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映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』の概要:1980年全米を騒がせた一卵性三つ子の奇跡の再会と発覚した真実を描く。本人たちと関係者へのインタビューを交えて事実を追っていく展開の一作。サンダンス映画祭審査員特別賞受賞作。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』の作品情報

まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)

製作年:2018年
上映時間:96分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:ティム・ウォードル
キャスト:ボビー・シャフラン、エディ・ギャラント、デビッド・ケルマン、ローレンス・ライト etc

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』の登場人物(キャスト)

ボビー・シャフラン
大学への進学を機に、自分には知らない兄弟がいるという事実と向き合った少年。車好きで育ての父親を尊敬している。
エディ・ギャラント
大学休学中に友人から連絡を受け、自分にそっくりなボビーと出会う。誰よりも平和な関係性を望む優しい青年。
デビッド・ケルマン
3番目に見つかった兄弟。新聞で自分にそっくりな双子の記事を見つけ、自ら名乗り出た。
ローレンス・ライト
子供の精神分析についての専門家で、問題となる実験の存在を世の明るみに出した男性。一卵性多胎児を引き離して生活させるという研究に誰よりも疑問を抱いている。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のあらすじ【起】

カメラの前に座る一人の男性は信じがたい経験をしたという。自分でも嘘のように感じるが、これから語られるのは「真実」である。彼の名前はボビー・シャフラン。1980年、大学に入学した時に転機を迎えたという。愛車の古いボルボを走らせ初めての土地に足を踏み入れた。誰も知り合いのいないはずの大学で、寮を探して歩いていると多くの学生に話しかけられたボビー。異常なほどに馴れ馴れしい歓迎をされたボビーは違和感を覚えた。誰もが「おかえり、エディ」と声をかけ、ボビーのことをエディだと思い込んでいたという。

次に語るのはエディの友人のマイケル・ドムニッツ。実はエディは休学中であった。ボビーを初めて見たとき、血の気が引くほど驚いたのを鮮明に覚えていた。誕生日を確認すると、エディとボビーは全く同じ日に生まれていた。マイケルは初対面ながら「君には双子の兄弟がいるはずだ」と急いでエディに連絡を取った。電話口のエディは声までも同じだった。あまりにも奇妙な現実に、ボビーは愛車に飛び乗りエディに会いに行った。気持ちばかりが先だったボビーはスピード違反で切符を切られるもいい思い出となり、初めてエディと顔を合わせたときを語る。まるで生き写しのような人間に対面した二人は「嘘だろ」と声を揃えたという。この奇跡のような話は一気に町中に広がり、地元紙に掲載された。奇跡はまだ続く。この地元紙を見た少年は友人のデビッドと同じ見た目、そして同じ手をした少年たちの写真に度肝を抜かれた。

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映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のあらすじ【承】

3人目の少年の名はデビッド・ケルマン。生まれた日にち、養子縁組の業者全てが合致する2人の少年の存在を知ったのである。すぐに新聞社に電話をしたデビッド。別々の人生を送っていた3人が揃う日はすぐにやってきた。誰の紹介もなく打ち解けた3人。この奇跡にメディアはお騒ぎ。多くの人の興味を駆り立てた。

3人は兄弟構成までも同じく、養子縁組で引き取られた同じ年の姉がいた。異なるのは家庭環境のみ。親同士の顔合わせの際に発覚したのは、どの両親も三つ子である事実を知らなかったこと。いずれの両親も使用した仲介業者はルイーズ・ワイズ。知らされていなかった事柄があることに憤慨した親たちは、ルイーズ・ワイズを訪ねた。そこで得られたのは「三つ子の養子縁組は難しいから」といううわ言の理由だけ。何か明確な理由があるはずだと、幾度となく両親たちは真実を追っていた。

連日メディアに追いかけられていた3人はスター気分。ニューヨークの街で遊び惚けていた。一緒に遊び、一緒に働き、デートも一緒だった。それぞれに恋人もでき、充実した日々を送っていた。3人ともに結婚し、子供にも恵まれた。なるべく家族同士で集まるようにしていたとある日、エディは「生みの親を探したい」と好奇心の赴くまま二人に話した。図書館に行けば出生記録が見つかるはずだと、探し始めて2時間。簡単に母親の名前を見つけ出せた。実際に母親に会ってみると、期待したようなロマンティックな展開にはならなかった。プロムの夜に勢い余って妊娠したというのだ。里子に出したことへの後悔は感じられず、飲むお酒の量で血筋だけは見受けられた。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』のあらすじ【転】

3人は実の母親との出来事はなかったかのように、レストランを開業した。順風満帆に見えた人生。妻たちはこのころから何かが変わり始めたと言う。

「子供の精神分析」について著書を持つジャーナリストのローレンス・ライトは、執筆のために調べ物をしている最中に一卵性多胎児をわざと違う家庭に養子縁組をするという実験の報告書を読んでしまった。当時話題になっていた三つ子のニュースを目にしていたローレンスはすぐに3人にアポイントを取った。

自分達は実験台だったと知った3人。確かに幼い時の記憶で、毎月見知らぬ大人からテストを受けていたことを思い出す。たくさんの質問と撮影。とても不快だった記憶は3人に通じるものだった。養子縁組の家庭全てに協力を依頼している、育成記録のためだと聞かされた両親たち。被験者は3つ子の彼らだけではないということをローレンスは掴んでいた。人生を操作されているような不快感が関係者たちを襲い始める。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』の結末・ラスト(ネタバレ)

実験の責任者はピーター・ヌーバウワー医師。精神科医としてニューヨークで成功を収めている医師であった。当時の話を聞いたことがあるという女性が証言を始める。ピーターはセクシーでハンサムな男性であったという。そんな彼が、養子に出される一卵性双生児を引き離し育ててみれば、人格を形成するのは遺伝か環境かということが実証できると言い出したというのだ。決して正当化すべきではない実験内容だが、当時の研究者たちに躊躇はなかった。

まだ全てを公表されてはいないこの実験について知ってから、3人の関係性が変わり始めた。同じ事業をしながらも揉め事が絶えなくなったというのだ。まず初めにボビーが二人の元を去った。争いごとを嫌うエディは、徐々に心を病み始め躁うつ病を患った。さらに研究の実態は明らかになる。実は、意図的に病歴のある親を選び子供たちを別々の家庭に送り込んだというのだ。それも遺伝の力を確かめるためであった。

バラバラになり始めた三つ子の人生は、エディの死を持って大きく変わる。ボビーはエディの異変に気づいていた。離れていても予測していたのだ。

ヌーバウワー医師の死後、目的も結果も不明のまま葬られている当実験。実験データは今や機密扱いとされおり、2066年までは閲覧不可だという。当時助手をしていた男性は倫理観よりも探究心が勝っていたと振り返る。しかし結果は彼もわからない。注目していたのは「親のしつけ」がもたらす発達への影響だという。確かに家庭環境が全く異なる3つの家庭で育った3人の個性は異なった。遺伝子による影響よりも、培った土台次第で人生は変えられるとボビーは言う。その後、ようやく開示された実験の資料。しかし結果の部分と被験者の情報はいまだ開示されていない。私たちの日常にも、見知らぬ兄弟と生き別れて過ごしている人がいるのかもしれない。

映画『まったく同じ3人の他人(同じ遺伝子の3人の他人)』の感想・評価・レビュー

この作品は、奇跡の再会を喜ぶものではない。悲劇の実験に知らぬうちに巻き込まれ、明るみになった事実に狂わされた男たちとその家族の人生を見守るものである。初対面でもすぐに打ち解ける三つ子。それは遺伝子レベルで理解し合っている証拠。微妙な価値観の違いは、環境によるもの。それを実証するためにDNAに勝負を仕掛けたこの実験は、決して許されるべきではないし、とてもつらい真実であった。軽快な前半から一気に色味を変える後半。人間の本質を見つめ直す一作である。(MIHOシネマ編集部)

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