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映画『2重螺旋の恋人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『2重螺旋の恋人』の概要:原因不明の腹痛に悩まされていたクロエは、精神的なものが原因だと思い、精神科医を訪ねた。そこで出会ったポールと惹かれ合い、付き合いだす。だが、ある時、ポールそっくりの男がクロエの前に現れて……。

映画『2重螺旋の恋人』の作品情報

2重螺旋の恋人

製作年:2017年
上映時間:107分
ジャンル:サスペンス
監督:フランソワ・オゾン
キャスト:マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット、ミリアム・ボワイエ etc

映画『2重螺旋の恋人』の登場人物(キャスト)

クロエ・フォルタン(マリーヌ・ヴァクト)
元モデル。腹痛に悩まされており、精神的なものと感じて精神科医に通う。そこでポールと出会い、恋仲に。美術館で監視員の仕事をしている。母親と折り合いが悪い。不感症。
ポール・メイエル(ジェレミー・レニエ)
精神科医。患者としてやってきたクロエに惹かれていき、治療後、付き合いだす。自分の過去にはあまり触れられたくなく、クロエにも私物を触られたくない。
ルイ・ドゥロール(ジェレミー・レニエ)
ポールの双子の兄。ポールと同じく精神科医。ポールと仲が悪く、ポールの中ではいないことになっている。クロエと出会い、肉体関係を持つ。

映画『2重螺旋の恋人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『2重螺旋の恋人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『2重螺旋の恋人』のあらすじ【起】

どこにも異常はないものの、腹痛の日々を送っていたクロエ・フォルタン。痛みの原因は精神的なものだと考えた彼女は、精神分析医を訪ね、そこでポール・メイエル医師と出会う。

クロエは25歳でモデルの仕事をしていたが、今は無職だった。子供の頃から年上の男性を誘惑することを好み、誰かに見つめられることで自分の存在を感じていたという。ポールは彼女の話をただ静かに聞いていた。やがてクロエは美術館の監視員の仕事に就き、精神的にも安定してきた。それを見たポールは、治療の終了を告げる。だが、クロエはポールと会うことで“薬”になっていたと残念がる。

立ち去ろうとするクロエをポールは引き留めた。彼もまた、患者と知りながら彼女に特別な感情を持っていたのだ。互いの気持ちに正直になった二人は付き合いだし、同棲することになった。

飼い猫を連れて、新しいマンションへと引っ越してきたクロエ。その時、興味本位でポールの私物を盗み見てしまう。彼の幼少期の写真に混じってパスポートが出てきたのだが、そこに書かれていた名前はポール・メイエルではなく、ポール・ドゥロールという名前だったことから、クロエは動揺する。

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映画『2重螺旋の恋人』のあらすじ【承】

名字の違いをポールに尋ねると、精神科医として開業した時、母方の旧姓にしたのだと説明された。不安になったクロエは、嘘はつかないでほしいとお願いする。ポールは約束してくれたが、その代わりに私物は見ないでくれと念を押された。

ポールは病院に患者を見に行くと出掛けていき、クロエも美術館の仕事へ。だが、帰り道でポールらしき男性が女性と二人で話しているのを目撃する。その場所は病院とは真逆の方向だった。そのことを話すと、自分と似ている誰かと見間違えたのだろうとポールは答えた。

翌日、ポールを見かけた場所に行ったクロエ。そこは、ルイ・ドゥロールという名の精神分析医の診療所だった。クロエは偽名を使って診察の予約を入れる。診察日、ルイと対面したクロエは驚きを隠せなかった。ルイの容姿は、ポールそっくりだったのだ。クロエは知人のポールに似ているとルイに告げると、双子の弟なのだと返事をされた。

最近、母の死が原因でめまいがするのだと嘘をついたクロエだったが、ルイにはすぐにバレてしまった。更に、クロエが不感症であることも言い当てる。相手を試すような態度のルイに腹を立てたクロエは、憮然として診療所を後にした。去り際、ルイからポールには自分と会ったことは内緒にするようにと言われる。

家に戻ったクロエは、ポールに家族のことを聞いてみた。両親は米国に行っており、自分は一人っ子だという。開業時に母方の旧姓にしたのも、父がインサイダー取引で捕まった過去があり、家の名に傷がついたからだそうだ。双子の兄については一言も出てこなかった。

クロエは再びルイの元を訪れた。あなたなら私を治せるかもしれないと素直に告げたが、ルイの診療は数分で終わってしまう。ポールとルイが同一人物ではないかと疑ったクロエはルイに突然、キスをした。だが、彼は動揺する素振りも見せなかった。次に会った時、ルイは実践しようと言い、クロエを抱こうとしてきた。最初こそ抵抗したが、次第に性的興奮が湧き上がってきたクロエ。だが、その途端、ルイは愛撫を止めて、その日の治療を終了してしまった。

焦らされたことで欲求が高まったクロエは、次の治療の時には自ら服を脱ぎ、ルイと関係を持ってしまう。クロエはルイの荒々しい性行為に今まで感じたことのない快感を覚えた。

ルイはオスの三毛猫を飼っていた。オスの三毛猫はたいへん珍しく、双子の時しか生まれないのだという。母猫の胎内で双子のメスのほうを取り込むことでオスが生まれるのだそうだ。母胎では双子だが、相手を取り込んで生まれてくることは人間でもあるのだとルイは説明した。

映画『2重螺旋の恋人』のあらすじ【転】

ルイとの肉体関係は続いていたが、ある時、ルイからポールと付き合っていることを知っていると告白され、クロエは驚く。ルイはポールについて語りだした。ポールは“双子”ということが耐えられなくなり、兄という存在を自分の中から消したのだそうだ。

しばらくして、ポールからプロポーズされたクロエ。喜ばしいことは続き、彼女が妊娠していることも分かった。だが、ポールとルイ、どちらの子供かは分かっていなかった。

ルイに妊娠を告げると、双子は遺伝子が同じだから気にすることはないと言われる。クロエはルイに、以前、ポールと何があったのか尋ねたが、ポールに聞けとルイははぐらかす。ポールに対し、劣等感を持っているのだろうと指摘したクロエにルイは激情し、彼女を診療所から追い出した。後日、謝罪の電話があったが、クロエはもう彼を会う気はなかった。

仕事中にポールが美術館にやってきた。一緒にランチをすることにしたが、実はそれはポールに化けたルイだった。怒ったクロエは立ち去ろうとするが、その時、サンドラ・シェンケルという女性の名前を告げられる。

サンドラはポールの高校時代の同級生で恋人だった。彼女を調べ始めたクロエは、サンドラに直接、会ってみることにする。だが、訪ねた先で目にしたのは、植物状態のようになったやせ細ったサンドラの姿だった。サンドラはルイにそそのかされて強姦され、そのことでポールに避けられるようになった。ショックを受けた彼女は拳銃自殺を図り、現状に至るのだそうだ。

サンドラの母親に、あなたもあの二人の被害にあったのかと尋ねられたが、クロエはいいえと答えた。だが、母親は、あなたはそれを楽しんでいたんでしょう、とクロエを罵りだした。居心地が悪くなったクロエは、その場を逃げるように後にした。

映画『2重螺旋の恋人』の結末・ラスト(ネタバレ)

クロエは自宅へと戻ってきたが、玄関にルイが来た痕跡を見つけて不安を感じだした。彼女は隣人に助けを求め、一晩、泊めてくれないかとお願いした。何事もなく朝を迎えることができたが、出張していたポールから電話があり、愛人がいるのかと問い詰められて動揺してしまう。クロエはルイと密会するため、ポールに別の精神科医に通院していると話していたのだが、それが嘘だとバレてしまったのだ。

焦ったクロエは、ポールの私物の拳銃を持ち出し、それを手にルイの元へ。拳銃を突きつけながら、ルイにサンドラに何をしたのかと質問した。だが、その行動を見て、まるでサンドラそっくりだと笑うルイ。ルイは会わせたい人がいると言って扉を開けた。そこには、なんとポールが立っていたのだ。混乱したクロエは思わず引き金を引いてしまった。

撃たれたのはポールなのか、ルイなのかは分からなかったが、双子のうち、一人が撃たれた。次の瞬間、クロエの腹部が動き出し、腹を突き破って赤ん坊の手が出てきた。彼女は病院に搬送され、緊急手術が行われた。

実は、双子だったのはクロエの方だった。クロエの母は望まない妊娠だったために、適切な診療を受けないまま、クロエを出産したのだ。母胎でクロエは双子の姉を取り込み、姉の一部を体内に残したまま、成長していた。その姉の一部がのう腫となって腹痛の原因となっていたのだった。妊娠も幻想で、子供だと思っていたのは肥大したのう腫だった。

ポールはクロエの恋人で、彼女を愛することで救えるのではないかと考え、双子のふりをしながら、彼女を救おうと尽力していたのだ。

クロエは姉を取り込んでしまったことで、私が姉を殺したのだと自分を責めたが、母親の、あなたは私のたった一人の大切な娘だという言葉に赦され、涙する。

不感症が治ったクロエは、ポールと快感に溺れながら、新たな命の到来を心待ちにしていた。

映画『2重螺旋の恋人』の感想・評価・レビュー

伏線を散りばめているのだが、上手くオチに繋げられていない印象。台詞のひとつひとつや、出てくるシーンなどは巧妙に繋がりを持たせているのだが、終わりは唐突で強引さが目立つ。鏡を使った表現は面白く、常にもう一人の自分、もう一つの世界があることを端的に表しており、謎解きのヒントにもなっていた。フランソワ・オゾン監督らしく性描写が多かったが、本作には不必要と感じるシーンも少なくなかった。(MIHOシネマ編集部)

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