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映画『まともな男』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『まともな男』の概要:スキー旅行に来たトーマス一家は、上司の娘ザラを預かることになった。ある晩、パーティに出掛けたザラは迎えに来たトーマスに、男に強姦されたと言いだす。対処に困ったトーマスは二人だけで解決しようと、周りに嘘をついて乗り切ろうとするのだが…。

映画『まともな男』の作品情報

まともな男

製作年:2015年
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス、コメディ
監督:ミヒャ・レヴィンスキー
キャスト:デーヴィト・シュトリーゾフ、マレン・エッゲルト、アニーナ・ヴァルト、ロッテ・ベッカー etc

映画『まともな男』の登場人物(キャスト)

トーマス(デーヴィト・シュトリーゾフ)
少し気弱で平凡な男だが、その反動で酒が入ると衝動的になってしまう。過去に酒が原因で同僚と問題を起こし、マルティナに内緒でセラピーに通っている。自分では家族関係は良好だと思っているが、実際はそうでもない。
マルティナ(マレン・エッゲルト)
トーマスの妻で小説家。トーマスとは小説の取材で知り合った。スキー旅行には家族で来たが、本当は一人で静かに執筆したかった。いつも煮え切らない態度のトーマスに、いい加減、愛想をつかし始めている。
ジェニー(ロッテ・ベッカー)
トーマスの娘。年頃の娘らしく、ワガママで家族といるのが楽しくない。ザラとは一年ぶりに会ったが、仲良くしろとトーマスに言われ、仕方なく一緒にいる。
ザラ(アニーナ・ヴァルト)
トーマスの上司の娘。家庭に問題を抱えており、上司から半ば押し付けられるかたちで旅行に連れていくことになる。パーティに行った際、男に強姦されたと言いだしたことから、とんでもない事態になっていく。

映画『まともな男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『まともな男』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『まともな男』のあらすじ【起】

家族で雪山にスキー旅行に行く計画を立てたトーマス。妻のマルティナは小説家で、静かなリゾートハウスで執筆活動をする予定だ。娘のジェニーは新しいスノーボードを買ってもらえず、不服そうな顔をしていた。家族だけの旅行になるはずだったが、上司の娘・ザラを預かることになり、4人での旅行となった。

リゾートハウスに到着すると電気が来ていないことに気がつく。管理をしている友人に、それを伝えたところ、友人の息子のセヴィが直しに来てくれた。セヴィはジェニーと幼馴染で、パーティがあるのでこないかと誘った。ジェニーとザラは行きたいと言いだす。マルティナは許可しないが、トーマスは押しに負けて12時までの約束で許可してしまう。

トーマスはマルティナに内緒にしていることがあった。彼は飲酒が原因で会社の同僚と事故を起こしていた。相手が嫌な奴だったため、酔った勢いで相手の車にわざとぶつかったのだ。そのことで、セラピーを受けていた。

約束の時間になったのでバーに迎えに行く。だが、いたのはジェニーだけだった。ザラはどうしたのかと尋ねると、あんな尻軽は知らないと言って不機嫌そうな顔をするばかり。探しにいったトーマスはザラを見つけるが、彼女は青い顔をしながら、“セヴィにむりやり性行為させられた”と言いだす。対処に困るトーマスに、誰にも言わないでほしいとザラは言った。

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映画『まともな男』のあらすじ【承】

トーマスはザラとのことを誰にも相談しなかった。翌朝、ザラは具合が悪そうな顔をしながら、アフターピルがほしいと言いだす。町の薬局へと買いに行きたいが、ジェニーはスキー場へ行きたがった。ジェニーを連れていくわけにもいかない。トーマスは仕方なく、新しいスノーボードを買いに行かせて時間を潰させることにした。

ザラが薬局に行っている間に、上司から電話が入った。トーマスは思わず、ザラは楽しそうにスキーをしていると嘘をついてしまう。戻ってきたザラは、16歳未満には薬は売れないと断られたと言ってきた。トーマスは父親のふりをして、16歳だという証明書にサインし、薬を買い与えた。

スキー場では楽しく過ごすことができた。だが、トーマスは楽しそうに酒を飲む集団を見かけて、少し飲みたい欲求が湧いてくる。

深夜、寒さで目を覚ましたトーマスは、雪の中に薄着で寝そべるザラを発見。驚いて、すぐさま駆けつけると、家の中に運んで着替えさせた。ザラはただただ泣くばかり。

トーマスはセヴィの父親に相談に行った。ザラがセヴィに強姦されたと言っていると。だが、父親は“それはその娘が言っているだけにすぎない。息子はまともに仕事をし始めたばかりだ。大ごとにされると彼の人生が台無しになる”と言い、事を荒立てるなと忠告されてしまう。

考えた末、上司にザラのことを正直に話そうと電話する。だが、ザラを預かった見返りとして大きな仕事を回してもらえ、言いだせなくなってしまう。

良い仕事をもらえたと嬉しがるトーマスだったが、マルティナからは冷たい視線を送られる。見返りにもらった仕事もそうだが、ザラの体調のことや、勝手にスノーボードを買い与えたことに苛立っていた。マルティナの態度に、トーマスもストレスを溜めていく。

映画『まともな男』のあらすじ【転】

ザラはトーマスの元にやってくると、セヴィにも罰が必要だと言いだした。そして、今すぐに警察に連れてほしいと言う。トーマスは、あまり警察に行ってほしくなかった。セヴィの父親に言われたこと、仕事のこと、薬局でのサインのことなどを考えてしまったからだ。

警察署の前まで来たとき、トーマスを相手に証言の練習をしたザラは、起こったことを忘れないようにメモを書いたほうがよいと考え直し、警察に行くのは明日にすると言いだした。トーマスは少し安堵の表情を浮かべる。リゾートハウスに戻ったザラは、日記に詳細を書き始めた。

トーマスは今まで飲酒を控えていたが、度重なるストレスに負け、スキー場でとうとうアルコールを飲んでしまった。夜、バーで演奏を聴いていると、突然にマルティナが別居したいと言いだしてきた。トーマスは動揺する。

ジェニーとザラは、セヴィとのことで喧嘩を始め、怒ったザラは“家に帰る。警察にも行く”と喚きだした。焦ったトーマスはセヴィのところへ行き、ザラに謝るように忠告。彼を連れていって謝らせるが、ザラは許すことができず、その場から走り去った。

後を追いかけたトーマスは、ザラが誰かに電話をかけようとしているのを見かける。上司に報告されることを恐れたトーマスは、ザラから携帯を奪おうとした。ザラは逃げたが、その拍子にスキーリフトの高台から落ちてしまった。ザラは意識不明に陥ってしまう。

ザラが入院したことを知った上司は、トーマスたちのところへやってきた。夕食を共にした時、うっかり口を滑らせた上司は、トーマスが事故を起こしたことをバラしてしまう。マルティナに非難されると落ち込むが、意外にも“一人で抱え込まないで”と優しい言葉をかけられ、トーマスは嬉しくなる。

翌朝、ザラが目覚めたと病院から電話が入った。トーマスは重い足取りで病室へと向かったが、彼女は記憶喪失になっていた。リゾートハウスに到着した辺りからの記憶が無くなっていたのだ。トーマスはこれを幸運に思い、すべて無かったことにすると決めた。

映画『まともな男』の結末・ラスト(ネタバレ)

休暇の最終日、ジェニーは最後だからと夜遊びしたいと言いだす。ザラのことがあったので、トーマスは反対するが、マルティナは許可してしまう。

トーマスはザラが日記に詳細を書いていたことを思い出した。処分しようと探していると、運悪くマルティナに目撃されてしまう。その挙動不審ぶりに、何をしていたのか問い詰めてくるマルティナ。トーマスは日記を手に“絶対に誰にも言わないとザラと約束したのだ”と言ったが、マルティナは引き下がらず、日記を見せろという。窮地に立ったトーマスは、思わず“ザラが僕のことを好きだと言っていた”と大嘘をついてしまう。

嘘と迫真の演技で、なんとか日記を見られずに済んだトーマスは、一人で日記を読んでみた。内容に驚いたトーマスは、ジェニーのことが心配になってくる。バーにジェニーを探しに行ったが、セヴィと出ていった後だった。

心配でどうにかなりそうなトーマスは、思わずバーで酒を買って飲んでしまう。酔ったままセヴィの家まで運転してきたトーマスは、娘はどこだとセヴィにつかみかかるが、セヴィは家に帰したと言う。

セヴィの態度に腹を立てたトーマスは、鈍器で頭部を殴ってしまった。それを発見したセヴィの父親は、息子を病院と警察に連れていくと言って車を走らせた。焦ったトーマスは二人を追いかける。そして、酔った勢いで車に体当たりしてしまう。二人を乗せた車は谷底へ落ちていった。トーマスは潰れた車の横を通り過ぎたが、助けようともせず、その場を後にした。

結局、ザラは何も思いださず、トーマスたちは自宅へと車を走らせた。パーキングエリアに立ち寄った際、トーマスは日記をゴミ箱にこっそり捨てた。今までのことを振り返り、どうしようもない気持ちになったトーマスは、一人ベンチで押し殺すように泣いた。だが、家族の前では何も語らず、何事もなかったような顔をして、ひたすら自宅へと無口に運転していった。

映画『まともな男』の感想・評価・レビュー

本作は、その場しのぎの小さな嘘を重ねた男が取り返しのつかない事態に陥っていく姿を描いたスイス映画。
他人が犯した罪を知った時に人はどういった行動を起こすか、という誰にでも起こりうる状況の中での人間心理を題材としていて、自分ならどうすべきか観ていてドキドキした。
穏便にその場を済ませようとする彼の気持ちも分かる。
小さな嘘が全て裏目に出て痛い目に遭うくらいなら嘘などつかなければ良いのだが、嘘を重ね続けた彼の人間関係や生活背景も描かれていて、人間の弱さが露呈している点が題材として面白かった。(女性 20代)

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