この記事では、映画『のぼうの城』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『のぼうの城』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『のぼうの城』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:145分
- ジャンル:歴史、時代劇
- 監督:犬童一心、樋口真嗣
- キャスト:野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充 etc
映画『のぼうの城』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『のぼうの城』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『のぼうの城』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『のぼうの城』 あらすじ【起・承】
豊臣秀吉が天下統一を目前にして、小田原の北条氏に戦を仕掛ける。
北条氏は豊臣軍に対抗するべく、領内の城主たちに籠城を命じていた。しかし、成田氏を城主とする忍城ではすでに豊臣方に降伏することを決めていた。
秀吉の家臣・石田三成は降伏を知っており、あとは開城を待つだけだが、戦で手柄を得て武功を立てるよう秀吉に命じられ、敢えて二万の軍勢を引き連れて忍城に戦を仕掛ける。
忍城の城主・成田長親は、領民からでくのぼうの「のぼう様」と称し、なぜか親しまれる人物だった。知恵もなく、武芸に秀でるわけでもなく、ただ人を惹きつける魅力を持っていた。
忍城は降伏して城を明け渡すために準備を進めるが、三成の策略で傲慢な態度をとった軍使を見て、そして甲斐姫を秀吉に差し出すよう言われ、まんまと「戦いまする」と宣言してしまうのだった。
三成の軍勢二万に対し、忍城はたった五百人。しかし、長親の決意に家臣たちは呆れつつも「よく言った」とばかりに喜んで従うのだった。

映画『のぼうの城』 結末・ラスト(ネタバレ)
忍城勢は、地の利を生かして少数ながらも三成の軍勢と戦い、城に全く近づけない。予想以上の忍城勢の対抗に、三成は闘志を燃やす。三成は昔秀吉の水攻めを見てからこの策に憧れを持っており、今こそ周囲の川を利用して水攻めをしようとする。
三成軍は、忍城の周囲に人工の堤を作り、川を決壊させて忍城を水に沈める。
領民たちは土地を水の底に沈められ、高台の本丸まで避難する。三成軍は忍城の兵糧が尽き、本丸が落ちるのを待つだけだった。
長親はただ指をくわえて待ってはいなかった。水攻めに対抗する策として、船で敵兵の近くまで漕ぎ出で、田楽踊りを披露したのだ。敵兵もこれを見て盛り上がるが、三成は踊っているのが長親だと気づき、狙撃させる。長親は負傷するが、一命はとりとめる。
領民は、本丸にいる人々がすべてではなかった。堤を築くために三成側に雇われた農民もいたのだ。彼らは水攻めで水田をだめにされたことや、「のぼう様」が撃たれたという怒りから反撃に出る。築いた堤を崩し始めたのだ。三成の水攻めは失敗に終わる。
長親は刀一本持たずに敵の策をくじいてしまったのだ。
三成軍の攻撃を迎え撃つ準備を進めていたところ、小田原城落城の知らせが届く。忍城も開城することとなる。しかし、小田原城落城まで持ちこたえた支城はこの忍城だけであった。
映画『のぼうの城』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『のぼうの城』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
史実にフィクションを織り交ぜたエンターテイメント作
忍城が水攻めにあったのは、史実通りである。だが、長親が船の上で田楽踊りを披露したというのは本当かどうか怪しく、どうにもフィクションっぽい。それよりは、忍城側が水練に長けた人物を送り込み、堤を壊したという説の方が真実味がある。
が、智恵のない「でくのぼう」長親が田楽踊りを披露し、わざと敵に攻撃させ、自分を慕う領民たちに堤を壊させた、という筋書きの方が何倍も面白い。
現実はなかなか思い通りにはいかないもので、映画の通り水攻めは理想通りにはいかず、思った以上に水が溜まらず本丸だけぽっかり残ってしまった。その後大雨で増水し、忍城側が放った人物によって堤が壊され、あふれだした水で溺れて三成勢はかなりの死者を出してしまった。
もともと湖に囲まれ、「浮城」と呼ばれる忍城は、水害に合ってもすぐ元通りになる城で、水攻めには不向きだったのだ。
実際はこういう地味な幸運が重なって城を守り抜いたのだが、映画では脚色を加えることによってより面白くなっている。
甲斐姫の存在
甲斐姫は、自ら鎧をまとって戦に出た姫として有名である。
この映画の中では、密かに長親に思いを寄せている人物として描かれているが、登場シーンの多さと知名度の割にはあまり必要なキャラクターのようにも思えず、残念な存在だった。
成田氏長の長女である甲斐姫は、強さと美しさを兼ね備えた姫として説話にも書かれ、忍城の戦いの後は秀吉の側室になったとされているが、その後のことは何もわからない。
これだけ魅力的なキャラクターなのだから、もう少し作品の中でいい役回りだったらよかったのにと残念に思う。
自分が歴史ものの良い映画と感じる作品は、戦闘シーンで手を抜いていないものだ。時に残酷とも思えるシーンでさえ、過去に実際にあったかも知れない状況なのだというリアリティを感じさせてくれる上で重要に思える。この作品はその辺も抜かりない。例えば、正木丹波の一騎打ちのシーンでその辺をちゃんと描写されていて満足だった。
あくまで映画的描写で史実とは異なるのだが、長親の性格については、もしかしたらこういうキャラクターだったのではという一説で新鮮だ。話し言葉が今はやりだったりもするが、うまく史実とエンターテインメントとの融合ができている作品と言える。(男性 30代)
当時だとあり得ない地位関係。それがこの作品の売りだとは思うけど少し目に余るかな。
成田軍総大将が階級を気にしないからこそ序盤に一緒に田踏みをしたり、後半の殿が村人を屋敷に土足で踏み入らせる行動が味方軍勢の士気を高める結果となった。
しかし水攻め後に成田長親が田楽踊りを敵陣で披露し、敵味方関係なく和ませるシーンは気がかりだった。数時間前に水攻めを受け、味方が数人死んだあとの行動は、結果寝返ったかぞうが陣形を崩した形になったが心を打たれなかったら死んだ味方たちに顔向けできないだろう。とモヤついてしまった。(男性 20代)
2万対500。数字だけ聞くと、いかに無謀な戦いかが分かる。多くの人なら、500の勢力で対抗しようとはしないだろう。成田長親は本当に「でくのぼう」なのか、それとも天才なのか。掴みどころのないキャラクターが、見ていて惹きつけられた。野村萬斎さんだからこそ演じられたキャラクターだと思う。
歴史に詳しくないのでどこまでが史実かは分からないが、成田長親を中心に一致団結している様子が素敵だなと感じた。(女性 30代)
“のぼう様”成田長親のユニークなキャラクターが戦国映画の常識を覆すようで、最初から最後まで新鮮でした。一見ぼんやりしているのに、民に愛され、結果的に敵をも欺く戦術をとる姿には痺れました。豊臣軍の水攻めという大規模な攻撃に、たった500人で抗う構図も胸熱です。最後、石田三成が戦の勝者でありながら何とも言えない表情で去るシーンが印象的でした。(20代 男性)
歴史に疎い私でも存分に楽しめる映画でした。戦国時代というシリアスな背景がありながら、のぼう様の風変わりな振る舞いが笑いを誘い、でも気づけば胸が熱くなる場面が連続します。水攻めの壮大な映像や、住民たちとの一体感も素晴らしかった。クライマックスの田楽踊りは涙が出そうになりました。心に残る一作です。(30代 女性)
戦国エンタメとしてかなり完成度が高い映画だと思います。水攻めシーンのスケール感は邦画の中でも屈指。のぼう様こと野村萬斎さんの演技が、絶妙に脱力感とカリスマを両立していて唯一無二でした。武でなく“民意”で立ち向かうリーダー像に共感。結果的に和睦となってしまうあの結末も、現代に通じるメッセージを感じました。(40代 男性)
のぼう様の不思議な魅力にやられました。周りの家臣たちが真剣にのぼう様を支えつつ、敵の石田三成もどこかその人柄に飲まれてしまうあたり、彼が“得体の知れない存在”として描かれているのが上手いなと思いました。歴史モノが苦手な方にもおすすめできる、笑いと感動が詰まった傑作です。(20代 女性)
城を守るというテーマに、こんなにユーモアと民衆の力を込めた作品は他にないと思います。のぼう様の戦わずして勝つ姿勢には、真の“人たらし”の才能を感じました。真田や上杉のような武勇伝とは違うアプローチで、民を巻き込んだ戦いが描かれていて非常に印象に残ります。日本映画にもっとこういう作品があってほしい。(50代 男性)
水攻めという非常に珍しい戦法を描いた作品で、歴史好きとしても見応えがありました。のぼう様の人物像が“無能に見えて実は”というテンプレを超えて、予測不能な存在として機能していたのが良かったです。民との信頼関係が物語の軸になっているのも感動ポイントでした。最後まで面白く観られました。(60代 女性)
実在した人物をこれほどユニークに描ききった作品は珍しいです。のぼう様の語り口や間の取り方、民に語りかける場面は舞台劇のようでもあり、映画としての表現も独特でした。特に田楽踊りで兵士と村人が心をひとつにするシーンは、涙を誘う感動的な場面です。史実とエンタメのバランスが絶妙でした。(30代 男性)
映画『のぼうの城』を見た人におすすめの映画5選
超高速!参勤交代
この映画を一言で表すと?
笑って泣ける、型破りな参勤交代エンターテインメント時代劇!
どんな話?
幕府から無理難題を押し付けられた弱小藩の殿様が、たった5日で江戸へ参勤交代を成し遂げようと奮闘する物語。知恵と仲間の絆で、権力に立ち向かう痛快時代劇が展開される。
ここがおすすめ!
『のぼうの城』同様、笑いと知恵、そして人間味で危機を乗り越える主人公が魅力。戦わずして勝つ“知略”や、民との絆が大きなテーマで、軽やかに楽しみながら感動できる一本です。
武士の家計簿
この映画を一言で表すと?
そろばん一本で藩を救う!異色の武士の奮闘記。
どんな話?
加賀藩に仕える下級武士が、剣ではなく“会計”の力で財政難の藩を立て直していく。家族との絆、誠実な仕事ぶり、そして武士道とは何かを静かに問いかける人間ドラマ。
ここがおすすめ!
派手な合戦はないけれど、地味だからこそ心に響く“戦い”がある。『のぼうの城』のように、武よりも人望や知恵で道を切り開く主人公の姿に共感するはず。堺雅人の演技も光ります。
峠 最後のサムライ
この映画を一言で表すと?
時代に抗った男の静かな反逆と誇りの物語。
どんな話?
幕末の動乱期、越後長岡藩の家老・河井継之助が、戦を避けながらも誇りと民を守るために取った決断を描いた実話ベースの時代劇。戦と和平の狭間で揺れる男の生き様に迫る。
ここがおすすめ!
民のために命を懸ける“武将の哲学”が、『のぼうの城』に通じる深い人間ドラマ。派手な戦ではなく、静かに燃える志の物語が好きな人には刺さる作品です。役所広司の演技も圧巻。
清須会議
この映画を一言で表すと?
戦国の行方を握るのは、話し合い!?三谷幸喜が描く“史上最大の会議”。
どんな話?
織田信長の死後、後継者を巡って家臣たちが繰り広げる“清須会議”。会議という名の心理戦と駆け引きがテンポよく描かれる、知略満載の戦国エンタメ。
ここがおすすめ!
武力よりも知恵と人心で戦うスタイルが、『のぼうの城』の長親と共通。三谷幸喜の脚本によるユーモラスな展開と豪華キャストの演技合戦も必見。軽妙ながらも深い一作です。
日本のいちばん長い日(2015年)
この映画を一言で表すと?
戦うことをやめる決断、それが本当の勇気だった。
どんな話?
終戦を巡る1日、陛下を含む政府・軍部・国民が「戦争を終えること」の重みと向き合い続けた緊迫の24時間を描く歴史大作。静かな対話の中に、命と国家の選択が込められる。
ここがおすすめ!
“戦わないために戦う”という決断の重みは、『のぼうの城』の主題とも重なります。言葉と思想で対立する男たちの姿に、日本人としての誇りと葛藤を強く感じられる作品です。
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