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映画『汚名』あらすじネタバレ結末と感想

映画『汚名』の概要:イングリット・バーグマン主演のスパイ・サスペンス。共演はケーリー・グラント、クロード・レインズ。ナチスの恐怖がテーマ。脚本はベン・ヘクト。アルフレッド・ヒッチコック監督の1946年米国映画。

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映画『汚名』 作品情報

汚名

  • 製作年:1946年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:サスペンス、ラブストーリー
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ケイリー・グラント、イングリッド・バーグマン、クロード・レインズ、ルイス・カルハーン etc

映画『汚名』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

映画『汚名』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『汚名』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『汚名』 あらすじ【起・承】

1964年4月24日。フロリダ州で行われたナチスのスパイ裁判で、ヒューバーマンは20年の懲役刑を言い渡された。その裁判を傍聴していたヒューバーマンの娘アリシア(イングリット・バーグマン)。

彼女は、記者たちに質問ぜめにあいながらも裁判所を抜け出した。父のために証言台に立つことはなかったアリシアだったが、心の高ぶりをなかなか抑えることが出来なかった。その夜、親しい人を集めて自宅でパーティを催した。

そのパーティでひとり静かに酒を飲む男デブリン(ケーリー・グラント)がいた。アリシアはかなり酔っぱらっていたが、彼を送るといって車を運転した。とても乱暴な運転だったため、途中で警官に車を停止するよう言われてしまう。

当然、飲酒運転で逮捕されるかと思ったが、デブリンが同席していたため免除された。アリシアは、そんなデブリンを警官だと誤解して怒ってしまう。

翌朝、アリシアは再びデブリンと会う。何か魂胆があると考えるアリシアに対して、デブリンは、アリシアの父親が関係したナチスのスパイを探るために協力して欲しいと言う。そして、父親が毒を飲んで死んだことも伝えるのだった。

アリシアは父親への償いにもなると信じて、FBI捜査官デブリンと共にリオへ旅立った。数時間後。リオのカフェテラスでいい雰囲気になる、アリシアとデブリン。アリシアは、何度もキスをして午後7時にまた会う約束をした。

デブリンは、滞在しているホテルに電話をし、上司プレスコット(ルイス・カルハーン)からの伝言を聞いた。彼に呼ばれて事務所に行くと、アリシアをドイツ系の会社社長アレクサンダー・セバスチャン(クロード・レインズ)のスパイにする計画があると言う。

アレクサンダー(通称・アレックス)は、過去にアリシアにぞっこんだったらしい。それを聞いたデブリンは、嫉妬を覚え、アリシアにそんな任務は任せられないと反対した。
だが、計画は進み、アレックスの趣味である乗馬クラブで接触を試みることに。

その計画を聞いたアリシアは、彼との仲を否定。一方的に任務をやれ!と言うデブリンの態度にも怒ってしまう。”私の愛を信じてくれないの・・。”とアリシアは落胆して、酒を一気に飲み干すのだった。

翌朝、2人はアレックスの通う乗馬クラブへ。偶然を装い、アレックスに近づくアリシア。言葉巧みにアレックスを誘惑すると、アレックスはすぐにアリシアへ惹かれていった。アレックスは、アリシアを母親がもてなすパーティに誘う。

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映画『汚名』 結末・ラスト(ネタバレ)

パーティの日。デブリンの上司プレスコットがやってきて、アリシアに首飾りを贈った。そして、この任務が終わるまでは急用以外はデブリンと会わないほうがいいと言われます。その日の夜、やや緊張した気持ちでアリシアはパーティへ。

アレックスの母親(レオポルディン・コンスタンティン)と会い、なぜ父親の裁判で証言しなかったのか問われます。アリシアに対して、快く思っていないようだ。アレックスに紹介されて、彼の仲間や今夜の主賓であるアンダーソン博士(ラインハルト・シュンツェル)に会う。

晩餐会が始まる頃、彼の仲間のエミール・フプカが、3本のワインボトルを見てひどく動揺した。なだめるアレックスたち。晩餐会が終わった後、フブカ以外の仲間たちが彼の態度を非難する言葉を発していた。

フブカは仲間に無様なところを見せたと謝り、先に帰ることを告げた。仲間の1人が強引にフブカを送ってゆくと言って、送る途中で秘密裏にフブカを殺すらしい。

数日後、アリシアは、アレックス親子と共に競馬場にいた。アレックス親子とは離れた場所で、デブリンと密会した。アリシアはアレックスと付き合っている辛さを訴えるが、デブリンは冷静に対応してしまう。しかし、その様子をアレックスは見つめていた。

2人のそばへ、アレックスがやってきた。アリシアは涙を隠し、デブリンも挨拶を交わしただけで去ってゆく。そんなある日、アリシアが突然、情報部を訪ねてきた。

プレスコットやデブリンは驚くが、なんとアリシアがアレックスにプロポーズされたと言う。返事をすぐに欲しいと言われていることもあり、相談しにきたらしい。プレスコットは結婚は好都合だと言い、デブリンも新婚旅行を短縮するならと同意します。

こうして、アリシアはアレックスと結婚した。唯一、アレックスの母親はアリシアに疑惑の目を向けた。新婚旅行から戻ったアリシアは、服を整理をするが、ワイン室の鍵だけアレックスから貰う事ができない。

そこで、ワイン部屋に何かある!と感じたデブリンは、パーティを開くようアリシアに提案した。パーティまでに鍵を手に入れて、ワイン室を調べてみようというのだ。

パーティの夜。少し遅れてデブリンが自宅に現れた。アリシアは、夫アレックスにデブリンとの仲を嫉妬され監視の下に置かれていた。なんとか夫の監視をくぐって、地下のあるワイン室の鍵をデブリンに渡した。

デブリンはワイン室へ侵入するが、どれが問題のワインか見分けがつかない。そんな時、1934年代物のワインが落ちてきたから大変!割れたワインからは、黒い砂がこぼれてしまう。2人は急いでワインを棚に戻し、片付けた。

一方、シャンペンが少なくなり、アレックスは執事と地下のワイン室へやってきたが、ワイン室の鍵だけがないのだった。アレックスに2人でいるところを見られてしまったデブリンは、とっさにアリシアを抱きしめキスをした。

2人に近づくアレックスに対して、デブリンは酔っていただけでアリシアのアレックスへの思いを知り、身を引くと言って去るのだった。

アレックスはアリシアへの疑惑を深め、翌朝、地下のワイン室を訪れた。ワインの瓶はちゃんとあるように見えたが、誰かが水道を使用した形跡や1934年のラベルのついたボトルの砂の量が減っていることに気づいた。

そして、アリシアの正体がアメリカのスパイだと知った。慌てて、母親に相談するアレックス。その後、毒入りのコーヒーを飲み続けたアリシアは次第に体調を崩していく。

デブリンの上司プレスコットから、黒い砂の正体はウラン鉱石だと聞いたアリシア。同時にデブリンがスペインに転勤すると聞くのだった。久しぶりに公園で密会した2人。しかし、顔色が悪いアリシア。深酒したせいだと言うが、デブリンはそんな彼女を心配するのだった。

数日後、アリシアの元を訪れたデブリン。アリシアは、コーヒーの中に毒を入れられたせいで気分が悪いとデブリンに訴えた。館では、アレックスの仲間が会議で訪れていた。病院に連れてゆくため、アリシアと共に階段に現れたデブリンを、アレックスとその母親が行かせまいとするが。

デブリンは2人を威嚇し、アレックスの仲間にばれずにいるためには自分に従うよう促す。そうして、アリシアを車に乗せると、”一緒に連れて行ってくれ!”というアレックスの言葉を無視して車を発進させた。

その後、”アレックス、話がある。”と仲間に屋敷へ呼び戻されると、もう2度と生きた彼の姿を見ることはなかった。

映画『汚名』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『汚名』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

卓越したプロットとイングリット・バーグマンの存在感に魅せられる、スパイ恋愛活劇!

ナチスのスパイが暗躍しているという設定やサスペンス効果を盛り上げる鍵など、小道具の使い方が秀逸です。もう、イングリット・バーグマン映画といってもいいくらい。

なかでも、地下のワイン室で、割れたボトルから出てきたのがワインではなく、”黒い砂”(後にウラン鉱石と判明。)だったから大変。またアレックスにアメリカのスパイであることがばれてしまうかもという緊迫感があります。

どのシーンを切り取っても、サスペンスで溢れており、加えてピュアな恋愛物語としても楽しめるところが魅力なんです!

イングリット・バーグマンの視点がほぼ主観ショットで撮られており、毒を盛られたと分かってゆらゆら揺れるシーンなど見どころも多い。やはり、ヒッチコック作品には「めまい」のようなショットやカメラが反転して別の物を映すといった映像は欠かせないのかも。

1番気になったのは、深酒に酔ったイングリット・バーグマンが、ケーリー・グラントを乗せて車を運転するシーン。視界に霧がかかったり、警察のオートバイが追いかけてくるところで上手い具合にライトが当たっていたりするんです。

臨場感と描写の細かさは、現代の映画作家がヒッチコック作品を超えられない魅力のひとつではないでしょうか。

第2の主人公、アレックス役クロード・レインズの魅力

フランソワ・トリュフォーは、「映画術」という本のなかで、ヒッチコックの「汚名」についてこう言っています。「クロード・レインズが主役の映画だとみなしてよい。」と。

それくらい、夫アレックス役は、恋の三角関係あり、ナチスのスパイという側面で揺れ動く複雑な役を好演していました。また、ヒッチコック特有の親子関係の異常性も目立っています。

ヒッチコック作品の表現の多様性が一番成功した作品だと感じています。クロード・レインズは、「透明人間」や「カサブランカ」、「オペラ座の怪人(1943)」、「アラビアのロレンス」に出演。

個性派俳優として、時に主役よりも輝いていたという。その才能が最も発揮された作品が、「汚名」なのです!ぜひ、彼に注目してご覧下さい。


見終わった時にモヤモヤした気持ちが残らず爽快な気分になれるストーリー。それがヒッチコック作品の特徴ではないでしょうか。ラストがとてもシンプルで観客に疑問を抱かせないのが最高です。
ナチスとアメリカのスパイ合戦かと思いきや、ロマンティックな大人の恋愛も描かれていて、デブリンとアリシアの関係が本当にもどかしかったです。アレックスのマザコンっぷりもヒッチコック作品には良くある展開。
1946年の作品とは思えないほどスタイリッシュでオシャレな雰囲気が漂っています。(女性 30代)


流石アルフレッド・ヒッチコックの作品、ハラハラしてしまい居ても立っても居られませんでした。愛し方や騙し合い等、人間の感情表現が濃厚です。ワインボトルや鍵、カップ等の小道具を巧みに用いて、粋な演出をしています。そして、問題となる物にぐっと近づくカメラワーク。視聴者に分かりやすいように、飽きないように作られています。映画の教科書のような作品です。イングリッド・バーグマンのドレス、スーツ、どちらもこよなく優美です。(女性 30代)

映画『汚名』 まとめ

「汚名」のラスト・シーンが忘れられない。唐突な幕切れ。きっとアレックスは、仲間によって殺される運命なのだろうと思うと、胸が痛くなってしまう。

アレックス役のクロード・レインズの存在感が面白く、イングリット・バーグマンの感情の揺れも大きくなります。

スパイ映画か、それとも純粋な恋愛映画として観るかで感想も変わってくると思いますが、ケーリー・グラントとイングリット・バーグマンの台詞や態度にきゅんとなってしまうのではないでしょうか。

加えて、鍵やワイン・ボトルなど小道具の見せ方も上手く、おしゃれです。この作品を観ずにヒッチコック作品を語るなかれ!というほどの傑作です!

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