映画『男はつらいよ 知床慕情』の概要:「男はつらいよ」シリーズ第38作目。知床の美しい自然を舞台に、寅さんとマドンナ竹下景子の恋に加えて、三船敏郎と淡路恵子という渋いカップルの恋愛模様が描かれる。この作品で三船敏郎と淡路恵子は日本アカデミー賞優秀助演男優賞と優秀助演女優賞をそれぞれ受賞した。1987年公開の日本映画。
映画『男はつらいよ 知床慕情』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:山田洋次
キャスト:渥美清、倍賞千恵子、竹下景子、三船敏郎 etc
映画『男はつらいよ 知床慕情』の登場人物(キャスト)
- 車寅次郎(渥美清)
- 通称寅さん 生まれも育ちも東京は葛飾柴又。一匹狼のテキ屋として日本全国を渡り歩く旅がらす。「とらや」の跡取りだがどうしても地道な暮らしができなくて、育ての親のおいちゃん、おばちゃん、妹のさくらを悩ませる。欲のない気持ちの優しい男。
- 上野りん子(竹下景子)
- 北海道の知床出身。父親の反対を押し切り5年前に駆け落ち同然で結婚して東京で暮らしていたが、離婚して知床へ帰ってくる。地元の仲間たちのマドンナ的存在。
- 上野順吉(三船敏郎)
- りん子の父。知床で家畜専門の獣医をしている。10年前に妻と死別し、現在は悦子に惚れているが手も握れない。頑固な偏屈オヤジで、地元の人たちからも恐れられている。
- 悦子(淡路恵子)
- 知床でスナック「はまなす」の雇われママをしている。常連客から“母さん”と呼ばれて慕われている。順吉の身の回りの世話をしており、りん子にとっても母親のような存在。
映画『男はつらいよ 知床慕情』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『男はつらいよ 知床慕情』のあらすじ【起】
初夏。帝釈天参道にあるだんご屋の「とらや」では、主人のおいちゃんが風邪を拗らせて入院し、店を臨時休業していた。しかしいつまでも店を閉めているわけにもいかず、姪のさくらは明日から店を開けようかと考えていた。そこへひょっこり寅さんが帰ってくる。
事情を聞いてすぐにおいちゃんの見舞いに駆けつけた寅さんは、心づけのウイスキーを渡そうとして院長を怒らせてしまい、おいちゃんやおばちゃんを困らせる。病院から帰って来たおばちゃんを囲んでさくらたちが明日からの段取りを相談していると、寅さんは“跡取りの自分になぜ相談しないのか”と言って拗ねてしまう。みんなは寅さんに気を使い、明日から寅さんにも店を手伝ってもらうことにする。
しかし予想通り寅さんはすぐに退屈して仕事を放棄。昼過ぎにはどこかへ行ってしまう。おばちゃんは寅さんの頼りなさに嫌気がさし、店をやめると言い出す。さくらたちがなだめておばちゃんは落ち着いたが、密かにその話を聞いていた寅さんはこっそり旅に出ようとする。それに気づいて駅まで見送りに来たさくらに叱られ、甥の満男にまで“反省しろよ”と言われて、寅さんはブツブツ文句を言いながら旅立って行く。
映画『男はつらいよ 知床慕情』のあらすじ【承】
それからしばらくしておいちゃんも退院し、とらやでは日常が戻りつつあった。北海道で商売をしていた寅さんはテレビの生放送でインタビューを受け、東京のおいちゃんたちに向かって“反省している”とメッセージを送る。偶然それを見ていたとらやの一同は、呑気な寅さんに頭を抱えるのだった。
そのまま知床へ来た寅さんは町外れで獣医の上野順吉の車に乗せてもらう。順吉は地元でも有名な偏屈オヤジだったがなぜか寅さんのことを気に入り、自宅へ招き入れる。順吉が仕事へ出かけることになり、寅さんは順吉の身の回りの世話をしている悦子の店へ飲みに行く。悦子が雇われママをしているスナック「はまなす」の常連客たちは、あの順吉が寅さんを家に泊めることに驚く。船長を始めとする常連客たちは面白い寅さんをすっかり気に入る。
翌朝。順吉に東京で結婚した娘のりん子から“今斜里駅にいる”という電話が入る。順吉はりん子の結婚に反対し、駆け落ち同然で家を出たりん子とは5年も会っていなかった。事情を聞いた寅さんは絶対に怒ったりするなと忠告するが、順吉は帰って来たりん子にいきなり“何しに帰って来た”と言ってしまう。りん子は泣き出してしまうが、寅さんのおかげでその場の空気も和み、順吉は心から寅さんがいてくれて良かったと思うのだった。寅さんは美人のりん子に一目惚れしていた。
映画『男はつらいよ 知床慕情』のあらすじ【転】
その夜。順吉は上機嫌で寅さんとお酒を飲んでいた。そこへりん子のために悦子と船長がご馳走を持ってやってくる。そこでりん子は3ヶ月前に離婚したことを打ち明ける。再び順吉は怒り出し、りん子を泣かせてしまうが、悦子や寅さんに助けられその場は収まる。
地元の仲間たちはりん子が東京でそんな苦労をしていたことに胸を痛め、傷ついたりん子を優しく迎えてくれる。寅さんも一緒になってあちこちへ連れ出してもらい、寅さんは知床での日々を満喫する。その楽しい日々の様子を書き記した手紙がとらやへ届く。手紙の終わりには“土産の昆布は東京へ行くりん子さんに預けた”とあった。とらやの一同は、どうやら寅さんがこのりん子という女性に恋をしているのだろうと推測する。
りん子はアパートを引き払うため東京へやって来た。とらやを訪ねてきたりん子をさくらたちは歓迎する。りん子は寅さんのことをとても好意的に見てくれていた。翌日、りん子は知床へと帰る。
オーナーが「はまなす」を閉めることになり、悦子は故郷の新潟へ帰る決意をしたと順吉だけに告げる。順吉はただむっつりと黙っていた。
映画『男はつらいよ 知床慕情』の結末・ラスト(ネタバレ)
船長をリーダーとする「知床の自然を守る会」の仲間たちは灯台の原っぱでりん子と寅さんの歓迎会を開く。そこに珍しく順吉も顔を出す。船長の挨拶の後、賑やかな宴会が始まる。しかし悦子がこの夏いっぱいで店を辞めて新潟へ帰ることを告白し、みんなはしんみりとしてしまう。悦子は順吉には仕方ないと言われたと言うが、順吉はそんなことは言ってないと反発する。“行っちゃいかん、俺が許さん”と言い出した順吉に、寅さんは“反対する理由を言ってみろ”とハッパをかける。意を決した順吉は悦子の前へ進み出て“反対するのは、俺が惚れてるからだ”とみんなの前で告白する。悦子は感激して泣き出し、一同は大喜びで2人を祝福する。
その日は大宴会となり、一同は「はまなす」で飲み明かしていた。寅さんは宴会を途中で抜け出して、りん子のところへ行く。寅さんはりん子の複雑な心情を察してくれていた。りん子は寅さんの優しい気遣いに感謝し、また宴会の場へ帰っていく寅さんを名残惜しそうに見送る。
翌朝。りん子は寅さんからの別れの手紙を読んで驚く。船長に“りん子ちゃんに惚れてるんじゃねえのか”と言われて寅さんが怒り出し、そのまま旅立ってしまったらしい。りん子は寅さんとの突然の別れにショックを受ける。
夏。東京で仕事が見つかったりん子は再び上京して、とらやを訪ねる。順吉と悦子が無事に結婚することになり、りん子も東京で人生をやり直そうとしていた。その頃寅さんは長良川のお祭りで仕事仲間のポンシュウと元気に商売をしていた。
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