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映画『ヌードの夜』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ヌードの夜』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヌードの夜』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ヌードの夜』の結末までのストーリー
  • 『ヌードの夜』を見た感想・レビュー
  • 『ヌードの夜』を見た人におすすめの映画5選

映画『ヌードの夜』の作品情報

ヌードの夜

製作年:1993年
上映時間:110分
ジャンル:サスペンス
監督:石井隆
キャスト:竹中直人、余貴美子、根津甚八、椎名桔平 etc

映画『ヌードの夜』の登場人物(キャスト)

紅次郎 / 村木哲郎(竹中直人)
元証券マン。地元でも有名な秀才で、一流の大学へ進学し優良企業へ就職するも、バブル崩壊の煽りを受けた今、廃ビルを拠点に“何でも代行屋”を営んでいる。紅次郎は屋号。犬を預かったり、遺族の代わりに葬式へ参加したりして細々生計を立てている。
土屋名美(余貴美子)
行方耕三の情婦。高校生の頃から体と金を搾取され続けている。恋人と結婚するため、行方との関係を終わらせようと計画を立てる。
仙道達(椎名桔平)
行方の弟分。行方の失踪を受け、村木と名美を追う。
行方耕三(根津甚八)
都内でバーを営むゴロツキ。経営が立ち行かず、借金取りから何度も返済の催促をされている。名美から毎月10万円を巻き上げているが、全てクスリ代に消えている。別れを懇願する名美を強姦した後、絶望した彼女によって刺し殺された。
健三(田口トモロヲ)
村木の同級生。路地裏でゲイバーを営んでいる。トカレフを所望する村木に銃を手配した。

映画『ヌードの夜』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ヌードの夜』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヌードの夜』のあらすじ【起】

土屋名美は、行方耕三の店を訪れた。クスリを打っていた行方は、彼女を招き入れた若い男を警戒する名美へ彼を紹介し「仙道は女には興味ない。俺より凶暴だぜ」と言った。名美は、そうしていやらしく笑う行方の前で下着を脱ぐと、淡々と股を広げ事を済ませた。

紅次郎こと村木哲郎の“何でも代行屋”に、一人の女が依頼に来た。女は、6つのベッドが置かれた寝室の床で眠る村木を起こし、福岡からやって来たばかりで勝手が分からないため東京を案内して欲しいと言った。女は自身を行方と名乗った。

村木は、彼女が借りてきたレンタカーで東京を回った。夜になり、泥酔した女を宿泊先へ送り届けた村木は代わりにチェックインして欲しいと頼まれ、「行方」というサインと自分の事務所の住所を記入した。

村木によって部屋へ運び込まれた女は、殺人の代行依頼はないのかとおどけて言った。顔を伏せた村木は、翌日の待ち合わせ時間だけを確認し部屋を後にした。

村木が帰ったことを確認した女は、すぐさまシャワーを浴びて着替えると、ナイフを枕元へ忍ばせ行方を呼び出した。女の元を訪れた行方は、彼女から結婚したいから別れて欲しいと懇願されたが一蹴し、自身の店が上手くいかないからと心中を持ち掛けた。女が泣きながら土下座をしている最中、行方は枕元のナイフを見つけると、それを突き付け女をレイプした。

女は絶望し、行方がシャワーを浴びている背後へ忍び寄ると、彼を刺し殺した。

映画『ヌードの夜』のあらすじ【承】

同じ頃、事務所へ戻った村木は、入り口に犬が繋がれていることに気付いた。飼い主が旅行している間預けられた犬へ、村木は「今日の依頼者、タイプなんだよ」と打ち明けた。

深夜、村木の事務所の留守番電話へ女がメッセージを残した。急遽福岡へ帰ることになったと言う女は「大きな荷物ができたので、発送をお願いします」と告げ電話を切った。

翌日、女の部屋を訪れた村木は、10万円の入った封筒と男の死体を発見し狼狽した。顔も住所もフロントに知られた村木は自分が嵌められたと気付くと、事務所からスーツケースを持ち出し、ドライアイスと死体を詰めて持ち帰った。

村木は、女がレンタカーを借りた店を特定し、彼女の本名と住所を割り出そうと奔走していた。そこへ、警察の名を語った仙道が押しかけて来た。仙道は「お前兄ィの名前語ったろ。俺に黙っていなくなるような人じゃない。名美はどこだ」と捲し立て、村木の事務所を物色した。村木は仙道を追い返そうとしたが返り討ちに遭い卒倒、仙道は倒れる村木に名美の住所を聞いたが、彼は気を失ったままだった。

名美は、婚約者とパーティに参加していた。姉さん女房となる彼女は、婚約者の知人達からは後ろ指を指されていた。

翌日、村木はレンタカー屋を割り出し、女の本名と住所、職場を特定した。女は土屋名美といって、東京に暮らすOLだった。

映画『ヌードの夜』のあらすじ【転】

仕事帰りの名美を待ち伏せた村木は、スーツケースを地下鉄の車内で彼女へ返そうとした。一向にスーツケースを受け取らない名美を追った村木は、遂に彼女のマンションまで辿り着き、部屋へ招かれた。名美は「私が殺したんです、計画的に」と泣きながら告白し、それを聞いた村木はスーツケースを置いて去った。

失踪した行方に代わって店番をしていた仙道の元へ、気弱な借金取りがやって来た。仙道は、行方はいないと言って男を追い返した。

名美は、深い山中に穴を掘り行方の死体を埋めようとしたがうまくいかず、再びスーツケースごと部屋へ持ち帰った。

村木は、「もう一度代行をお願いします」と言う名美の留守番電話を無視し続けた。

仙道は、名美の住所を手に入れ彼女のマンションを訪れた。スーツケースに入れられた行方の死体を見て半狂乱になった仙道は、名美を痛めつけた。そこへ、花束を渡しに来た名美の婚約者が現れ、彼女が堅気の人間でないと察すると、彼は花束を名美に叩き付けて去った。

村木の事務所の留守番電話へ、仙道から「お前と名美どっちが兄ィを殺したんだ?」と伝言が入った。彼の声の後ろからは、名美の悲鳴が聞こえた。村木は凶暴な仙道と対峙するため、銃を手に入れようと街へ繰り出した。

映画『ヌードの夜』の結末・ラスト(ネタバレ)

村木は、ゲイバーを営む同級生、健三の店を訪ねた。村木と20年ぶりに再会した健三は彼から10万円を受け取ると、2時間後に来るよう言った。しかし、村木が再び店を訪れると、健三の彼氏であるヤクザに追い返されてしまった。ボロボロになり道路へ横たわる村木を見た健三は、優秀だった彼が最早まともな社会に生きていないことを悟り、銃をコンビニ袋に入れ彼の側に置いた。

銃を手に入れた村木は、仙道のいる名美のマンションへ向かった。村木は仙道へ、行方が死んだのは事故だったと説明したが彼は納得せず、名美を殴ろうとした。村木はそんな仙道の指を撃ち抜き、彼を追い払った。

雨の中、村木と名美は寂れた港を訪れた。村木へ殺人の動機を告白した名美は「本当はアイツに憧れてたんだ」と独り言ちると、彼の車を奪い海へ突っ込んだ。村木は慌てて海へ飛び込み名美を引っ張り上げ救急車を呼びに走った。しかし、彼が戻った頃には彼女の姿はなかった。

名美は、仙道が店番をする行方のバーを訪れると、自首するから村木には手を出すなと忠告した。そこへ借金取りの男が現れ、彼は仙道を銃で撃つと、名美を行方だと勘違いし彼女も手に掛けた。

同じ頃、事務所の掃除をしていた村木は、リビングに名美が立っているのを見た。彼女は「恋人の代行、やって頂けませんか?」と囁き、二人は遂に体を重ねた。

事後、ぐったりと倒れ込む名美を心配した村木が彼女の上体を持ち上げると、胸には穴が空き大量に出血していた。彼は救急車を呼ぼうと立ち上がったが、ふと振り返ると、血痕だけを残し彼女は消えていた。

後日、海中から引き揚げられた村木の車からは、行方の死体と名美の服が発見された。

映画『ヌードの夜』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

全体的に重くて暗い雰囲気をまとった映画で、非常に好みだった。「竹中直人といえばコメディ」というチープな概念を覆してもらった。良作だった。

竹中直人のシュールな笑いが不安感と恐怖を煽っていた。名美にスーツケースを返す際に淡々と「もう3日経ってる。ドライアイス、いっぱい詰めてるけど…ゴミ袋3重にしてるけど、臭いはどうにも」と言ってのける言葉の抑揚や、名美の亡霊とのピロートークで突然三半規管の丈夫自慢をする様など、笑いたいのに怖くて笑えない。

2作目もあるようなので、是非観てみようと思う。(MIHOシネマ編集部)


松田優作演じる村木の、破滅に向かっていくような哀しさに心が締めつけられた。探偵としての無力感、女たちとの関係、暴力の中に潜むどうしようもない優しさ。どこかで止められたはずの物語が止まらずに流れていく様は、まさに“生”と“死”の曖昧な境界に立つ男の生き様だった。ラスト、村木が何を思いながら消えていったのかを考えると、今でも胸が痛くなる。まさに松田優作の遺作にふさわしい一作。(40代 男性)


初めてこの作品を観たとき、物語よりも映像の空気感に圧倒された。夜の新宿の匂い、寂しげな女性たち、無力で孤独な探偵。すべてがリアルで、決して美化されていないのに、どこか美しい。松田優作の演技はセリフ以上に目線や仕草で語っていて、静かな迫力があった。最後に村木が撃たれた瞬間、音のない絶望が画面に広がる。もう一度見返すと、全ての会話が意味を持っているように感じた。(30代 女性)


正直、途中までストーリーが分かりづらくて戸惑った。でも、全てを通して感じたのは、登場人物たちの“誰にも救われない”感じ。それが逆にリアルだった。探偵ものなのに、事件を解決することが目的じゃない。人の闇を見続けた男が、最後にようやく自分を見つめ直すような…そんな感覚。松田優作が最後に見せたあの表情がすべてを物語っていたように思う。こういう映画、もっと観てみたい。(20代 男性)


『ヌードの夜』は決して明快なストーリー展開の映画ではない。でもその分、観る側に問いを投げかけてくる。何が正しくて、何が間違っているのか。村木の選択に正義があったのか?暴力と愛の狭間で揺れる女たちの存在も印象的。全体を通して、言葉にしづらい“虚しさ”が漂っている。昭和の終わりを象徴するような空気があり、観終わったあと、しばらく現実に戻れなかった。(50代 男性)


観終わったあと、何とも言えない切なさが残る映画。松田優作演じる探偵・村木が、ただ事件を追うだけじゃなくて、自分自身の過去や存在そのものと向き合わされる感じがした。女たちとの関係も決してラブロマンスではなく、どこか互いを利用しあいながらも、そこにわずかな温もりがあるのが印象的だった。特にラストの余韻は深く、松田優作の鬼気迫る演技が忘れられない。(30代 女性)


松田優作のファンとしては、この作品が遺作になったことに胸が詰まる。身体も少し細く見えるが、それ以上に目の奥の演技が凄まじい。どこか虚ろで、でも誰かを救おうとするような、そんな“人間くささ”が全編を通して漂っていた。『ヌードの夜』はハードボイルドでありながら、人間ドラマとして非常に深い。優作の芝居を味わいたいなら、これは絶対に観ておくべき作品。(60代 男性)


映像がとにかく渋くてカッコいい。雨の中のシーンとか、喫煙のカット、どれも今じゃなかなか見られない絵作り。内容は重いし、登場人物も全員どこか壊れてるけど、それがこの作品の魅力でもある。松田優作の最後の作品という点を抜きにしても、ハードボイルド系として完成度は高いと思う。雰囲気映画としても◎。音楽の使い方も印象的だった。(20代 男性)


この映画に出てくる女性たちは、皆傷ついているけど、どこか強さを感じた。風俗で働くこと、暴力を受けること、それでも自分を保とうとする姿がリアルだった。松田優作演じる村木が彼女たちに対して“助ける”というより、“そばにいる”という距離感を保っていたのが好印象。ラストで村木が死んでしまうのが悲しかったけど、彼の中ではようやく報われたのかもしれないと思った。(30代 女性)


映画全体を通して漂う“死の匂い”に、終始ゾワゾワさせられた。松田優作の身体から発せられるオーラが圧倒的で、彼が画面にいるだけで空気が変わる。事件自体は正直どうでもよくて、村木という人間がどう生きて、どう死んでいくかを見届けるための作品という印象。キャストの多くがギリギリの演技をしていて、日本映画の中でも屈指の“熱”を感じる映画だった。(40代 男性)

映画『ヌードの夜』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヌードの夜』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

陽炎座

この映画を一言で表すと?

幻想と現実の狭間で揺れる男と女の耽美な迷宮。

どんな話?

昭和初期、劇作家・松崎は謎の美女・英子と再会し、過去の罪と愛に翻弄されていく。やがて彼は夢と現実の区別もつかなくなり、幻想的な迷宮の中へと迷い込む。愛と死が交錯する官能と狂気の世界が展開する。

ここがおすすめ!

鈴木清順監督による圧倒的なビジュアル美と、謎めいた物語構成が魅力。幻想的かつ退廃的な空気感は『ヌードの夜』と通じる部分が多く、観る者を非現実へと誘う。一度ハマれば抜け出せない中毒性があります。

凶気の桜

この映画を一言で表すと?

暴力の中に漂う青春の虚無と儚さを描く衝撃作。

どんな話?

暴力と不良文化に染まった若者・土橋たちが、自分たちの正義を信じ、秩序なき暴力の中で破滅へ向かっていく物語。怒りと焦燥、儚い理想が交錯する、青春と暴力のはざまの群像劇。

ここがおすすめ!

若者たちの行き場のない衝動と、どこか捨てきれない純粋さが『ヌードの夜』の登場人物たちと重なる。社会の片隅で生きる人間の哀しみを、骨太な演出と繊細な演技で描いた作品。

ヘルドライバー

この映画を一言で表すと?

暴力×女×カオス!常識をぶっ飛ばす異色のバイオレンス映画。

どんな話?

謎の隕石がもたらした“死者ウイルス”によって日本の半分がゾンビ化。主人公リカは義母への復讐と国家再建のため、チェーンソー剣を手に戦う。狂気のアクションが連続する破天荒な展開。

ここがおすすめ!

リアリティよりも“熱量”を求める人にピッタリ。血しぶきと暴力美学が炸裂する映像は、ある意味『ヌードの夜』の破滅的な美しさとも通じる。グロテスクでありながらも美しい異色作です。

ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜

この映画を一言で表すと?

女の芯の強さと哀しさを描いた、静かに胸を打つ名作。

どんな話?

放蕩三昧の作家・大谷とその妻・佐知の夫婦愛を描く。酒と借金にまみれた夫を支えながらも、佐知は一人の女として生きようとする。太宰治の短編小説を原作に、昭和の空気感を丁寧に再現した。

ここがおすすめ!

女性の生き様や内なる強さが深く描かれており、『ヌードの夜』の女性像と共通する部分がある。情緒的な映像美と演技陣の静かな熱量が魅力で、じんわりと心に残る余韻のある作品。

野獣死すべし(1959年版)

この映画を一言で表すと?

狂気と孤独に生きる男の“死に様”を描いた伝説的ハードボイルド。

どんな話?

戦場帰りの男・伊達は社会への復讐を胸に、完全犯罪を企てる。計画は冷静に進行していくが、予想外の裏切りと狂気が男を追い詰めていく。原作は大藪春彦、主演は仲代達矢。

ここがおすすめ!

硬派で無骨な映像とセリフ回し、男の“虚無”を真正面から描いたストイックな作品。『ヌードの夜』の村木と同じように、破滅の中にしか自由を見出せない主人公像に心がざわつく名作。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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