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映画『イヴ・サンローラン(2014)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『イヴ・サンローラン(2014)』の概要:クリスチャン・ディオールの跡を継ぎ、ファッション界で名を馳せたイヴ・サンローラン。その栄光の裏には、様々な葛藤と挫折があった。公私に渡り、彼のパートナーであり続けたピエールは、イヴの死後、彼と共に過ごした半生を振り返る。

映画『イヴ・サンローラン』の作品情報

イヴ・サンローラン

製作年:2014年
上映時間:106分
ジャンル:伝記
監督:ジャリル・レスペール
キャスト:ピエール・ニネ、ギヨーム・ガリエンヌ、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット etc

映画『イヴ・サンローラン』の登場人物(キャスト)

イヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)
ディオール社に認められ、ファッション界入りを果たした若きデザイナー。社長のディオールの死後、彼の跡を継ぐことになる。
ピエール・ベルジェ(ギヨーム・ガリエンヌ)
芸術家のエージェント。自分が契約した画家の作品を富裕層に売り込むために参加したパーティでイヴと知り合い、彼の専属エージェントになる。

映画『イヴ・サンローラン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『イヴ・サンローラン(2014)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『イヴ・サンローラン』のあらすじ【起】

1957年の夏。イヴは思いついた服飾のデザインを紙に描いていた。下階では、母が友人を招いて、茶会を開いている。友人らが昨今の社会情勢を憂う中、イヴの母は息子の自慢を始めた。イヴはディオール社に雇われることが決まった。母の友人たちはイヴのことを祝福した。それに応えるように、イヴは自室にこもり、熱心にドレス制作に取り組んでいた。

家族と共に食卓を囲むと、イヴは仕事のことについて、両親から質問攻めにあった。社長の友人の家族のドレスを仕立てることになったとイヴは語る。与えられた仕事の大きさに喜ぶ反面、アルジェリア独立戦争の最中、仕事でパリに出向くことになったイヴは、田舎に家族を残す不安を吐露した。

ディオール社はパリにやってきたイヴを歓迎した。早速、客のドレスの仕立てについて相談を始める二人。イヴは客の前で、デザインを紙に起こすと、生地で見本を作って披露した。客はイヴのデザインと手際に感動して、彼に信頼を寄せた。

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映画『イヴ・サンローラン』のあらすじ【承】

歳月を経て、年老いたピエールは先立ったイヴのことを懐かしむ。二人で集めた。その傍らで、彼の部屋の美術品が運送業者によって運び出される。それらは、ピエールがイヴと二人で集めたものだった。二人で選び、眺め、愛でたものを独りで眺めるのは辛い。そんな心境から、ピエールはイヴとの思い出の品々を売ることにしたのだった。

オークションの準備に没頭しながら、ピエールは会場でされるだろう質問について考えていた。イヴが好きだったものは。自分が好きだったものは。会場に着いたピエールは入口にかけられたポスターを見上げた。そのポスターには若かりし頃のイヴとピエールが映っていた。イヴは美を愛した。しかし、その審美眼や才能がどこからくるものなのかは、誰にも答えられない。そう思いながら、ピエールは会場入りをした。

時代を遡り、社長のディオールが亡くなった日。会社の役員が記者会見で会社の今後を語る中、控え室にいたイヴは悲しみに暮れていた。イヴは会見場に連れ出され、会社を代表する新しいデザイナーだと紹介される。記者はディオールの名前が持つ偉大さに対し、跡を継ぐことになったイヴの若さを危惧した。未熟なのではないか。記者の質問に対し、まだ解からないとイヴは率直に答えた。

映画『イヴ・サンローラン』のあらすじ【転】

その頃、自分はファッションに無知で、関心があるのは文学と絵画だったとピエールは打ち明ける。ピエールは兼ねてより支援していた画家の家でパーティを開き、活動費を稼ぐために、絵を売り捌いていた。そして、新しいスポンサーを獲得するため、画家を連れまわし、色んな人と会談させた。その内の一人が、仕事でパーティに出席できなかったイヴの代理人だった。イヴの代理人は、イヴが画家のファンであることを告げると、いつか夕食に招待したいと言っていたことを伝える。

イヴは自分がデザインした服をモデルに着せて、ショーに出展する作品を選んでいた。一通り選定が終わると、秘書がショーの座席を決めるようイヴに要求した。しかし、イヴは自分の仕事ではないと言って断る。顧客をどう扱うかは、政治だと秘書は食い下がるが、イヴは頑なに拒んだ。

ショーが始まった。イヴのデザインはディオールの厳格さを受け継いでいながらも独自性を損なわず、絶賛された。客としてその場に出席していたピエールは、芸術的なイヴのデザインに感動した。

映画『イヴ・サンローラン』の結末・ラスト(ネタバレ)

パーティの晩、ピエールは支援していた画家と共にイヴと会食した。それを機にイヴとピエールは急速に仲を深め、愛し合った。

戦争が長期化し、イヴに召集指令が届いた。仕事の不安も重なって錯乱状態になるが、ピエールは自分が側で彼を守ると約束する。

兵役を逃れようとするイヴを市民は批難した。イヴは会社を通して指令の差し止め申請を出してもらおうとするが、会社の社会的評価を重視した役員はイヴの要請を拒んだ。

徴兵に応じたイヴだが、数日も経たずに精神病棟に収監された。ピエールが見舞いに訪れると、イヴはすっかり精神的に消耗しきっていた。塞ぎこむイヴのことをピエールは懸命に励まし続けた。

退院こそしたものの、精神疾患を理由に、イヴは退社を迫られた。イヴはピエールと共に、起業することを決心する。ピエールは資本金を得るため、弁護士を雇い、イヴをクビにした会社を相手取り、契約不履行の裁判を起こすことにした。更に出資者を募るが、イヴの精神疾患を理由に断られてしまう。

裁判に勝利したピエールは賠償金を元手に広告を出した。そのおかげで、イヴの名前は世間に知れ渡るが、彼の疾患の情報は海を越えず、アメリカの出資者からの出資が集まった。

イヴの会社は成功を収め、彼はファッション界の天才として祭り上げられた。しかし、低迷期に入ると話題をクレージュに浚われてしまう。ピエールはシャネルからの引き抜きを打診されるが、イヴのことを信じて固辞する。

イヴがデザインしたモンドリオンは爆発的にヒットした。チャールズ・オブ・ザブリッツ社が米国での権利を購入し、イヴが大きく羽ばたくきっかけにもなった。

一躍世界中から脚光を浴びたイヴだが、同時に孤独を感じるようになった。パーティに出席し、記者にも囲まれるが、自分の本質を見る者は誰もいない。酒浸りになるイヴをピエールは心配する。イヴは仕事から逃れるようにピエールと共に旅行に出かける。

ピエールのおかげで活力を取り戻したイヴは、それから精力的に仕事に取り組む。そして、2002年のオートクチュールコレクションを最後に、引退を表明した。

2008年イヴは癌で他界した。彼と集めた美術品を売り捌いたピエールは、イヴがデザインを描くのに使っていた窓辺の机で、今も絵を描いている姿を幻視した。

映画『イヴ・サンローラン』の感想・評価・レビュー

有名ブランドを手掛けたイヴ・サンローランだったが、想像していた人物ではなく、とてもナイーブで天才であった。彼を支えたピエールの存在が大きく、彼女なしでは成功しなかったくらいだと感じた。徴兵に応じたイヴ・サンローランだったが、そこで精神的に病んでしまい、体も心もぼろぼろになっていき、どうしようもなくなった時にピエールが手を差しのべてくれたシーンや、酒浸りになってしまった彼を旅行へ連れていき、気分転換をさせてくれたシーンなどが特に感動し、素晴らしい関係性だと思った。彼の死後、ピエールは残されてしまったが、彼を思い出させる場所や物があり、再び想うシーンも見所であった。(女性 20代)


世界的有名なトップデザイナーのイヴ・サンローランが、こんなに波瀾万丈な人生を歩んでいたとは思わなかった。徴兵を拒んだ彼は本当に戦うことを恐れ、穏やかな人生を望んでいたのだと思う。イヴ・サンローランを献身的に支えたピエールが素敵だった。きっとピエールはイヴ・サンローラン自身だけでなく、彼の才能にも惚れ込んでいたのだろうと思う。イヴ・サンローランが他界した後もずっと彼のことを思い続けている姿に、深い愛を感じた。(女性 30代)


世界的に有名なブランドを手掛けた一人のデザイナーの話。映画自体、音楽や映像の美しさがあり、見るに飽きない映画である。イヴ・サンローランという人物の生きた世界は、想像していたよりも暗く、それでも与えられた才能を発揮する点ではやはり、デザイナーというクリエイティブな世界を創造するそのものであった。彼の繊細な一面も多く描かれており、ブランドを大きく成長させたのが本当に彼の負担にもなっていただろうと感じた。

デザイナーという一見華やかな仕事の裏では、思い苦しみながら自身の才能のやり場に困っている人もいるのかもしれない。しかしながら、その繊細さから生まれる美しさもあるのだろう。(女性 20代)


ファッションドレスやリップなどの化粧品などで有名なイブ・サンローランの話。我々のような一般人は彼を成功者としか思わないが、この作品では彼の人間性について多く触れられていた。酒、ドラッグに溺れるファッションデザイナーを観て私は初めて彼を人間なんだと思った。どんな成功者にだって必ず裏側は存在するということを教えてくれる作品であった。

この作品は主に彼の人柄について触れられているため、化粧品ブランドに詳しくなくても純粋に作品を楽しむことができるためどの年代の方にもおすすめできる作品である。(男性 20代)


イヴ・サンローランという世界的に有名なブランドはもちろん知っていますが、イヴ・サンローランが男性だと言うことにまず驚きました。男性なのにと言うと語弊がありますが、男性でありながら、女性の興味や好みにもぴったりハマるデザインを数多く手がける彼の才能は努力あってのものだと思います。しかし、これほどまでに天才的なデザインの才能は天から与えられたものだとも感じました。そしてその才能が、彼を苦しめていたことも初めて知ります。
天才であるが故に、評価されてしまうが故に、一般人には計り知れないほどの苦悩があり、作中には描かれていない苦しみも沢山あったのだろうと胸が苦しくなりました。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    中高年の憧れのブランド、イヴ・サンローラン。ブランドを作り上げ、世界一の転載ファッションデザイナーとして名声を博した男の物語にしては、雰囲気が暗い気がしました。