この記事では、映画『パーフェクト ワールド』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『パーフェクト ワールド』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『パーフェクト ワールド』の作品情報
上映時間:138分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウッド、T・J・ローサー、ローラ・ダーン etc
映画『パーフェクト ワールド』の登場人物(キャスト)
- ブッチ・ヘインズ(ケビン・コスナー)
- 脱獄囚。逃げ込んだ先で出会ったフィリップを連れて、昔父親が目指していた場所、アラスカに向けて旅立つ。
- レッド・ガーネット(クリント・イーストウッド)
- 脱獄したブッチを追う刑事。かつて、非行に走っていた青年時代のブッチを逮捕したことがあり、その件で彼に負い目を感じている。
映画『パーフェクト ワールド』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『パーフェクト ワールド』のあらすじ【起】
フィリップは、宗教に厳しい母の下で育てられていた。エホバの証人の信者である彼の家庭では、キリスト教の友人が披くパーティにも参加できず、ハロウィンの仮装も許されなかった。
真夜中の刑務所。テリーとブッチは看守の目を盗んで脱獄した。車を盗んで住宅地に逃げ込んだ二人は国境に逃げる準備を始める。テリーは民家に忍び込んだ。そこはフィリップの家だった。子供に暴力を振るうテリーを見てられず、ブッチは彼を殴りつける。騒ぎを聞きつけ近所の人たちが目を覚ました。二人はフィリップを人質に逃走した。
レッドは脱獄者の捜索を命じられた。犯罪学者のサリーが現れ、協力を請け負う。心理分析が必要だというサリーに、レッドはそんな悠長なことを言っていられないと反論した。
フィリップを連れて逃げていたテリーとブッチ。途中で銃弾と食糧を補給するために雑貨屋に立ち寄った。それから、フィリップを痛め付けてばかりのテリーに嫌気が差し、ブッチは彼を撃ち殺す。

映画『パーフェクト ワールド』のあらすじ【承】
レッドたちの下に雑貨屋からの通報が寄せられる。レッドは周辺に検問所を設置するよう要請した。サリーはレッドに、二人が別れて行動している可能性を考慮するべきだと進言する。ブッチは悪のヒーローと称される反面、テリーは何の信条もない猟奇殺人犯。正反対の二人は必ず別れる。事態はもっと単純だとレッドは言う。どちらかが一方を殺し、人質を連れて逃げる。サリーはレッドの態度に反感を抱いた。しかし、レッドも一々口出しをするサリーを煩わしく思っていた。
逃走を続けるブッチに、フィリップは不安を覚え、自分を殺すつもりかと尋ねる。そんなつもりはないとブッチは断言する。ブッチは父親が好きだったフォードの自動車を見つけたいとフィリップに打ち明けた。
通報のあった雑貨屋に駆け付けたレッドたちは、その畑でテリーの死体を発見する。
ブッチは道すがら、庭先にフォードの車を置いてある家を見つけた。フィリップに偵察させたところ、車には鍵が挿してあった。ブッチはその家から車と着替えを盗み出した。
映画『パーフェクト ワールド』のあらすじ【転】
ブッチはフィリップに家族のことを尋ねた。父は家を空けていて、母は自分の主義を押しつける。ブッチは自分と似ているとフィリップに言った。アホみたいな理想のために自分の力で生き抜こうと笑いかけた。
道中に立ち寄った店で、ブッチたちは盗難車を地元の警察に見つかってしまう。ブッチは警察を蹴散らし、慌てて町を離れた。
ブッチを見失ったレッドたちは、彼がどこを目指しているのか話し合っていた。その最中、ブッチの車とすれ違う。慌てて後を追うレッドたちだったが、車がオーバーヒートを起こして止まってしまう。またしてもレッドはブッチを逃してしまった。
ブッチたちは道端で立ち尽くしていた。二十年前に工事が始まっていたはずの道路が、未完成のまま放置されていて、先に進めない。ブッチは一枚の写真をフィリップに見せた。それはアラスカの写真。ブッチが目指しているのは写真の場所だった。ブッチは車を乗り捨ててフィリップと共に歩き出した。
映画『パーフェクト ワールド』の結末・ラスト(ネタバレ)
逃走中に見つけた車輌を乗り継ぎながらアラスカを目指す。あと4・5日もあれば着くだろうという頃になって、フィリップが家に帰りたいと言い出した。一方、代車を待つレッドは、ブッチとの関係についてサリーに尋ねられる。レッドが郡保安官だった頃、彼がブッチを捕まえ、少年院に送ったことで、ブッチは非行に走ってしまった。レッドはそのことを後悔していた。
旅人の振りをして農家の家の世話になったブッチとフィリップ。しかし、農家の男が息子に暴力を振るっているのを見て、ブッチは激高する。ブッチは父親を威嚇するが、彼が人殺しをすると誤解したフィリップは、それを阻止しようとして彼を撃ってしまう。ブッチを撃ったフィリップは彼のもとから逃げ出した。遠ざかって行くフィリップに、殺す気はなかったと弁明するブッチ。今までに彼が殺したのは二人だけ。母親を殴った奴とテリー。血を流し過ぎたブッチは木陰に倒れ込む。そこに通報を聞いて駆け付けたパトカーの行列が現れた。ブッチはフィリップを人質にして警察に要求する。フィリップにハロウィンとパーティの参加を許すこと。要求が呑まれると、ブッチはフィリップを解放した。警察の下に歩き出したフィリップだが、直ぐに振り返り、ブッチの下に駆け寄る。このままではブッチが撃たれると考えたフィリップは、ブッチと手を繋ぎ、二人で警察の下へと歩き出した。そんな二人を見て、レッドは丸腰で二人に近寄る。ブッチは最後にフィリップと話をさせてくれとレッドに頼む。しかし、レッドの部下がブッチを狙撃し、彼の言葉は銃声に掻き消される。レッドは倒れるブッチを茫然と眺めたあと、部下の下に戻り、撃った奴を殴りつけた。
映画『パーフェクト ワールド』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
こんなにも悲しい切なさに溢れたロードムービーはあるだろうか。不遇な人生を送ってきた主人公。少年と出会い、そこに芽生える愛情は心が温かくなるが、きっといい死に方をしないだろうという想いを抱えながら物語は進む。目指す先にたどり着けたとしても、多分何もないだろうことは分かっている。このような破滅的な生き方に、なぜか美しさを感じてしまう映画。
刑事の抱える葛藤や、たくさん間違いは犯してきたけれど、悪人ではない主人公が、最後の最後まで少年を傷つけず、親友のような父親のような立場を守り続けて息絶える場面は、見終わってから時間が経ってもなかなか涙が止まらなかった。(女性 30代)
レッドという警官に逮捕されたブッチが脱獄して、ふとアラスカを目指す事になるが、途中でフィリップという少年と行動を共にすることになるというストーリー。ブッチがフィリップに対して、不器用ながらも父親のように接するところが微笑ましい。しかし、結末はなかなかに切ない展開となっていて、とても涙を誘う。タイトルのパーフェクトワールドというのは、いわゆるブッチが求めた世界の事を指している。感動する作品を探しているのであれば、まずこの作品をおすすめしたい。(男性 30代)
幼少期に初めてこの映画に出会ってから、今までに何度鑑賞したかわからないくらいです。毎回涙なしでは観ることのできない作品です。
脱獄犯が男の子を人質に取り、逃亡を図るロードムービー的な内容ではありますが、一番の魅力は人間ドラマでした。
犯人目線で観るか、人質の男の子目線で観るか、追う警察目線で観るか。それぞれ違った涙が流れます。
監督を務めるクリント・イーストウッドらしい人の心情の変化や態度、表情が秀逸です。(女性 20代)
脱獄犯が子供を人質に逃亡する話ですが、ブッチとフィリップの関係性がとても良かったです。入った店で物を盗んだり、車でくだらない話をする二人は相棒のようで、男の友情を感じます。一方、車を運転させたり、フィリップの夢をかなえようとするブッチの様子は、親子を感じさせます。息の合う二人だったが故に、ラストは切ないです。父から愛を感じた絵葉書、父からブッチへ、ブッチからフィリップへ。これは愛の継承なんだなと思い、非常に泣けました。(男性 20代)
家庭環境が違っていたら、ブッチは罪を犯すこともなく真面目に生きていたのではないかと思う。子供が育つ環境というのは、想像しているよりも大事だなと感じた。ラストは本当に切なくて、フィリップのこれからの人生に暗い影を落とさなければ良いなと思った。
ブッチとフィリップの関係も素敵だったが、ブッチのことを心配する刑事のガーネットの存在が良かった。少年院送りにしたことを後悔していたが、あれが彼にできるブッチを守るための精一杯の方法だったのだと思う。(女性 30代)
子どもを人質に逃走する凶悪犯という設定に、最初はただの犯罪映画かと思っていましたが、観るうちにブッチとフィリップの関係に心を打たれました。ケビン・コスナー演じるブッチは決して善人ではないけれど、彼の中にある優しさと寂しさがとてもリアルで、フィリップとの絆に涙が止まりませんでした。ラストの結末はわかっていても、あまりに切なくて、鑑賞後もしばらく引きずるほど。静かに心に刺さる映画でした。(30代 女性)
ブッチがフィリップに「父親」のような存在になっていく過程がたまらなく切ない。彼自身が子ども時代に満たされなかったものを、フィリップに与えようとする姿がグッときました。特に万引きのシーンや衣装のシーンは、ブッチの人間らしさがよく出ていて胸が痛かった。銃声が響くあのラスト、予想できていたのに衝撃的で、ただただ無力感に襲われました。クリント・イーストウッド監督の静かな演出も心に沁みます。(40代 男性)
派手な展開があるわけではないけれど、一つひとつのシーンが深く印象に残る映画でした。宗教や家族、自由といったテーマを背景に、フィリップが大人になるまでの時間をブッチと共に過ごすのが本当に尊くて…。子どもにとって「完璧な世界」とは何なのか、自分自身にも問いかけられるようでした。あの白い服とお面のシーンが切なくて忘れられません。(20代 女性)
ラストのシーンで涙が止まりませんでした。ブッチは確かに犯罪者ですが、彼の優しさや信念に触れるたびに、自分でも知らぬ間に感情移入していました。フィリップとの逃避行の中で見せた一瞬の幸せが、逆に悲しみを増幅させていたように思います。クリント・イーストウッド監督の作品の中でも、特に余韻の深い作品だと感じました。(50代 男性)
中盤まで静かな空気が続くのですが、その静けさが物語の緊張感を逆に引き立てていました。ブッチがフィリップに対して優しさを見せる一方で、怒りが爆発するシーンではハッとさせられ、人間の二面性を強く感じました。あの最期の瞬間、彼がどんな気持ちでいたのかを想像すると苦しくてたまりません。心に沁みる名作だと思います。(40代 女性)
映画『パーフェクト ワールド』を見た人におすすめの映画5選
グラン・トリノ
この映画を一言で表すと?
孤独な老人と少年の間に芽生える、不器用で力強い絆の物語。
どんな話?
退役軍人の頑固な老人ウォルトは、移民の少年タオとの出会いをきっかけに、次第に心を通わせていきます。やがて彼はタオの家族を守るために自らの過去と向き合い、大きな決断を下すことに。静かに心を打つ人間ドラマです。
ここがおすすめ!
クリント・イーストウッド監督・主演の傑作で、世代や文化の違いを超えた絆の描写が秀逸。特にラストの展開は涙なしには見られません。ブッチとフィリップの関係に感動した人には、間違いなく刺さる一本です。
スタンド・バイ・ミー
この映画を一言で表すと?
少年時代の友情と喪失を描いた、青春映画の金字塔。
どんな話?
1950年代、アメリカの田舎町で暮らす4人の少年たちが、行方不明の少年の死体を探しに冒険に出る物語。旅の中で彼らは成長し、現実と向き合っていきます。懐かしさと切なさが同居する、心に残るストーリーです。
ここがおすすめ!
友情の尊さや少年時代の儚さを、美しい映像と共に描き切った名作。『パーフェクト ワールド』のフィリップのように、子どもの視点で人生の一端を垣間見る映画が好きな方にぜひ観てほしい作品です。
ロード・トゥ・パーディション
この映画を一言で表すと?
父と息子、罪と贖いを描く、美しくも哀しい復讐の旅。
どんな話?
ギャング組織に属する父と、無垢な息子が殺し屋に命を狙われながら逃亡する物語。復讐と守ることの狭間で揺れ動く父の姿と、それを見つめる息子の心情が深く描かれます。映像美も圧倒的な一作です。
ここがおすすめ!
トム・ハンクスの重厚な演技とサム・メンデス監督の繊細な演出が光る。『パーフェクト ワールド』と同様、父性と贖罪を軸にした逃避行が描かれ、観る者の心を揺さぶります。映像と音楽も一級品です。
リトル・ミス・サンシャイン
この映画を一言で表すと?
バラバラな家族が一つになる、泣き笑いのロードムービー。
どんな話?
美少女コンテストに出場する娘のために、クセの強い家族がボロボロのバンで旅に出る物語。それぞれ問題を抱えながらも、旅を通じて少しずつ心を通わせていく姿が温かく描かれます。
ここがおすすめ!
笑いと涙が同居するバランス感が絶妙な一作。人間の不完全さや絆の尊さをユーモアたっぷりに描いており、『パーフェクト ワールド』の哀しさを少し和らげたい人にぴったりの作品です。
ミスティック・リバー
この映画を一言で表すと?
過去と罪が交錯する、深い哀しみに包まれたサスペンスドラマ。
どんな話?
幼い頃にある事件を経験した3人の男たち。20年後、再び事件が起こったことで、彼らの心の闇が徐々に浮かび上がっていきます。静かで緊張感に満ちた展開が心に迫る作品です。
ここがおすすめ!
クリント・イーストウッド監督作でありながら、『パーフェクト ワールド』よりもダークで複雑。心の傷と向き合う人間模様が丁寧に描かれ、観終わった後もしばらく余韻に浸ること間違いなしです。
みんなの感想・レビュー
フィリップ役のT・Jローザー君、とにかくかわいい、めちゃくちゃ癒される。
セリフが少ないのはあるが、もうちょい喋ってもいいのではないか?と思ったが、欲を抑圧されて生きてきた少年という役であることを思えば、それが自然になる。
あとキャスパーの衣装を着たフィリップ君は誘拐したくなる。
子供が銃をぶっ放し、万引きするという内容もふくまれているが、まったく危険な香りがなく、そのシーンは明るく過ぎていく。厳しい家庭(フィリップ少年の母のように)では観せてくれないのだろうか、それとも、クリント・イーストウッドが、そういう家庭に届けたい思いで、明るく作った作品なのか、真相は定かではない。
最後、フィリップに腹を撃たれたブッチが、木の上に逃げているフィリップに、苦しみながら下から語りかけていると、フィリップが木から降りてきて、ブッチに抱きつくシーン
あれは相当泣いた。さらに、ブッチがフィリップを警察に渡すために、ハロウィンのようにお菓子をねだる行為をしてきてくれと言い、フィリップが警察の方へ歩み出すけど、途中で振り返って、ブッチのところに戻ってくる、あまり映画で泣くことができない人間なので、この映画の涙腺破壊力は相当な物だと思う。
私的には、大号泣できて大満足だった、ただ、シリアスなカーチェイスや、激しい強盗シーン、銃の打ち合いなどの、ハラハラドキドキは少なく、チープな生ぬるい人間ドラマが好きではない人もいるので、そこは好き嫌いが分かれる作品だと思った。
だけど、完璧な世界を求めて、家庭に問題を抱え、抑圧されてきた二人が解放されていく姿は、うれしくもうらやましくもある。
それと、とにかく泣ける。こんないい映画知らなかったのが恥ずかしいぐらいだ。
人に、泣ける映画はどれかと聞かれたら、この映画を紹介するだろう。
父を知らないフィリップにとって、ブッチは父のような存在であり、宗教上、普段できなかった遊びを思いっきりさせてくれる、デカい友でもあるように見えた。
ブッチも、フィリップに対して、父のようにふるまっていたと思う、だけどブッチは、ろくでなしの父のもとで育っているから、決してまともな、幸せな家庭の父を演じることはできないのだろうなと感じた。
なので、家庭環境と人間性との影響を表した作品でもあると思う。