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映画『ライアの祈り』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ライアの祈り』の概要:結婚に失敗し心に傷を負ったヒロインが、考古学研究員の男性と運命の出会いを果たし、縄文時代の発掘作業や遺跡を巡りながら、心を通わせていく。彼女が心の傷を恋人に打ち明けた時、2人にとって大きな幸せが待っているのだった。

映画『ライアの祈り』の作品情報

ライアの祈り

製作年:2015年
上映時間:119分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:黒川浩行
キャスト:鈴木杏樹、宇梶剛士、武田梨奈、秋野太作 etc

映画『ライアの祈り』の登場人物(キャスト)

大森桃子(鈴木杏樹)
弘前出身。現在は青森県八戸市に在住。妊娠できずに離婚した過去を持つ。聞き上手で物腰が柔らかい。
佐久間五朗(宇梶剛士)
考古学者、通称クマゴロウ。専門は縄文時代で発掘調査をしている。体格が良く朴訥。人当たりが良い。
宮内桜(武田梨奈)
桃子の後輩で部下。同性愛者であることを桃子にカミングアウトする。恋愛について桃子とクマゴロウにアドバイス。
ライア(水嶋仁美)
桃子の夢の中に生きる縄文時代のシャーマン。自然と共に生き、生命力溢れる逞しい少女。

映画『ライアの祈り』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ライアの祈り』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ライアの祈り』のあらすじ【起】

青森県、八戸市。弘前出身の大森桃子は転勤によって、八戸市へやって来た。彼女は前の夫との間に子供ができなかったため、離婚した経験を持つ。40代に差し掛かった桃子は、離婚の経験から恋愛に関することには、ほとんど興味が湧かなかった。
そんなある日、職場の後輩である宮内桜に、街コンへの参加を誘われる。人数合わせのつもりで参加を合意した桃子。

今回の街コンでは新しい日本酒の発表も兼ねており、メインで供される酒類は主に日本酒だった。桃子はそこで、考古学研究員である佐久間五朗と出会う。大柄なわりに朴訥な彼の人当たりは良く、年齢的にも近い。親近感が湧いた桃子は彼と少し話をすることにした。

佐久間五朗、通称クマゴロウの専門は縄文時代。是川遺跡にて発掘調査をしているらしい。専門とするだけあって、縄文時代の遺跡や遺物について語るクマゴロウは、とても熱心で饒舌だった。
その後、二次会に参加した桃子。飲み慣れない日本酒も入っていたせいか、強かに酔ってしまう。彼女は後輩の桜付き添いの元、クマゴロウに背負われて帰宅するのだった。

桃子はメガネ店の店長を務めている。街コンの翌日、そのメガネ店へクマゴロウが来店。彼は昨夜、桃子が言ったことは事実だから、気にしていないとそれだけを言うために、律義にもわざわざやって来たのだった。
実は、酔っぱらっていて自分の言動すら、覚えていなかった桃子。不意に何を言ったか思い出して、罪悪感で一杯になる。このことがきっかけとなり、クマゴロウが八戸を案内してくれることになるのだった。

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映画『ライアの祈り』のあらすじ【承】

後日、クマゴロウと共に八戸の名所巡りをした桃子。彼女は幼い頃より、太古の森を夢に見ることがあった。桃子は街コンでクマゴロウの姿を見た瞬間、不思議なことに太古の森の風や匂いを感じていた。このことを彼に話すと、クマゴロウは自分の職場でもある、是川縄文館へと案内してくれる。

八戸各地から発掘された縄文時代の遺物を、クマゴロウの説明と共に見て回った。
縄文時代は長い歴史の中で、最も続いたとされる時代である。長く平和が続いた江戸時代でさえ265年。対して縄文時代は約1万年も続いた。年度別に見る土器でさえ、5000年前のものと3000年前のものと、比べる年数が計り知れない。正に永久のロマンであった。

その後、休憩中に遺跡から人骨が発掘されたと一報が入り、クマゴロウは桃子を置いて飛び出して行ってしまう。子供の頃の夢を叶え、夢中になって仕事をする彼の姿が、羨ましかった。

展示室を再び1人で巡り、帰ろうかと思った頃、ようやくクマゴロウが戻って来る。夕食がてら、互いに生い立ちや幼い頃に思い描いていた夢などを語り合い、急接近する2人。
帰る途中、強い光を放つ流れ星を目撃した桃子とクマゴロウ。別れ際に、彼が縄文時代には伝達手段としての文字が無かったことを語り出す。彼は桃子が夢に見る森の話を、文章や絵にしてみてはどうかと提案して帰って行くのだった。

それからも桃子は、クマゴロウと友好を深める。休日には発掘体験をさせてもらい、桃子は奇跡的に土器の欠片を発掘。縄文時代の勾玉を目にした桃子が、実家の水餃子に似ていると言ったことから、母親直伝の水餃子をご馳走するに至った。

映画『ライアの祈り』のあらすじ【転】

その日の夕方、桃子の元に桜が訪ねて来る。何か話したいことがあるのだろうと、桃子は彼女とバーへ向かい、桜に今まで秘密にしていた離婚の原因を語った。両親を心配させたくなかった彼女は、親にすら原因を話していなかった。それを聞いた桜。彼女も自分の秘密を涙ながらに明かした。

クマゴロウと遺跡巡りをした桃子。古代人の住居にて生活の息吹を感じ、夢に見る森を駆ける少女の力強い生命力を感じた。クマゴロウが縄文を時代背景に、小説を書いて欲しいと再三言っていたため、やる気になった桃子。彼は主人公の名前をライアにしてはどうかと言う。桃子は不思議としっくりくるその名前にインスピレーションを感じ、帰宅早々に執筆作業へ入るのだった。

彼女が幼い頃より目指していた夢は小説家。絵を描いたり、文章を書くことが好きだった。物語を書くにあたり、まずは自分の夢に出てくる森や少女の絵を描いてクマゴロウに披露。彼は感銘を受け、桃子の絵を絶賛した。
仕事をしながらクマゴロウとの友好を深め、小説の執筆に絵を描きつつ発掘作業にも参加する。桃子の生活は激変した。
充実した生活に季節は巡り、1年があっという間に過ぎた。

しかし、1年経ってもクマゴロウとの関係に進展はない。近頃では、女としての自分に自信を無くしそうになっている桃子。そんな折、クマゴロウが店を訪ねて来る。彼はベトナムの遺跡へと学術調査に向かうと言う。桃子は彼を笑顔で送り出した。

それから数日後、元夫の訪問がある。彼は桃子の持ち物を処分する際、どうしても捨てられなかったと言い、子宝祈願のお守りを持ってきたのだ。彼女は途端に気落ちしてしまう。桃子は子供ができないせいで、元夫の母親に心無い言葉を浴びせられてきた。その記憶を思い出してしまったのだった。

帰国したクマゴロウを迎えに行った桃子は、彼がどうしても食べたいと言っていた水餃子をご馳走する。そこで、ベトナムでの土産話を聞かせてもらった。その中で、人として一番大事なことは何かと族長に聞くと、族長は子孫を残すことだと断言したと言う。その言葉が桃子の胸にぐさりと刺さる。子孫を残せなかった自分は、人として欠陥品なのではないか。
クマゴロウを早々に帰した桃子は、部屋で1人涙に暮れるのだった。

映画『ライアの祈り』の結末・ラスト(ネタバレ)

そのことを桜に相談すると、後輩は互いに自分達の気持ちを知らな過ぎると怒り出す。全くその通りで何も言い返せない桃子だったが、1度失敗しており、しかも40代ともなると、1歩踏み出すことに臆病になってしまうものだ。若い頃は簡単に踏み出せたはずの1歩が、今は怖くて難しい。

桃子は思い立って実家へ帰郷。突然、帰って来た娘を優しく労う両親。何も言わなくても、母親は離婚の原因を察してくれていた。温かい言葉に許されたような気になる桃子。その時、クマゴロウが実家に現れる。桃子を心配して追いかけて来たようだった。母親はにこやかに彼を受け入れ、桃子を連れて帰るように言うのだった。

クマゴロウの車で八戸へ戻って来た桃子は、彼に自分が子供を産めない体であることを明かす。奇跡が起こるならば、子供を産みたいと願う彼女。そんな桃子の姿に心を打たれたクマゴロウは、夜中であるにもかかわらず縄文館に潜入し、祈りの土偶の前へ。

何を祈るために作られた土偶なのか、未だに判明していない。真摯に祈りを捧げる姿を象った土偶。
そうして、クマゴロウは自分の母親のことを静かに語り始めた。大震災があった日、彼は日本にいなかった。八戸には津波が押し寄せ、海沿いの何もかもを奪い去って行った。
クマゴロウの母親は避難もせずに、息子を待って電話の前から動かなかったと言う。その恐怖で彼女の認知が急激に進んでしまい、今や本当の息子さえも分からない。クマゴロウは母親が恐怖に怯えながら待ち続けていた頃、何も知らずに海外で楽しく踊っていたのだ。

母親を見る度に、クマゴロウはその苦悩と戦わなければならない。彼女の命が終わるまでずっと。桃子は号泣するクマゴロウにかける言葉もなく、ただじっと耳を傾けていた。

それから数日後、桃子は休日に発掘作業の手伝いへ参加。作業中、話があるとクマゴロウに引っ張られて行くと、彼はなんだかんだと言葉を重ね、最終的に桃子へ告白。茫然とする桃子だったが、嬉しさのあまり涙を流しながら、彼にそっと寄り添うのだった。

映画『ライアの祈り』の感想・評価・レビュー

青森県の八戸市を舞台に離婚を経験した女性と朴訥な考古学者がゆっくりと愛を育んでいくという内容。考古学者の専門は縄文時代で、シャーマンのライアという女性がおり、彼女の生き様から現代の生き方を見直していく。
考古学者を宇梶剛士が演じているが、朴訥な感じがとても役柄にマッチしていた。主人公の女性を鈴木杏樹が演じ、落ち着いた聞き上手の大人の女性が彼女のイメージそのものだった。ゆっくりと進展していく恋を見守りつつ、遥か過去へと思いを馳せるという感じ。悪くもなく良くもなくといった作品だが、縄文時代の説明もあったりするので、多少勉強にもなった。(女性 40代)

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