この記事では、映画『メン・イン・ブラック』の感想やレビューを紹介しています。数多くの映画を見てきた映画専門ライターによって、様々な視点で感想・レビューを執筆しておりますので、ぜひご覧ください。
映画『メン・イン・ブラック』の作品情報
出典:Columbia Pictures
製作年 | 1997年 |
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上映時間 | 97分 |
ジャンル | SF アクション コメディ |
監督 | バリー・ソネンフェルド |
キャスト | トミー・リー・ジョーンズ ウィル・スミス リンダ・フィオレンティーノ ヴィンセント・ドノフリオ |
製作国 | アメリカ |
映画『メン・イン・ブラック』のあらすじ
ニューヨーク。刑事のジェームズは、犯罪者の追跡中、相手が人間でないことに気づく。黒服の男・Kから、多数のエイリアンが人間に姿を変えて地球に潜伏していることを聞いたジェームズは、過去を抹消し、秘密機関・MIBのエージェント・Jとして生まれ変わる。(出典:U-NEXT)
映画『メン・イン・ブラック』の感想・レビュー
「そこに、当たり前のようにいる」宇宙人
やはり印象に残るのは、地球に「当たり前のようにいる」宇宙人たちの姿ですね!MIB
=メン・イン・ブラックの本部である地下の施設で、まるで空港に来た旅行者のように宇宙人が受付をしている描写が、それがここでは「ごく普通のことである」と、ひと目でわからせてくれます。
そこから更に発展して、日本で言えば町角のタバコ屋のような狭い店舗の店先で、店の主人らしき男の横に座っている犬。これが、「実は犬の方が宇宙人だった」というタネ明かしは最高です。ベテラン捜査官の「K」がこの犬に尋問しようと、犬の首根っこを捕まえてブルブルと振るところを通りがかった人たちが見て眉をひそめるなど、あり得ないシーンとリアルな現実との「差異」を上手く生かしたギャグシーンは秀逸です。
新人捜査官と一緒に、観客も学んでいく
本作の物語は、MIBのベテラン捜査官「K」の指導のもと、地球にいる宇宙人との関係を学んでいく新人捜査官「J」の視点で描かれていきます。これは大人気の漫画『スラムダンク』で見られるように、「新人目線で物語を語ることで、観客にわかりやすいように設定を説明する」という狙いがあります。
『スラムダンク』では「バスケ素人」だった主人公・桜木花道が、先輩やマネージャーからバスケのルールや練習方法などを教わることにより、同時にバスケに詳しくなかった読者もそれを同時に「学んでいく」ことになって、漫画の内容への理解が深まる仕組みになっています。
本作もこれと同じで、新人捜査官が驚愕するような宇宙人の姿や生活を見せられることで、映画の設定を知らなかった「初心者の観客たち」も同時に、「そういうことか」と納得することになります。これは奇想天外な物語を描く上で、上手い設定だと思います。
人気俳優の「夢の顔合わせ」が実現した作品
新人捜査官の「J」を演じたウィル・スミスは、本作の前に『バッドボーイズ』『インデペンデンス・デイ』というヒット作に立て続けに出演していて、まさに絶好調の頃。そして、ベテラン捜査官の「K」を演じたトミー・リー・ジョーンズも、本作の4年前に公開された『逃亡者』で注目され、その後の出演作が続いていた時期。人気俳優2人がタッグを組むという、まさに「夢の顔合わせ』の映画でした。
個人的な話になりますが、私はウィル・スミスの人気があることは知っていたものの、当時まだ大学生の若造だった私は、何か「ええカッコしい」という印象があってあまり好きにはなれませんでした。しかし、この映画が公開された頃、付き合っていた彼女と一緒に本作を見に行って、映画を見終わった後に彼女が開口一番「ウィル・スミス、カッコいいね!」と言ったのを聞き、これはもう個人的感情で否定できるものではないなと観念した覚えがあります。
本作以降のウィル・スミスは、コメディ的な役割からより「役者」として成功し、アカデミー主演男優賞なども受賞することになります。そんな彼の活躍ぶりを見るたびに、彼を必死に否定しようとしていた若き日の自分が蘇り、胸が熱くなるような感覚を覚えます。
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