映画『お熱いのがお好き(1959)』の概要:マフィアに追われるジョーとジェリーは、シカゴから逃げるために、女装して女性だけの楽団に入団する。そこで出会った、楽団の一員である可愛い女性歌手のシュガーに恋をしてしまうのであった。女性の振りをしながらもシュガーを自分のものにしようと格闘する二人がお茶目でクスッと笑えるコメディ映画。
映画『お熱いのがお好き』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー
監督:ビリー・ワイルダー
キャスト:ジャック・レモン、トニー・カーティス、マリリン・モンロー、ジョージ・ラフト etc
映画『お熱いのがお好き』の登場人物(キャスト)
- ジョー / ジョセフィン(トニー・カーティス)
- しっかり者だが、シュガーに本気になってしまう。サックスの演奏者で、ジェリーとともに職を探している。殺害現場を見てしまったため、ギャングから逃げる羽目になる。
- ジェリー / ダフネ(ジャック・レモン)
- 陽気で、行き当たりばったりな性格。ベースの演奏者。ジョーと同じく、ギャングから逃げるため、女装して女性バンドに入団する。女装した姿のまま、大金持ちのオズグッドに好かれる。
- シュガー(マリリン・モンロー)
- 頭が弱く、愛らしいフェイスの女性。バンドでは、歌を担当する。サックス奏者をすぐに好きになってしまう癖があり、それが原因でバンドを転々としている。また、メガネをかけた男性を好む。
- オズグッド(ジョー・E・ブラウン)
- 有名な大金持ちのおじさま。ジェリーを一目見て、好きになってしまう。冷たくされてもめげずにジェリーを誘い続ける。
映画『お熱いのがお好き』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『お熱いのがお好き』のあらすじ【起】
1929年、シカゴ。禁酒法により、お酒の販売や製造が禁止されている中、ギャングが霊柩車の棺にお酒を隠して運んでいく。その霊柩車を警察が追いかける。警察からうまく逃げたギャングは、葬儀場へ棺を運ぶ。そこでは、葬儀ではなく派手なパーティーが行なわれており、大勢の人が隠れてお酒を楽しんでいるのであった。
そこへ、警察がやってきて、飲酒をしていた人々を捕まえる。しかし、最も警察が捕まえたかったギャング達は、その場でお酒を飲んでいなかったため、逮捕できなかった。また、その場のパーティーで演奏を行っていたジョーとジェリーは、巻き込まれる前に何とか逃げ延びる。
ジョーとジェリーは、仕事探しに通っている求人所へ行き、いつものように求人がないかどうか聞いて回る。すると、ちょうどジョーとジェリーの楽器であるサックスとベースの弾き手を探しているという情報を得る。2週間フロリダに行き、ホテルで演奏をするという求人だ。ぴったりの求人だと喜ぶジョーとジェリーであったが、そのバンドは女性限定のバンドだと知りがっかりする。
ジョーとジェリーの二人は、車の置いてある駐車場までやってくる。そこでは、先日のパーティーでお酒を運んでいたギャング達が、密告者を取り囲んでいた。そして、ギャング達が密告者を銃殺するところを見てしまうのであった。殺害現場を見られたと知ったギャング達は、ジョーとジェリーを口封じのために殺そうと追いかける。
その場を逃げきったジョーとジェリーは、このままシカゴにいては殺されてしまうと考え、女性限定バンドへ女装して入団し、フロリダに逃げることとする。
映画『お熱いのがお好き』のあらすじ【承】
フロリダ行きの列車へ乗り込む女性バンド。女装したジョーとジェリーも合流する。そこにクネクネと歩くシュガーがやってきて、その溢れる可愛さにテンションを上げるジェリー。また、若い女性ばかりのバンドだったので、ジェリーは大喜びする。そんなジェリーの興奮した姿を見たジョーは、自分たちが女装した男性だとバレたら、ギャングにもすぐに知られ大変なことになると注意する。
女性バンドでは、とっさにジョーはジョセフィン、ジェリーはダフネと名乗る。列車では、シュガーが隠れてお酒を飲んでいた。ジョーとジェリーにお酒を飲んでいることは秘密にして欲しいと頼む。逃げるためにバンドに入ったというシュガーは、気が滅入ってしまうという理由から、お酒を飲んでいるのだと説明する。そして、太ももにお酒を隠すのであった。
練習時間になり、バンドのみんなで演奏を合わせることになる。ジョーはサックス、ジェリーはベースを弾き、シュガーは歌を担当する。美しい歌声で歌って踊るシュガーだったが、隠していたお酒が太ももから落ちてしまい、バンドの先生に怒られそうになる。咄嗟にジェリーは、お酒は自分のものであると言い、可愛いシュガーを救うのであった。
みんなが寝静まった後、シュガーがジェリーの元にお礼を言いにくる。本当の友達ねと言われて喜ぶジェリーは、一緒のベッドでお酒を乾杯する。すると、乾杯に気付いたバンドの仲間達が起きて集まり、二人ではなく大勢のパーティーとなってしまう。ジョーはパーティーをするジェリーを注意しつつも、手に負えず洗面所へ移動する。そこで氷を作っていたシュガーと遭遇する。シュガーは、様々なバンドを渡り歩いて来たが、いつもサックス奏者の男性に惚れてしまうため、今回は女性限定のバンドに入団したという。サックス奏者の中でも特にテナーを担当している人がタイプだという。ジョーはサックスのテナーを担当しているため、そんな話を聞き大興奮する。また、シュガーは、お金持ちで、メガネをかけている人がタイプとも話す。そして、一緒にフロリダで素敵な人を探そうと約束する。
映画『お熱いのがお好き』のあらすじ【転】
一行は、ホテルに到着する。すると、大金持ちのおじさまオズグッド三世がジェリーに一目惚れしてしまう。誘うオズグッドに冷たく返すジェリーであった。
部屋に着いてすぐ、シュガーとジェリーは、バンドのみんなと海に遊びに行く。対してジョーは、女装を解き、男性として水兵の制服に着替える。メガネも装着し、シュガーが好きな外見に変身する。そして、海でシュガーに話しかける。大金持ちのシェルオイルの御曹司だと告げ、船を持っていると大嘘をつくジョー。出会いに大喜びするシュガーは、今夜の演奏会に来て欲しいと頼む。演奏会にはジョセフィンとして自身も参加するため、ジョーには無理なお願いだが、できれば行くと話す。その様子を見ていたジェリーは、ジョーに呆れてしまう。
ホテルに戻ると、オズグッドからジェリーへ電話がくる。オズグッドが所有している船で今夜ディナーを取ろうと誘われる。ジョーはジェリーにお願いし、オズグッドを陸に引き止めてもらい、その間に船でシュガーと過ごすことにしようと計画する。すぐにシュガーに電話し誘うと、とても喜びながらジョーとジェリーに話すのであった。
映画『お熱いのがお好き』の結末・ラスト(ネタバレ)
演奏会が始まる。シュガーは、歌いながら水兵のジョーを探すが現れずがっかりする。しかし、オズグッドからジェリーへ贈られた花を、ジョーはシュガーに渡し、それを受け取ったシュガーは喜んだ。
演奏が終わると、ルンルンでおしゃれするシュガーと、大急ぎで女装を解き、水兵の制服に着替えるジョー。二人は船着場で上手く合流する。その頃、ジェリーとオズグッドは、ダンスを踊りにいく。
豪華な船でくつろぎ、シャンパンを飲んで楽しい時を過ごしたジョーとシュガーは、より親密な関係となる。そのまま朝まで一緒に過ごし、ホテルへと戻る。ジェリーとオズグッドも朝まで踊り続けた後、ホテルへと戻る。
ホテルに戻ると、ジェリーはオズグッドと婚約したと言う。自分が男であることも忘れ、結婚したがる。本物のダイヤモンドのブレスレットを、貰い喜ぶジェリー。
ホテルのロビーへ行ったジョーとジェリーは、自分たちを追うギャング達に遭遇しギョッとする。女装していたため、その場は気付かれずにやり過ごす。すぐに部屋に戻ったジョーとジェリーは、もうここにはいられないと出て行く準備をする。シュガーを捨てたくないジョーは、ジェリーが貰ってきたブレスレットとお花をシュガーの部屋へと贈る。そして、電話でお別れを告げる。名残惜しいジョーであったが、逃げねば殺されてしまうとジェリーに諭され、出て行くこととする。
ジョーとジェリーは、窓から荷物を持って逃げると、ちょうどギャング達の部屋の窓の前を通ってしまう。持っていた楽器を覚えていたギャング達に、二人の正体がバレてしまう。追いかけられたジョーとジェリーは、危機一髪のところでギャングから隠れる。
演奏が始まり、すっかり意気消沈したシュガーが失恋の歌を歌う。それを見たジョーは飛び出して、女装した姿のままシュガーにキスをする。キスされたシュガーは、ジョーの正体に気づき、ジョーを追いかける。
ギャングもジョーとジェリーに気づき、追いかけてくる中、二人はオズグッドの船へ急ぐ。ジョー、ジェリー、そしてシュガーがオズグッドの船に乗り込む。ジョーは、追いかけてきたシュガーに自分は大嘘つきだ、金持ちの元へ帰りなさいというが、シュガーはそれでもいいとジョーを選ぶ。また、オズグッドに、自分は男であると伝えるジェリーだったが、完璧な人はいないと気にもされず、めでたく結ばれるのであった。
映画『お熱いのがお好き』の感想・評価・レビュー
ビリー・ワイルダー監督のコメディは、どの作品も心底楽しませてくれる。この作品では、マリリン・モンローの魅力が最大限に引き出されていると思う。ちょっぴりおバカで色っぽく、普通の女の子っぽさもありながら、他にはない抜群の存在感を放つマリリン。そんなマリリンと女装した二人の掛け合いが面白く、最後までとことん楽しませてくれる作品だ。(MIHOシネマ編集部)
60年経っても色褪せないコメディの傑作。
ドタバタ喜劇なのに繰り返しの視聴に耐えるのは脚本が完璧だからだろう。さりげない台詞が上手に重ねられて次の笑いに繋がる。しかもその台詞も使い捨てではなく何かの伏線だったりする。それらを魅力的な出演者達がそれぞれの個性を存分に発揮しながら紡いでいく。もしこれが響かないという人は、もう一度全ての言葉を大事に聞きながら観直すことをお勧めする。
最後の台詞がまた素晴らしい。オチとして素晴らしいだけでなく、とても温かい。
そして最後のジャック・レモンの表情がまた最高。(男性 40代)
マリリン・モンローの魅力がぎゅっと詰め込まれたこの作品は、60年前の作品でありながらユーモアのセンスが抜群で、心の底から笑えてハッピーになれる作品です。
マリリン・モンロー演じるシュガーはちょっとおバカ。惚れっぽくて喜怒哀楽がすぐ表情に出てしまうのが本当に可愛いです。子供みたいに無邪気な姿を見せたと思えば、色気たっぷりのキスシーンも。シーンによって全く違う表情を見せてくれる彼女は天才だと改めて感じました。(女性 30代)
まさにコメディのお手本といえるビリー・ワイルダー監督の代表作。禁酒法時代という背景を上手く取り入れたからこその面白さがあって、列車で隠れてお酒を飲むシーンは私のお気に入りの一つだ。
ストーリーの中心になってくる女装のくだりも、唯のコメディ要素に過ぎないと思っていたが、全体として見てみるとセクシャリティに関しても愛があるように思え、特にラストシーンではそれが伝わってくる。とにかくあの時代の笑いが愛しく感じる映画である。(女性 20代)
万人受けするラブコメディは時代を問わないことを知った作品でした。まさに不朽の名作です。ギャングから逃げるため女装した二人のドタバタは本当に笑えたし、ラブシーンはちゃんとドキドキ出来ます。どう見てもばれてしまいそうな二人の女装が段々と馴染んできて、途中何回も可愛く見えてしまいました(笑)。そしてなんといってもマリリンが可愛すぎます。「I just wanna be loved by you」を歌いながら小指で人を指す姿がとっても色っぽい。(男性 20代)
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