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映画『七年の夜』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『七年の夜』の概要:ダムの警備へと赴任することになった警備員がある夜、誤って幼い少女を轢き殺してしまう。遺体を湖へ投げ捨てたことで罪の意識に苛まれるが、少女の父親は犯人を独自に捜索し、警備員に自分と同じ苦しみを与えようとする。

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映画『七年の夜』の作品情報

七年の夜

製作年:2018年
上映時間:123分
ジャンル:サスペンス
監督:チュ・チャンミン
キャスト:チャン・ドンゴン、リュ・スンリョン、ソン・セビョク、コ・ギョンピョ etc

映画『七年の夜』の登場人物(キャスト)

オ・ヨンジュ(チャン・ドンゴン)
歯科医院の院長。セリョン村の豪邸に住み、村の名士として尊敬を集めている。傲慢でプライドが高く、妻を盲愛し娘のセリョンを虐待していた。愛し方を間違った悲しい人。
チェ・ヒョンス(リュ・スンリョン)
警備チーフとしてセリョン村へ赴任して来る。誤ってセリョンを轢き殺してしまい、罪の意識に苛まれる。ヒステリックな妻と息子ソウォンの3人暮らし。父親の暴力に怯えて育った過去を持ち、息子への愛情は深い。
スンファン(ソン・セビョク)
警備班所属。セリョンダムの警備している。潜水士の資格を持ち、身寄りを失くしたソウォンの後見人となる。セリョンとは森で出会い、父親から虐待されていたことを知っている。
ソウォン(コ・ギャンピョ)
ヒョンスの息子。事件後、殺人鬼の息子として迫害され、父親を恨んでいる。スンファンを頼って潜水士となる。不遇の少年時代を過ごしたが、父の深い愛情を知り涙する。
セリョン(イ・レ)
ヨンジュの12歳の娘。夫から逃げ出した母親の助けを待っていたが、父親の虐待に耐え切れずに逃げ出し、ヒョンスの車に轢かれて亡くなる。

映画『七年の夜』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『七年の夜』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『七年の夜』のあらすじ【起】

韓国のセリョンダムには、セリョン村が丸ごと沈められたと言われている。周辺地域ではセリョン湖は呪われており、人を食らう湖、呪われた井戸とも呼ばれていた。
1人の青年が真夜中に潜水道具を身に着け、セリョン湖の底へと潜って行く。話に聞いていた通り、村の建物がそっくりそのまま沈んでいた。

2004年、世間を賑わせたセリョン湖事件の2週間前、警備員のチェ・ヒョンスは転勤によりセリョン村にある社宅へ引っ越す予定になっていた。半分以上をローンでマンションを購入した矢先であったため、マンションは賃貸にして安い社宅に引っ越すしかない。
送別会の夜、社宅を見に行くことになっていたので、ヒョンスはセリョン村へと向かう。妻からは口うるさくしっかり見て来いと言われていた。

歯科医院の院長を務めるオ・ヨンジュは10年連れ添った妻が家を出てしまい、連れ戻すことに必死になっていた。妻は一人娘のセリョンを置いて行ったが、ヨンジュは妻を盲愛し娘が妻の物を触っただけでも激怒する。結婚生活の中で自分を愛してくれると思っていたが、妻は決して夫を愛してはくれなかった。その憤りと八つ当たりを毎夜、セリョンへと暴力を振るうことで晴らしている。耐え切れなくなったセリョンは、父親へと反旗を翻し夜にも関わらず豪邸から逃げ出してしまう。

執拗に追って来る父親から逃げ回るセリョン。ダムの警備をするスンファンが住む社宅を訪ねたが、彼は不在。森の中を闇雲に走り道路へ飛び出したセリョンは、丁度通りかかった車に轢かれてしまう。車の運転手は社宅へと向かう途中のヒョンスだった。彼は動揺するあまり、少女の遺体を湖へと投げ捨ててしまう。息子のソウォンと同じくらいの年頃だった。

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映画『七年の夜』のあらすじ【承】

少女を轢いたことで故障した車の修理を行ったヒョンス。社宅へは一家で無事に引っ越すことができたが、妻はぼんやりした夫に対してヒステリックに怒ってばかり。ヒョンスは暴力を振るう父親と同じように妻へと手を上げてしまうが、ソウォンを自分と同じ境遇に晒してはいけないと思い直すのだった。

村ではセリョンが行方不明となったため、大々的に捜索が行われていたが、スンファンは少女が父親に虐待されていたことを知っている。それなのに、ヨンジュはスンファンへと虐待の罪を被せ、留置場送りにしたことがあった。だが、ヨンジュは村の名士であるため、スンファンが真実を叫んでも信じてはもらえない。
セリョンダムの警備チーフとして会社へと出社したヒョンスは、少女が行方不明になっている話を同僚から聞く。

ダムは川の中流を堰き止めて造られていたため、水量が多く干ばつでもない限り水門はいつでも開門していた。スンファンの案内でダムの施設を一通り見たヒョンスは、スンファンから少女の境遇を聞かせてもらった。
いよいよ、湖の捜索も行われることになり、気が気ではないヒョンス。程なくしてセリョンの遺体が水底から発見された。

ダム周辺の監視カメラにより少女が行方不明となった当日、絶壁へ向かう1台の車があったことが分かる。遺体の解剖により、少女が事故によりダメージを負った後、首を絞められ息の根を止められたことが判明。ヒョンスは更なる罪の意識に苛まれ、逮捕されるよりは自首した方が良いのではないかと思い詰める。

その頃、ヨンジュは警察にて調査の報告を聞いていたが、セリョンの死によりショックを受けた妻が首を吊ったと報告が入る。彼には娘への虐待疑惑が浮上していたが、妻と子を失ったヨンジュの絶望は深く、喪失の憤懣は犯人を見つけ出し晴らそうと心に決めるのだった。

映画『七年の夜』のあらすじ【転】

セリョンの逃走経路を洗い直したヨンジュは、経路の途中にあるスンファンの社宅を発見。そして、夜中にも関わらず奇行を繰り返すヒョンスを目にする。ヨンジュは2人が怪しいとみて身元調査を行い、まずはスンファンの家を訪ねた。
ところが、スンファンは娘が逃走した日の夜、湖に潜水していて車には乗っていないと言う。彼は潜水を得意とする一族の出身で毎晩、湖に潜水しているらしい。彼は潜水の度、映像を録画するのでヨンジュへとそれを見せた。

更なる警備記録の洗い直しにより、セリョンを轢いた犯人がヒョンスだと知ってしまったヨンジュ。ヒョンスは罪の深さから幻覚を見て、奇行を繰り返しては泣いてばかりいた。そんな彼にとうとうヨンジュが迫る。彼はヒョンスの車のナンバーを撮影し通行記録を調べ、証拠集めを行った。

そして、ヒョンスを罠にかけるべく彼が夜毎、歩く道に獣用の罠を仕掛ける。何も知らないヒョンスは獣用の罠にかかり左足を負傷。幸い、異変に気付いたソウォンとスンファンが後を追っていたため、助かった。
翌朝、妻が病院に駆け付け、警察が家にやって来たと言う。これまでの経緯から、ヒョンスが犯人ではないかと予想できてしまった妻。いつも怒ってばかりいた彼女だったが、この時ばかりは涙を流し夫を労わった。

病院を退院し、怪我をしていながらも警備の夜勤へ向かっていたヒョンス。そこへ、ヨンジュが追いつき後部から追突。車は横転しヒョンスも満身創痍となった。彼を拘束してダムの警備事務所へ。ヨンジュは涙を流して謝り続けるヒョンスの口にクリップを詰め込み、殴り続けた。

映画『七年の夜』の結末・ラスト(ネタバレ)

更に妻子を奪われたヨンジュは、ヒョンスの妻子も奪おうと考え、ソウォンを拉致し湖の中心にある小島に拘束。水門を閉じてしまった。水量の多い湖は水門を閉じられると水が溢れてしまうため、常に幾つかの水門を開けていなければならなかった。

水嵩は徐々に増え、ソウォンの腹部ほどにまでになっている。ヒョンスはセリョンの今わの際の言葉をヨンジュへと告げ、隙を突いて反撃。水門を開こうと操作室から操作を行ったが、配線が全て切られており操作できない。手動で開門する場合は機械室へと向かわなければならなかった。鍵を持って必死に機械室への梯子を上る。その様子を目にしたヨンジュは、踵を返してダムの上部へ。

機械室へ到達したヒョンスは、息子を助けるために水門を開けようとする。だが、水量が増したダムの水門を全て開けてしまえば、村が水の底に沈んでしまう。しかし、そこへヨンジュが現れ機械室のドアノブを破壊。揉み合った結果、ヨンジュをダムへと突き落としてしまった。機械室のドアをどうにか開けたヒョンス。水門を一気に解放。大量に放出された水は寝静まった村の半分を一度に沈めてしまったのだった。
その頃、事態を知ったスンファンは船を出してソウォンの救出に向かう。ヒョンスが言っていた通り、少年は小島の木に拘束されており今にも溺死しそうになっていた。

そうして、7年後。自分を助けるために父親が、村の半分を犠牲にしてしまった事実をソウォンも知っている。だが、自分1人のために大勢の命を奪ってしまったヒョンスを許すことはできない。しかし、父は父親なのだから、息子を助けるのは当たり前だと言うのだった。

ダムに転落したヨンジュも辛うじて助かっており、未だにヒョンスへと復讐しようと考えている。それを知ったヒョンスは、とうとう刑務所の監房にて自ら命を絶ってしまった。
ヨンジュの居場所を突き止めたソウォンだったが、足を撃たれ拘束されてしまう。向かう先はセリョン湖。ところが、道中でヒョンスが自殺した報せが入りヨンジュは愕然としてしまう。彼は再び車を走らせ、後部座席にソウォンを繋ぎとめたまま頭部を銃で撃ち抜き自殺。車は崖の上から転落し、湖へと沈んだ。しかし、衝撃のせいかソウォンの拘束が外れ、奇跡的に彼だけは助かるのであった。

映画『七年の夜』の感想・評価・レビュー

少女を轢き殺して湖へ投げ捨ててしまった警備員も、少女の父親である名士もどちらも狂気に至っている。辛うじて警備員の方がまともな気がしないでもないが、彼もまた幼い頃に犯してしまった罪により狂ってしまう。単純に復讐劇と言えばそれまでだが、双方共に追い詰められた挙句、戻れない場所へと到達してしまったのだと思う。

より狂気的なのは、愛することも愛されることも知らない名士の方だろう。一方的な思いだけを押し付け自分が正しいと信じて一切、顧みないので、どうして愛されないのかが分かっていない。痛めつけるのが愛情だと勘違いしているのか、それしか方法が思いつかないのか、背景が描かれないので詳細は分からない。ただ、可哀想で孤独な人だという印象が強い。実力者俳優ばかりの配役であるため、見応えは充分にある。(MIHOシネマ編集部)


本作は、娘を交通事故で亡くし犯人を見つけ出して同じ目に遭わせようとする地元の名士の父親と、同事故で誤って少女を殺して湖に遺体を捨て少女の父親に追われる警備員の男を描いたサスペンス作品。
犯人への復讐に没頭する父親の狂気が凄まじかった。両者にはあまり共感できないけど最後まで目が離せないスピード感と不思議な静かさがあった。
終始ずっしりと重く、誰一人として救われないけれど、こういった重苦しく暗い雰囲気や鬼気迫るチャン・ドンゴンの迫真の演技は見応え充分だった。(女性 20代)

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