映画『みんな元気(2009)』の概要:1990年に公開された同名イタリア映画のアメリカ版リメイク作。日本では劇場未公開。妻に先立たれた父親。4人の子供たちが帰省することを唯一の楽しみにしていたが、誰一人帰ってこられないと知り、自ら会いに旅をする。
映画『みんな元気』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:カーク・ジョーンズ
キャスト:ロバート・デ・ニーロ、ドリュー・バリモア、ケイト・ベッキンセイル、サム・ロックウェル etc
映画『みんな元気』の登場人物(キャスト)
- フランク(ロバート・デ・ニーロ)
- 長年連れ添った妻に先立たれ、子供たちの帰省を心待ちにしていた男性。重い心臓病を患っている。帰省できない子供たちに代わり、自ら会いに出向く旅に出る決意をする。
- ロージー(ドリュー・バリモア)
- フランク一家の長女。ラスベガスでダンサーとして成功を掴んでいる。両親に心配をかけないように、自分の恋愛については明かせずにいた。
- エイミー(ケイト・ベッキンセイル)
- フランク一家の二女。ニューヨークで広告代理店に勤めているキャリアウーマン。夫の浮気を知りながら、何とか家族のバランスを保とうとしていた。フランクには心を許すパートナーを紹介しようとする。
- ロバート(サム・ロックウェル)
- フランク一家の長男。幼い頃から音楽を続け、オーケストラの一員として活動しているが夢見ていたものとは程遠い生活を送っている。うだつの上がらない日々の悩みをフランクには打ち明けられずにいる。
- デイヴィッド(オースティン・リシ)
- 画家として成功することを夢見ていたフランク一家の末っ子。フランクからのプレッシャーと闘い続けていた。母親を亡くし、旅に出た先で命を落とす。
映画『みんな元気』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『みんな元気』のあらすじ【起】
広い庭を一人せかせかと手入れするフランク。花や木が映えるように隅々までぬかりなく準備をするのは、自立した4人の子供たちの帰省が近づいていたからである。
妻に先立たれ、一人きりになってしまったフランク。広い自宅での時間は孤独だった。子供たちが帰省し、家族が揃う日を何より心待ちにしていたフランクはスーパーに出向きバーベキュー用に良い材料やワインを買い込む。庭に置くためにグリルも買った。
帰省予定の金曜日を間近に、長男のロバートから仕事の都合が悪くなったと連絡が入る。ロバートは音楽家である。次に長女・ロージーからも帰省できないという留守電メッセージが残されていた。ロージーは妻の葬式以来、顔を見せていない。最後に末娘・エイミーは孫のジャックが高熱を出したという理由で変えることができないと連絡をしてきた。エイミーは次男・デイヴィッドも仕事の都合がつかないと伝言を残した。
落胆したフランクだが、逆に自分が子供たちの元を訪ねようと決める。主治医はフランクの心臓病を気にかけ、旅をすることは止めるがフランクの気持ちは固かった。
子供たちとの連絡は全て妻が担っていた。妻亡き今、フランクは関係を絶やさないために動き出した。
映画『みんな元気』のあらすじ【承】
フランクの旅の始まりはデイヴィッドに会うため、ニューヨークへ向かうことだった。一人で電車に乗り込んだフランクは向かいに居合わせた女性に仕事や家族の話を聞かせる。子供たちの成功は自分のおかげだと誇らしげに語ったのだった。
デイヴィッドが住むアパートの前に到着したフランク。しかし、いくら待ってもロバートは帰らない。近場のカフェに立ち寄り、居合わせた老人と話しながら夜を明かした。
翌日、アパートの住人に入れてもらい、デイヴィッドの部屋をノックするが返答はなかった。「驚かそうとしたけれど留守だった」と追加でメモを残し、あらかじめ用意していた手紙をドアの隙間に挟んで立ち去るのだった。
次に、エイミーの元を訪ねたフランク。驚くエイミーをよそに、フランクはジャックとパターゴルフをして過ごす。エイミーの夫・ジェフとジャックの関係は険悪であった。2日ほど一緒に過ごすつもりだったが、エイミーは仕事を都合に断ってしまう。
次にロバートを訪ねるというフランクの予定を聞きつけ、エイミーはすぐに連絡をとった。
実は子供たちはデイヴィッドのことでフランクには言えない秘密を抱えていた。
映画『みんな元気』のあらすじ【転】
ロバートの都合がつかないと知ったエイミーは、フランクを職場へ連れていった。カメラを持参していたフランクは至る所で記念撮影を欠かさない。妻に報告するつもりなのである。
エイミーに手紙を渡したフランクは「幸せかい?」と尋ねる。繕った笑顔で「当然」と答えたエイミーだが、本音は違う。すぐにロージーと連絡を取り、デイヴィッドの様子を伺うのだった。
ロバートが所属するオーケストラの練習場所に向かったフランク。妻から指揮者だと聞いていたが、ロバートは打楽器を担当していた。音楽家としてくすぶっていたロバートもまた、2日ほど一緒に過ごしたいというフランクの願いを聞き入れることはできなかった。
ロバートにも「幸せか?」と尋ねるフランク。恋人とも別れ、現状に納得のいっていないロバートは煮え切らない表情で「もちろん」と答える。フランクがバスのチケットを買っている隙に、ロージーとデイヴィッドについてどう説明するか打ち合わせをするのだった。
デイヴィッドに連絡を重ねるフランク。しかし、その頃にはデイヴィッドの部屋はもぬけの殻であった。
フランクは時計の調節を失敗し、ラスベガス行きの最終バスを乗り過ごしてしまった。トラック運転手の女性に助けてもらい夜行列車を目指すが、地下道で薬物中毒の青年に襲われ大事な心臓病の薬を失ってしまった。
映画『みんな元気』の結末・ラスト(ネタバレ)
なんとかロージーと会うことができたフランク。ダンサーとして成功を掴んだロージーは豪華な自宅にフランクを招くが、別れた恋人に部屋を返すよう急かされていることを隠していた。
薬が無くなったフランクは帰宅することに決めた。最後の夜、フランクはロージーとゆっくりと食事をする。「よき父親」を目指していたフランクだったが、子供たちからすると厳しい父親の存在は「プレッシャー」でしかなかったと知る。
手紙を渡され、笑顔でフランクを見送ったロージー。フランクは帰りの飛行機で発作を起こしてしまう。意識朦朧とする中、フランクは幼い頃の容姿の子供たちにどうして嘘をついたのか問い詰めていた。
フランクが目を覚ますと、デイヴィッド以外の子供たちが揃っていた。発作を起こしたことと、デイヴィッドがメキシコでオーバードーズにより命を落としたことを明かされる。夢の中でデイヴィッドと再会したフランクは、プレッシャーを与えていたことを謝罪するのだった。
妻の墓に行き、旅の報告とこれまでの謝罪を告げたフランク。デイヴィッドの絵を買いに画廊へ出向き、生前のデイヴィッドがよくフランクの話をしていたと知らされた。
その年のクリスマス、子供たちは帰省した。それぞれに想いを寄せるパートナーを連れてきたのである。飾りつけに始まり、妻が41年欠かさず焼いていた七面鳥もみんなで準備をする。
頑張っている子供たちを誇りに思い、「みんな、元気だ」と亡き妻に報告するのだった。
映画『みんな元気』の感想・評価・レビュー
「幸せか?」と問い続ける父親、ロバート・デ・ニーロの表情が実に秀逸である。一見、穏やかな役柄のようだが、厳格のある父親であった様子が子供たちの言葉と表情から見受けられる。それだけ、子供たちの配役も適切なのだろう。主題歌である、ポール・マッカートニーの「(アイ・ウォント・トゥ)カム・ホーム」も沁みるエンドロール。家族であることの意義やバランスのとり方をしみじみと考えてしまう一作であった。(MIHOシネマ編集部)
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