映画『みんな元気(2016)』の概要:子育てを妻に任せっきりにしてしまった父親。妻に先立たれ、里帰りできない子供たちに自ら会いに行くためサプライズの旅を決断する。しかし、子供たちが積み重ねた小さな嘘を知る旅に変わってしまう。
映画『みんな元気』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:チャン・メン
キャスト:ヤオ・チェン、ショーン・ドウ、イエ・イーユン、チャン・シンイー etc
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映画『みんな元気』の登場人物(キャスト)
- ジーグオ(チャン・グオリー)
- 仕事一筋で家族のために働いてきた父親。鉱山に勤めていたため、家を空けがちにしていた。子育てを妻に任せっきりにしていたことに気付き、回想録を作りながら子供たちとの空白を埋める旅に出る。
- チン(ヤオ・チェン)
- 杭州で医師の夫・ホンと息子・ジーハオと一緒に優雅な家に暮らす長女。広告代理店での仕事は順調だが、家庭の悩みを誰にも打ち明けられずに一人で抱え込んでいた。
- クァン(ショーン・ドウ)
- 留学して英語教師をしていたはずだが、家族には内緒で起業していた長男。リスクを伴う仕事に熱を上げているため、母親が苦労しながら与えてくれた家も売りに出してしまっている。
- チュウ(イエ・イーユン)
- バレリーナを目指し、幼いころからレッスンを続けていた次女。マカオでバレリーナとして成功しているとジーグオに嘘をついていた。パートナーの存在も家族に明かせずにいる。
- ハオ(チェン・ハー)
- フォトグラファーとして成功する夢を抱き、天津のスタジオで奮闘していたはずの次男。ジーグオが最初に部屋を訪ねたが、返答がなく行方がわからなかった。
映画『みんな元気』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『みんな元気』のあらすじ【起】
猫に犬、大きな水槽に熱帯魚を飼いながら一人暮らしをしているジーグオ。妻に先立たれ、挨拶してくれる相手は飼っている九官鳥だけである。
新しくした家の鍵の合鍵を4つ作ったジーグオ。鳥や米、たくさんの食料を豪勢に買い込み帰路に就くと、ペンシー鉱山で働いていた頃の友人と遭遇する。思い出話に花を咲かせ、回想録に何を書くか話ながら家まで荷物を運んでもらうのだった。
意気揚々と豚肉とセロリの炒め物を作ろうと準備を始めたジーグオ。しかし、次女・チュウから「白鳥の湖」の追加公演が決まり帰省できないと連絡が入った。
次に長男・クァンから「英語の授業が追加になった」と仕事を理由に帰省できないと連絡が来る。最後に長女・チンから息子の保護者会と夫の仕事を理由に帰省できないと留守電メッセージが残された。チンは末っ子のハオも「忙しいそう」と告げた。
子育てを妻に任せっきりだったジーグオは2週間の旅を企画し、子供たちに会いに行くことにした。犬、猫、熱帯魚の餌を用意し、鳥に毎日話しかけて欲しいと友人に頼むのだった。
電車に乗り込んだジーグオ。妻の墓前で思い出話をするつもりでいたジーグオは、たくさんの写真を撮ろうとカメラを持参していた。
まずジーグオは次男のハオに会うために天津に向かった。フォトグラファーであるハオの職場兼自宅に向かうが、留守のようで何度ベルを鳴らしても返事はなかった。
映画『みんな元気』のあらすじ【承】
アパートの入り口に座り込んで待つジーグオだったが、辺りが暗くなってもハオが戻る様子はない。幼いころのハオの幻想を見るほど、無常に時間は過ぎていった。
近くの食堂で食事を済ませ、大雨の中何とかアパートに戻るがやはりハオが帰宅した様子はない。サプライズをしたかったジーグオだが、合鍵を封筒に入れ玄関ドアの下に入れて天津を去るのだった。その頃、チュウとチンはハオが置かれた状況について深刻そうに話し合っていた。
次にジーグオはチンの自宅へサプライズ訪問した。仕事が忙しいというチンは、孫・ジーハオの面倒をみて欲しいと頼む。夫・ホンの様子を伺うとそっけない態度で「知らない」と答える。自宅の家族写真ではホンの顔だけが塗りつぶされていた。
険悪な空気のチン夫婦。その様子を察し、心配するジーグオ。父親は仕事優先で、子育ては母親がしていた環境で育ったチンは、悩みがあっても夫に相談できずにいた。「良いことだけ話す」という母親の教えに忠実に過ごしていたのだ。
昔話に花を咲かせ、久しぶりに心を通じ合わせたジーグオとチン。ジーグオは新しくした家の合鍵を手渡し、クァンの元を目指した。
映画『みんな元気』のあらすじ【転】
クァンのアパートを訪ねたジーグオだが、別の男が住んでいた。クァンに連絡すると、チンには内緒で起業し別の場所に住んでいるという。クァンが迎えに来て、職場兼自宅だという、シェアハウスにジーグオを招待した。
妻が必死で資金を工面し買い与えた部屋を、賃貸にしているというクァンの言い分に腹を立てたジーグオ。合鍵だけを渡し、その日はホテルに泊まった。
翌日、昼食を済ませたジーグオは1枚のチラシを拾う。広場へ向かうと、クァンが熱心に人々へチラシを手渡していたのだ。その姿をカメラに収めようとしたジーグオ。しかし、クァンは警察に追われ、走り去ってしまった。
チラシを頼りに会場へ向かったジーグオ。そこには多くの人が集まっていた。中国語を学びたい外国人のためにアプリを開発し、広めるための活動にクァンは熱を入れていたのだ。
会場を後にするジーグオの姿を見かけ、クァンは追いかけた。クァンは8歳の時に家出した理由をジーグオに明かした。ジーグオはチュウに会いに行くと告げ、内緒にしてほしいと頼むのだった。
チュウに会うためにマカオへ向かうジーグオ。留守の間家を任せている友人は、意中の女性をジーグオの家に連れ込んでいるという。
ジーグオを迎えに来ていたチュウ。友人という女性が車でホテルまで送り届けてくれた。正装を準備していたチュウは上品なレストランへジーグオを連れていく。しかし、食事中にチュウが不審な男に声をかけられた。男のしつこさを見かねたジーグオは手を上げてしまい、二人はチュウの自宅へ逃げ帰った。
映画『みんな元気』の結末・ラスト(ネタバレ)
チュウが住むアパートは見栄えのいい場所ではなかった。部屋の中は綺麗にしているが、だらしない性格が気がかりなジーグオ。
幼い頃からバレリーナを夢見ていたチュウ。「踊っている」ことには変わりないが、小さなポルトガルレストランで見世物にされている現実をジーグオには明かせなかった。しかし、ジーグオはチュウの写真がプリントされた宣伝カーを追いかけ、チュウの知られざる一面を見てしまった。
食事と合鍵を残し空港へ向かったジーグオ。地下街で物取りに襲われ、回想録のために子供たちから預かった思い出の品だけは取り返そうと争った矢先、ジーグオは発作を起こし倒れこんでしまった。
意識朦朧とした中、ジーグオは幼い姿の子供たちに現在の悩みを打ち明けるように問いかける幻想をみる。しかし、子供たちは幻想の中でも「心配をさせないように」嘘をつき続けた。
目を覚ましたジーグオの前にはハオ以外の子供たちが揃っていた。そこでジーグオは初めてハオが撮影先のチベットで雪崩に巻き込まれたことを知るのだった。
退院したハオのスタジオに出向いたジーグオ。ハオは生死を彷徨い、成功の形はそれぞれに違うと悟ったと語る。ジーグオが持ち寄った古い写真を再生させるため、手助けをするハオ。二人は思い出話に花を咲かせた。
ジーグオは正直さに欠ける子供たちだが、すでに大人になっていることや少しの嘘が互いを幸せにしていることに気付く。その年の年越しは家族全員が揃い新年を祝った。
映画『みんな元気』の感想・評価・レビュー
アイデア元となった小津安二郎の「東京物語」、原案となるイタリア版、リメイクのアメリカ版と鑑賞してきたが今作が一番しっくりきたように思う。現代へアップデートしつつ、中国の国民性も生かしているようにみえるからだ。別居や母親が見せた「強い妻」像に追われる長女、リスクを背負いながら事業を展開する長男。同性愛者であることと夢破れたことを隠す次女。「回顧録」を理由に合鍵を託していく様と病気を理由にせずに感動の山場を作った展開が秀逸であった。今はなき、「正しい妻」に見せるため、「家族団らん」を再構成しようとした一作である。(MIHOシネマ編集部)
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