ニコラス・ウィンディング・レフン監督によるクライム・サスペンスシリーズ第2作目。前作にも登場した麻薬売人トニーが、まっとうに生きたいと願いつつも転落していく様を描く。マッツ・ミケルセン主演。
映画『プッシャー2』 作品情報
- 製作年:2004年
- 上映時間:96分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
- キャスト:マッツ・ミケルセン、リーフ・シルベスター、ズラッコ・ブリッチ、アンネ・ソレンセン、オイビンド・ハーゲン=トラバーグ etc…
映画『プッシャー2』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『プッシャー2』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『プッシャー2』のあらすじを紹介します。
刑務所から出て来たばかりのトニー(マッツ・ミケルセン)は出所を機にまっとうに生きることを決意する。しかし彼の元にショッキングな情報が入ってくる。いつの間にか母親は他界し、女友達のシャーロットとの間には子供が生まれていたというのだ。動揺したギャングの父親の元を訪れ、結局ずるずると裏の社会へと落ちて行くのだった。
ある日トニーは友人と麻薬取引の現場に立ち会うが、ミスから麻薬を全てトイレに流してしまう。そのせいで実の父親から借金の返済を迫られたトニーは、代わりに暗殺の仕事を請け負うことになる。相手はトニーと腹違いの弟の母親。養育費をとられたくないという身勝手な理由だった。暗殺に向かうトニーだが、結局失敗して帰ってくる。そんなトニーを父親は屑呼ばわりして殴りつける。その時トニーの中で何かが壊れた。背後から反撃に出たトニーは父親をナイフにメッタ刺しして殺してしまう。全てに嫌気がさしたトニーは、ろくに子育てもしないシャーロットから自分の子供を奪いとると夜の街に消えていくのだった。
映画『プッシャー2』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『プッシャー2』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
子供から父親へ
前作のフランクがどこまでも屑だったのに対して、今作のトニーは何とかまっとうな生活を送りたいと願っている。しかし本当に彼が望んでいるのは裏社会からの脱却ではなく、自分を屑呼ばわりする父親から認められて居場所を得ることなのだ。それ故父親のためにフェラーリを盗んできたり、喜ぶのであれば暗殺まで引き受ける。だがそんなトニーを父親は殴りつけ、その瞬間トニーは子供であることをやめる。父親を刺し殺し、子供のように周囲に流されて生きて来た自分に決別するのだ。そして子供としての居場所に見切りをつけたトニーは、今度は父親としての居場所に未来を見出そうとするのだ。
2人の未来は
シャーロットから子供を奪い取って街から去って行くトニー。彼はそこに希望を見たのだろう。しかし彼らの未来は決して明るいものではない。トニーは最早殺人者であり、その罪は麻薬の売人の比ではない。例え上手く追っ手を逃れたとしても、トニーに果たしてまっとうな子育てができるのだろうか。結局彼は裏の世界で生まれ育ってきた人間だ。体に染み付いた腐った性根を直すことは難しいことは照明済み。彼が育てた子供もまた同じ道を歩んでいくのではないか。まるでギャングの父親に育てられたトニーのように。闇はトニーが思うよりも遥かに深いのだ。
映画『プッシャー2』 まとめ
前作『プッシャー』に比べて映画として遥かに観やすくなっている。フランクがただの屑だったのに対して、今作のトニーが同情の余地ある哀れな男である所も大きい。まっとうに生きたいと願いながらも、裏の世界に飲み込まれていく過程がリアルに描かれており感情移入してしまう。トニー演じるマッツ・ミケルセンも魅力的だ。『007 カジノ・ロワイヤル』での悪役など多彩な役柄をこなす役者だが、今作でも哀れなスキンヘッドの男を熟練の演技でみせてくれる。
それにしても前作に続いて屑な人間のオンパレードだ。中でも子供をドラッグやタバコの煙が充満する部屋に放置する母親シャーロットの屑っぷりはお見事。屑なりに良心が残っているトニーを際立たせている。
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