚いたトーマスは、ジェニーのことが心配になってくる。バーにジェニーを探しに行ったが、セヴィと出ていった後だった。

心配でどうにかなりそうなトーマスは、思わずバーで酒を買って飲んでしまう。酔ったままセヴィの家まで運転してきたトーマスは、娘はどこだとセヴィにつかみかかるが、セヴィは家に帰したと言う。

セヴィの態度に腹を立てたトーマスは、鈍器で頭部を殴ってしまった。それを発見したセヴィの父親は、息子を病院と警察に連れていくと言って車を走らせた。焦ったトーマスは二人を追いかける。そして、酔った勢いで車に体当たりしてしまう。二人を乗せた車は谷底へ落ちていった。トーマスは潰れた車の横を通り過ぎたが、助けようともせず、その場を後にした。

結局、ザラは何も思いださず、トーマスたちは自宅へと車を走らせた。パーキングエリアに立ち寄った際、トーマスは日記をゴミ箱にこっそり捨てた。今までのことを振り返り、どうしようもない気持ちになったトーマスは、一人ベンチで押し殺すように泣いた。だが、家族の前では何も語らず、何事もなかったような顔をして、ひたすら自宅へと無口に運転していった。

映画『まともな男』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

本作は、その場しのぎの小さな嘘を重ねた男が取り返しのつかない事態に陥っていく姿を描いたスイス映画。
他人が犯した罪を知った時に人はどういった行動を起こすか、という誰にでも起こりうる状況の中での人間心理を題材としていて、自分ならどうすべきか観ていてドキドキした。
穏便にその場を済ませようとする彼の気持ちも分かる。
小さな嘘が全て裏目に出て痛い目に遭うくらいなら嘘などつかなければ良いのだが、嘘を重ね続けた彼の人間関係や生活背景も描かれていて、人間の弱さが露呈している点が題材として面白かった。(女性 20代)


表面上は穏やかで“まとも”に見える男が、実は何も解決できないまま「何も起きなかったこと」にしてしまう。その怖さと不気味さがジワジワと効いてくる作品。娘に起きた出来事に対して正義を示さない父親の無責任さに、胸がモヤモヤしたまま終わるのが逆にリアルでした。(20代 男性)


スイスの雪山を舞台に、心の冷たさを描いたような映画でした。父親が「穏便に済ませたい」一心で、真実に目を向けず、被害にあった娘すら黙らせる姿に怒りを覚えました。一見まともな人が社会の不正を見て見ぬふりすることで、二次被害が広がっていくという、現代社会の縮図を見た気がします。(30代 女性)


一見静かなホームドラマに見えて、実は暴力と沈黙の映画。問題が発生しても「何も起きなかった」として処理しようとする父親の態度に恐怖を感じました。終盤、娘が真実を叫んでも誰も耳を傾けず、父親すら目をそらす。この映画が問いかけてくる「まともさ」とは何なのか、考えさせられました。(40代 男性)


見ていてとても苦しくなった映画でした。娘が性的暴行を受けたかもしれないのに、父親は社会的な波風を立てないようにと行動する。その姿勢が“まとも”なのかと問われると、観ている側としても言葉を失います。モラルや正義とは何かを真正面から突きつけられたようでした。(20代 女性)


家族を守ると言いながら、最終的に何も守れていない父親。本人は「波風を立てないこと=平和」だと信じているけれど、それが逆にすべてを壊していく。本当の問題解決には向き合わなければならないという当たり前のことを、痛みを伴って突きつけてくる映画です。(50代 男性)


この映画のすごさは、「静けさ」が最大の暴力になっているところ。娘が暴行され、加害者も明らかなのに、父親はそのことを全力でスルーしようとする。言葉にしない選択がどれだけ恐ろしいかを教えてくれます。終わった後に重たい気持ちが残るけれど、それだけ価値のある作品です。(30代 女性)


個人的にはホラー映画よりもよっぽど怖かった。登場人物全員が「何もなかったふり」をして、問題を闇に葬ろうとする。その沈黙の圧力が、見ていて精神的にきつい。でもこれは現代の社会でも実際にあることで、映画というよりドキュメンタリーのようなリアリティがありました。(40代 女性)


「まともな男」とは何か?を考えさせられる映画。表面的には理性的で家庭的な父親が、実は最も卑怯で臆病だったという構図が皮肉。娘の被害よりも自分の立場を守ろうとする彼の態度にイライラしつつも、こういう人間はどこにでもいると思えてしまうところが一番の恐怖。(30代 男性)


作中で誰も大声を出さず、暴力シーンも直接的ではない。でもだからこそ、抑圧された感情や不条理さが際立ちます。特に娘の友人の存在がスイッチになり、家族の中にあったヒビがどんどん広がっていく様子が痛々しい。感情を押し殺した社会で生きる“まともな人たち”の偽善を描いた作品でした。(20代 女性)

映画『まともな男』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『まともな男』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ミヒャエル(2011)

この映画を一言で表すと?

“平凡な男”の顔をした、異常な日常の裏側を暴く衝撃作。

どんな話?

一見何の変哲もない会社員ミヒャエル。しかし彼の家の地下室には、監禁された少年がいた。職場では“まとも”に振る舞いながら、異常な二重生活を送る男を淡々と描く問題作。静かな狂気が観る者を圧倒する。

ここがおすすめ!

説明過多を避けたミニマルな演出が、むしろ想像を刺激します。『まともな男』同様、「静けさ」が不穏をかき立てる。社会的に“普通”な人間の中に潜む恐怖に向き合いたい人に強くおすすめします。

ファニーゲーム U.S.A.(2007)

この映画を一言で表すと?

観る者の“良識”を逆手に取る、知的で残酷な心理スリラー。

どんな話?

湖畔の別荘で休暇を過ごす一家のもとに、礼儀正しい青年二人が訪れる。しかし彼らは突如として暴力的なゲームを始め、家族を支配していく。視聴者の“見る責任”を問う異色のバイオレンス作品。

ここがおすすめ!

ハネケ監督らしい倫理への挑戦作。暴力を否定するようで、その本質を見せつける手法が見事です。『まともな男』と同じく、加害者と傍観者の境界を揺るがす視点が強烈に胸を打ちます。

エレファント(2003)

この映画を一言で表すと?

“普通”の空気の中で、日常が音もなく崩れていく。

どんな話?

アメリカのとある高校を舞台に、生徒たちの何気ない日常が描かれる。しかしその裏では、銃乱射事件が静かに準備されていた。ガス・ヴァン・サント監督によるリアルすぎる青春の崩壊劇。

ここがおすすめ!

無機質なカメラワークが“何も起きていないように見える”恐怖を際立たせます。『まともな男』同様、「沈黙」や「日常」の中にある異常性を探る視点が非常に共通しています。

白いリボン(2009)

この映画を一言で表すと?

秩序の裏に潜む暴力の種を暴く、寓話的モノクロ劇。

どんな話?

第一次大戦直前のドイツの村。一見規律正しく見える村に不可解な事件が連続する。子どもたちと大人たちの関係を通して、“権威”と“支配”の構造が浮き彫りになる、ハネケ監督による社会寓話。

ここがおすすめ!

美しいモノクロ映像と淡々とした演出が、不気味な世界を引き立てます。誰もが加害者になりうる社会の構造と、教育や家族の歪みを描く本作は、『まともな男』の持つ“倫理の崩壊”と強く通じ合います。

われらが背きし者(2016)

この映画を一言で表すと?

“巻き込まれ型”市民が、正義と無力さの間で葛藤する。

どんな話?

休暇中の夫婦がロシアンマフィアの亡命希望者に接触してしまい、スパイと犯罪の渦に巻き込まれていく。善良な市民が自分の“正しさ”とどう向き合うかを描く、サスペンス・ドラマ。

ここがおすすめ!

「正しさ」と「現実の非情さ」のギャップに揺れる心理描写が光ります。父親という立場や家族を守る責任が絡む点でも、『まともな男』とテーマが共鳴。静かなテンションで進行するのも共通点です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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