映画『レイチェルの結婚』の概要:姉の結婚式に出席するため、薬物治療施設から一時退院したキム。キムと家族は、お互いを愛しながらも傷つけあってしまう。癒えない傷を負ったある一家が、崩壊から立ち直り修復するまでを描いたヒューマンドラマ。
映画『レイチェルの結婚』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジョナサン・デミ
キャスト:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、ビル・アーウィン、トゥンデ・アデビンペ etc
映画『レイチェルの結婚』の登場人物(キャスト)
- キム(アン・ハサウェイ)
- 9年間、薬物治療施設の入退院を繰り返している元麻薬中毒者。姉の結婚式に参列するため、一時的に退院する。短気で衝動的な性格。優等生の姉に対し、長年のコンプレックスを抱えている。9年前、自分の過失が原因で自動車事故を起こし、幼い弟を亡くした。
- レイチェル(ローズマリー・デヴィッド)
- キムの姉。博士号取得を目前に控えている心理学者。真面目で朗らかな性格で、友人も多い。結婚式が迫り、気が立っている。家族を振り回し続けるキムを、愛しながらも未だに許せないでいる。
- ポール(ビル・アーウィントン)
- キムとレイチェルの父親。家族を愛する優しく温厚な男性で、息子の死やレイチェルの非行を乗り越えようと努力してきた。前妻のアビーとは離婚し、再婚している。
- アビー(デボラ・ウィンガー)
- キム達の母親。ポールと別れ、再婚した現在もデザイナーとして多忙な日々を送っている。悲しみを抱えながらも、キムとレイチェルを深く愛し、等しく接する。
- キャロル(アンナ・ディバー・スミス)
- ポールの現在の妻。レイチェルやアビーとの仲も良好で、ポールの良き理解者。
- シドニー(トゥンデ・アデビンペ)
- レイチェルの夫。元ミュージシャンの若い実業家。冷静だがユーモアに富んだ頼もしい男性。結婚後、レイチェルとともに故郷のハワイへ越す予定。
- キアレン(アザー・ジッケル)
- シドニーの親友で、新郎の付添人代表。薬物治療施設に入所した経験があり、初めて会うキムに惹かれて理解を示す。
- エマ(アニサ・ジョージ)
- レイチェルの20年来の幼馴染みの親友。真面目で厳格な性格。身勝手なキムのことを快く思っていない。新婦の付添人代表のポジションをキムに奪われて嫉妬する。
- ローザ(ロズリン・ラフ)
- 薬物治療施設職員で、キムの担当。キムの回復を心から願っている。
映画『レイチェルの結婚』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『レイチェルの結婚』のあらすじ【起】
9年間、薬物治療施設の入退院を繰り返しているキムは、姉レイチェルの結婚式のため、一時的な帰省を許可される。キムは、迎えにきた父ポールと義母キャロルと共に、久し振りに実家へ戻る。
自宅には、レイチェルや新郎シドニーの友人が大勢集まり、目前に控えた結婚式の準備を進めている。キムとレイチェルは9年振りに再会し、お互いの変化に戸惑う。キムは、昔のまま残されている自室へ入る。
キムは、週一回の尿検査と薬物依存者の治療集会への参加を義務付けられている。ポールに車を使うことを禁止され、キムは自転車で集会へ行く。キムは毎回、治療者達と共に
中毒からの回復を堅く誓っている。
集会から帰宅したキムは、シドニーの親友キアレンに出会う。初対面から二人は惹かれあい、納屋に隠れて関係を持つ。キムは、キアレンの口から、レイチェルの付添人代表はエマが務めることを知ってショックを受ける。キムは、妹である自分が代表になるべきだとレイチェルに詰め寄る。代表の座を奪われたエマは、キムに敵対心を露わにする。
映画『レイチェルの結婚』のあらすじ【承】
その夜、新郎新婦双方の親族や友人が集まり、盛大な晩餐会が催され、参加者は順番に祝辞を述べる。孤立したキムはレイチェルの近くに席を移すが、邪険にされる。キム達の母アビーが、現在の夫と共にやってくる。
自分の番が回ってきたキムは、身の上話で場を気まずくさせ、衆目の前でレイチェルに謝罪をする。晩餐の後、レイチェルはキムの無神経さを責める。キムとレイチェルは激しい口論になり、家の中の雰囲気は険悪になる。
いきなりレイチェルが妊娠を告白し、一転して一同はお祝いムードになる。キムは、自分の言い分が突然無視されたことに腹を立てる。
翌日、レイチェルはアビーの自宅へ行き、先祖から代々伝わる品々を受け取る。神経質になっているレイチェルに、アビーは、キムに理解を示してあげるよう助言する。
治療集会で、キムは自身の過去を告白する。薬物に溺れていた頃、キムは自身の過失から自動車事故を起こし、同乗していた弟イーサンを亡くした。キムは、自分の無責任さをずっと悔いている。
レイチェルがポール達と式の最終確認をしているところへ、キムが集会から戻ってくる。キムとレイチェルは、席順を巡って口論になり、ポールは険悪になった二人を仲介する。レイチェルは、ポールがキムに甘いことを責める。
周囲が式を前にして盛り上がる中、キムとポールは、偶然イーサンの遺品を見つけて落ち込む。
映画『レイチェルの結婚』のあらすじ【転】
キムとレイチェルと美容院へ行き、かつての入所仲間の男性と偶然再会する。男性は、治療のプログラム内でキムが告白した内容に心を打たれたことを、レイチェルの前で打ち明ける。職員や入所者達の関心を買うため、キムはレイチェルや自身の過去を悲惨なものに偽って話していた。怒ったレイチェルは、美容院を飛び出す。
帰宅したレイチェルは、ポールにキムが嘘をついていたことを話す。レイチェルは、キムが心配する家族を省みないことを非難し、長年の鬱憤をまくし立てる。逆上したキムは周囲の無理解をなじり、外へ飛び出す。
キムは、ポールの車でアビーの家へ向かう。キムは、9年前、中毒者の自分に何故イーサンを任せたのかとアビーを責め、二人は殴り合いになる。キムは再び車に乗り込み、暗い森の中を猛スピードで走り抜け、岩に衝突して停車する。
翌朝、キムは車内で眠っているところを警察に発見され、帰宅する。レイチェルは、傷だらけで帰ってきたキムを優しく迎え入れる。キムにシャワーを浴びさせて体を洗ってやる最中、レイチェルはキムが右肩に『イーサン』というタトゥーを入れていることに気付く。
映画『レイチェルの結婚』の結末・ラスト(ネタバレ)
結婚式が始まり、キムは付添人の列の一番前に立つ。和やかな雰囲気の中、式は順調に進み、レイチェルとシドニーは結婚の誓いを立てる。姉の幸せな様子に、キムは思わず涙ぐむ。
様々なパフォーマンスが披露され、参列者達は夜まで踊り続ける。どんちゃん騒ぎが耐えられなくなったキムは、一人会場を離れ、自宅のプールにロウソクを灯した行灯を浮かべる。
キムとレイチェルは、翌日の出張のために早々に帰宅するアビーと、名残惜しげに別れの挨拶を交わす。昨日の喧嘩についてアビーと何も話せず、謝罪もできなかったキムは、去っていくアビーを寂しげに見つめる。
ポールは、広告代理店で働くある女性をキムに紹介する。女性はアシスタントを探しており、キムは就職のチャンスを掴む。
翌朝、キムは9年前のまま残されているイーサンの部屋に入り、イーサンの写真を眺める。キアレンは、キムに連絡先を渡す。
治療施設から、キムの担当職員のローザが迎えにやってくる。キムが出発する直前、レイチェルは、キムを強く抱きしめる。二人は強く抱き合い、姉妹の絆が回復したことを喜ぶ。レイチェルは、キムが乗った車を見送る。
自宅の庭では、結婚式の後片付けが着々と進んでいる。
映画『レイチェルの結婚』の感想・評価・レビュー
ブライズメイド&グルームズマンを立会人にした欧米式結婚式を挙げた知人が、この映画を参考にしたそうです。
ただし「結婚」というワードから浮かれた気持ちで観てしまうと、家族の背負っているものの重さとのギャップに驚いてしまうかもしれません。
正統派のイメージが強かったアン・ハサウェイですが、重い十字架を背負った汚れ役がすごくよかったです。
あと、レイチェルの親友エマ、田舎の保守的な適齢期の女子感が最高。(女性 40代)
かなりヘビーな内容で、アン・ハサウェイには珍しい役どころでした。家族とは無条件に愛され、愛さなければいけない存在であるが故に、家族という呪縛に囚われ、愛情がすれ違ってしまい中々上手く行かないこともあります。そんな家族の呪縛を描いた作品で、レイチェルが背負っている過去は辛すぎでした。キムの不器用さがとても痛々しく、そんなキムにハラハラしましたが、キムの辛い気持ちも伝わってきて胸が苦しくなりました。違う視点から切り込んだ、一味違う「家族愛」を描いた作品。アン・ハサウェイの演技がとても良かったです。(女性 30代)
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