この記事では、映画『おばあちゃんの家』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『おばあちゃんの家』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『おばあちゃんの家』の作品情報
上映時間:87分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:イ・ジョンヒャン
キャスト:キム・ウルブン、ユ・スンホ、ミン・ギョンフン、トン・ヒョフィ etc
映画『おばあちゃんの家』の登場人物(キャスト)
- サンウ(ユ・スンホ)
- ソウル育ちの7歳。ゲームとテレビが大好きな現代っ子で、何もない山奥の地に嫌気がさす。同年代の子どもには人見知りし、一人で遊ぶことがほとんど。簡単には意思が通じないおばあさんに、最初は苛立つが…。
- おばあさん(キム・ウルブン)
- ソウルから遠く離れた、山奥の村に暮らす。一度も都会に出たことはない。サンウの母方の祖母で、3ヶ月間サンウの面倒を見ることになる。読み書きと口が利けず、ジェスチャーで他人と意思疎通を図る。
- サンウの母(トン・ヒョヒ)
- おばあさんの娘。17歳で集落を飛び出す。サンウを産んだ後、シングルマザーとして彼を育てる。ソウルで仕事を探す間、サンウを実家に預ける。
- チョリ(ミン・ギョンフン)
- 集落に暮らす少年。家業を手伝っている。一人暮らしのおばあさんを気にかける心優しい性格。サンウにも親切に接するが、意地を張られてしまう。
- ヘヨン(イム・ウンギョン)
- 集落に暮らす少女。チョリと幼馴染で、相思相愛の仲である。サンウに憧れられる。
映画『おばあちゃんの家』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『おばあちゃんの家』のあらすじ【起】
サンウと母は山奥のヨンドン村に向かっていた。ヨンドン村は母の故郷で、サンウは生まれてから来たことはなかった。バスの乗客は小麦色に焼けた肌で、都会では目にすることがない人々だった。
おばあさんの家は村から更に離れた所に建っていた。古めかしい民家で3ヶ月間過ごすことに、サンウは拒否感を覚える。母がソウルに戻ってしまうと、口の利けないおばあさんとの静かな生活が始まる。娯楽が極端に少なく、幼いサンウには退屈で仕方ない。そして、祖母が何か奇異な存在に思え、サンウは心を開こうとしなかった。
近隣の少年チョリが、おばあさん宅に立ち寄る。同年代のサンウにも好意的に接するが、人見知りのサンウは自己紹介もせず部屋にこもる。サンウはずっと一人遊びをしてきて、同世代の子どもには緊張してしまうのだった。
サンウの唯一の息抜きであるゲーム機が故障する。原因は電池切れで、サンウは必死でおばあさんに電池代をせびる。しかし、ジェスチャーの反応だけでお金はもらえなかった。我慢できないサンウは、家中金を漁る。が、どこにもへそくりはなく“腹いせ”におばあさんにいたずらを仕掛けだす。

映画『おばあちゃんの家』のあらすじ【承】
サンウは電池を買うため、おばあさんが寝ている間にかんざしを盗んで村の店まで売りに行く。店を一軒一軒回るが、目的の電池はどこにも取り扱われていなかった。帰り道は迷ってしまうが、通りがかったおじさんに家まで連れて行ってもらう。まだかんざしをおばあさんに返すことはできないでいた。
反省したサンウは、おばあさんと徐々に意思疎通を取るようになる。それでも都会っ子のサンウは、フライドチキンが食べたいとごねる。おばあさんは鶏をもらって調理するが、できあがった料理は蒸し鶏だった。サンウは食べるのを拒否するが、夜中に空腹で目覚めると、ためらわずに肉に食らいついた。
翌朝。昨晩雨に打たれて帰宅したおばあさんは、熱を出して寝込んだ。サンウは台所を荒らしながらも、おばあさんに食事を用意してやる。眠るおばあさんの頭を見ると、かんざしの代わりに木の棒が使われていた。サンウはようやくここで、盗んだかんざしをおばあさんの髪に挿し直した。
映画『おばあちゃんの家』のあらすじ【転】
サンウが散歩に出かけると、チョリが暴れ牛に追いかけられていた。早く逃げろ、と声を上げていたのは少女ヘヨン。チョリは何とか暴れ牛をまき、サンウたちは一緒になって喜んだ。そのとき初めてヘヨンと口を聞き、サンウは顔を真っ赤にする。
おばあさんに気を許しだしたサンウは、仕事を手伝うようになる。二人は、町の市場に野菜を売りに行く。そこでサンウはヘヨンを見かけた。可愛らしい服を身に着けた少女に、サンウはときめくばかり。ヘヨンに見られるのを意識して、サンウはおばあさんの商いに手を貸せなかった。
商いの後。おばあさんはサンウに昼食を取らせたり、新しい靴を買ってやったりした。決して収入は多くないのに孫を満足させようという祖母の思いを、サンウははっきりと感じ取る。おばあさんはハンデを持ってはいるが、周囲の人々からは慕われていた。おばあさんのジェスチャーに、人々は優しく反応する。
ヘヨンたちと先に帰宅したサンウは、おばあさんの帰りを待つ。しかしなかなか姿を現さず、サンウはいよいよ不安になってくる。しびれを切らした頃、おばあさんが帰宅する。サンウは最初の頃とは違って、寂しさを祖母に素直に表した。
映画『おばあちゃんの家』の結末・ラスト(ネタバレ)
サンウはヘヨンに淡い恋心を抱き、会いに行く。だが、ヘヨンはチョリと手をつないで歩いていた。芽生えた初恋はあっさり終わり、サンウはチョリに嫉妬する。チョリが気に食わないサンウは、チョリに暴れ牛が来たと嘘を教える。チョリは焦って逃げるが、本当に暴れ牛が現れる。
それ以降もサンウの“暴れ牛脅し”は続くが、チョリはサンウのいたずらに気付く。年上のチョリは手こそ上げないが、サンウに無言の圧力をかけてくる。怯えたサンウは、謝らずに逃げ出してしまう。途中、ヘヨンと出会ってサンウはすぐに機嫌をよくする。
色気づいたサンウは、身だしなみを気にして鏡の自分を見つめだす。ヘヨンの家に招待され、サンウはおばあさんに髪を切ってもらう。数ミリのカットでいいと伝えるが、おばあさんはベリーショートに整えてしまう。サンウはショックを受けて、大泣きする。
ヘヨンの家からの帰り道。サンウは一変してルンルンとした気分だった。道中、出くわしたチョリが暴れ牛の暴走を教えるが、サンウは嘘だと思って聞かない。しかし、本当に暴れ牛が迫ってきた。チョリが間一髪でサンウを助け、サンウはこれまでのいたずらを謝罪した。チョリは、謝らなくていいよ、と穏やかに否定して去る。
サンウは、出かける際におばあさんから渡された包み紙を取り出す。ゲーム機と電池用のお金があり、サンウはおばあさんの心遣いに涙を流した。そして、家で待っていたおばあさんに初めて甘えたのだった。
母から手紙が届き、サンウがソウルに戻る日が近づく。サンウは手紙を出せるようにと、おばあさんに簡単な読み書きとフレーズを教える。「困ったときはいつでも僕が飛んでくるからね」とサンウが言い、二人は別れを惜しんだ。
母が迎えに来る。サンウはおばあさんにお気に入りのポストカードを贈る。サンウたちが去った後、おばあさんはカードの裏面を見る。それにはイラストとサンウが教えたフレーズが書かれていた。これでいつでも、サンウに近況を知らせることができる。娘家族を見送って、おばあさんはゆっくりと家へ帰っていく。
映画『おばあちゃんの家』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
おばあちゃんは私にとって特別な存在です。何も無いけどおばあちゃんの家に行くと、とても落ち着いてついついお昼寝してしまったり、人付き合いが苦手で口下手な私でも、おばあちゃんとは何時間もお喋りできます。今作は誰もが経験したことのある、おばあちゃんとの「温かい」交流を描いた素敵なお話でした。
私のおばあちゃんの家にも子供が喜ぶものは何も無かったですが、この作品に出てくるおばあちゃんの家は子供が喜ぶものだけでなく、「何も無い」です。そんな不自由で窮屈な暮らしに少しずつ慣れ、おばあちゃんと交流を深めていく少年がとても健気で可愛らしく、心が温かくなりました。(女性 30代)
サンウの、余りに生意気な態度に憤りを感じました。酷い悪餓鬼でしたが、得てして子供はそうやって成長していくものなのでしょう。祖母は一言も言葉を発しません。必要最低限の表情とジェスチャーのみですが、なぜか情感たっぷりで想像力を掻き立てられました。ゲームやファストフードも良いですが、この作品のような温かい触れ合いって物凄く貴重なんだと思います。祖母役のキム・ウルブンは2021年4月に亡くなったそうで、冥福を祈ります。(女性 30代)
おばあちゃんの深い愛情に心を打たれます。孫のサンウは都会育ちのワガママな子。おばあちゃんにも結構ひどいことを言うので「なんて生意気な……」と呆れますが、おばあちゃんは怒ることもなくひたすらサンウの世話を焼き、守ってくれます。
はじめは本当に可愛くないサンウですが、ゲームをやりながらも裁縫の針に糸を通してあげるところが子供らしくて微笑ましかったです。
二人の間に会話はありませんが、少しずつ二人の距離が縮まっていくのがよく分かる演出が印象的でした。何度も観たい、心温まる作品です。(女性 40代)
最初は都会育ちのサンウがわがままで、おばあちゃんに冷たく接する様子にイライラしましたが、少しずつ心を開いていく過程に涙。特に、おばあちゃんが最後にサンウのために作った靴を渡すシーンは、号泣必至です。無償の愛を静かに描いた傑作だと思います。(20代 女性)
ほとんどセリフがないおばあちゃんの存在感に圧倒されました。言葉がなくても、愛情はこんなにも伝わるんだと実感。サンウのわがままに耐えながらも、微笑みを絶やさないおばあちゃんに、母を思い出してしまいました。ラストは優しい涙が止まりませんでした。(50代 男性)
映画の静けさがとても心地よかったです。大きな事件は何も起こらないのに、サンウとおばあちゃんの関係性が少しずつ変わっていくのが、丁寧に描かれていました。都会と田舎、世代間ギャップを超える「思いやり」に胸が熱くなりました。(30代 女性)
サンウが最後に「おばあちゃん、元気でね」と手紙を書くシーンに、胸が締め付けられました。最初の反抗的な態度から、あそこまで変わる成長の物語に、本当に心を動かされます。シンプルな設定だけど、深く心に残る映画です。(20代 男性)
無声の演技がここまで人の心を揺さぶるとは思いませんでした。おばあちゃんの表情、手の動き、仕草すべてに愛が溢れていて、観ているうちに自然と涙が出ました。日常に埋もれた小さな愛情に気づかせてくれる素敵な作品です。(60代 女性)
子どものころはサンウみたいだったかもしれない、と自分を振り返りました。素直に感謝できない子ども心と、それを包み込むおばあちゃんの無償の愛。ラストの別れのシーンは本当に切なかったです。親にもっと優しくしたいと思いました。(30代 男性)
素朴な田舎の風景がとても美しく、物語にぴったりでした。何もないけど、そこに溢れている温かさに癒されます。おばあちゃんの優しさが、サンウの心を溶かしていく過程が本当に自然で、最後には号泣してしまいました。(40代 女性)
映画『おばあちゃんの家』を見た人におすすめの映画5選
リトル・フォレスト
この映画を一言で表すと?
「自然の中で生きる喜びと、心を取り戻す癒しの物語」
どんな話?
都会暮らしに疲れた主人公が、故郷の田舎で四季とともに自給自足の生活を送る様子を描きます。季節ごとの食事や自然との共生を通じて、心を整え、成長していく姿が静かに紡がれるヒューマンドラマです。
ここがおすすめ!
美しい自然描写と、丁寧に作られる料理の数々が心をほっとさせてくれます。派手なドラマはないけれど、観る人に静かな勇気と癒しを与えてくれる作品です。『おばあちゃんの家』が好きな人にぴったりの優しい世界観です。
ソナチネ(韓国映画)
この映画を一言で表すと?
「心の奥に静かに沁みていく、孤独と希望のバラード」
どんな話?
家庭の事情で田舎に引っ越してきた少女が、寂しさと向き合いながら少しずつ周囲と心を通わせていく姿を描く感動作。喪失と再生をテーマに、少女の成長が丁寧に綴られます。
ここがおすすめ!
多くを語らず、静かな映像と演技で感情を伝えるスタイルが『おばあちゃんの家』に通じます。優しい視線で描かれる人と人のつながりに、観る人の心も自然と温かくなるでしょう。
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
「静かに語られる、子どもたちの強さと切なさ」
どんな話?
母親に置き去りにされた子どもたちが、助けもなくたくましく生き抜こうとする実話ベースのドラマ。都市の片隅で必死に日常を紡ぐ姿を、リアルに、かつ優しいまなざしで描いています。
ここがおすすめ!
是枝裕和監督の静謐な演出が光る作品で、言葉よりも表情や空気感で語られるストーリーが心に刺さります。『おばあちゃんの家』のように、静かな感動を味わいたい人におすすめの映画です。
そして父になる
この映画を一言で表すと?
「家族の絆とは何かを問う、静かで深い感動作」
どんな話?
病院で取り違えられた二組の家族が、血のつながりと育てた時間、どちらを大切にすべきか葛藤する姿を描いたヒューマンドラマ。家族とは何か、本当の絆とは何かを考えさせられる作品です。
ここがおすすめ!
派手な演出はなくとも、登場人物たちのリアルな苦悩と成長が静かに、でも確実に胸を打ちます。心の温度を取り戻すような感動が味わえる、しみじみとした良作です。
ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―
この映画を一言で表すと?
「ささやかな存在たちの、大きな勇気と優しさ」
どんな話?
スタジオポノック制作による短編アニメ3本立て。日常の中で懸命に生きる小さな存在たちの物語を、美しい映像と繊細なストーリーテリングで描きます。それぞれがテーマも違い、心温まる内容です。
ここがおすすめ!
短編ながら、どの話も深い感動を呼び起こします。特に「普通」でない存在たちへの優しいまなざしが、『おばあちゃんの家』のテーマと響き合います。親子で観るのもおすすめな、癒しの作品集です。
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