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映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』あらすじネタバレ結末と感想

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の概要:母親の病気や親友の死をきっかけに残りの人生の生き方を考え直した東京のエリートサラリーマンが、49歳にして脱サラし故郷を走るローカル電車の運転士となる。2010年公開の日本映画。

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 作品情報

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

  • 製作年:2010年
  • 上映時間:130分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:錦織良成
  • キャスト:中井貴一、本仮屋ユイカ、三浦貴大、宮崎美子 etc

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 あらすじ【起・承】

東京の大手電気会社で経営企画室室長として多忙な日々を送る筒井肇(中井貴一)は、同期で親友の川平が工場長を務める工場の閉鎖とリストラの仕事を任される。川平は筒井の立場を理解し迅速に工場の閉鎖を進めてくれ、自分も会社を辞めるつもりでいた。

筒井の妻・由紀子(高島礼子)は最近ハーブの店を始めて忙しく、大学3年生になる娘の倖(本仮屋ユイカ)は仕事しか頭にない両親に反感を持っていた。そんな時、島根県出雲市で一人暮らしをしている筒井の母・絹代(奈良岡朋子)が倒れたと連絡が入る。

絹代を見舞うため出雲へ帰った筒井は、交通事故で川平が亡くなったという知らせを受ける。しかも精密検査の結果、絹代は悪性の胃ガンであることがわかる。

帰省する機会が増えた筒井は、地元の一畑電車の運転士になりたいという幼い頃の夢を思い出す。故郷を離れたくないという母のことや川平の人生を思い、筒井は会社を辞めて島根に帰り、夢だった運転士になるという一大決心をする。

とんでもない挑戦に周囲は驚くが、一畑電車の社長(橋爪功)は筒井を採用してくれる。厳しい研修を終え見事試験に合格した筒井は、晴れて一畑電車の運転士として働き始める。

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映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 結末・ラスト(ネタバレ)

大学4年生の夏休みを利用して出雲へやってきた倖は、朗らかになった父の変化に驚く。おばあちゃん子の倖は出雲に滞在して絹代の世話をする。東京で店を続けている由紀子は、筒井の夢を理解していたが、家族がこのままでいいのか悩んでいた。

筒井と同期入社した宮田大吾(三浦貴大)は、エースとして甲子園に出場しプロ野球への入団も決まっていたが、肘の故障で夢を諦めていた。そのため最初は仕方なくこの仕事をしていたが、乗客を大切にして誠実に仕事と向き合う筒井を見て、少しずつ変わり始める。

ある日、絹代の容体が急変し、倖は駅までそれを知らせに行く。宮田は自ら筒井と運転を交代するが、宮田が目を離した隙に子供が運転席に入って電車を動かしてしまい、電車が急停車するというトラブルが起こる。この一部始終を撮影した動画を高校生がネット上に流し、これが大問題となる。

筒井は宮田をかばい全ての責任を背負って退職届を出すが、筒井の親切に感謝する乗客たちや共に働く同僚たちのおかげで、筒井は退職せずに済む。

余命わずかとなった絹代は息子の運転する電車に乗せてもらい、幸せな最期を過ごして息をひきとる。

それからしばらくして筒井の運転士姿を初めて見た由紀子は、このままでいいのだと安心する。離れていても互いを理解し合えるようになり、夫婦や親子の絆は以前よりもずっと深まっていた。

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

自分の原点と向き合う

主人公の筒井は49歳で人生の転換期を迎えている。故郷で暮らす母親の病気や親友の死といったきっかけが重なり、改めて自分の人生を見つめ直していく。“49歳で電車の運転士になった男の物語”というサブタイトルを見ると、本作の大きなテーマは諦めずに夢を叶えることのように思えるが、私はそこが重要なわけではないと感じた。

大学を卒業後、東京で大手企業に就職し休む間もなく働き続けてきた男が、それまでの自分の生き方に疑問を感じ始める。ここで主人公の筒井は“新しい自分”を発見したのではなく、“本来の自分”と向き合ったのだろう。時間に追われずっと忘れていた(または見ないふりをしてきた)自分の原点に立ち返ると、“自分が心から望む生き方”が見えてくる。そこから目をそらさずに正面から向き合ったことが筒井の強さであり、物語の主人公としての大きな魅力になっている。つまり本作は夢を叶えることの素晴らしさを描いた物語というより、自分の原点と向き合うことの意義を教えてくれる作品なのではないだろうか。

日本の原風景

のどかな田園地帯を走るたった2両の一畑電車。その向こうには宍道湖が広がっている。ここへ行ったことのない私が見ても、なんとなく懐かしいと感じてしまうような風景だ。

それはこの風景が日本人の心の中にある原風景と重なるからだろう。本作は季節の移り変わりとともに変化していく美しい日本の原風景を丁寧に撮影しているので、それを見ているだけでも穏やかで静かな気持ちになれる。そして故郷に帰りたくなる。


電車好きにはたまらない1本。もし電車にそれほど興味がなくても、その沿線の風景には癒されるだろう。
自分自身も主人公と歳が違いため、49歳でこれだけの転身をすることの大変さが痛いほど分かる。しかし人生仮に65〜70歳まで働くとすると、45〜49歳というのは丁度仕事人生の折り返し地点なのだ。この辺りでこの先何をして働くかを考えることはタイミングとしては実は悪くない。気がかりは「この歳で一からやり直せるだろうか」ということだろう。そんな時この作品はフィクションとはいえ、希望になるかもしれない。(男性 40代)

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』 まとめ

主演の中井貴一を始め、実力派のキャストが安定感のある演技を見せてくれるので、すんなり物語の世界に入り込める。余計なことを省いて大事な部分にしっかりと時間を割いた脚本や演出もよく、派手さはないが落ち着いて見られる安心感がある。

私には本作に登場する電車の価値や貴重さがわからないが、鉄道に興味がある人にはより楽しめるはずだ。さらに島根県出身の錦織良成監督の故郷への愛情がたっぷり詰まっているので、地元の人にもおおいに喜ばれたことだろう。

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