映画『マザー(2014)』の概要:ホラー漫画家の楳図かずお初監督作品で、原作、脚本も手掛け、自らの半生をテーマにした映画。楳図かずお役を演じたのは片岡愛之助。楳図かずおのファンとして有名な中川翔子が、友情出演を果たしている。
映画『マザー』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:84分
- ジャンル:ホラー
- 監督:楳図かずお
- キャスト:片岡愛之助、舞羽美海、中川翔子、真行寺君枝 etc
映画『マザー』 評価
- 点数:35点/100点
- オススメ度:★☆☆☆☆
- ストーリー:★☆☆☆☆
- キャスト起用:★★☆☆☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★☆☆☆☆
映画『マザー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『マザー(2014)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『マザー』 あらすじ【起・承】
ホラー漫画家の楳図かずおは、大ファンだという若草さくらの企画で、生い立ちを本にする事となる。
インタビューを始めてすぐ、謎めいた母の存在が明らかになる。
さくらは、楳図の創作の原点となった母イチエを知るため、彼の出身地へ赴く。
楳図の親戚の家へ向かうため山の中を歩いていると、美しい女性が襲われ、銃を奪って相手の右手を撃ち抜くという幻覚に捕らわれる。
それはイチエの元夫が猟銃で自分の右手を撃ち抜いてしまい、それが原因で離婚したという噂にどこか似ていた。
その後、偶然行き着いた目的の家で、イチエの秘密に触れてしまうさくら。
翌日、楳図の親戚の翔子から、イチエの葬儀の写真におかしなものが写っていると告げられる。
それは、イチエの霊が写った心霊写真だった。
楳図にその写真の画像を送り、翔子の案内で廃墟同然のイチエの家に向かったさくら。
記録のためにカメラを回して家に入ると、幽霊に襲われてしまう。
そして翔子は、イチエの幽霊に襲われ命を落としてしまう。
映画『マザー』 結末・ラスト(ネタバレ)
錯乱状態のさくらが病院に運び込まれ、駆け付けた楳図は、イチエが夢の順番で親戚中を回り復讐をしている事に気づいてしまう。
彼の想像力によってイチエが表れていると考えた学者たちは、楳図からイチエの記憶を消し去ろうとする。
次の順番は楳図の弟で、彼は祈祷を受けていた。
しかしイチエは実体化しはじめており、記憶を消してもお祓いも効かない状態だった。
楳図はさくらと共にイチエに対抗しようとする。
イチエが苦手だという蜘蛛のオモチャ、楳図が書いた美少女の絵を準備し、楳図の両親が出会った学校へと向かう。
イチエがやってくると学校が崩れはじめ、楳図を父親と間違えて縋りつく。
しかし崩れた瓦礫と共に底の無い暗闇に落ちそうになったさくらを助け、イチエは消えた。
気が付くと別の場所に倒れていた楳図とさくら。
いつの間にか、イチエが死んだ時に握りしめていた正体不明の髪の毛は消え去っていた。
イチエに助けられた時に抜けてしまったさくらの髪の毛も伸び始め、彼女は楳図の担当編集者となった。
映画『マザー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『マザー(2014)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
中途半端で一貫性のないストーリー
前半は、楳図の本の取材のために、創作の原点となった母イチエの過去を調べる楳図の大ファンの編集者、若草さくらがホラー映画特有の恐怖体験をしていくストーリー。
しかし後半になると色合いがガラリと変わり、怪しげな医者たちが楳図の想像力のせいでイチエが実体化したと言い出し、記憶を消すとSFのような事を言い出す。
さらには脳波を測定しながら、電流を流すという時代遅れな事までやりだす始末。
病床のイチエの夢が未来とつながっていて、死んだ時に握りしめていた髪の毛が、さくらを助けるために掴んで抜けてしまったものだというラストも、何となく予想できてしまう。
何よりも、“レイプされて男狂いになった”という親類の証言と、楳図を父と間違えて縋り付きながら“男狂いと思われていたが愛する人を探していただけ”と言ったイチエの言葉。
右手を猟銃で撃ち抜く間抜けな夫に愛想を尽かして離婚し、再婚に至ったという話など、どの話がどこまで本当なのかはっきりさせないまま終わるのは、適当すぎる。
廃校の中で突然愛を誓いあう楳図とさくらなど、突飛すぎて意味がわからない展開ばかり。
後半はギャグになるイチエの霊
ビデオカメラに映りこんでいた幽霊の姿は怖いし、逃げたさくらを追ってきた幽霊がイチエに変わっていて、両目の部分が存在しないかのようなイチエの幽霊が翔子を襲う様子は迫力満点。
前半では恐怖感たっぷりで不気味な存在だったイチエが、後半になると、腹這いの状態で猛スピードで移動するなど、ギャグとしか思えない状態になる。
幽霊もストーリー展開も、前半と後半の温度差があまりにも酷過ぎて、ホラー映画を見ているのかコメディ映画を見ているのかわからなくなるほどに一貫性がない。
イチエのメイクも、ギャグとしか思えない白塗りのため、集中できない。
映画『マザー』 まとめ
映画化された「おろち」をはじめ、ホラー漫画家として有名な楳図かずおの初監督作品、
しかも原作と脚本も担当したことから、期待されていた本作。
楳図ファンとして知られる、タレントの中川翔子も友情出演し、エンディングテーマも担当したという、コアなファンにとってはたまらない作品だろう。
しかしツッコミどころだらけの作品で、怖いシーンもあるにはあるが、あまりの急展開の多さに目が回る。
お手伝いさんが雇い主である楳図の本棚を勝手に漁るなど、もはやコメディ映画にしか思えない場面が多すぎる。
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