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映画『プッシャー3』あらすじ&ネタバレ感想

ニコラス・ウィンディング・レフン監督によるクライム・サスペンスシリーズ第3作目。老いた麻薬王ミロがわがままな娘の誕生日会や、若いギャングの台頭に振り回される。ズラッコ・ブリッチ主演。

映画『プッシャー3』 作品情報

  • 製作年:2005年
  • 上映時間:102分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
  • キャスト:ズラッコ・ブリッチ、ズラッコ・ブリッチ、マリネラ・デキク、クジム・ロキ etc…

映画『プッシャー3』 評価

  • 点数:60点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★☆☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

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映画『プッシャー3』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『プッシャー3』のあらすじを紹介します。

かつてフランクを追いつめた麻薬王のミロ(ズラッコ・ブリッチ)は、今では麻薬依存者の会に顔を出すようになっていた。溺愛する娘の誕生日にも忙しく、一見普通の父親のようにも見えるが、一方では麻薬の密売を続けていた。そんな中仕入れたはずのヘロインが何かの手違いでエクスタシーであったことが判明する。仕方なく部下のムハンマドにエクスタシーを捌くように頼むのだが、彼は行方を眩ませてしまう。新たに台頭してきた若いギャングたちに脅され、ムハンマドの行方を探すミロだがなかなか見つからない。そんな状況でも娘はミロに無理難題を押しつけて、ミロのストレスは極限まで高まっていく。そしてついに断っていた麻薬に手を出してしまう。

漸く見つかったムハンマドだが、彼はエクスタシーが偽物だったとミロに告げる。それは事実だった。いよいよ追いつめられたミロは、自分の店で少女の人身売買をしていた男2人を殺してしまう。かつての仲間の手を借りて死体を解体していくミロ。地獄のような作業が終わって自宅に帰る頃、もう夜は明けてしまっているのだった。

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映画『プッシャー3』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『プッシャー3』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

老いた麻薬王の憂鬱

前2作では麻薬王として威厳を保っていたミロの悲哀が今作では描かれている。冒頭の麻薬依存者の会に出席するシーンからしておかしさが漂う。今まで散々麻薬で儲けてきたはずの男が、ここでは一人の被害者だ。周囲の者からもどうも馬鹿にされる傾向にあり、台頭した若手からは老いぼれ扱いされる。ヘロインには詳しいミロだが、エクスタシーに限っては偽物も見分けらない辺りも彼が時代の流れに着いていけていないことを強調する。溺愛する娘まで、彼が何とか準備したパーティ用の食事を全て棄てる始末。価値観が変わり、今まで自分が築いてきたものが崩れ去っていく男の虚しさを感じる

変われない男、ミロ

そんなミロは人身売買されようとしていた女を助ける。それは麻薬王としての威厳を失った彼の中に残った良心がさせたものだろう。或いは身体しか持たない女にシンパシーを感じたのかもしれない。しかしそのために殺した男の処理をするために、ミロは失われたはずのかつての価値観=暴力に頼る他なかった。かつての仲間と共に死体を解体するシーンは凄惨と言う他ない。今までの自分が否定されたから女を助けることが出来たのに、その後始末のために結局以前の自分に戻らなければならない。麻薬も結局止めることは出来なかった。老いて取り残されても、ミロはもう普通の人間に戻ることは出来ないのだ。

映画『プッシャー3』 まとめ

愛する娘に邪険に扱われ、仕事でも若手に追い抜かれて行く惨めな麻薬王をズラッコ・ブリッチが好演。前2作の若者のような閉塞感は薄いが、その代わり若手に追い越されて没落していく初老の姿は一段と哀愁を感じさせる。シリーズ全体通してのテーマとなっている、麻薬と暴力から逃れられない空虚な男を最も良く体現していると言える。料理好きが高じてカフェを開くも部下が料理を食べたら腹を壊したり、かつての部下に低姿勢で助けを求めたりとお茶目な所も好感が持てる。なお暴力シーン多い本シリーズだが、今作のラストには最も過激なバイオレンスシーンが待ち構えている。淡々とかつ順序良く死体を解体していく姿は、それまで哀れな姿を散々観て来ただけにショッキング。

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