映画『未来のミライ』の概要:甘えん坊のくんちゃんの前に赤ん坊の妹が現れ、両親の関心が全て赤ちゃんへ向いてしまう。くんちゃんは構ってもらえないことに不満を覚え、妹の存在を受け入れられずにいた。そんなある日、彼の前に未来の妹だという少女が姿を現し、不思議な世界へと誘われる。
映画『未来のミライ』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:SF、ファンタジー、アドベンチャー、アニメ
監督:細田守
キャスト:上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子 etc
映画『未来のミライ』の登場人物(キャスト)
- くんちゃん(上白石萌歌)
- 甘えん坊で泣き虫の幼稚園児。妹のミライちゃんが来たことで、おかあさんに構ってもらえず不満を抱いている。想像力豊かで不思議なことと新幹線が好き。妹の存在を受け入れられずにいる。未来のくんちゃんはつんけんしていて、ひねくれている。
- ミライちゃん(黒木華)
- くんちゃんの妹。右手の平に独特な痣がある。未来のミライちゃんは高校生で、幼い兄を何かと助け大切なことを教えてくれる。
- おとうさん(星野源)
- フリーの建築家で、在宅にて仕事をしている。くんちゃんとミライちゃんのおとうさん。優しくて働き者。ミライちゃんが産まれたことで、おかあさんと共同で仕事と家事と育児をこなす。
- おかあさん(麻生久美子)
- 編集者として仕事をしている。くんちゃんには鬼ばばと呼ばれくらい怒ると怖いしっかり者。幼い頃はひねくれていて、片付けをするのが苦手だった。
- 謎の男(吉原光夫)
- 実は飼い犬のゆっこ。くんちゃんが産まれる前から家で飼われているおじいちゃん犬。くんちゃんのせいで両親の愛情を奪われ、不満を抱いていた。前の王子様だと豪語している。
- 青年(福山雅治)
- 若かりし頃のひいじいじ。戦争の負傷にて右足を引きずっている。戦闘機のエンジンを作っていたが、戦争から帰還後は牧場で働いている。バイクに乗るのが趣味で、くんちゃんに自転車に乗るコツを教える。
映画『未来のミライ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『未来のミライ』のあらすじ【起】
初雪が降った日、くんちゃんが住む家に赤ちゃんがやって来た。おかあさんが赤ちゃんと仲良くして欲しいと言うので、くんちゃんもそうするつもりだった。赤ちゃんはミライと名付けられ、大切に育てられる。
ところが、ミライちゃんが来てから生活が一変。おかあさんは赤ちゃんの世話で忙しく、おとうさんはおかあさんの代わりに家事をするようになり、くんちゃんにまで手が回らない。それでもくんちゃんは、おかあさんとの約束を守り一生懸命仲良くしようと奮闘。だが、彼の奮闘は全て空振りに終わってしまう。
くんちゃんはミライちゃんが来たせいだと考え、腹いせにいたずらを仕掛ける。だが、すぐに見つかってしまい、こっぴどく叱られてしまうのだった。
泣きながら庭へ逃げ出したくんちゃんは、そこで謎の男と出会う。彼は以前、自分がこの家の王子様だったと言う。謎の男にはなぜか尻尾が生えており、話を聞くにどうやら飼い犬のゆっこのようだ。くんちゃんは謎の男から尻尾を奪い、ひとしきり家の中を駆け回ってストレスを発散させるのだった。
数か月後の3月。自宅にお雛様が飾られた。その頃になるとおかあさんも編集者として仕事へ復帰し、一泊の出張へ行くことに。雛飾りを片付けて欲しいと言って出掛けて行った。
おとうさんはようやく慣れ始めた家事をこなし、ミライちゃんが昼寝した隙に建築の仕事を始める。その間、くんちゃんは暇を持て余してしまう。そこで、彼はまたも庭へ。すると、なんとそこには密林が現れ、女子高生が登場する。
映画『未来のミライ』のあらすじ【承】
彼女は未来のミライだと言う。その証拠に右手には独特な痣があった。未来のミライちゃんは、雛飾りを片付けてくれないとお嫁に行きそびれると嘆く。そこで、くんちゃんは未来のミライちゃんとゆっこの2人と1匹で、おとうさんに見つからないよう雛飾りを片付けることにした。
おとうさんにとっては不思議な現象が続出する出来事となったが、2人と1匹は協力して雛飾りを片付けるという任務を完遂。その日の夜、帰宅したおかあさんは雛飾りを片付けてくれたことに気付きおとうさんに感謝したが、おとうさんは頭を捻るばかり。そこで、くんちゃんは自分が未来のミライちゃんとゆっこと一緒に片付けたと言うのであった。
その日の夜、おかあさんのアルバムを一緒に見たくんちゃん。おかあさんは幼い頃、猫が欲しいと曾祖母にお願いしたが、許してもらえなかったと言う。そこで、くんちゃんは自転車が欲しいとねだったが、即座に却下。しかも、おもちゃを片付けないので叱られてしまう。くんちゃんは駄々を聞いてもらえないと、すぐにミライちゃんに危害を加えようとするため、おかあさんは激怒。
くんちゃんは、むしゃくしゃしておかあさんを鬼ばばと呼び庭へ出た。すると、そこにまた不思議ワールドが展開。今回は海の中だった。そこへ未来のミライちゃんがまた現れる。くんちゃんは自分が可愛くないせいだと泣き出し、海を泳いで古めかしい町へ到着する。
ふと見ると電信柱の影で泣いている女の子を発見。よく見たら女の子は小さい頃のおかあさんだった。帰宅したおかあさんは弟のおもちゃを部屋中にまき散らし、お菓子の箱を全部ぶちまける。「散らかしたら面白い」が彼女の口癖のようだった。くんちゃんはおかあさんと一緒になって部屋中を荒らし回る。
ところが、おかあさんのおかあさんが帰って来たため、くんちゃんは裏口から外へ。おかあさんがこっぴどく叱られ大泣きする声を聞いてしまい、走って逃げ帰るのであった。
映画『未来のミライ』のあらすじ【転】
怒ってばかりのおかあさんとて、くんちゃんを思えばこそである。大人だって子供のために一生懸命なのだ。夜中にふと目が覚めたくんちゃんは、眠っているおかあさんの目に涙が浮かぶのを目にし、優しく頭を撫でるのであった。
夏、自転車を買ってもらったくんちゃんは近くの公園へ。まだ乗り始めたばかりなので、補助輪付きだった。だが、公園にいる子供達はすでに補助輪なしで自転車に乗っている。意地になったくんちゃんも補助輪を外すことにし、自転車に乗る練習をした。ところが、おとうさんはくんちゃんに自転車の乗り方を上手く教えられず、くんちゃんは転んでは泣いてばかり。そのせいで、自転車は怖いものだと思い込んでしまう。
帰宅したくんちゃんは不満をぶちまけ、もう自転車には乗らないと泣き喚く。そして、再び庭へ。ヘルメットを投げ捨てた瞬間、突如大型のエンジンから台風の如く強風が吹き荒れ見知らぬ倉庫へと誘われる。振り返るとそこには、バイクの修理をする青年がいた。青年はくんちゃんへバイクに一緒に乗るかと誘うが、怖がりのくんちゃんは乗らないと断った。青年は右足を引きずって歩いている。戦争で負傷したせいらしい。青年はくんちゃんを馬に乗せた後、バイクへ乗せる。遠くへと視線をやれば、怖くないことを教えてくれた。
青年のお陰で勇気を得たくんちゃんは翌日、おとうさんに頼んで自転車に乗る練習をする。何度転んでも諦めず、遠くを見てペダルを漕ぐ。そうして、くんちゃんは自転車に乗るコツを覚えるのだった。
帰宅したくんちゃんはおかあさんに大層、褒められる。おとうさんも涙を滲ませ喜んでくれた。そこで、アルバムを開いたくんちゃんは、青年の姿を発見。すると、彼は曾祖父なのだとおかあさんが教えてくれる。曾祖父は昨年、亡くなっていたが、不思議なことにくんちゃんへと乗り物に乗るコツを教えてくれたのだった。
映画『未来のミライ』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんなある日、家族でキャンプへ行くことになったのだが、朝からくんちゃんは駄々をこねる。おかあさんは偏頭痛が治まらずにイライラしていた。そこで、くんちゃんは家出してやると宣言し、リュックを持って庭へ。すると、そこには田舎の駅が現れる。駅には少年がおりくんちゃんの態度が悪いと指摘。
少年と言い合いをしたくんちゃんは、駅にやって来た電車へと乗り込んでしまう。やがて、到着した場所は東京駅。ジュースを飲んで一息ついたくんちゃんは、忘れ物承り所の案内を目にしそこへ向かうことにした。
忘れ物承り所には長い列が連なっていたが、並んでいるのは少年や少女ばかりだった。受付には無表情でロボットのような人がいて幾つかの質問をされた。だが、おとうさんとおかあさんの名前も答えられないくんちゃん。このままでは迎えを呼び出すことができず、行き場所のない子供が乗る特別な電車へと乗ることに。その電車の行き先は一人ぼっちの国らしい。
赤い窓の見たこともない電車がホームへやって来る。ドアが開くと強制的に乗せられそうになる。恐怖を募らせたくんちゃんはどうにか外へ。自分自身を証明しろと言われそこへ、なぜかホームに赤ん坊のミライちゃんが登場。くんちゃんは必死になってミライちゃんを救い、そこでようやく自分はお兄ちゃんなのだと認めるのだった。
これにより、ミライちゃんが迷子の呼び出しをされ、未来のミライちゃんが助けにやって来る。2人は空中を舞い駅から空へ。時空を飛び越えた先にはくんちゃんの家の庭にある木が立っていた。その木は時間を牽引できる記録簿のようなものらしく、未来のミライちゃんはそこからくんちゃんがいる時間を探し当てると言う。
木へと飛び込んだ2人は、数万にも及ぶ時間の中を通る。そこで、様々な時間を見たくんちゃん。曾祖父が生き残るために海を必死に泳がなかったら、曾祖母が勝負でわざと負けなかったら、くんちゃんや未来のミライちゃんにまで繋がる未来はなかったのだと知る。ほんの些細なことが積み重なって、現在があるのだ。そうして、未来の家まで辿り着き、ようやく帰ることができた。
くんちゃんはミライちゃんの元へ行き、バナナを仲良く半分こ。そうして、ようやく兄妹らしくなった2人は、おかあさんの呼びかけに元気な返事をするのだった。
映画『未来のミライ』の感想・評価・レビュー
妹が家にやって来たことで、赤ちゃん返りした少年の視点で物語が進む。赤ちゃんにかかりきりになる両親に、構ってもらえない寂しさや独占欲が良く描かれており、それと同時に両親が育児をする苦労も描いている。愛情たっぷりに育てられているのだが、幼い故にそれを察することができない。そんなもどかしさを覚えた。
更に両親の幼い頃のことや、曾祖父と曾祖母のエピソードも盛り込まれ、家族が血筋を繋げるという大切さも描いている。曾祖父が青年として登場するのだが、非常に渋く噂通りのイケメンだった。海外での数々の賞にノミネートされるだけあり、素晴らしい感動作。(MIHOシネマ編集部)
子供の「好きくない」という叫びがひたすら癇にさわる。いや、4歳児ならあんなもんだ、と言われるかもしれない。本当にそうだろうか、自分自身はああではなかったと断言できる。(親がどう言うかは別だが)
主人公であるその子供が不思議な旅を通して幼児期を卒業する話、と観れば良いのかもしれない。しかし自分自身の証明をあのような形ですることが、自我の確立に繋がるのかは疑問だ。そして祖先のエピソード云々も、その意味が分かるならすでに大人なんじゃないか…。
子供好きならもっと素直に観れるはず。自分はダメでした。(男性 40代)
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