映画『二度めの夏、二度と会えない君』の概要:不治の病を抱えたバンド仲間との関係を壊してしまった後悔が、タイムリープを起こす。最期まで笑顔で一緒にいられるよう、二度目の夏を過ごす少年を描く。原案は赤城大空の人気ライトノベル。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、青春
監督:中西健二
キャスト:村上虹郎、吉田円佳、加藤玲奈、金城茉奈 etc
映画『二度めの夏、二度と会えない君』の登場人物(キャスト)
- 篠原智(村上虹郎)
- 想いを寄せる燐の夢を叶えるため、タイムリープしながら試行錯誤する高校3年生。バンドではギターを担当する。
- 森山燐(吉田円佳)
- 智の通う高校で、文化祭にライブをする目的で転校してきた少女。不治の病を抱えながら、夢を叶えようと奔走する。バンドではボーカル担当。
- 菅野瑛子(加藤玲奈)
- 智の幼馴染。学校では生徒会長を務めている。転校早々に風紀を乱す燐に嫌悪感を抱いていた。
- 花京院姫子(金城茉奈)
- 人見知りだが、音楽好き。学校にほとんど登校していなかったが、智と燐に興味を持ち、バンドメンバーになる。バンドではドラム担当。
- 石田六郎(山田裕貴)
- 学校一の鬼才で変態気質の芸術肌。以前にベースをやっていたことから声をかけられ、智と燐のバンドメンバーになる。バンドではベース担当。
- 榎本優(菊池亜希子)
- 智が初めてギターを買った楽器店の店長。同じ高校の卒業生で、智たちのバンドを応援している。
- 布施敦子(本上まなみ)
- 智たちが通う高校の教頭であり、優の元担任教師。バンド禁止の校則を徹底させる一人。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『二度めの夏、二度と会えない君』のあらすじ【起】
河原でひとり、ギターを抱え虚ろげな表情の智。彼は半年後の未来からやってきたという。
文化祭の打ち上げの帰り、肉まんを食べながら歩く、智と燐。燐は突如、志望校の大学へ歩いて行こうと言い出す。呆れながらも一緒に歩きだす智。二人は大学へ到着し、一緒に大学生活を過ごそうと約束した。しかしその矢先、燐は倒れてしまう。病院に運ばれた燐は意識を取り戻し、か細い声で智に言った、「バンド続けて」と。その儚い表情に思わず「好きだ」とこれまでの気持ちを伝えてしまった智。燐は泣き出しそうになりながら、「仲間として大切に思っていた」と智の気持ちを拒絶したのだった。
翌日、容体が急変し、燐は帰らぬ人となった。
燐を失ってから、2か月が経とうとしていた。智は学校にも行かず部屋にこもっている始末。幼なじみの瑛子が智を心配して、自宅を訪れても智は聞く耳を持たない。瑛子は呆れた表情で、燐が遺した手紙を置き去っていく。
智は雪の降る中、おもむろに外に飛び出した。少し油断した隙に、土手で足を滑らせ転げ落ちてしまう。すると燐の呼びかけで目を覚ました智は夏の日差しの元にいた。初めて凛と出会った日にタイムスリップしていることに気づき、状況に動揺を隠せない智。自宅に戻った智はカレンダーや新聞、日付を確認できるものを手当たり次第に見て回り、確信した。もう一度、燐とひと夏を過ごせるということを。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』のあらすじ【承】
翌日、智の予想通り燐は転校してきた。智は燐が笑って最期を迎えられるよう、そして自分の気持ちを抑え込み、どんなにバンドに勧誘されても拒絶すると決めていたのだった。その想いとは裏腹に、熱心にバンドに誘う燐。強く拒絶しても諦めない燐は、智の自宅へギターを届けに来た。そして、初めて会った日に智とバンドを組むと決めた熱意を伝えてくる。一度目とは違う展開に戸惑う智は、思わず勧誘を受け入れてしまった。
馴染みの楽器店に燐を連れていった智。実は智も凛と同じで、伝説のバンドアニマートへの憧れだけで高校を決めたということを店長の優から聞かされた燐。そして、二人は初めてのセッションをする。いつの間にか、一度目と同じ「燐のため」にギターを弾く智がそこにはいたのだった。
優の勧めでライブハウスの企画に急遽出演することになった智と燐。しかし二人の通う高校は校則でバンド活動を禁止されていた。バレないようにお面とサングラスで変装してステージに立った二人。初めてのライブながら好感触だったが、このままでは一度目と同じ展開になってしまうと不安を抱える智。教頭の布施に見つかってしまうという危機があったものの、優のフォローのおかげで一大事にはならず、ライブハウスを後にすることができた。帰り道、燐は自分の病気をカミングアウトする。燐の健気な姿に、智は一度目と同じ自分を演じると決意するのだった。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』のあらすじ【転】
智と燐はバンドメンバーを募集するため、初めてのライブの様子をネットにあげた。予想外に反響があり、良いリアクションが多い中で「サイテー」というクレームのような投稿を連続で送ってくる人がいた。それは花京院姫子。あまり学校には来ていないが、ドラムが特技の彼女を燐はバンドに誘うことにする。実は智と燐のライブを見ていた姫子は、口数は少ないながらにふたりを称賛し、メンバーになることとなった。
ボーカル・ギター・ドラムと揃い、あとはベースを探すのみとなった。姫子の提案で、異彩を放つ石山六郎を誘うことになった。しかし、バンド活動を反対する瑛子の邪魔が入り一度断念することになる。翌日、六郎の製作途中の作品が間違って捨てられる事件が起こる。疑いをかけられた智と燐だったが、集積場にあることが発覚し探しに行く。この展開は一度目と同じだったが、姫子が作品を見つけたとき、燐は智に抱きついた。一度目にはなかった予想外の出来事に戸惑いを隠せない智。バラバラにはなってしまったが無事に作品を探し出すことができた3人は六郎の元へ向かう。六郎はこれまでの賞へのこだわりが吹っ切れたようで、ベースとして加入することになった。後日、燐の提案でバンド名は「Primember(プライメンバー)」に決定した。
智は幼馴染である瑛子の異変に気付き始めていた。元気がない様子の瑛子を気遣った智は、自分たちの演奏を聞いて認めてもらおうと提案した。後日、スタジオに来た瑛子。演奏を聞いた瑛子は、実は自分のミスが原因で六郎の作品が捨てられてしまったことを告白する。そして、メンバーの熱意に負けた瑛子は、文化祭でバンドが演奏できるよう手伝うと宣言するのだった。
無事に全員補習を逃れた夏休み、優からフェスの手伝いをするように頼まれたメンバーは合宿も兼ねて全員で参加することにした。一度目になかった燐の発言や態度が気にかかる智。智と燐の演奏にもずれが少しずつ現れ始めていた。その日の夜、気分転換に散歩した智は、燐と瑛子が話しているところに遭遇した。これもまた、一度目には経験しなかった場面である。瑛子は燐に聞いていた、「智のことが好きなのか」と。燐は異性としてではなく、メンバーとして好きだと、気持ちの入らない表情で応えていた。智は自分の気持ちが先走っていたことに気付き、燐が笑っていられるように、一度目と同じ楽しい日々を演じ切ると改めて決意するのだった。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』の結末・ラスト(ネタバレ)
フェスの本番。燐との関係も元に戻り安心する智。そんな中、メインの出演者が事故に巻き込まれ、間に合わないというハプニングが起こる。練習を聞いていた主催者の依頼で、急遽ピンチヒッターとしてステージに立つことになったPrimember。無事に大役を果たし、新聞に取り上げられるなど、注目を集めるきっかけになった。
夏休みが終わり、文化祭でバンド演奏することを教頭に直談判しに行く瑛子。職員室の外で、不安そうに待つメンバーの元に暗い表情で戻った瑛子だったが、無事に文化祭のステージに上がることを許されたのだった。
文化祭当日。最後の練習中、ひとりになった智の元に同級生が現れる。そして急に告白してきたのだった。一度目にはなかった事態に焦る智だが、もちろん断った。しかし、しつこくどうしてだめなのか問い続ける同級生は「燐のことが好きなのか」と聞いてくる。陰ながら燐が立ち聞きしていることに気付いた智だが、苦しいながら否定してしまった。その返答を聞いた燐は、本番直前に歌えなくなってしまい、屋上に逃げてしまった。
出番直前になっても戻らない燐。説得に向かった智は、「好き」という言葉以外で自分の気持ちをきちんと伝えた。燐は次第に元の明るさを取り戻し、一緒にメンバーの元へ戻った。そして、本番。大成功のライブを終え、燐は全力を出し切ったのだった。
病室で眠る燐を見守る智。目を覚ました燐は、「卒業式くらいまでは時間があるはずだったんだけど。」と一度目と同じやり取りが始まる。「バンド続けて」という燐の同じセリフに智は誠意をもって応えた。たわいもない会話が続き、智が病室を去ろうとしたとき、燐は何か伝えようとしたが、言葉を濁す。そして、またバンドを続ける約束の再確認をしたのだった。待合室のソファーでひとり、智は感情の高ぶりが抑えられず涙した。すると、智の意識はどんどん遠のいていく。気付けばタイムリープが始まった冬の土手に戻っていた。手元には燐からの手紙があった。そこにはタイムリープ前とは違う文面が遺されていた。「あたしもきっと、智君と同じ気持ちだったよ」と。
思う存分泣いた智は、優の店の前を通る。店の入り口には「しばらく休業」という張り紙がされていた。店の中では、教頭と優が昔話をしている。優が高校生の時の担任であった教頭。そして優は当時のお礼をしていた。それは、覆面でボーカリストとして活動していた優の身を案じて助けてくれたことへのお礼であった。実はアニマート正体は優だったのだ。そして、バンド活動を断固反対した教頭の真意は、生徒を守るためだったのだ。
タイムリープした土手に姫子と六郎、瑛子を呼び出した智。3人に向かって、力強く「バンド、やろう!」と宣言したのだった。
映画『二度めの夏、二度と会えない君』の感想・評価・レビュー
「もしもやり直せるなら」そんな願望は誰にでも経験があることだろう。今作は、たった一人でタイムリープし、一人の少女の笑顔を守るため奔走する少年を描く。男臭い表情の村上虹郎と個性あるキャラクターの仲間のバランスが秀逸なファンタジー。音楽が中心にあるはずが、演奏シーンに特化しない、心情重視の展開は意外な作りであった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、自らの運命を変えるべく、タイムリープによって二度目の夏を迎えた智の奮闘する姿を描いた青春ラブファンタジー作品。
「学祭でバンド」という最強の青春モチーフとだけあって、バンド活動する登場人物たちがとにかく楽しそうでキラキラと輝いていた。
何気ない一言や行動の一つで大きく運命が変わるなら、いつも以上に今を大事に生きようと思った。
そして、最後は彼女からのメッセージが変化していて、ハッピーエンドとはならないところが切なくも意外性を感じた。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー