映画『ペーパーマン』の概要:作家のリチャードは妻のクレアの勧めで、コテージに泊まり執筆作業に勤しむことになった。だが、リチャードはあまり乗り気ではなく、不満を空想上の友達に吐き出すことで平静を装った。そんなある日、リチャードはある少女と出会い、友情を深めるようになる。
映画『ペーパーマン』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ファンタジー、コメディ、ヒューマンドラマ
監督:キーラン・マローニー、ミシェル・マローニー
キャスト:ジェフ・ダニエルズ、エマ・ストーン、ライアン・レイノルズ、リサ・クドロー etc
映画『ペーパーマン』の登場人物(キャスト)
- リチャード・ダン(ジェフ・ダニエルズ)
- 売れない作家。手術するゲームの機械に本気で怯えたり、ロブスターを食べるのを怖がったり、子供っぽい性格。現実の友達がおらず、空想上の友達しかいない。子供が欲しいと思っていたが、妻のクレアに打ち明けられずにいた。
- キャプテン・エクセレント(ライアン・レイノルズ)
- リチャードの空想上の友達。約40年リチャードの面倒を見てきた。スーパーマンのような格好をしている。
- アビー(エマ・ストーン)
- 8歳の頃に双子の妹を亡くし、精神病院に入院していた。クリストファーという空想上の友達に支えられている。
- クレア・ダン(リサ・クドロー)
- リチャードの妻。長老派教会病院の外科医。友人も多く、慈善活動にも積極的に参加している。
- クリストファー(キーラン・カルキン)
- アビーの空想上の友達。8歳の頃からアビーを支えてきた。アビーに恋心を抱いている。
- ブライス(ハンター・パリッシュ)
- アビーの恋人。浮気性。アビーのことも大切にしておらず、自分勝手で乱暴な性格。
映画『ペーパーマン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ペーパーマン』のあらすじ【起】
作家のリチャードは妻のクレアの勧めで、1人で1週間コテージに泊まり、小説を書くことになった。あまり気乗りはしなかったが、クレアの思いを無下にすることはできず、不満を口にすることはできなかった。リチャードは想像上の友人である“キャプテン・エクセレント”と会話をしながら、コテージに泊まることを受け入れた。
リチャードは小説を書こうとするが、中々アイデアが浮かばなかった。気晴らしに自転車に乗って街に出かけると、ゴミ箱に火を点けている少女を見つける。リチャードはその少女がなぜか気になり、火を消した後、少女の後を追いかけた。だが、少女に尾行していたことがバレてしまう。リチャードは尾行している理由を上手く説明することができず、咄嗟にベビーシッターを探していると嘘を言ってしまう。その少女、アビーはリチャードの言葉を信じ、金曜日に家に行く約束をして去って行った。
リチャードは家に来たアビーに子供がいないことを打ち明けるが、アビーは仕事が楽だと言って特に気にした様子はなかった。出て行くリチャードを見送ると、アビーはリチャードの家で寛いだ。アビーは家にあったリチャードの著書に興味を持ち、鞄の中に入れて持ち帰ることにした。その後も家の中を調べていると、玄関の鍵が開いていたと言って友人のクリストファーが現れる。クリストファーは怪しい男の家におらず逃げるべきだと訴えるが、アビーはそれを無視して料理を作った。
リチャードはエクセレントと会話をして時間を潰した後、家に帰った。すると、アビーがスープを作ってくれていた。リチャードがそのことに感動していると、アビーも嬉しくなり顔を綻ばせた。その時、リチャードは部屋に飾ってあったヒースヘン(鳥の一種)の絵に、男性の顔の写真が張られていることに気づく。その男性はアビーの彼氏のブライスだった。アビーはブライスに腹を立てており、“鳥の糞並に嫌な奴”だと言うことを表すために写真を張っていた。リチャードは話題を変え、絵を指しながら、ヒースヘンを主人公にした小説を書こうとしていることを話した。馬鹿な設定だと自虐するが、アビーは笑うことなく「チキン・リトル」や「ちいさな あかい めんどり」など、鳥を主役にした作品はたくさんあると肯定した。リチャードは緊張しながら来週も来るか尋ねた。アビーは頷き、出て行った。
映画『ペーパーマン』のあらすじ【承】
週末、リチャードはクレアと食事に出かけるが、ロブスターが動いたような気がして食べることができなかった。クレアは子供のような反応をする夫に世話を焼き、食事を食べさせた。一方、アビーはブライスと会っていた。だが、ブライスは体を求め合うと、さっさと帰って行ってしまう。アビーはそのことに対して不満を抱くが、口にすることができなかった。
アビーはリチャードの家に行き、本を返した。感想を聞かれるが、恥ずかしくて言うことはできなかった。すると、リチャードがスープの材料を渡してきた。アビーは自分の作った料理を気に入ってくれたのが嬉しくて、出かけるリチャードに背を向けたまま、感動したと本の感想を伝えた。リチャードはその言葉に微笑みながら、出かけて行った。
リチャードはアビーの勧めで、バーに酒を飲みに行った。すると、その店のバーテンダーや客達と仲良くなった。リチャードはヒースヘンが絶滅した話を語って聞かせた。話を聞いて感動した客は、リチャードに酒を奢った。家に帰ったリチャードはひどく酔っ払っていた。リチャードはヒースヘンの絵を指しながらアビーに、自分で家系が途絶えてしまうことを話した。絶滅したヒースヘンと自分自身を重ねているのだ。リチャードが美しいと褒めながら迫って来たため、アビーは咄嗟に本で殴ってその場を逃げ出した。アビーは殴ったことを後悔しており、クリストファーに相談した。クリストファーは、君は悪くないと言って慰めた。
映画『ペーパーマン』のあらすじ【転】
リチャードが目を覚ますと、クレアがいた。会う約束をしていた日だった。リチャードは洗面所に行き薬を飲むと、エクセレントに励まされクレアの元に戻った。クレアにスープのことを聞かれるが、自分で作ったと言って誤魔化した。すると、リチャードの様子を心配したアビーが訪ねて来た。リチャードは細かい事情が説明できないままアビーを追い返してしまう。アビーは怒って帰って行った。
リチャードはアビーに会いに行き、追い返したことを謝罪した。そして、僕達の友情を妻に説明するのは難しいのだと弁明した。アビーは友達だと言ってくれたのが嬉しくて、謝罪を受け入れることにした。2人は水曜日、再び会う約束をした。
リチャードは手を上手く動かすことができないため、何も生み出すことのできないと自分に苛立ちを抱えていた。自分のことを“ペーパーマン(紙商人)”と呼び、蔑んでいた。アビーはリチャードの話を聞きながら、海に連れて行った。そして、“海とひとつになり、水平線に沈む命と陸と再会せぬよう願う”という言葉を呟きながら、突然海に飛び込んだ。その言葉はリチャードが本に書いたセリフだった。リチャードはアビーを心配して、大声を上げてアビーを呼び戻した。しばらくして、アビーは海から戻って来た。リチャードは無事に戻って来たアビーに安堵し、強く抱きしめた。そんな2人の様子を、クリストファーが眺めていた。
アビーは自分が嗾けたせいで、双子の妹を海で亡くしたことをリチャードに打ち明けた。母が探しに来るまで、アビーは妹を助けに行くこともできず、浜辺から動くこともできなかった。リチャードは心痛な気持ちで、アビーの話に耳を傾けた。毎年海に潜って岸まで泳ぐのが、アビーにとっての弔いの仕方だった。そして、それはアビーとクリストファーの2人で行う儀式だった。夜、クリストファーからリチャードを連れて行ったことを非難されるが、アビーは何も答えることはできなかった。
リチャードは気に入らないソファーを外に追いやっていたため、売れなかった自分の処女作を使ってソファーを手作りした。家を訪ねたアビーは、そのことに感嘆の声を上げた。2人は本で作られた固いソファーに座りながら、新作のタイトルについて話し合った。アビーは「ペーパーマン」を勧めた。
映画『ペーパーマン』の結末・ラスト(ネタバレ)
クレアはリチャードが家具を外に配置していることを知り説明を求めるが、リチャードは明確な答えを持っておらず、説明することができなかった。クレアはリチャードに失望し、しっかりしてくれと怒鳴りながら家を出て行った。リチャードは外に置いたタイプライターで執筆しようとするが、エクセレントに邪魔されて考えがまとまらなかった。
リチャードはブライスがパーティー会場を探していることを知り、自宅を貸してあげた。パーティーをしたことがなかったリチャードは、若者達に交じって遊ぶパーティーを心から楽しんだ。だが、ブライスがアビー以外の女性と浮気している現場を目撃してしまい、止めようとして喧嘩になってしまう。ブライスは逆切れをして、リチャードとアビーを罵った。アビーはそのことに腹を立て、パーティーを終了させた。
リチャードとアビーがソファーで眠っている傍で、エクセレントとクリストファーがお互いのことを話していた。エクセレントはリチャードと40年来の付き合いで、“何でも屋”としてリチャードのことを助けていた。クリストファーはアビーが妹を亡くした8歳からの付き合いで、アビーに対して恋心を抱いていた。そして、クリストファーはもうすぐアビーとの別れがくることを、薄々感じ取っていた。2人は固い握手を交わし、消えていった。
クレアはリチャードとアビーが一緒に眠っているのを見て、浮気だと誤解してしまう。アビーを追い返し、リチャードを問い詰めた。責められたリチャードは、ずっと抱えてきた“子供が欲しかった”という気持ちをクレアにぶちまける。だが、クレアは“あなたが子供だから無理なのだ”と言い返した。2人はお互いを責め続け、クレアは家を出て行った。
リチャードはヒースヘンの最後の1羽がいた公園で、エクセレントに別れを告げた。エクセレントはリチャードとの別れを嫌がるが、成長したいという思いを尊重し、別れることを受け入れる。家に帰ったリチャードは、ヒースヘンの絵を処分した。そして、自分の名前を主人公に使い、本を執筆した。
リチャードはアビーに別れを告げ、白鳥の折り紙を渡した。アビーはお返しに、リチャードにキスをした。アビーが家に帰ると、クリストファーが首を吊っていた。ショックを受けるが、別れを受け入れた。クリストファーはアビーの想像上の人物だった。アビーが折り紙を開けると、リチャードからの手紙が書かれていた。その手紙には、空想上の友達しかおらず孤独を味わっていたことや、アビーに同じ孤独を感じたこと、アビーから大切な物をたくさんもらったことなどが書かれていた。アビーはその手紙を、妹が亡くなった海に流した。
クレアとリチャードは仲直りをし、一緒に自宅へと帰った。
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