映画『Mr.インクレディブル』の概要:数多くの名作を送り出して来たピクサー社が、初めて人間を主人公に描いた作品。ヒーローなのにカッコいいばかりではない、どこか愛嬌のある姿が人気を呼んだ。ヒーローとは、常に人から支持される存在なのだろうか。
映画『Mr.インクレディブル』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:アクション、コメディ、アニメ
監督:ブラッド・バード
キャスト:クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サラ・ヴォーウェル、スペンサー・フォックス etc
映画『Mr.インクレディブル』の登場人物(キャスト)
- Mr. インクレディブル(クレイグ・T・ネルソン)
- かつてスーパーヒーローとして名を馳せた男。現在は会社員として働きながら密かに人助けを続けている。
- イラスティガール(ホリー・ハンター)
- 元ヒーローで、身体を伸縮自在に操るという能力を持っている。現在は専業主婦。
- シンドローム(ジェイソン・リー)
- かつてインクレディブルに憧れていた少年。とある事から、現在はインクレディブルを深く憎んでいる。
- ヴァイオレット・パー(サラ・ヴァウエル)
- インクレディブル家の長女。透明化能力を持つ。
- ダッシュ・パー(スペンサー・フォックス)
- インクレディブル家の長男。超高速移動を可能とする能力を持つ。
映画『Mr.インクレディブル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『Mr.インクレディブル』のあらすじ【起】
インクレディブルやイラスティガールは、ヒーローとして日々人々を助け続けていました。しかし、そんなヒーロー活動に伴って生じる街の破壊など二次災害が問題視され、とうとうヒーローという存在は政府によって禁止されてしまいます。ヒーローを辞めなければ、器物破損などの罪で逮捕されてしまうのです。そんな究極の選択を突きつけられたヒーロー達は、今後は身分を隠し一般人として生きる決意をしました。
インクレディブルとイラスティガールも結婚し、イラスティガールは専業主婦、インクレディブルは会社員として働き始めます。しかし、インクレディブルはヒーローだった時代を忘れられず、かつてのヒーロー仲間であるルシアスと共に密かに人助けを続けていました。インクレディブルの子供達もスーパーパワーに目覚めていましたが、その能力を使う事は許されません。
そんなある日、インクレディブルの目の前で銀行強盗が起こりました。インクレディブルは銀行強盗を捉えるため、制止してきた上司を殴ってしまい仕事をクビになります。
映画『Mr.インクレディブル』のあらすじ【承】
落ち込むインクレディブルでしたが、そんな彼の元に一つの依頼を頼みにミラージュという女性が現れました。彼女は兵器ロボットを捕獲して欲しいとインクレディブルに告げ、高額の報酬を提示してきます。インクレディブルは久々にヒーローとして活動できる喜びに燃え、見事その兵器ロボットを確保したのでした。そして、やはり自分の天職はヒーローしかない、と新たにヒーロースーツを作成するのでした。
そして、ミラージュは再びインクレディブルに依頼を持ちかけます。しかし、その依頼はインクレディブルを捉えるための罠でした。全ての黒幕は、シンドロームというかつてのインクレディブルのファンでした。シンドロームは昔、インクレディブルの相棒になりたいと申し出たものの断られた過去から、彼を憎んでいたのです。そしてシンドロームの狙い通り、インクレディブルは捕まってしまうのでした。
一方、イラスティガールも夫の昔のスーツに穴が開いていたことから、彼がヒーロー活動を再開させた事に気がつきます。彼女はスーツの製作者の元へ向かい、そしてスーツに取り付けられた発信器を元に夫の居場所を知るのでした。
映画『Mr.インクレディブル』のあらすじ【転】
夫のピンチを悟ったイラスティガールは、子供達と共にジェット機でシンドロームのアジトへと向かいます。しかし、彼等の接近に気付いたシンドロームはそのジェット機を追撃してしまうのでした。怒ったインクレディブルはミラージュを人質にシンドロームを脅しますが、彼はミラージュの事をあっさりと見捨てます。
一方、妻と子供達はスーパーパワーで難を逃れていました。そしてアジトへと到着した一家はシンドロームの部下相手に派手に立ち回ります。そこに、シンドロームを見限ったミラージュによって助けられたインクレディブルも加わり、益々一家の勢いは増しました。しかし、天才シンドロームが作成した兵器達によって一家は捕らえられてしまうのでした。
シンドロームは、自分の作った兵器に街を襲わせ、そこに自分がヒーローとして現れ街を救う、という自らの野望を叶える為にアジトを去って行きました。しかし、インクレディブル家の長女の能力は透明化。透明化した長女は難なく拘束具を外し、一家は脱出を果たすのでした。
映画『Mr.インクレディブル』の結末・ラスト(ネタバレ)
一家は街に向かいますが、既にシンドロームの計画は始まっていました。シンドロームの作った機械が街を次々と破壊して行き、シンドロームがそこに立ちはだかります。しかし、ここで予想外の事が起こりました。シンドロームが作った兵器の性能があまりにもよく、彼自身にも兵器を止められなくなってしまったのです。
そこに、ヒーロー一家、インクレディブル家が現れました。一家は息のあった連携プレイで見事兵器を打ち負かし、人々の賞賛を浴びる事となります。しかし、勿論シンドロームにとっては面白くありません。シンドロームはインクレディブル家に侵入、ベビーシッターに預けられていた次男、ジャックを誘拐してしまうのです。しかし、ここでジャックにスーパーパワーが発現しました。彼は変身能力や発火能力など強力な能力を見せ、シンドロームに一撃を食らわせます。そしてその隙をつき、インクレディブルがシンドロームにとどめを刺したのでした。
この事件をきっかけに、インクレディブル家は再びヒーローとして活躍をするようになったのです。
映画『Mr.インクレディブル』の感想・評価・レビュー
アニメだが子育てや夫婦仲、出世や自己実現など、大人にとってのシリアスな現実が描かれている。子ども目線では、学校での過ごし方や淡い恋などが描かれているので、子どもも大人も共感しながら楽しめる作品だと感じた。
どのキャラクターも性格や能力がしっかり設定されていたし、それぞれが最後には成長していたのがよかった。また映像も素晴らしく、森や水など自然の描写が本物のようで驚いた。ジャジーな音楽もスリルを盛り上げてくれて興奮した。(女性 40代)
かつてのスーパーヒーローも、ヒーローとしての活動の裏では器物破損など、現実的な問題が立ちはだかり、自身の正義感だけではどうにもならない葛藤を描いている。かのアベンジャーズでも、こういった民衆や政府からの無視出来ない行動制限を強いられていたが、この作品では家族の絆で打開していく流れとなっている。割と全体的にはピクサーらしくコミカルにまとめられておりテンポも良いので、何度も見たくなる作品である。子供達もしっかりとスーパーパワーを身に付けているので、子供達が成長した作品なども是非見てみたい。(男性 30代)
ディズニー映画で唯一のヒーローものかもしれません。家族全員で敵をやっつけるのですが、ヒーローならではの葛藤や悩みなどもあり物語自体は単純じゃない感じです。敵を倒すたびに、家族の絆が強くなっていきます。
親子で見ると、特に父親と見ると楽しいかもしれません。仮面ライダーとかとは、また違ったディズニーならではの映画になっています。(女性 30代)
他と比べると冴えないヒーローだが、だからこそ親近感を覚え、愛着が湧く。ピクサーは本当にキャラクターの背景を丁寧に作る。観た人は全員、最初から最後まで主人公の味方になり、心の中で全力で応援してしまうのだ。
ヒーローだって人間なのだという多くの人が忘れがちなテーマを、笑いと感動と興奮を絡めてうまく伝えている。元々ヒーローをやっていた家族という、全く新しい世界観を作り上げたこの映画は、今後ずっと愛される名作である。(男性 20代)
ありそうでなかった家族みんながスーパーヒーローという設定。また、ピクサー映画で初めて人間を主人公にした作品でもあります。ヒーロー達は人知れず活動するのではなく、堂々と活躍しているところが日本のヒーローものと違い面白いなと思います。家族それぞれが違う能力を持っていて、協力しながら戦う姿は大人も観ていてワクワクする内容ではないでしょうか。
2004年の映画ですが、CGの技術が素晴らしく今観ても古さを感じさせません。そしてピクサー映画は吹替のキャスティングも毎回上手だなあと感心します。(女性 20代)
子供の頃、何故か大好きで狂ったように観まくっていたこの作品。大人になって見返してみると、子供の頃にはわからなかった「家族愛」を強く感じ、とても楽しむことが出来ました。家族それぞれが超能力を持ったインクレディブルファミリー。その能力は普通とはかけ離れているため、なるべく使わないようにと我慢する子供2人が本当にもどかしいです。
家族で助け合うことの大切さ。そして自分の力を思う存分発揮出来る強さ。大人が観ても、勉強させられるシーンが沢山ありました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
かつて、ピクサーの映画はピクサー社員たちが抱える問題が作品に反映されていました。本作のテーマは「老い」。
かつては無邪気にアニメを制作していた連中が、結構なおじさんになってしまった!という哀愁が込められています。
監督はかつて天才子供アニメーターとして知られており、なんと11歳でオリジナルアニメを制作したという逸話が残っている人物です。
彼の作品は常に評論家から高く評価されるものの、興行的には失敗するのが定番でした。『アイアン・ジャイアント』はその代表的作品です。
アニメはやはり子供のものであって、子供に受けなければ興行的には失敗してしまうんですね。彼の作品はダークすぎるのでした。
彼の作風がピクサーと融合したことにより、本作のような絶妙なバランスの映画が完成したといえるでしょう。
男のピクサーアニメといえば本作ですよ。なんといっても、ウォッチメンとファンタスティック・フォーに影響されまくっている。
前提の設定などはウォッチメンと瓜二つですから、男が燃えないはずがない。監督やスタッフの境遇も伝わってきて、男泣きの映画です。
今のピクサーでは、本作のような映画は制作できないのでしょう。続編の制作が決定して入るものの、心配です。
ところで、監督のブラッド・バードは実写映画にも進出しています。
『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で監督を務め、マンネリ気味だったシリーズを活性化させることに成功しました。
才能があることは間違いないので、今後アニメ、実写映画のどちらの世界で活躍することになるのか、注目したいですね。