映画『ナンシー』の概要:嘘ばかりを吐く孤独な女性ナンシーはある日、30年前に失踪した少女と自分がそっくりであることに気付く。彼女は少女の両親と連絡を取りDNA鑑定の結果が出る間、疑似家族のような時間を過ごすが…。
映画『ナンシー』の作品情報
上映時間:85分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:クリスティーナ・チョー
キャスト:アンドレア・ライズボロー、スティーヴ・ブシェミ、アン・ダウド、ジョン・レグイザモ etc
映画『ナンシー』をフルで無料視聴できる動画配信一覧
U-NEXT | × |
---|---|
Hulu | × |
Amazonビデオ | × |
dTV | × |
TELASA | × |
TSUTAYA DISCAS | × |
ビデオマーケット | × |
Netflix | × |
※動画の配信情報は2022年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービス(VOD)の公式サイトでご確認ください。
映画『ナンシー』の登場人物(キャスト)
- ナンシー(アンドレア・ライズボロー)
- 病気の母親ベティの介護をしている。嘘をついて偽りの自分を演出するのが癖。インターネットにてブログを執筆しているが、全て嘘を書いている。独学で鍛えた文才があり、エレンからは編集者に向いていると言われる。行方不明の少女ブルックに成りすまそうとする。
- レオ(スティーヴ・ブシェミ)
- 行方不明の少女ブルックの父親で心理学者。慎重派で、ナンシーを歓迎しながらも疑念を抱いている。妻のエレンを気遣い、悲しませたくないと思っている。
- エレン(J・スミス=キャメロン)
- 行方不明の少女ブルックの母親で比較文学の教授。娘にそっくりなナンシーを歓迎し、温かく迎え入れる。ナンシーに愛情を惜しみなく注ぎ、DNA鑑定の結果が出ても優しく接してくれる。
- ベティ(アン・ダウド)
- ナンシーの母親。パーキンソン病を患い毎日、痛みや痺れを訴えていた。娘をストレスの捌け口にしており、何かと辛く当たる。
映画『ナンシー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ナンシー』のあらすじ【起】
病気の母親ベティの介護をしながら、派遣の職場では嘘をついて同僚とコミュニケーションを取り、日々の生活を送っているナンシー。母ベティは娘に対していつも厳しく、何かとナンシーへときつく当たる。ナンシーは自室に籠るとインターネットで他人と偽りの会話を繰り返し、僅かな楽しみを見出していた。
そんな中、ネットで出会った男性と初めて会うことにしたナンシー。相手には妊娠中だと話していたが、実際は妊娠どころか相手すらいない。ナンシーは嘘を吐き通して、しばし楽しい時間を過ごした。
ところが、それから数日後、朝になってもベティが起きて来ない。不審に思って部屋へ向かうと呼吸している様子もない。病院へ搬送すると、医師から眠っている間に脳梗塞を併発して亡くなったのだと言われた。その日の夜、ナンシーは母親の葬儀の準備を行い、ベティの友人達へ訃報の連絡を入れる。
映画『ナンシー』のあらすじ【承】
ベティが亡くなって1週間後、テレビにて30年前に行方不明となった少女ブルックの特番が流れる。少女が生存しているのならば現在、35歳。ブルックの両親は未だ帰らない娘の安否を気にしつつ、貧しい子供達に奨学金を出そうとしていた。そこで、ナンシーは自分の出生証明書を探してみることに。だが、何の因果か出生証明書は見つからなかった。ネット上では35歳になったブルックの予想画像が出されている。比べてみるとその顔が自分の顔と良く似ていた。
そこで、ナンシーはブルックの両親へ連絡を入れることに。もしかして自分がブルックではないか。自分は30年前、ベティに誘拐されたのではないか。そのことを夫人のエレンに話した。すると、エレンはナンシーの顔写真を送って欲しいと言う。すぐさま写真を送ると、エレンはすぐに会いたいと言い夫のレオは警察に届けようと言っているらしい。ナンシーはエレンに呼ばれて夫婦へと会いに行った。
数日は泊まる予定の荷物と飼い猫を連れて家を出る。エレンとレオの家は自宅から数時間の場所にあった。夫婦に歓迎され誘拐された時の記憶を問われる。ナンシーは咄嗟にレオと手を繋いでいたが、はぐれてしまったと話した。その後、更に嘘を上塗り。インドに留学する前、パスポート申請の際に必要な出生証明書がなかったと話す。しかも、ベティから実の母親ではないと明かされたと言った。全て嘘である。直後、ナンシーは極度の緊張からトイレで嘔吐。どうしてもエレンとレオに気に入られたかった。
映画『ナンシー』のあらすじ【転】
夕食をご馳走になり帰ろうとすると、宿泊を勧められ泊まることにした。エレンはナンシーのことをすっかり娘だと信じている。だが、レオはまだ疑っておりナンシーの素性を調べようとネットで検索をしていた。
翌朝はレオの趣味である写真部屋を見せてもらう。ブルックの写真を見せてもらい、レオから写真を撮ってもらった。朝食後、警察の検査技師が訪ねて来る。ナンシーの素性の捜査とDNA鑑定の唾液を採取するためだ。それらが終わった後、夫婦と外出。その日も家に泊まる。
比較文学教授であるエレンがかつて執筆本を出したことがあると言うため、ナンシーは自らが書いた文章を夫婦に読んでもらうことにした。ナンシーには文才があり編集者が向いていると褒められる。エレンが言うのだから本当なのだろう。
ベティはシングルマザーでナンシーは父親の顔も知らない。生活環境はお世辞にも良いものではなく、その身の上をエレンに話すととても親身になってくれる。そこでナンシーはこれまで偽りばかりを書いていたブログを消去することにした。
朝方、一服するためにサンルームへやって来たナンシーだったが、の飼い猫が不意を突いて外へ逃げ出してしまう。彼女は慌てて猫を追ったが、夫妻が飛び起きて来てナンシーを慰め、明るくなったら探そうと言ってくれる。強情を張るのも良くないので、夫妻の言う通りにした。
レオは期待を寄せているエレンを悲しませたくない。故にナンシーが本物のブルックなのか、未だ疑念を持っている。
映画『ナンシー』の結末・ラスト(ネタバレ)
辺りが明るくなった頃、ナンシーはエレンと猫の捜索へ。近くを探したが、猫は見つからなかった。森の中でツリーハウスを発見したため、帰宅したナンシーはツリーハウスで遊んだと告げた。すると、レオは自分が作ったと言う。その時、ナンシーの飼い猫が帰宅。彼女は安堵し喜んだ。
その日、DNA鑑定の結果が電話にて入る。ナンシーはエレンが悲しむ姿を目にし、肩を落とした。分かっていたのだ。すると、エレンが出て来てある場所へ連れて行ってくれる。冬場には凍る池で、スケートを楽しむことができるところだった。エレンは娘が失踪した日のことを涙ながらに語る。娘の手を離してしまったのはエレンだと言う。その時、銃の音が森に響いた。
冬の季節は狩猟シーズンでもある。動物と間違って人が撃たれる事故がよくあった。エレンとナンシーは帰ろうとしたが、そこへ慌てた少年がやって来る。どうやら狩猟事故により弟が撃たれたようだ。救急車を呼び少年の元へ向かう。ナンシーは怪我の状態をすぐさま確認し、傷口を押さえると共に少年が意識を失わないよう声をかけ続けた。
帰宅後、夕食をご馳走になり宵の口で部屋へ戻ろうとしたナンシー。そこへエレンが近づき、彼女を抱き締め愛情を示す。ナンシーはこれ以上夫妻を騙し続けることができず、真実を明かそうとしたが、エレンが明日にしようと言ったため、諦めて部屋へ向かった。
早めに床へ入ったナンシーだったが、やはりこのまま世話になり続けるわけにはいかない。彼女は深夜にひっそりと荷造りをして、泣きながら夫妻の家を去るのだった。
映画『ナンシー』の感想・評価・レビュー
U-NEXTにて独占配信されており、2018年サンダンス映画祭脚本賞、ファンタスポア監督賞など多くの賞で受賞し、高い評価を得ている作品。孤独な女性の心理と失踪した娘を今も探している夫婦の心理を繊細に描いている。
主人公は嘘ばかりを吐いて自分を演出する癖がある困った女性だが、彼女の身の上があまりいいものではなく、素は結構根暗。そんな彼女が行方不明の少女に成りすまし、夫婦と家族のような数日を過ごす。序盤で互いに他人だと分かっていながらも、心に開いた穴を埋めようと身を寄せ合う様子は、どちらも悲しく切なさが募る。高評価を得るのも頷ける作品。(MIHOシネマ編集部)
これでサスペンスと呼べるのかと思えるほど、特に何も起こらない。それでも何か起こるのではと最後まで油断せず観ていたが、肩透かしを喰らってしまった。先入観無しに観ていれば、しっかりと作られたヒューマンドラマとして楽しめる内容であったので、惜しい作品である。嘘で自身を塗りたくった女性が主人公。恐らく作品ジャンルにも嘘を塗ったのであろう。決して胸が晴れるような物語ではないが、悲しさと幸せが同居したラストは美しさを感じる。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー