石川一馬は母、妹、父の家族四人で暮らしていた。父は些細なことで怒り、家族に暴力を振るった。一馬は家族を傷つける父に耐えられず、殺めてしまう。出所後、一馬はスクラップ工場で働きながら、淡々とした日々を過ごしていた。
映画『鬼が笑う』の作品情報
- タイトル
- 鬼が笑う
- 原題
- なし
- 製作年
- 2021年
- 日本公開日
- 2022年6月17日(金)
- 上映時間
- 136分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 三野龍一
- 脚本
- 三野和比古
- プロデューサー
- 三野博幸
- 原案
- MINO Bros.
- キャスト
- 半田周平
梅田誠弘
岡田義徳
坂田聡
赤間麻里子
大谷麻衣
木ノ本嶺浩
ムーディ勝山 - 製作国
- 日本
- 配給
- MINO Bros.
映画『鬼が笑う』の作品概要
兄の三野龍一と弟の三野和比古による映画制作チーム「MINO Bros.」の長編映画第二作目。家族に暴力を振るう父を殺めた主人公が、葛藤を抱え苦悩しながら生きていく様子が描かれている。三野龍一が監督・編集・企画を、三野和比古が脚本・演出をそれぞれ担当した。「MINO Bros.」の処女作『老人ファーム』で映画初主演を果たした半田周平が主演を務め、梅田誠弘、岡田義徳、赤間麻里子、坂田聡、ムーディ勝山など、個性豊かなキャストが共演している。
映画『鬼が笑う』の予告動画
映画『鬼が笑う』の登場人物(キャスト)
- 石川一馬(大人:半田周平 / 青年:中藤契)
- 母、妹、父の四人で暮らしていた。家族に暴力を振るう父を殺めてしまう。刑期を終えた後、スクラップ工場で働き始める。
- 劉煒(梅田誠弘)
- 中国人労働者。スクラップ工場で、一馬と出会う。正義感が強く、困っている人を放っておけない。
映画『鬼が笑う』のあらすじ(ネタバレなし)
石川一馬は母・由紀子、妹・まどか、父・修造の四人で暮らしていた。一馬、由紀子、まどかの三人の仲は良く、一緒に居るときは楽しい時間を過ごしていた。しかし、修造は小さなことで癇癪を起し、家族に暴力を振るっていた。ある日、一馬は母達が傷つけられることに耐えられず、父を殺してしまう。
出所後、一馬は更生保護施設で暮らしながら、スクラップ工場で働き始めた。職場で殺人鬼と揶揄されても反論せず、淡々とした日々を過ごしていた。まどかは結婚し、実家を出た。一馬は一人で暮らす母の元へ足繁く通い、元気にさせようと明るく振る舞った。しかし、由紀子は父を殺した一馬を責め、拒絶した。
スクラップ工場で働く社員が、外国人労働者を執拗に虐めていた。虐めは常習化しており、周囲は止めようとはしなかった。だが、外国人労働者の劉煒は違った。劉は虐めを止めようと、社員に立ち向かった。一馬はそんな劉の姿に、感化される。
映画『鬼が笑う』の感想・評価
兄弟映画制作チーム「MINO Bros.」の新作映画
「MINO Bros.」は兄の三野龍一と弟の三野和比古で構成されている映画制作チームである。
2019年4月13日に「MINO Bros.」の処女作である映画『老人ファーム』が公開された。主演を務めたのは、本作と同じく俳優・半田周平。老人ホームで働き始めた主人公が仕事や日常生活でストレスを抱え、苦悩する様子が描かれている。「カナザワ映画祭2018 期待の新人監督部門・観客賞」や「日本芸術センター第9回映像グランプリ 審査員特別賞」など様々な賞を受賞しており、長編映画デビュー作ながらも高い評価を受けた。
『鬼が笑う』はそんな「MINO Bros.」制作の映画第二弾目となる。三野龍一が監督・編集・企画を、三野和比古が脚本・演出をそれぞれ担当した。
半田周平を始めバラエティ豊かなキャストが勢揃い
主演を務めたのは、映画『老人ファーム』で映画初主演デビューを果たした俳優・半田周平。映画や舞台で活躍しており、幅広い役を演じてきた実力派。最近では日本テレビ系列で放送された人気テレビドラマ『探偵が早すぎるスペシャル』(19)に出演していた。本作では、家族に暴力を振るう父を殺めてしまう青年・石川一馬を演じた。
主人公に大きな影響を与える中国人労働者・劉煒役は、俳優・梅田誠弘。映画『かぞくへ』(16)で準主演を務めた他、羽田圭介原作の小説を元に制作されたテレビドラマ『盗まれた顔 〜ミアタリ捜査班〜』(19)や内田英治監督&脚本映画『獣道』(17)などの作品に出演している。
その他、俳優・岡田義徳、女優・赤間麻里子、俳優・坂田聡、お笑いコンビ「ぱろぱろ」の和田昭也と大久保健、落語家・月亭太遊、お笑い芸人・ムーディ勝山など、バラエティ豊かなキャストが共演している。
罪を犯した青年の人生
主人公の石川一馬、母・由紀子、妹・まどかの仲は良く、一見するととても幸せな家庭に見える。しかし、父・修造は些細なことで激怒し、暴力を振るう人だった。一馬達はその暴力に苦しめられてきた。
一馬は暴力を振るう父を止めようとして、殺めてしまう。出所後、由紀子、まどかは罪を犯した一馬を責め、受け入れようとはしなかった。一馬は孤独な思いを抱えながら更生保護施設で暮らし、スクラップ工場で働き始めた。
淡々とした日々を過ごす中、外国人労働者の劉煒がスクラップ工場にやって来る。劉は正義感が強く、家族思いの優しい人物だった。一馬はそんな劉に感化され、生きる気力を取り戻していく。
ニュースでは放送されない、罪を犯した青年の壮絶な人生が描かれている。そんな主人公の姿に、観客達は色んな感情が揺さぶられるはずである。
映画『鬼が笑う』の公開前に見ておきたい映画
老人ファーム
三野龍一が監督を、三野和比古が脚本をそれぞれ担当した作品。半田周平の映画初主演作品で、老人ホームで働き始めた青年・和彦を演じた。蜷川幸雄演出の舞台にも出演していた女優・麻生瑛子、テレビドラマ、CM、映画とマルチな活躍を見せる女優・山田明奈、OLの成長を描いた映画『東京PRウーマン』(15)に出演した村上隆文など、個性豊かなキャストが脇を固めた。
和彦は母が病気を患ったことをきっかけに、実家へと戻った。和彦は老人ホームに面接に行き、無事に採用される。不慣れながらも一生懸命に働き、入居者達と交流を深めた。だが、管理責任者の後藤に、入居者に情を移さず必要以上のことをしないように注意されてしまう。母からは恋人の遥との関係を認めてもらえず、和彦はストレスを溜めていった。
詳細 老人ファーム
直子の部屋
半田周平が出演しており、主人公のバイト先の後輩・小林を演じた。東盛直道の長編映画初監督作品で、澄田尚幸が脚本を手掛けた。東盛直道監督はアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」で入選を果たした経歴を持つ。細井ゆめのが主演を務めており、29歳のフリーター・直子を演じた。
29歳、直子、フリーター。直子は家事が苦手な女子力ゼロの女性だった。ある日、昔の友人である浜名が、連絡もなく突然訪ねてくる。浜名は夫と喧嘩し、家出をしてきたのだった。直子は浜名を居候させることになった。その一方で、直子はバイトの後輩である小林から、自分が撮る映画に出演して欲しいと頼まれる。直子は驚きながらも、了承した。
詳細 直子の部屋
かぞくへ
梅田誠弘が出演しており、主人公の親友・洋人役を務めた。春本雄二郎の長編映画初監督作品。「第33回高崎映画祭・新進監督グランプリ」を始め、様々な賞を受賞している。
養護施設で育った旭は、現在ボクシングのトレーナーとして働いていた。恋人の佳織との結婚も決まり、幸せの絶頂にいた。ある日、旭は同じ養護施設で育った洋人に仕事を紹介する。しかし、取引相手の行方が分からなくなり、洋人が負債を負ってしまう。旭は自分のせいだと後悔し、佳織に結婚の延期を提案した。しかし、佳織は祖母の体調が良いうちに結婚したいと思っており、その提案を素直に受け入れることはできなかった。
詳細 かぞくへ
映画『鬼が笑う』の評判・口コミ・レビュー
#鬼が笑う 自己犠牲精神で家族を守った筈が社会は受け入れてくれない矛盾を抱えて生きている一馬。DV、差別等観ていて辛いシーンも多いが、それを是としない正義感その中で生まれる信頼関係、友情が救いとなる。
鬼とは誰か?そして一馬の取った最後の行動の是非は?
社会の断片に切り込んだ傑作! pic.twitter.com/tbi2hoYZWq— kazmas (@kazmas_0) June 19, 2022
映画『鬼が笑う』鑑賞
まるで地獄絵図の様な風景が繰り返される。
針山を裸足で歩かされるごとき苦痛。
ひたすら耐える主人公はまるで求道者の様に見えてくる。
まったく救いの無い世界。
ラストはハッピーエンドに思えた。
彼は懲りずにこの地獄を歩いてゆくのだろう。
多くの人に見てもらいたい。 pic.twitter.com/lzmlxCuboY— のりたま (@nori8654) June 18, 2022
鬼が笑う
繊細さが無いこの世の地獄が全てここにある。
「家族を護りたかった」それだけだった男に対する惨すぎる仕打ち。しかしこれこそが現実だと突きつけられる程救いがなく、本当に二度と見たくない傑作だった。
主演の半田周平さんが時折見せる優しげな笑顔だけが救いでしたよ。 pic.twitter.com/KKlWfeteam— かんD (@Nachi1776) June 17, 2022
映画「鬼が笑う」初日公開に行ってきました。
ズシンと響く映画です。
生きることは理不尽の連続だと言うことを肯定するかのような描写に、賛否両論在るようですが。
1本の映画を作るということに灌がれた、演者を含めスタッフ全員の熱量は確かに受け取りました。#鬼が笑う pic.twitter.com/v1HTxt0LKM— チャミオ (@Y_BigW) June 17, 2022
鬼が笑う
殺人を犯した八方塞がりな男の物語。一度でも道を外したものは普通には戻れない。
犯罪者や外国人を人として扱わない経営者は日本社会の縮図の様で辛かった。
唯一の心の拠り所だった友情も最悪の結末を迎え、徹頭徹尾救いの無い展開に気が滅入りそう。 pic.twitter.com/N07c9yDLFN— めんトリ依存症a.k.a.リカルド鈴木 (@racfc032) June 19, 2022
映画『鬼が笑う』のまとめ
兄の三野龍一と弟の三野和比古による映画制作チーム「MINO Bros.」。処女作『老人ファーム』は「さぬき映画祭」に正式招待され、様々な賞を受賞している。「MINO Bros.」は今業界内でも注目度No.1の制作チームだと言っても過言ではない。そんな彼らの長編映画第二作目となった本作は、殺人を犯した青年の壮絶な人生が描かれている。果たして主人公の人生を見たあなたは、一体どんな思いを抱くだろうか?
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