この記事では、映画『落ちこぼれの天使たち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『落ちこぼれの天使たち』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『落ちこぼれの天使たち』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ラモン・メネンデス
キャスト:エドワード・ジェームズ・オルモス、ルー・ダイアモンド・フィリップス、ロザンナ・デ・ソート、アンディ・ガルシア etc
映画『落ちこぼれの天使たち』の登場人物(キャスト)
- ハイメ・エスカランテ(エドワード・ジェームズ・オルモス)
- カリフォルニア州のガーフィールド高校に着任したばかりの数学教師。前職はコンピューター会社の社員。教師でも難しいとされる微積分の認定試験を生徒たちに受けさせようと、1年かけて無報酬の特別補習授業を行う。
- エンジェル(ルー・ダイアモンド・フィリップス)
- エスカランテの生徒。不良グループのワルだったが、エスカランテと出会い数学に夢中になる。家では祖母の面倒をよく見る優しい孫。長身で長髪。
- アナ(バネッサ・マルケス)
- エスカランテの生徒。成績優秀。父親が経営するレストランで働くため退学しようとしていたが、エスカランテが親を説得して教室に戻って来る。
- ラミレス(アンディ・ガルシア)
- 認定試験の審査委員。偏差値の低いガーフィールド高の試験結果が優秀であったため、不正があったと決め付けて合格を取り消そうとする。
映画『落ちこぼれの天使たち』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『落ちこぼれの天使たち』のあらすじ【起】
コンピューター会社を辞めて数学教師となったエスカランテは、ヒスパニック系と低所得労働者が多い地域にあるガーフィールド高校に着任する。彼が教室に入っても生徒たちは騒ぎ続けるため、まともな授業にならなかった。それでも彼は生徒たちに少しでも数学に興味を持ってもらうため、授業スタイルを工夫する。エプロン姿でリンゴを切り分けて、分数の授業を行った。
エスカランテはクラスの番長エンジェルの脅しに屈することなく、熱い授業で生徒の心を掴み始まる。お前たちにはゼロの概念を発見したマヤ人の血が流れているのだと勇気付け、数学の公式を全員に復唱させた。やがて教室には不思議な一体感が生まれる。しかし他の教員たちは、小学校6年生の学習レベルの生徒に何を教えても無駄だと勝手に決め付けた。
エンジェルは小テスト中に不良仲間に呼び出され、教室を出て行った。しかし後でこっそり、数学を勉強したいとエスカランテに相談する。他の生徒たちも確実に、数学に興味を持ち始めていた。

映画『落ちこぼれの天使たち』のあらすじ【承】
ルーペは教室ではワルっぽく振る舞うが、家では兄弟の面倒をよく見る優しい長女だった。家事が終わり勉強をしていると、遅くに帰宅した母に電気を消せと言われる。エンジェルは夜になると不良仲間と遊び歩いた。優等生のアナは、親が経営するレストランを手伝うため退学を決める。エスカランテはレストランに行き、親を説得。翌日、アナは高校に戻って来た。
エスカランテは生徒たちをコンピューター会社の見学に連れて行き、微積分の認定試験を受けさせることを思い付く。教師でも受かるのは難しいとされる試験だ。数学主任は失敗して生徒が傷付くことを懸念するが、エスカランテは反対を押し切り、日曜以外の毎日、特別補習授業を実施することを決めた。
夏休み中は教室が使えず、蒸し暑いロッカールームで授業を行った。生徒たちは暑さ対策でオレンジを食べて「涼しい」と連呼し、汗をかきながら授業を受けるのだった。
新学期。エスカランテは生徒たちに認定試験を受けるための契約書を書かせた。パンチョは工事の仕事で稼ぎたいとサインを拒むが、エスカランテは修理屋より設計士になれと説得。勉強ばかりで髪をとく時間もないと嘆くクローディアには、今のままで綺麗だと慰めた。
映画『落ちこぼれの天使たち』のあらすじ【転】
エンジェルは祖母の付き添いで病院に行き、授業に遅刻。エスカランテは遅刻を許さず、彼を教室から追い出してしまう。その夜、エンジェルは祖母を伴ってエスカランテ宅を訪問。孫が授業に戻りたがっていると祖母に言わせ、許してもらった。エンジェルには微分を学んで出世したいという野望があった。
夜間高校でも講師をしていたエスカランテは、心臓発作で倒れて入院する。認定試験まで2週間。安静にしなければならない体だったがエスカランテは病院を抜け出し、「俺は不死身だ!」と言って教室に登場。生徒たちは大喜びし、熱血授業が再開した。
認定試験を無事に終えた生徒たちは、海岸でひと泳ぎ。そして合格発表の日。結果は18人中18人全員が合格だった。生徒たちはエスカランテに感謝の気持ちを込めて、記念の盾をプレゼントした。
ところが後日、試験の実行委員であるラミレスが不正行為を疑い、合格の無効を検討しているとの連絡が入る。エンジェルはヤケクソになり、暴走運転でパトカーを挑発するなどワルに逆戻りしそうになったが、態度を改めて不良仲間と決別した。
映画『落ちこぼれの天使たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
ラミレス委員は生徒を集めて聴取を開始。エンジェルは郵便配達人から問題用紙を盗んで、死体はロッカーにあるぞ、などと言って委員をからかった。
エスカランテは子供たちが人間不信になることを心配した。その生徒たちはへこたれず、エスカランテの車を勝手に修理して訪問し、今後の作戦を立てようと持ち掛ける。
エスカランテはラミレス委員に面会に行き、不正を疑う理由を訪ねた。すると、誤答が少なくて高得点であることが問題なのだと言う。ヒスパニック系に対する偏見だと怒りを露わにするエスカランテ。試験は委員と生徒間の問題だと言われると、ルーペが直接委員に電話。再試験が行われることが決まった。
エスカランテの短期集中授業を経て、再試験の日。生徒たちは90分の制限時間より早く解答を終える。アナは大学の奨学金申請の用があるからと会場を退出した。採点はその日に行われ、18人全員が優秀な成績で合格する。エスカランテはガッツポーズをして歩いて行く。ガーフィールド高ではその後も、認定試験の合格者は年々増え続けていくのだった。
映画『落ちこぼれの天使たち』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
第4回インディペンデント・スピリット賞受賞作。荒廃した高校に型破りの教師が赴任し、生徒を変えていくという学園ドラマの見本となるような物語だ。物語に出てくる「認定試験」は、高校生に大学レベルの試験を受けさせる全国共通の早期履修プログラムで、大学入学が有利に働く試験のこと。
「あるアメリカ教師の話―No.1教師エスカランテの場合」という単行本が原作で、生徒たちが再試験を受けたのは実話である。それにしてもエスカランテのキャラは強烈だった。家庭の事情を抱えた生徒たちもそれぞれ個性的に描かれ、十分に感情移入できる。そうなるだろうなと分かっていても、見終わった後にスカっとして笑顔になれる映画だった。(MIHOシネマ編集部)
社会的に厳しい環境にいる生徒たちが、教師の情熱によって変わっていく姿に心を打たれました。ハイメ・エスカランテ先生の「君たちはできる」という信念が、彼らの可能性を引き出していく展開は、教師を目指す自分にとっても大きな刺激になりました。終盤、彼らの実力を疑われても再試験で見事に実力を証明する場面は、本当に感動的でした。(20代 男性)
現実に基づいた物語だからこそ、心にずっしりと残りました。高校で“落ちこぼれ”とされていた生徒たちが、ひとりの教師の本気と愛情に触れ、自らの価値に気づいていく過程が涙なしには見られません。とくに、生徒たちが再試験に臨む姿勢が変わっていたのには胸が熱くなりました。人間は、信じられることで変われるんだと実感。(40代 女性)
生徒のポテンシャルを信じ抜く先生と、それに応えていく生徒たちの関係が素晴らしい。先生の熱量が、学ぶ意味すら見失っていた生徒の心を少しずつ動かしていく流れがリアルで、教育の力って本当にあるんだと感動しました。再試験のシーンは特に胸が熱くなり、静かながら強い希望を感じる映画でした。(30代 男性)
教育現場の現実をリアルに描いていて、決して理想論で終わらせないところがよかったです。エスカランテ先生が一人ひとりに向き合って、生徒の中にある可能性を信じ続ける姿勢は、本物の愛情と覚悟があってこそ。生徒たちが誤解され、再試験で見事に自らの力を証明したシーンには拍手を送りたくなりました。(50代 女性)
メキシコ系アメリカ人の若者たちの現実に切り込んだ、社会的にも重要な作品。先生の信念と情熱が“希望”として描かれていて、ただの美談ではない力強さを感じました。特に、テストで高得点を出した生徒たちが「カンニングしたのでは」と疑われた場面は、差別と偏見の壁の厚さを実感。だからこそ、再試験のラストに救われた気持ちになりました。(20代 女性)
「人は学べる」と言い切ったエスカランテ先生の言葉に涙が止まりませんでした。家庭環境も治安も悪い中で、誰からも期待されていなかった生徒たちに“本気で期待する”ことがどれほど大きな影響を与えるのか、そのプロセスが丁寧に描かれていて胸を打たれました。自分自身も「まだ間に合う」と勇気をもらえた作品です。(30代 女性)
エスカランテ先生の熱量が生徒たちを巻き込んでいく様子が、スポーツ映画以上に熱く感じました。中でも、ギャング気質の生徒が数式に向き合い、最後には難関のAP試験に合格する展開には、思わずガッツポーズしてしまうほど。社会にレッテルを貼られた子どもたちにも未来があるという、強いメッセージを感じました。(40代 男性)
教師としての「本気」とは何かを突きつけられたような映画でした。エスカランテ先生が自らの時間とエネルギーをすべて生徒に捧げたことにより、周囲も変わり、生徒たち自身も変わっていく。こんな教育者に出会えたら、人生が変わるのも当然だと思いました。教育関係者すべてに観てほしい一本です。(50代 男性)
学びの喜びを教えてくれる映画でした。数学を“生きるための武器”として教えるエスカランテ先生の言葉が深く、実際に生徒たちが変化していく様子にもリアリティがありました。疑惑と偏見に立ち向かい、自らの実力で結果を出す生徒たちの姿には心打たれました。現代の教育にも通じるテーマが詰まっています。(20代 女性)
映画『落ちこぼれの天使たち』を見た人におすすめの映画5選
グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
この映画を一言で表すと?
才能を持ちながらも心を閉ざした青年が、愛と導きによって未来へ踏み出す感動作。
どんな話?
天才的な数学の才能を持つも、過去のトラウマと貧困から心を閉ざしていた青年ウィルが、心理学者との出会いを通して自分と向き合い、未来に向かって成長していく物語。知性と心のドラマが融合した傑作です。
ここがおすすめ!
『落ちこぼれの天使たち』と同様に、教育や人間の可能性を信じる力が描かれています。知識だけでは解決できない“心の問題”に焦点を当てていて、観るたびに新しい気づきと温かさを得られる名作です。
危険な街の教師(原題:Dangerous Minds)
この映画を一言で表すと?
教育が希望を生む、実話に基づくリアルな学園ドラマ。
どんな話?
元海兵隊員の女性教師が、荒れた地域の高校で不良と呼ばれる生徒たちに本気で向き合い、信頼を築いていく。詩や文学を使って彼らの心を開かせ、教育の力で未来を変えていく実話に基づいたストーリー。
ここがおすすめ!
『落ちこぼれの天使たち』と同じく、教師の情熱と信念が生徒たちの運命を変えていく感動的な展開。ミシェル・ファイファーの真っ直ぐな演技が心に響き、「信じる力」を改めて実感できる一本です。
フリーダム・ライターズ
この映画を一言で表すと?
言葉が壁を越える、教師と生徒のリアルな奇跡の記録。
どんな話?
ロサンゼルスの荒れた高校に赴任した新任教師が、生徒たちの過去や傷を理解しようと奔走する中で、日記を書かせることで心の扉を開かせていく。教育と共感が生んだ実際のエピソードに基づく物語。
ここがおすすめ!
教育現場のリアルと希望を描いた感動作。『落ちこぼれの天使たち』と同じく、生徒たちの可能性を信じ抜く姿勢に胸を打たれます。困難な状況に置かれた若者たちが変わっていく姿は涙必至です。
スクール・オブ・ロック
この映画を一言で表すと?
型破りな先生が、子どもたちの才能を音楽で開花させる熱血エンタメ。
どんな話?
売れないロックミュージシャンが、ひょんなことから名門校の代理教師になり、クラシック漬けの優等生たちにロックを教えてバンドを結成。音楽を通して自分らしさを見つけていく子どもたちの成長を描く。
ここがおすすめ!
『落ちこぼれの天使たち』の“教える側の情熱”を、コミカルでパワフルに描いた一作。型破りなアプローチでも、生徒の内にある可能性を信じて導く姿勢は共通しています。明るく前向きになれる感動作です。
42 ~世界を変えた男~
この映画を一言で表すと?
人種差別と戦いながら自分の道を切り開いた伝説の選手の実話。
どんな話?
メジャーリーグ初の黒人選手として名を刻んだジャッキー・ロビンソンの軌跡を描く。数々の偏見や差別に直面しながらも、圧倒的な努力と信念で歴史を変えていった男の姿を丁寧に描いた伝記映画。
ここがおすすめ!
“逆境の中で信じられるものがあるか”というテーマが、『落ちこぼれの天使たち』と強く共鳴します。教育ではなくスポーツを通じての挑戦ですが、信念と人間性の力に心揺さぶられる作品です。
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