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映画『Mommy マミー』あらすじネタバレ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『Mommy マミー』の概要:役者としても活躍中のグザビエ・ドラン監督が描く、親子の愛憎物語。架空のカナダを舞台に多動性障害を持つ息子と母親。休職中の教師との出会いで上手くゆくかと思われたが。第64回カンヌ映画祭で審査員特別賞受賞作。

映画『Mommy マミー』 作品情報

Mommy マミー

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:139分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:グザヴィエ・ドラン
  • キャスト:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン、パトリック・ユアール etc

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映画『Mommy マミー』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

映画『Mommy マミー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『Mommy マミー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『Mommy マミー』 あらすじ【起・承】

ADHD(多動性障害)を持つ息子スティーブ(アントワン=オリビエ・ピロン)を施設に預けていた、シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルバル)は、息子を迎えにゆく途中、軽い接触事故に遭ってしまう。

同じ頃、スティーブは施設の食堂に放火し、入所していた少年1人に重傷を負わせてしまう。スティーブの暴力的行動に手を焼いていた施設長は、ダイアンを呼び、スティーブを引き取るよう話す。

”普通なら、刑務所行ですよ!”と。そして、政府が可決したS14法案を考えてみた方がいいと助言。S14法案とは、何か問題が起きた時、保護者の許可なしに強制的に医療機関へ入所できるようにする処置だと言う。

こうして、母親ダイアンとスティーブとの生活が始まった。ある日、スティーブはスーパーのカートごと帰宅。母親のダイアンは、スティーブがスーパーで品物を盗んだのではないかと疑う。

一緒に品物を返しに行こうと言うと、スティーブは怒り狂ってしまう。そして、ぶっ殺してやる!とダイアンの首を絞めるのだった。しかし、スティーブはマミーと書かれたネックレスをダイアンにプレゼントし、”世界で1番、ママが好き!”と伝えます。

このようにスティーブは暴力的で手に負えない面もあるが、母親の愛を常に確認する気持ちもあり、複雑だ。また彼に勉強を教えたいが、どう教えればいいのかダイアンは悩んでいた。

そんな時、隣の家に住む、休職中の教師カイラ(スザンヌ・クレマン)と出会う。彼女には吃音で上手くしゃべれないという悩みがあったが、日中にスティーブの見守りを頼んだ。

映画『Mommy マミー』 結末・ラスト(ネタバレ)

カイラは、ダイアンから、スティーブがADHD(多動性障害)だけでなく、行動障害もあることを聞いた。はじめは10分も落ち着いている事が出来なかったが、徐々に落ち着き、勉強する時間も持てるようになった。

一方、ダイアンも子供用絵本の翻訳の仕事が決まった。その夜、スティーブの”数学と化学の勉強が無事、終了したことを祝う”サプライズ・パーティを自宅でした。息子の成長を喜ぶ、ダイアン。3人は記念写真を撮った。

カイラとの勉強が楽しく、意欲を見せるスティーブ。ところが、スティーブが起こした施設での火事の件で、250万ドルの治療費等の請求書が届く。高額の治療費や慰謝料を払えないダイアンは悩んだ末、近所に住む弁護士のポールに相談することに。

ポールには、ダイアンへの下心があり、2人はスティーブも交えてのデートをした。カラオケ・バーで、親密な様子を見せるポールの態度にスティーブは切れてしまう。その結果、乱闘騒ぎとなり、ポールの援助は得られなくなってしまう。

その夜、スティーブは自宅に帰らなかった。翌朝、家にはスティーブの靴があった。ダイアンは胸をなでおろす。スティーブは、ダイアンの愛情を何度も確認した。”ママの事、愛してる!僕のこと、好きでしょ?”と。

ある日、3人でホーム・センターに行った。ダイアンとカイラが少し目を離したすきに、スティーブは自身の手首を切りつけ倒れていた!幸いなことに軽傷で済んだが、スティーブの行動に2人はショックを受けてしまう。

以前にも増して、スティーブはダイアンの愛情を確かめようとします。ダイアンは、”あなたはいずれ、違う人を好きになるのよ。それが自然な事なのよ。”と答えます。

その後、3人で旅行に出かけることに。車を運転しながら、ダイアンはもし、スティーブがふつうの子であったら・・高校を卒業して大学に進学して・・と空想するのでした。

ダイアンが車を止めたのは、これからスティーブが入所する施設でした。いつもとは違う雰囲気に気づき、暴れ始めるスティーブ。職員数名で、スティーブを取り押さえた後、施設に連れてゆかれました。

数日後。ダイアンに会いに来たカイラは、夫の転勤でトロントに引っ越すことになったと言う。スティーブは何度か施設からの脱走を試みていた。母親の悩みは永遠に終わらないようだ。

映画『Mommy マミー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『Mommy マミー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

壮絶な親子のバトル!ADHD(多動性障害)の子への理解となるか?

教養のない母親と、気に入らない事があると暴力に走ってしまうなど問題行動を起こす息子。そして、休職中の教師。3人3様ではなく、3人が一体となってむき出しの愛をぶつけてきます。

個人的には、3人共に共感は持てませんでした。ただ、親子の緊迫した状況がとてもリアルに感じられ、引き込まれます。暴力的シーンには目をそむけたくなってしまいますが、少年が自転車に乗り、つかの間の開放感を味わうシーンがいい。

緊張と開放感が心に緩やかに効いてきますよ。ただ、ADHDと暴力性で、少年の行動の全てを決めつけてもいいのでしょうか。最近、自己啓発のブームになっている、アドラー心理学を知っていますか?

アドラーの考えで、興味深い一説があります。それは、”愛されたいという承認欲求を得るために、暴力的行為や自傷行為に向かう”というもの。少年の行動を見ていると、アドラーの心理学で説明できる行動も多くあります。

健常な人が抑えられることが彼には出来ないという点もあるでしょう。ただ、行動障害を持つ人にもざまざまなタイプがあり、彼のように暴力行為に走る子供ばかりではありません。その点を含めてご覧いただきたいと思います。

俳優としても大活躍!若き天才監督、グザビエ・ドラン

グザビエ・ドラン監督は、カナダ出身の26才。2009年に「マイ・マザー」で監督デビューしてから(主演も)、一貫して”母親への愛憎”をテーマに描き続けています。監督をするだけでなく、自身を投影して演じてしまうところに物凄い執念すら感じます。

”母親への愛憎”というと、思い浮かぶのは劇作家・寺山修司。母を亡き者として詩に書いたりと激しい感情を表現しています。このように愛と憎しみは、いわばコインの表と裏のように密接に絡み合っているもの。

不思議なのは、父性や他の男性への暴力性があまり見られないこと。グザビエ・ドランがゲイであることに関係しているのか、マザー・コンプレックスが強いせいなのか。

「MOMMY マミー」と共に観てもらいたい作品に、「エレファント・ソング」(14)があります。グザビエ・ドランが、この映画の脚本を読んだ時、”この主人公の青年は僕だ!”と感じ、主演を決めたのだそう。

グザビエ・ドランは役者として、精神科の患者を熱演しています。ほぼ、彼の独断場といってもいいほどの強烈な存在感を魅せています。まだ、26才。されどもう、26才。俳優としてなら、少年のような反抗心や激情に流されるキャラクターではなく、新しい彼が観たいと私は思います。

いい意味で期待を裏切る続ける、変幻自在な俳優になってもらいたい。また美術的・音楽的センスの良さを生かした映画を熱望しています。

映画『Mommy マミー』 まとめ

グザビエ・ドランの作品には、人を引き寄せる引力があります。彼が描く、濃密な愛憎には、子育て中の母親のみならずリアルな共感を呼ぶでしょう。なぜなら、この闘いには終わりがないからです。

ただ、26才という若さで生み出すエネルギーや才能は素晴らしいが、母親への愛憎ばかり投影していては面白くない。自身の投影は、監督作品にだけ留めておくべきです。

この映画「MOMMY マミー」では、緊迫する親子を1:1で大きく切り取る表現を多用しています。私は、そんな緊張の後、息子スティーブが自転車に乗り、青空に手を伸ばすシーンが好きです!

緊張と開放感。この2つが、映画の見どころではないでしょうか。また施設へ送る途中に母親が息子スティーブの将来を妄想するシーン。その後に待つ、強制的な別れ。寂しさが虚しさとなって襲ってきます。

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