映画『フェイ・グリム』の概要:夫・ヘンリーの逃亡から7年が経ち、女手一つで、息子・ネッドを育てていたフェイの数奇な運命を紡ぐ。1990年代を代表する監督ハル・ハートリーによる「ヘンリー・フール3部作」の第2作。
映画『フェイ・グリム』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ハル・ハートリー
キャスト:パーカー・ポージー、ジェフ・ゴールドブラム、ジェームズ・アーバニアク、リーアム・エイケン etc
映画『フェイ・グリム』の登場人物(キャスト)
- フェイ・グリム(パーカー・ポージー)
- 弟・サイモンの才能を見出したヘンリーと結ばれ、息子・ネッドを授かるがヘンリーが逃亡犯として追われる身になってしまう。なんとかネッドを育てていた中、ヘンリーの過去に関わる事件に巻き込まれていく。
- フルブライト(ジェフ・ゴールドブラム)
- フェイの身を確保し、ヘンリーが書き残した「告白」を手に入れようとしている男。ヘンリーとは工作員時代に苦楽を共にした仲である。
- ビビ(エリナ・レーヴェンソン)
- ヘンリーの逃亡を手助けしたとして、世界的にテロリスト扱いを受けていた女性。フェイと出会い、真実を明かし逃亡を手助けしてもらう。
- ネッド・グリム(リーアム・エイケン)
- フェイとヘンリーの息子。賢いがいたずらばかり繰り返している。贈り主不明のポルノグッズを受け取り学校へ持ち出して遊んでいた。
- ヘンリー・フール(トーマス・ジェイ・ライアン)
- フェイの夫。フェイの弟・サイモンの詩の才能を見出した男。誰も知らなかった過去を持ち、フェイの家族を波乱の運命に巻き込んでいく。
- サイモン・グリム(ジェームズ・アーバニアク)
- フェイの弟。自由奔放なフェイとうつ病の母親を養い、うだつが上がらない日々を送っていたがヘンリーと出会い詩人として成功した。
映画『フェイ・グリム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フェイ・グリム』のあらすじ【起】
シングルマザーとなったフェイ・グリムは、14歳の息子・ネッドと暮らしている。ネッドの父親である夫・ヘンリーはある事件を起こし逃亡犯となった。小さな町ではヘンリーの噂はすでに知れ渡っている。
学校へポルノグッズを持ち込んだとして、ネッドの担任に呼び出されたフェイ。担任は嫌味にもヘンリーや弟・サイモンの話を持ち出し「町を出ることを考えては?」と提案するのだった。
サイモンは詩人として才能を開花させ、一世を風靡した。しかし、ヘンリーの国外逃亡を手助けしたことにより服役中である。
フェイとネッドはサイモンの印税で暮らしている。サイモンの担当である出版編集者のアンガスは、フェイたちの生活も気にかけていた。
称賛されていたサイモンが無名なヘンリーを助けた動機は世の中で話題になっていた。特に語ることのなかったサイモンだが、ヘンリーの著書「告白」には相当の価値があるのではないかと憶測が独り歩きするのだった。
アンガスもまた「告白」に興味を持っていた。フェイに出版の話を持ち掛けるが、全8冊あるうちの1冊しか手元にないことを明かす。
映画『フェイ・グリム』のあらすじ【承】
フェイの元へCIA捜査官が訪ねてきた。反逆罪に値する「告白」のありかを探すことと、ヘンリー逃亡の協力者であるビビという女性が亡くなったことをフェイへ告げるためだった。
「告白」をフランス情報機関に売買したのもビビである。CIAは所有者であるフェイに「告白」を引き取りに出向くよう依頼に来たのだった。
サイモンの釈放を交換条件とし、依頼を受けたフェイ。連絡係の男の指示に従い、必死の思いで2冊の「告白」を取り返した。
パリで出会った連絡係の男は、フェイに熱烈なアプローチをする。困惑するフェイの元に、サイモンから「ヘンリーが生きている」という知らせが届いた。
実はネッドが持っていたポルノグッズは差出人不明で届いたプレゼントだった。その送り主はヘンリーだったのだ。そのポルノグッズにはある暗号が隠されていた。それは「告白」の本当の意味を読解するために必要なアイテムだったのだ。
ヘンリーが元アメリカの工作員だったことも知らなかったフェイ。南米での任務中に受けた拷問により、ヘンリーはアメリカの秘密を暗号化し「告白」に記したのだった。
映画『フェイ・グリム』のあらすじ【転】
「パリの連絡係の男は偽物だ」とフェイに詰め寄る他の国の工作員たち。「告白」は各国がなんとしても手に入れたい代物であった。
甘い言葉をかけてフェイを手玉に取ろうとする男がいた。それは「告白」にも登場するヘンリーの工作員時代の仲間・フルブライトだった。男の誘惑を振りほどき、帰国することに決めた。
フルブライトはスパイ容疑でフェイを追い詰めるよう、部下に指示を出す。そうとも知らないフェイは、ビビと遭遇した。ビビはヘンリーと出会った時、ただの客室乗務員であったという。ノーベル文学賞受賞者のサイモンだと思い込み逃亡の手助けをしたが、偽物であると知り、「告白」を盗み売り払ったと明かした。
今やビビもテロリストとして国際的に追われている。フェイはビビを助けながら、ヘンリーの行方を追うことにした。
サイモンたちの元へフルブライトが訪ねていた。事情を察したサイモンたちは、フェイを探すために動き出した。
ビビと共にヘンリーがポルノグッズを買ったお店を突き止めたフェイ。イスタンブールでヘンリーのことを探し始めたが、テロリスト・ジャラールに気づかれ拘束されてしまう。
映画『フェイ・グリム』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジャラールとの交渉に成功し、フェイは逃がしてもらうことができた。しかし、ホテルで待っていたビビがフルブライトたちに捕らえられてしまったのである。
フェイの帰国が先延ばしになるほど、CIAはテロリストとしての扱いを強めていく。サイモンも心配になりフェイの携帯から発せられるGPSデータをたどり迎えに行くことにした。
フルブライトから連絡を受け、フェイはビビが窮地に立たされていることを知る。「建物を爆破する」とフルブライトたちを脅し、ビビを開放するように要求をした。
フェイと同流するため、船着き場を目指していたサイモン。その手には「告白」が握られている。しかし、サイモンが待っていてもフェイはなかなか姿を見せない。サイモンは「告白」を船に乗せバイクを走らせた。
ビビが目の前で射殺され、抜け殻のようになったフェイをサイモンは見つけ出した。バイクの後ろに乗せ、船着き場へ戻るが「告白」を積み込んだ船はすでに出航してしまった。さらにその船にはヘンリーが乗り込んでいたのだった。
船の先頭に立つヘンリーを見つけたフェイ。しかしどうしようもできず立ち尽くすフェイの背後にはたくさんのパトカーが迫っていたのだった。
映画『フェイ・グリム』の感想・評価・レビュー
「ヘンリー・フール」3部作の第2作。一作目から9年の空白をもってして登場した続編では新たな事実が立て続く。唖然とするフェイ以上に観客も世界観についていくのには必至だ。世界を股にかけた、突然のスパイ映画化。しかし、名匠ハル・ハートリーのオフビート感は顕在しているから惹きつけられてしまう。一作目ではさらっと触れられた「告白」が軸となる展開はシリーズものである醍醐味も味わえる。日本では劇場未公開のままだったが、ファン待望のシリーズは長らく愛されるだろう。(MIHOシネマ編集部)
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