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映画『じゃりン子チエ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『じゃりン子チエ』の概要:大阪の下町を舞台にした人情喜劇で、原作は、はるき悦巳の同名人気コミック。高畑勲監督が1981年4月に映画化し、その後すぐにテレビアニメ化された。それぞれのキャラクターにぴったりの大阪芸人が声優を務めており、特にテツを演じた西川のりおのハマり具合は見事としか言いようがない。

映画『じゃりン子チエ』の作品情報

じゃりン子チエ

製作年:1981年
上映時間:110分
ジャンル:アニメ、コメディ、ヒューマンドラマ
監督:高畑勲
キャスト:中山千夏、西川のりお、西川きよし、横山やすし etc

映画『じゃりン子チエ』の登場人物(キャスト)

竹本チエ(中山千夏)
大阪の下町に住む小学校高学年の女の子。父親のテツが頼りにならないので、家業のホルモン屋を自ら切り盛りしているしっかり者。人並み外れた運動神経の持ち主だが、勉強はあまり得意ではない。
竹本テツ(西川のりお)
チエの父親。博打好きの遊び人で、働いて家族を養うという感覚はゼロ。喧嘩が大好きで、ヤクザにも恐れられている。どうしようもない父親だが、チエのことは溺愛している。
竹本ヨシ江(三林京子)
チエの母親。現在家出中だが、テツには内緒でチエとは定期的に会っている。洋裁の仕事をしている。口数は少ないが、芯の強い女性。
竹本菊(京唄子)
テツの母親。通称おバアはん。テツでも頭が上がらない強者。夫のおジイはんとホルモン屋を営んでいる。完全なるカカア天下。
百合根光三(芦屋雁之助)
テツが入り浸っていた賭場「遊興俱楽部」の社長。溺愛していた猫のアントニオの死をきっかけに堅気のお好み焼き屋になった。一升以上酒を飲むと人格が変わってしまう。
花井拳骨(笑福亭仁鶴)
テツの恩師。テツとヨシ江の仲人でもある。テツを黙らせることのできる唯一の他人。息子の渉はチエの担任教師。
小林マサル(島田紳助)
チエの同級生。金持ちの坊々で、何かとチエにからんでくる。子分のように従順なタカシと常に一緒にいる。
小鉄(西川きよし)
チエの家に住み着いた野良猫。「必殺タマつぶし」いう恐ろしい技を持っており、アントニオの片方の睾丸を奪ってしまう。そのせいで、アントニオの息子のジュニアに決闘を申し込まれる。

映画『じゃりン子チエ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『じゃりン子チエ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『じゃりン子チエ』のあらすじ【起】

定職にも就かず遊び暮らしているテツは、お人好しの父親(以下おジイはん)に“チエが病気になった”と嘘をついて金をむしり取る。おジイはんがテツに金を渡したと知り、おバアはんは激怒する。テツはこの前も“チエが死んだ”と嘘をついていた。

金をせしめたテツは百合根光三(以下社長)の経営する賭場「遊興俱楽部」で、大好きな博打を楽しむ。しかし大負けしてしまい、社長に因縁をつける。社長は用心棒のヤクザを使ってテツを懲らしめようとするが、喧嘩が大好きなテツは、大喜びで暴れまわる。

その頃、テツの娘のチエは、家業のホルモン屋をひとりで切り盛りしていた。母親のヨシ江は現在家出中で、小学生のチエが無職のテツに代わって稼いでいる。“うちは日本一不幸な少女や”と言いつつも、チエは生き生きと店に立っていた。チエにホルモンを恵んでもらった野良猫の小鉄は、チエの人柄に惚れ込んでこの家に居座る。ヤクザには強いテツも、チエには頭が上がらないのだった。

チエの学校で授業参観があることを知ったテツは、おめかしして学校へ出かける。テツだけには来て欲しくなかったチエは、テツがやってきて心底動揺する。案の定、テツは授業中に騒ぎまくり、最後にはチエを泣かしてしまう。テツはそれを担任の花井渉のせいにして彼に詰め寄り、最後には渉まで泣かす。

学校に行きづらくなったチエは、家出をしようと考える。チエは将来のために、しっかりとへそくりもしていた。しかし、ヨシ江からの“明日会いましょう”という合図の花を見つけ、家出を思いとどまる。ヨシ江と会っていることは、テツには内緒だった。

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映画『じゃりン子チエ』のあらすじ【承】

翌日、チエはヨシ江が手作りしてくれた可愛いワンピースを着て、待ち合わせ場所の公園へ出かける。ヨシ江はチエを残して家出したことを後悔しており、近々帰るつもりでいた。チエも内心は母親に帰って欲しかったが、ヨシ江のためを思って“まだ帰らない方がいい”と忠告する。ヨシ江は、チエに我慢をさせていることが切なかった。

ある晩、遊興倶楽部の社長が子分のヤクザを引き連れて、テツの借金を取り立てにくる。テツを待つ間に大酒を飲んで酔っ払った社長は、奥の部屋にいた小鉄と愛猫のアントニオを面白がって喧嘩させる。アントニオは土佐犬を噛み殺すような凶暴な猫で、社長はアントニオが負けるとは夢にも思っていない。しかし、アントニオは小鉄の「必殺タマつぶし」を食らい、片方の睾丸を失ってしまう。チエは小鉄の強さを認め、正式な用心棒として家に置く。

ヨシ江が帰りたがっていることを知り、チエはテツを就職させなければと焦っていた。しかし、テツができそうな仕事はなかなかなく、チエは途方にくれる。

そんなある日、チエはすっかり雰囲気の変わった社長に声をかけられる。社長は賭場を閉めて足を洗い、堅気のお好み焼き屋になっていた。店内にはアントニオの剥製が祀られており、チエはアントニオが死んだことを知る。睾丸を失って弱くなったアントニオは、近所の犬に噛み殺されていた。

“店にヤクザが入り浸って困っている”という社長の話を聞き、チエは、テツを用心棒に雇ってくれないかと期待する。ちょうどテツが店にやってきて、社長にからんでいたヤクザを殴り倒す。チエはトドメを刺そうとしたテツを止め、ヤクザに感謝される。社長はテツを雇ってくれた。

映画『じゃりン子チエ』のあらすじ【転】

ヨシ江と神社の縁日へ出かけたチエは、偶然社長に会う。ヨシ江は社長がテツの雇い主だと知り、丁寧に挨拶をする。チエが喧嘩騒ぎを見に行き、社長とヨシ江は2人で話す。5年前から妻子に縁を切られている社長は、“親子は一緒に住むのが1番”と語る。

縁日で遊んでいたテツは、チエとヨシ江の姿を目撃し、大ショックを受ける。テツはすっかりスネてしまい、お好み焼き屋に家出する。

チエは家出の理由がわからず、テツを迎えにいく。テツはチエが呼びにくるのを毎日待っていた。それをチエに教えた社長は、テツの鉄拳制裁を食らう。

公園をぶらついていたテツは、ランニング中のマサルを捕まえ、明日マラソン大会があることを聞き出す。チエが下駄でマラソン大会に参加していることを知ったテツは、運動靴を買って家に帰る。テツはどうしようもない父親だったが、チエのことは愛していた。

マラソン大会当日。テツは社長やヤクザを引き連れて応援に来る。チエは新しい運動靴を履き、優勝目指して全力疾走する。チエのスタミナ切れを心配したテツは、警察の自転車を盗んでチエを追いかけ、ペースを落とすよう忠告する。しかしチエは止まらない。テツは電柱に激突して自転車を壊してしまい、留置場に入れられる。優勝したチエは、晩御飯も食べずにテツの帰りを待っていたが、疲れて眠ってしまう。

家庭訪問の日、チエは渉と一緒に家へ帰る。家ではテツが遊び仲間と博打をしており、チエは頭を抱える。渉は、家にあったテツの卒業アルバムを見せ、自分が花井拳骨の息子で、今日は花井もここへ来ることを打ち明ける。花井はテツの恩師で、テツとヨシ江の仲人でもあった。一升瓶を抱えて家にやってきた花井に、テツはヨシ江のことでさんざん叱られる。花井は仲人として責任を感じていた。

映画『じゃりン子チエ』の結末・ラスト(ネタバレ)

花井の計らいで、その日ヨシ江が家に戻ってくる。おバアはんとおジイはんもやってきて、チエの家で大宴会が始まる。チエも初めて酒を飲み、大いに酔っ払って大騒ぎする。

翌朝、ヨシ江が朝ごはんの支度をする音で目覚めたチエは、母親が帰ってきた喜びを感じる。しかしテツはいじけきっており、ヨシ江と一言も口をきかない。花井はそんな夫婦を心配し、3人で遊園地へ行くようテツに命じる。

電車の中でもテツとヨシ江の気まずい空気が続き、チエは気を遣って大きな声で歌い出す。チエの捨て身の行動で会話のきっかけができ、夫婦は普通に話し始める。遊園地でもチエはテツを盛り上げ、ずっと不機嫌だったテツも笑顔になる。3人は楽しい1日を過ごして帰路につく。帰りの電車で眠ってしまったチエを見ながら、ヨシ江は“この子は偉いと思いますねん”と言って涙を流す。さすがのテツも無言でヨシ江の話を聞いていた。

花井の紹介でヨシ江は洋裁の先生を始める。テツはヨシ江に遠慮してしまうので、チエと2人の方が気楽だった。ただでさえ居心地が悪くなった家には、小鉄という恐ろしい猫までいる。テツはお好み屋に出かけては、ヨシ江や小鉄の愚痴を言う。

風の強い夜、お好み焼き屋にアントニオそっくりの猫がやってくる。その猫はアントニオの息子で、社長は喜びの涙を流す。ジュニアと名付けられたその猫は、父親の復讐を果たすためにやってきた。テツは断酒していた社長に酒を飲まし、ジュニアと小鉄が喧嘩をするように仕向けていく。テツは自分に暴力を振るう小鉄を懲らしめたかった。

泥酔して人格の変わった社長は、ジュニアを連れてチエの店へ行く。小鉄は自分が出ないとおさまらないと考え、ジュニアと対峙する。そして2匹は、アントニオの睾丸が埋葬された墓場へ移動する。チエとテツと社長は、事情がよくわからないまま2匹についていく。

墓場に到着し、正気に戻った社長は、ジュニアを止めようとする。社長はジュニアまで失うことを恐れていた。しかしジュニアは言うことを聞かず、小鉄に襲いかかる。小鉄もアントニオの死には責任を感じており、ジュニアの気がすむまで黙って殴らせてやる。小鉄の男らしさに心を打たれ、ジュニアは自分の負けを認める。チエは傷だらけの小鉄を抱きしめて涙を流す。

その後、小鉄とジュニアは親友となり、チエの生活も安定する。テツは相変わらずだったが、それも含めてチエは幸せだった。

映画『じゃりン子チエ』の感想・評価・レビュー

子供のころ、親が「じゃりン子チエちゃんみたい」なんて言っていたのを聞いたことがありますが、当時はなんの事だか全く意味が分からず、大人になってああこれだったのかと気づきました。
昭和の下町、古き良き日本の風景を感じられる作品でとにかくホッコリします。悪そうな人が出てきても、本当に嫌な人は出てこないし人気だった理由がよく分かりました。しかし、今の時代には合っていない表現が多すぎて、現代の子供は楽しめないと思います。
これも古き良き作品の特徴ではないでしょうか。(女性 30代)


大阪のとある町を舞台に、遊び人の父親テツに代わって、家のホルモン焼き屋を営む小学生のチエの日々。
監督に高畑勲、声優にはネイティブな関西弁を話せるようにと、関西吉本の芸人を起用しよりリアルな関西の人情噺が展開される。
テツのいい加減さやチエの勢いなどから生まれるギャグシーンもさることながら、後に作られたテレビ版以上に、母との再会に目を輝かすチエや、テツとヨシ江が、家族で出かけた帰りに語らう等、情緒的なシーンも見逃せない。(男性 20代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    赤いぽっちりに元気な笑顔がトレードマークのチエは、苦労しているだけあって大人顔負けの深みのある少女だ。

    大阪のかなりディープな下町育ちで、大人相手に一人でホルモン屋を切り盛りしている。飲み過ぎの客には“あんまり悪い酒飲んでるとアホになるど”と注意し、勘定をごまかそうとする客には食ってかかる。それほど気が強いのに、参観日でテツが大騒ぎした時には、恥ずかしさのあまり泣いてしまうような繊細な一面も持つ。さらに下品な下ネタを嫌うレディでもある。

    チエは仕事をしない父親や家を出てしまった母親を責めたりせず、自分が我慢して最善を尽くすという姿勢を貫く。“うちは日本一不幸な少女や”と言いながら、常に前向きに物事を考え、周囲に気を使いながら明るく生きていくチエの姿勢には頭がさがる。

    ヨシ江が“親バカかもしれんけど、私この子は偉い思いますねん”と言って涙を流すシーンがあるが、本当にその通り。チエの人間力は非常に高度であり、自分の子供がチエのように育ってくれたら、どれほど安心でありがたいか。チエちゃんを見るといつもそう思う。

  2. 匿名 より:

    この「劇場版じゃりン子チエ」と、その公開後に始まったテレビアニメの監督はどちらも高畑勲である。リアリティーを出すため声優にネイティブな関西弁を使える吉本の芸人を多用しているところなど、いかにも高畑勲監督らしい。特にテツの声を西川のりおにやらせたのは大成功で、のりおのテツを見てしまったら他のキャスティングなど一切考えられない。とにかくテツといえば西川のりおだ。

    個人的に「じゃりン子チエ」は子供にぜひとも見せたいアニメの一つである。過激なセリフや乱暴さも親子で大笑いできるくらいのおおらかさは持っていたい。このアニメの世界には子供が(大人も)学ぶべきことや、元気の出る笑いがいっぱいつまっている。

    もちろん大人が見ても見ごたえのある下町人情喜劇の傑作であることは間違いない。

  3. 匿名 より:

    働かない、博打をする、ケンカ三昧、わがまま…と、テツの欠点を書き出すときりがない。ところが散々迷惑をかけられているチエもヨシ江もテツを嫌ったり、見捨てたりすることはない。ヨシ江は家を出ているが、離婚するつもりは全くないようである。

    テツは相当好き放題に生きているが、女遊びや酒やタバコは一切しない。いや、しないのではなくてできない。いつも男とつるんでアホなことばっかりしている悪ガキのままおっさんになった男。それがテツなのだ。こういう男に女は母性本能をくすぐられる。実際にテツはダミ声のおっさんなのにどこかかわいいし、見ていて飽きない。

    さらにテツはチエのことが大好きだ。父親として子供を愛しているというより、友達のようにチエを慕い、チエと遊びたがる。参観日でテツは泣き出したチエを見て(自分のせいだとは全く気付かず)かわいそうになり、自分も涙を浮かべて先生に抗議する。

    世間体など一切気にせず、ここまでまっすぐにチエを可愛がるテツという男はアホかもしれないが魅力的だ。