映画『フォーン・ブース』の概要:電話ボックスに電話をかけてきた相手はなぜか自分のことをよく知り、自分に銃口を向けているという…。電話を切れば殺されるという状況に追い込まれた主人公と姿の見えない犯人との緊迫したやりとりを描いた異色のサスペンス。
映画『フォーン・ブース』 作品情報
- 製作年:2002年
- 上映時間:81分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:ジョエル・シューマカー
- キャスト:コリン・ファレル、フォレスト・ウィテカー、ラダ・ミッチェル、ケイティ・ホームズ etc
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映画『フォーン・ブース』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『フォーン・ブース』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『フォーン・ブース』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『フォーン・ブース』 あらすじ【起・承】
ニューヨークでPR会社の宣伝マンをしているスチュ(コリン・ファレル)は、いかにも業界人といった男だ。高価なスーツを着て嘘を並べ立て、自分をできる男に見せることには余念がない。
スチュは新人女優のパム(ケイティ・ホームズ)を口説くために毎日同じ電話ボックスを使っていた。携帯の履歴から妻のケリー(ラダ・ミッチェル)に浮気がばれることを恐れたためだ。
いつものように電話ボックスに入るとピザの宅配がやってくる。“ここにいる男へ届けるように言われた”という配達員をスチュは冷たく追い払い、パムに電話する。パムへの電話の後、突然電話ボックスの電話が鳴り始める。
思わず受話器を取ったスチュに電話の相手は“君を見ている、自分に従え”と命令してくる。相手はスチュの身元やパムやケリーのことまで全て知っていた。相手の狙いが分からず、スチュは困惑する。
スチュは何とか相手を丸め込んで電話を切ろうとするが“切ったら殺す”と脅される。それが脅しではないことの証拠に、相手はおもちゃのロボットを狙撃して見せる。
長電話するスチュに散々文句を言っていた売春婦が用心棒のレオンを連れてやってくる。スチュに乱暴したレオンはいきなり撃ち殺されてしまう。
相手が凄腕の殺し屋だということがわかり、スチュの恐怖は募る。そこへ売春婦から通報を受けた警察がやってきてスチュを取り囲む。売春婦は“スチュが撃った”と騒ぎ立て、警察はスチュに投降を迫る。警察の責任者であるレイミー警部(フォレスト・ウィテカー)は、スチュと話し合おうとするが、スチュは本当のことを言えないので事件の概要は見えてこない。
映画『フォーン・ブース』 結末・ラスト(ネタバレ)
警察はスチュを、銃を所持する危険な精神異常者だとして狙撃班まで配備する。しかしレイミー警部はこれには何か裏があるのではと疑い、慎重にスチュを見守る。
この騒ぎはテレビでも生中継され、ケリーが現場に駆けつける。殺し屋の“ケリーに真実を話せば解放してやる”という言葉を信じてスチュはケリーにパムのことを話す。しかし、殺し屋は“気が変わった”と言い出し、スチュを解放しない。
スチュは殺し屋に“自分の無実は明らかだから警察に全て話す”と言うが、殺し屋は電話ボックスの天井に銃を仕込んでいた。その銃を手に取れという殺し屋とやりとりしているところへ、パムまでやってくる。
スチュが電話の相手にどこかから命を狙われ脅されていることを見抜いたレイミー警部は、殺し屋の居場所を突き止めるまで時間稼ぎをしようとスチュに近づく。殺し屋はレイミー警部の存在にイラつき、いよいよ追いつめられたスチュはケリーに向かって嘘偽りのない自分を語る。
警察が殺し屋の居場所を突き止めたことがわかったスチュは“警察がお前を捕まえるぞ”と反撃する。ケリーを道連れにするという殺し屋の言葉を聞き、スチュは銃を持って外へ出て“俺を殺せ”と叫ぶ。そしてスチュは警察に撃たれる。
警察が突入した部屋には喉を切って自殺したあのピザ屋がいた。警察はスチュにゴム弾を使っており、彼は無事だった。鎮静剤を打ってもらったスチュは朦朧とする意識の中である男が“君の誠実さが続くように、そうでない時はまた電話する”と言い残して去るのを見る。
映画『フォーン・ブース』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『フォーン・ブース』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
かなり怖い設定と犯人像
電話ボックスにかかってきた電話を取ると、相手は自分の身元を詳細に把握していて、今もどこからか自分を見つめている…。これはかなり怖い。“電話を切ったら殺す”と言うその相手は、それが脅しでないことを証明するために関係のない第三者を容赦なく撃ち殺す。得体の知れない殺し屋に突然睨まれ、しかもそいつと話し続けなくてはいけないという主人公の心理的恐怖は計り知れない。
さらに観客をハラハラさせるのは「犯人の狙いがよく分からない」という点だ。他人に対して傲慢であったり、見栄をはったり、可愛い女の子に下心を抱いたり…。確かにスチュは俗物的な人物だが、処刑されるほどの極悪人ではない。それなのに犯人は執拗にスチュを裁こうとする。
この犯人のかなり一方的で押し付けがましい正義感(のようなもの)が狂気じみていて非常に怖い。自分が許せないと感じる悪をなくすために、関係ない人は何人でも殺す。とんでもない話だが、戦争や大量殺人の根底も似たようなものだ。私たちの身近にも話が通じない人は案外いる。そういう人との不毛なやりとりは心理的拷問のようで、相当つらい。その“イーッ!”となる感じを本作は上手く突いてくるので、余計に怖いのだ。
よくできたサスペンス
電話ボックスという閉鎖的な場所から動けない主人公が正体不明の犯人に命を狙われ、警察からも銃口を向けられ、自分以外の人の命まで守らなければならないのだから大変だ。“こうすれば助かるのでは?”とこちらが思いつくようなことは全て犯人に先読みされており、わずかな希望はすぐに潰されていく。
姿の見えない犯人に対する苛立ちに加えて、スチュの状況がわからずに(当然なのだが)的外れなことをする警察や妻のケリーにもイライラさせられ、一時も目が離せなくなる。
81分間という短時間に凝縮された無駄のないサスペンスは、多くの枷を主人公に負わせることで観客のドキドキ感を煽る秀悦な作りになっている。“ハラハラドキドキさせてなんぼ”というサスペンスの醍醐味が十二分に味わえる観客のツボを押さえた脚本だ。
映画『フォーン・ブース』 まとめ
電話ボックスで犯人とひたすら話すという設定で、一体どんなサスペンスができるのかと楽しみ半分、懐疑的な気持ち半分で観始めたのだが、犯人以外にも売春婦や警察や妻など主人公を追いつめていく要素が次々と重なっていき、予想を超える面白さだった。
勝手な推測では妻のケリーがどうも怪しい。そもそもプロの殺し屋というのは依頼者がいて動くものであり、たまたま見かけた男をあそこまでのリスクを背負って追いつめたりするだろうか。この事件でケリーは株を上げ、スチュの揺るぎない愛も獲得した。殺し屋も結局はケリーへの謝罪に一番こだわっていたし…。もし、これがケリーの依頼で行われた犯行だったなら、ある意味めちゃくちゃ怖い。しかしこれはそういう裏もありかなというただの想像なので、間に受けないで欲しいのだが。
こんな好き勝手な推理をしたくなるほど、本作では事件や犯人の背景が描かれない。この脚本と演出には賛否両論あるだろうが、個人的にはそこが良かった。観客に息抜きをさせないで短時間で決着をつける潔さが、本作の個性であり一番の魅力だと思うので。
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