映画『オキシジェン』の概要:突如、医療ポッドの中で目覚めた主人公。混乱する中、医療ポッドに異常が発生し酸素残量が少ないことが判明。彼女はフラッシュバックにて徐々に蘇る記憶を頼りに危機から脱するため、AIと共に奮闘する。
映画『オキシジェン』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:アレクサンドル・アジャ
キャスト:メラニー・ロラン、マチュー・アマルリック、マリック・ジディ etc
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映画『オキシジェン』の登場人物(キャスト)
- リズ(メラニー・ロラン)
- 生物工学者エリザベッド博士のクローン。生体名はオミクロン267。エリザベッドの記憶を細部に渡って移植されている。実年齢は12歳。記憶の混乱により、非常に感情的で冷静さを欠いた行動が多い。
- ミロ(マチュー・アマルリック)
- オミクロン船団の医療インターフェースのAIオペレーター。男性の声で冷静沈着。主にオミクロンの生体管理を行っている。
映画『オキシジェン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『オキシジェン』のあらすじ【起】
生命維持装置に繋がれ、布のような素材に厳重に包まれ突如、目が覚めた女性。彼女は惑乱しながら拘束から逃れようともがく。そこへ唐突にインターフェースが起動。AIは医療インターフェース、オペレーターのミロと名乗った。どうしてこのような状態になっていたのか、分からない女性。ミロの経過報告によると、障害を感知し加熱したプロセッサが酸素を消耗したため、極低温保存を中断したのだと言う。
女性の脳裏にフラッシュバックする映像は、寸前の記憶なのか病院へ運び込まれるものだった。女性は助けを求めて叫んだものの、ポッドから出ることはできない。抗えば抗うほど酸素を消耗する。ポッドに入っているということは病気なのだろう。ポッドの外でモニタリングしている者がいるはずだ。
ミロは故障通知を即座に送信していたが、返信はないらしい。女性は閉所恐怖症なのか、酷く焦った様子だ。彼女は浮かぶ記憶を思い出し、自分が誰なのかミロに問うた。ミロは、患者識別名はオミクロン267で生物体だと言う。自分の姿を目にした彼女は、ようやく落ち着きを取り戻したが、酸素残量は着々と減っている。彼女は自分の診断情報を見ることにしたが、これと言った情報は入手できず。女性はポッドから出してもらうようミロに頼み込んだが、管理者の認証コードが必要であるため、出ることはできなかった。記憶がないのだから知るはずがない。
そこで女性は、外部と通信を取ることに。警察に通報し医療ポッドに閉じ込められ、記憶がないと伝えたが、発信先が特定できないと言われる。オペレーターは親身になって助けようとしてくれたが、途中で通信が途絶してしまうのだった。
女性は次に自分のDNAの分析をしてみる。すると、生物工学者のエリザベッド博士のデータが出てきた。オミクロン267を作ったのは彼女らしい。女性は記憶を探りかつて自分がリズと呼ばれていたことを思い出す。その直後、轟音が鳴りはっとしたリズ。助けを叫んだが、誰も来ない。
そこへ通信が入る。科学技術部の警部からだった。酸素残量の消費時間を計算すると、短くて43分ほどしかない。しかも、リズが入っているポッドは3年前に廃棄されたものだった。故に居場所を特定することは難しいらしい。ミロによると身体的な問題はないらしいが、精神的に大混乱中であるリズ。警部はどうにかして場所を特定すると言ってくれたが、通信はまたも途絶。かけ直しても繋がらなかった。
映画『オキシジェン』のあらすじ【承】
困惑して感情の高ぶりを鎮められないリズは、喚くあまりに酸素を更に消費。ミロはこのままでは生命維持が危うくなると判断し、強制的に鎮静剤を投与しようとする。リズは必死になってそれに抗い、注射器を破壊してしまった。そこで、ミロは換気装置を使って鎮静剤を噴霧。薬が効いたリズはぼんやりしてしまったが、そのせいで酸素量が23%に減少してしまう。
脳裏にフラッシュバックする記憶は、自然の森や海、そして夫と思われる男性の姿。落ち着きを取り戻したリズは、自分を知っていて助けてくれそうな人物を検索。記事やSNSを閲覧したリズはエリザベッドが研究者で、夫も同じ研究者であったことを知る。知ったことで夫の名前を思い出した。
夫に連絡を入れたが、連絡に出た相手は拒絶。その後も何度も電話したが、二度と電話には出なかった。次にリズは足の拘束を外すことに成功。彼女はポッド内を探り実験用マウスが突然、飛び出して来るという幻覚を見る。更にポッド内を探り続け、心拍が上がったことでミロが鎮静剤を打つか聞いてくる。リズは了承し、現れた注射器を奪った。そこから更にポッド内からの脱出を試みたが、機器を破損したとしてミロから罰として電気ショックを与えられる。
自分はもう死ぬのだと嘆いたリズだったが、そこへ警部から連絡が入る。ポッドの製造会社、クリオザリド社へ来たと言う。リズは孤独による精神症になっているのだと言われ、正気を保つために自身を傷つけた。このことにより、夫との間に子供を儲けようとしていた記憶を思い出す。
警部にそのことを伝えたが、エリザベッドには既婚歴がないらしい。しかも夫について検索したが、データが1件も出て来ない。しかも、エリザベッドを検索しても夫と共にいる画像が1枚もなかった。何かがおかしい。警部はクリオザリド社でポッドの認証コードを探しているが、経歴と記憶との誤差が酷い。そうしている間に通信は再び途絶してしまった。
記憶が再び脳裏を巡る。夫は何かの病を得て病院へ搬送された。リズは着信を拒否し、警部との会話ログを聞き直し、警部が誰かと話していた言葉を聞き取る。再び着信が入ったため、リズは話をすることに。相手は女性だったが、夫はすでに亡くなったらしい。彼女は認証コードを明かしポッドから出るなと警告。リズは認証コードでポッドの開錠を行った。ところが、外へ出たらリズは死んでしまうらしい。
映画『オキシジェン』のあらすじ【転】
女性の警告を無視してポッドを開錠したリズ。すると突如、無重力状態となった。女性曰くリズが今いる場所は、地球から遠く離れた宇宙らしい。リズは任務のために冷凍睡眠で移動中だったが、何らかの障害が発生したため、睡眠から覚醒してしまった。再び冷凍睡眠させることはできると言う。任務は地球から14光年離れた惑星ウォルフ1061への移住だった。
だが、出発したばかりで輸送機も核パルス推進にも移行していない。その段階での異常発生であった。人類はあと2世代で滅亡することが判明したため、軍事作戦により移住計画が立てられたのである。これは極秘任務であったため、政府は通報により記憶が曖昧なリズから情報が洩れることを危惧したのだった。
酸素残量は12%。女性は世界中にウイルスが広がり、夫も感染したと言う。実在はしたが、すでに亡くなっている。リズは12年前に冷凍睡眠へと入っていたらしい。女性はあと10分ほどで通信圏外へ出てしまうと焦っている。彼女は一人で死ぬか、自分を信じて問題に対処するか選択を迫った。
リズは相手を信じて、問題に対処することにした。異常が発生したのは、脳委縮を防止するシステム。女性は優先度の低いシステムの機能を移行しろと言う。ところが、そこへ何者かが女性へと迫る。女性は蘇生に必要な酸素残量を最低ラインの2%以上を残して、必ず冷凍睡眠へ戻れと言う。そして、記憶を思い出せと何度も続けて通信が途切れた。
記憶の中に鍵がある。女性は記憶の中の夫を見つけろと言っていた。エリザベッドは自分である。ひとまず優先度の低いプログラムを抜粋することに。だが、どうしたらいいのか全く分からない。そこで、彼女は痛みによって記憶を取り戻すことにした。
電気ショックを何度も受け、夫が亡くなった時の記憶を思い出す。そして、生存方法の模索を行う。次にポッドを開錠しようと思ったが、寸前で中止。そこで、オミクロンが他にもあるかどうかを確認。多くのポッドが周辺にいるらしい。リズはポッドから外の様子を窺い、地球の姿を目にした。彼女は多くのオミクロンの1体。433基のオミクロンがすでに何らかの理由で命を落としていたが、自分を含めまだ9000体以上のオミクロンが正常に生存しているようだ。
オミクロン267のリズのポッドは故障中。故障ポッドで覚醒したのは彼女だけだった。オミクロンには男性体もある。恐らく夫のクローンもあるはずだ。彼女は記憶を巡り、オミクロン42夫のクローンであることを突き止め正常に稼働中であり、彼の顔を見ることに成功。そこから更にエリザベッドを検索し、博士がオミクロンに記憶の移植を行っていたことが分かる。
映画『オキシジェン』の結末・ラスト(ネタバレ)
エリザベッドの研究発表を目にし、リズが記憶の移植が施されたクローンあることが分かった。彼女の実年齢は12歳。つまり、通信をくれたのは本物のエリザベッドだったのである。リズ達クローンは惑星での繁殖用として作られた人間だった。
ショックを受けたリズは泣き叫び酸素残量を減らす。そこで彼女は夫のクローンであるオミクロン42に宛てて、音声メッセージを録音。そうして、生き残るために奮起し、優先度の低いシステムを抜粋しようとしたが、ここにきて残量が3%となり安楽死プロトコルが発動。リズは慌ててへその緒の輪と静脈注射の管を引き抜いた。
システムの発動が解除され、ひとまずは助かる。それから、プロトコルを停止。次に冷凍睡眠へ戻ろうとしたが、へその輪の接続と静脈の接続、脳活動モニターの接続がないため、冷凍睡眠には移行できないと言う。更に酸素が欠乏しているため、幻覚が見え始める。
酸素残量は2%。いよいよ後がない。リズは静脈の接続とへその輪の接続を行い、脳活動モニターを接続。ところが、ここで酸素残量が1%を切ってしまう。蘇生にはとても足りない。リズはもう無理なのだと諦め、目を閉じようとした。
そこで、ふと思い出す。すでに亡くなった他のポッドには酸素があるのではないかと。ミロにそれを提案したが、覚醒した状態では難しいとの返答。処理を行うように告げ、リズは冷凍睡眠に戻ることにした。これより核パルスに移行し、船団は34年をかけて惑星へ向かう。そして、彼女は眠りに入る直前、オミクロン267の名称をリズに変更した。
34年後、船団は惑星へ到達。リズと夫は無事に蘇生できたのであった。
映画『オキシジェン』の感想・評価・レビュー
死のウイルスが蔓延し、人類滅亡の危機が迫った地球で、人間達は科学を駆使しクローンを作り出す。そして、別の惑星へ移住し人類の種を継続させようとする。その過程で起こった1つの事件を描いた作品。
主人公はクローン開発と記憶の移植を成功させた偉大なる科学者のクローン。完全なる記憶を移植されてはいるが、医療ポッドの故障により記憶障害に陥る。自分が置かれた状況に終始、大混乱して泣き喚いてばかりいるというのが、正直な感想。きっとやればできるはずなのに、感情的になって無暗に酸素残量を減らしてばかりいる。ミロという素晴らしいAIがあるのだから、もっと情報は入手できたのではないか。非常にもどかしい思いをしたが、設定や構成、演出はなかなかに面白かった。(MIHOシネマ編集部)
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