映画『パルムの樹』の概要:不思議な生き物や植物が生える世界。木から作られた心を持った人形が、生命の卵を託され人間になるために旅へ出る。その道程で出会った仲間達や大切な少女との触れ合いにより、一番大切なことに気付き成長していく物語。
映画『パルムの樹』の作品情報
上映時間:136分
ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー、アニメ
監督:なかむらたかし
キャスト:平松晶子、愛河里花子、豊口めぐみ、阪口大助 etc
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映画『パルムの樹』の登場人物(キャスト)
- パルム(平松晶子)
- 地底から記憶を吸い上げて育つ樹クルップから作られた、心を持つ木の人形。シアンが亡くなると同時に機能を停止していたが、コーラムから卵を託され覚醒。地底世界へ旅に出る。
- ポポ(豊口めぐみ)
- 女商人ダルマ屋の娘。幼少期から母親に虐待されて育つ。フォーの妻シアンに似た美少女。心優しく穏やかな性格。パルムの清らかな心に惹かれていく。
- シャタ(阪口大助)
- 地底人の少年で町の少年窃盗団を率いている。実はコーラムの息子。密かに母親を探している。賢くクールで真面目な性格。青い肌で背が高い。勇敢で正義感に溢れているが、実は母親を恋しく思っている。
- コーラム(日野由利加)
- 地底人ソル族の女戦士。唯一、天界トートへ1人で行き卵を持ち帰った人物。肌は青く無表情でいることが多い。幼い頃、父親に顧みられなかった寂しさと孤独を内に秘めている。
- フォー(清川元夢)
- 地上世界アルカナに在住する植物学者。亡き妻シアンのためにパルムを作る。コーラムから卵を託され、パルムの腹へ隠した後に命を落とす。
映画『パルムの樹』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パルムの樹』のあらすじ【起】
不思議な植物と生き物が住む世界。この世界は天界のトート、地上世界アルカナ、地底世界タマスの3層で構成されている。天界のトートは地上世界から行くことは、ほとんど不可能と言われていた。
地上世界アルカナに住む植物学者フォーは、病気の妻シアンのために地底から記憶を吸い上げて育つ樹クルップを使い、心を持った木の人形パルムを作り上げる。だがその後、妻は病のために息を引き取り、それと同時にパルムも機能を停止してしまうのだった。
それからしばらく。ある日の夜、フォーの家に地底人の女戦士コーラムの魂が現れる。彼女は天界から持ち帰った卵を、地底世界タマスへ持って行って欲しいとフォーに頼む。そして、卵を守るために使えとクルップの樹によって分泌される、極めて希少な樹液クロスカーラを渡すのだった。
樹液は青く眩い光を放つ。そのせいで追手に気付かれたフォーが斬られてしまう。彼は残された力を振り絞ってパルムにクロスカーラを注入し、腹に卵を取り付けて息を引き取るのだった。
夜が明け、太陽が中天にくる頃。覚醒したパルムはフォーの遺言に従い、活動を開始。途中、奴隷商人に捕まり近くの町へと連れて来られる。しかし、奴隷商人の馬車が襲われ町の少年窃盗団に救い出されたパルム。少年窃盗団を率いるのは、地底人の少年シャタ。彼は勇敢で賢い少年だった。
窃盗団の隠れ家へ来たパルムは仲間として迎えられるが、シアンの形見であるペンダントを落としてしまう。それがきっかとなり人形であることが明らかになる。すると、シャタはパルムを売って大金を手にしようと考えた。そのせいで仲間割れが発生し、隠れ家が爆発してしまう。
映画『パルムの樹』のあらすじ【承】
好意的な双子と共に逃れたパルムは商人のダルマ屋が持つ船へ身を寄せる。ダルマ屋の船には女主人の娘ポポも乗っていた。彼女は常日頃から母親から虐待されて育った薄幸の美少女である。
パルムはポポの歌声に誘われ、彼女をシアンと勘違いして詰め寄ってしまう。当然、理由も知らずに詰め寄られたポポはパルムを拒絶。彼女はパルムが落としたシアンの形見であるペンダントを拾っていたため、すぐさま返却するも彼の勢いは増すばかり。そのためにパルムは捕らえられ、船倉に閉じ込められる。だが、そこへ追手が現れ、攻撃を受けた船が停止。パルムが攫われてしまう。
同じ頃、シャタはパルムが持っていた剣について聞き出すため、彼が乗る船を追っていた。じきに船へ到達するという時、襲われているのを発見。急いで後を追いかける。
追手はコーラムの卵を狙っていた。奴らはパルムの腹に卵が隠されているのを発見し、それを取り出そうとする。だが、人形の身体にはクロスカーラが流れているため、取り出せば卵の保存に関わることが判明。人形ごと連れ去るのが得策と思われた。そこへ、シャタが追いつきパルムを取り戻そうとする。だが、追手の乗り物が虫に襲われパルムも捕縛されてしまう。彼はそこでシアンが亡くなったことを思い出し、再び機能を停止。襲われた際に投げ出され壊れてしまうのだった。
無事に船へと戻されたパルムだったが、彼が精巧な人形であることを知った女主人は売れば大金が手に入ると思い、学者が集まる町トロイへと船を向ける。
しかし、朝になり機能を停止したパルムはクルップの樹になってしまい、学者達には見向きもされないのだった。パルムの身体はクルップの樹からできており、動かなくなればたちまち根を生やし樹に戻ってしまうのである。
映画『パルムの樹』のあらすじ【転】
シアンの死を思い出したパルム。自分はもう必要のない存在だと機能を停止していたのだが、そこへコーラムが現れ彼を励ます。パルムはここにきてようやくシアンの死を乗り越え、自らの意思で立ち上がることを決意するのだった。
再び覚醒したパルム。彼に母親コーラムの影を見たシャタが旅に同行すると言い出す。そして、パルムはポポとも和解し、一緒に行こうと誘う。ポポの母親はこれに反対するも、娘の強い意思を目にして彼女が旅立つことを許すのだった。
パルムとシャタ、ポポと双子の一行はまず、地底世界のことを良く知る人物から話を聞くことにした。地底世界には古代からクルップの巨木が根を張っていた。それはソーマと呼ばれ、新たな生命をも生み出す能力を持っている。だが、新たに作られた生命ラーラには魂が宿らず、生命体としては不完全であった。故に、ソーマは元からいたタマス人を滅ぼしてラーラに魂を与えようとしている。しかも、ソーマは枯れかけており、残された時間も僅かであった。
そのことを知ったコーラルの父親たちは娘と一党を連れて地上へ上がり、天界へと向かうことにしたのである。トートに成る卵には生命を宿す源が宿っていると言われていた。卵をソーマに渡せば、或いはパルムも人間になれるかもしれない。その可能性が見えてきた。パルムはポポと生きることを願いタマスへと向かうことにするのだった。
男の案内でタマスへの近道へ向かったが、追手のせいで道が閉ざされてしまう。仕方ないので別ルートで地底世界へ向かうパルム達。だが、旅の道程でパルムに異変が起こり始める。
ポポを思い、人間になることに執着するあまり不審な行動が増える。
そうして、彼は何かに操られるかのように助けてくれるシャタと反目し、ポポを連れて行動を別にしてしまうのだ。
地底世界の入り口へ到達したパルムとポポ。これまでの行程はパルムの独断でかなりの強行を通して来たため、ポポも疲れ果てていた。それも、ソーマに近付く度にパルムの身体からは、クルップの枝が伸びる。それは今にも暴走しそうになっていた。
映画『パルムの樹』の結末・ラスト(ネタバレ)
地底へ降りソーマへ向かおうとしていたパルムとポポだったが、地底世界はタマス人の領域。彼らは待ち構えていたタマス人に捕まってしまう。
その様子を後から追って来て目にしたシャタ達。パルムをどうするのか聞くと、卵がソーマに渡る前にパルムから無理矢理に取り出すのだと言う。シャタがそれに意を唱えたその時、施設から爆発音が聞こえる。
急いで向かったシャタは、そこで血塗れのパルムの幻影を目にし、卵のカプセルの中身がコーラムの魂であることを知ってしまう。彼はポポの元へ戻り、逃げ出して来たパルムにそのことを告げた。トートの卵に入っているコーラムの魂は、幼少期に父親から愛されなかった孤独で狂い始めていた。シャタは必死にパルムを止めようとするも、パルムの強い願いにポポが賛同。2人に気圧され、ソーマの元へ行くことを許してしまう。
コーラルの狂った魂に突き動かされるパルム。ソーマに近付けば近付くほど、コーラルの魂は騒ぎ、パルムの身体からは無数の枝が生えて根が張る。そんな彼を助けようと傷だらけになりながらも、必死に助けようとするポポ。このままではポポの身も危ないと感じたパルムは、彼女を救うためにポポから離れることを決意。コーラルに身体を明け渡してしまう。
すると、パルムの身体は一気に枝葉を伸ばし、巨木へと成長。やがて形を成したその姿は、コーラルのものだった。タマス人は巨大な侵略者を止めようと攻撃を開始。コーラルは巨大な体でソーマの元へと向かった。パルムを助けたいポポは、危険を顧みずに巨木へと登り彼へと一心に願いを捧げ、声を掛け続ける。
やがて、ポポの強い祈りがパルムへと届く。人間にならなくても、心が共にあればそれでいい。そのことに気付いたパルムは、ポポにシアンの形見であるペンダントを与え、愛に飢え孤独に悲しむコーラルの魂を優しく慰めた。
その頃、建物の崩壊で騒然とする中、シャタはポポの救出へ向かい、無事に彼女を確保。
ソーマの中心部には魂の無い新しい生命ラーラがいた。パルムの子守歌で魂を慰められたコーラルの暴走が止まり、彼女の魂がラーラの元へ。すると、コーラルはラーラの身体を乗っ取りシャタに母親として最後の言葉を残し、ソーマの息の根を止める。ソーマは一瞬にして枯れ果て、ラーラも斃れた。
ソーマの最期を見守ったパルム達。彼はポポや仲間達と共にシアンの故郷へと旅立ち、そこで最期を迎えることにするのだった。
映画『パルムの樹』の感想・評価・レビュー
なかむらたかし原作・監督の長編アニメーション。監督曰く誰もが楽しめる作品を制作したらしい。独特な世界観でありながら難しい表現はなく、とても分かりやすい演出になっている。設定が作り込まれており、しっかり土台ができている印象がある。しかも、ただ人形が人間になるための旅をするだけではなく、世界を覆すような大事件へ発展し巻き込まれつつも自らの進むべき道を見出すという素晴らしい流れ。主人公と共に旅をする仲間の境遇も交え、それぞれが悩みを抱えつつ旅を続け最終的には解決するというストーリーも良く出来ていると感じた。正に監督が目指した、誰もが楽しめる作品となっている。(女性 40代)
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