映画『俺はまだ本気出してないだけ』の概要:2013年公開の日本映画。原作は青野春秋の漫画で、フリーターのバツイチ中年男が一念発起して漫画家になる夢を叶えるためのあの手この手で人生を緩く生きようとするコメディ作品である。
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:105分
- ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:福田雄一
- キャスト:堤真一、橋本愛、生瀬勝久、山田孝之 etc
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『俺はまだ本気出してないだけ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 あらすじ【起・承】
大黒シズオ(堤真一)は42歳、バツイチで娘が1人。
先月まで務めていた会社を辞め、父親も同居しているアパートで昼間からゴロゴロしてTVゲームばかりしている。
そんな父親を穏やかに見守る娘の鈴子(橋本愛)。
ある日シズオは漫画家になると家族に宣言した。
そして慣れない技術を駆使しながら、徹夜で漫画を書き始める。
しかし突然の夢の宣言に、シズオの父親は反対した。
しかしシズオは簡単に考えていて、漫画家デビューを本気で目指し始める。
シズオの親友・宮田(生瀬勝久)は、シズオのあきれた夢を止めようとするが無駄に終わる。
シズオは漫画家になるまでファーストフード店でバイトを始めた。
年下の多い職場で馬鹿にされながらも、明るく乗り切るシズオだった。
そんなシズオの姿を見て同僚の新人バイト市野沢(山田孝之)はすぐに辞め、キャバクラのボーイになってしまう。
そんな生活をしながら中学館という編集社に書いた漫画を持ち込むシズオ。
それを応援しながら邪険にしないでいてくれる担当の編集者。
ずぶの素人の漫画を真剣に読んでくれる人の良い担当者に出会ったことで、勘違いも募らせていくシズオだった。
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 結末・ラスト(ネタバレ)
シズオに転機が訪れた。
応募した漫画が佳作に入選したのだ。
このことでさらに調子にのるシズオだった。
反して宮田は離婚した妻が再婚したと知り、人知れずショックを受けていた。
しかしこのことがきっかけとなりサラリーマンを辞めようと決める。
そしてパン屋になるのだとシズオ達に宣言した。
そこで市野沢に働かないかと聞き、彼は快諾した。
中学館に新作の原稿を持っていったシズオは、担当の編集者が辞めたことを知らされる。
シズオのように夢を見て、自由に生きている大人の男に勇気づけられたという手紙を残していた。
無理矢理担当者をつけられたシズオは、あえなく新作を没にされる。
ショックを受けたシズオは帰り道ヘルスに寄った。
そこで偶然娘の鈴子に遭遇してしまう。
無言で見つめ合う2人だったが、シズオは逃げるように店を出た。
猛スピードで自転車をこぐシズオは勢い余って歩道橋から転落、そのまま怪我をして搬送される。
迎えに来たスズコが留学資金のためにバイトをしていたと告白するも、何も言わずシズオは辞めろとだけ言った。
鈴子はおとなしく聞いた。
久しぶりにお父さんと呼んだ鈴子を見て、そろそろ本気出すかと心から思うのだった。
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『俺はまだ本気出してないだけ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
堤真一のおかげもあり、せいもあり
本作品は自由を手にいれたい中年男のロマンを描いた作品である。
作品事態は極めて緩く進み、物語性は一切無い。
一念発起で漫画家になろうとする、会社を辞めた怠惰な男の物語だ。
コメデイーかと言われるとコメデイーでもなく、割りと真剣な大人の様子も伺える。
しかしキャスティングを変えていたらもしかしたらもっと違う雰囲気の映画になっていたかもしれない。
堤真一は上手だ。
演技も嘘臭くなく、説得力がある。
内容が薄いちゃらんぽらん映画も、俳優によりきちっと締まり非常に良い。
だがもう少し軽めの俳優を起用していたらもっと笑い声がでるようなコメデイー作品になっていたかもしれない。
俳優としての重みが意外と真面目なものにしてしまっている可能性が高い。
しかし彼のおかげで「くだらないバカ映画」というイメージを印象づけないのも事実である。
堤真一をキャスティングしたことで良くもあり、悪くもあり。
どちらにしても結果は楽しかったので良である。
山田孝之・生瀬さんの演技が普通すぎる
生瀬さんと言えば俳優の中でも個性の強い演技がウリで、有名である。
顔芸とも言える強烈な演技は本当に面白い。
本作品では生瀬さんは親友役で出演している。
しかし堤真一がはじけた役どころだからか、割とおとなしく普通の演技にとどまっている。
堤真一も面白いのだが、生瀬さんが本気を出してしまうと霞んでしまうからだろう。
山田孝之においても同じ事が言える。
強烈な個性派を揃えておいて実力を発揮させないのは、宝の持ち腐れであるとも言えるのが残念なところだ。
張りつめて何かのきっかけで千切れそうな一本の線のような精神状態になっている時、この映画を見ると「ああ。なんか、安心した」と思える。
堤真一の駄目な親父の演技が上手い。思わず笑えたり、イライラしたりするほどだ。その為、家族にそんな人がいる人にて迷惑を被った人には、ただただイラつく映画になる。とはいえ自分は、勿論人に迷惑をかけるのは駄目だが、主人公の自由さにはあこがれもあるし、もうすこし肩の力を抜いてもいいかなと感じられた。
思いのほか考えさせられる映画だったので、福田監督の作品とは気づかなかった。(男性 30代)
シズオが夢中になって、至って真面目に夢を追いかけている姿や、優しい人に応援されて勘違いする姿を見ていると私まで「自分はまだ本気を出てないのでは…」なんて馬鹿なことを考えてしまいました。
ほとんどの人が、夢を諦めて安定した生活や収入のために夢とは異なる現実的な仕事をしているでしょう。しかし、何かきっかけがあって気持ちが吹っ切れたら、シズオのようにもう一度夢を追いかけてみようと思ってしまうかもしれません。
自分の好きなことをして、他人に迷惑をかけるのは良いことではありませんが、自分らしさとか自分に素直になることって意外と難しいのにとても大切なことなんだなと感じました。(女性 30代)
まずタイトルに惹かれます。序盤からの独特なノリに力が抜けました。そして、駄目なシズオを受け入れて鑑賞すると、面白さが倍増します。娘に金を無心するシーンは、流石に酷いと感じます。しかし、シズオの楽観主義は、魅力というよりもはや才能といえます。さらに、やる気はみなぎる程有り余るのに、実力は皆無なところが痛々しくて面白いです。たとえ上手くいかないとしても、何事にも本気で立ち向かった方が良いのだろうと、この作品から学びました。(女性 30代)
本作は、フリーターバツイチ中年男が一念発起して漫画家を目指す姿を福田雄一監督による漫画原作のコメディー作品。
主人公が本当の自分を探すために会社を辞めて、バイトではミスを連発し、同居人の父からは怒られるという生活をしながらも、夢に向かっていく姿に勇気を貰えた。
実際に自分や自分の親にはこうなってほしくはないと思いつつも、緩さが丁度よくて気軽に観れるところが良く、最後には親子愛も感じられる作品だった。(女性 20代)
映画『俺はまだ本気出してないだけ』 まとめ
内容の無さそうな軽めの日本映画、そんな作品である。
中年男が一念発起して漫画家になりたいと言い出す、緩くてほんわかした物語だ。
夢があり、面白いとは思うがいかにも最近の社会問題をテーマにしたような内容で、正直好みでは無い。
構成としてもあまり波も無く、淡々と進んでいくのもドラマティカルでなく好き嫌いも別れるだろう。
だが俳優は見所だ。
思いっきり何も考えていない中年男役の堤真一は面白い。
これだけ見られれば良いと思えるような演技も見せてくるので彼のファンは満足出来るはずである。
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