映画『楽園追放 Expelled from Paradise』の概要:ディーヴァと呼ばれる電脳世界と地上世界で生きる者との命を賭けた冒険SF。声の出演は釘宮理恵、三木真一郎、神谷浩史。「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを往く者」の水島精二監督の2014年日本アニメ。
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:104分
- ジャンル:SF、アニメ
- 監督:水島精二
- キャスト:釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史、林原めぐみ etc
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
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映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 あらすじ【起・承】
西暦2400年。人類は、“ディーヴァ”と呼ばれる電脳世界で生きる者と地上で暮らす者とがいた。
“ディーヴァ”の保安局システム保安員であるアンジェラ・バルザック(釘宮理恵)は、電脳空間である海水浴場にいた。そこで、アロンゾ・パーシー(古谷徹)にナンパされるのだが取り合わない。
その時、“ディーヴァ”の電脳空間が何者かによって、ハッキングされてしまう。アンジェラはその犯人を追うが、あと少しというところで取り逃がしてしまう。
そこで、アンジェラは地上に降りて、“ディーヴァ”をハッキングした犯人を捜すことになるのだった。その際、精神年齢は20代半ばだが、見かけを16才の少女に設定しなおすのだった。
地上で降り立ったのは、砂漠。“こんな埃っぽいところで呼吸しろって言うの!”とアンジェラは戸惑う。
地上で待機しているはずの調査員を探すが、いない。そこへ、砂漠の化け物サンドワームに追われている地上調査員ディンゴ(三木信一郎)がバギーに乗ってやってきた。
アンジェラは、アーハンという起動スーツをフル稼働して、一気にサンドワームを叩きのめした。ディンゴは、サンドワームの肉を安く大量に売ることで儲けていた。
2人は、“ディーヴァ”の電脳空間にハッキングしたフロンティア・セッターを捕らえるために調査を始めた。
しかし、アーハンの“ディーヴァ”の通信端末をディンゴによって破壊されてしまう。
“敵に居場所を知らせるつもりか?フロンティア・セッターを出し抜こうぜ!”と彼は言い、オフラインで使えなくなったアーハンさえもスクラップ屋に売るのだった。
地上で肉体を持ち、生きるディンゴと、電脳世界に身を置き、生身のないアンジェラの2人は、ジェドの町を目指して夜、バギーで移動した。
生身のないアンジェラは、食べることに興味はない。その代わり、精神を高尚な悦楽に高められると話す。ディンゴはサンドワームの肉を焼いて食べるのだった。
そして、ディンゴは音楽好きで、ナノハザード以前に聞いたというロックバンド、ALISEの「EONIAN」という歌がお気に入りだ。ジェドへ向かう途中に聞いていた。
一方、アンジェラは通信端末が切断されたせいで、上手く地上用の体と精神を合致させることが出来ない。そのため、町外れで3人の男に襲われたが上手く闘えない。
ディンゴに助けられるが、熱を出して倒れてしまう。
“肉体って不便だわ・・”と言い、メディカル・サーバーに接続することでようやく薬の処方を得るのだった。
ディンゴは、アンジェラにスープを作ってくれた。アンジェラはそのスープを飲み干した後、バギーの屋根に座り、ギターを弾くディンゴに尋ねた。
“音楽を骨で感じるってスゴイことなの?私は100億光年先の音楽を聞いたことがあるわ”と。
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 結末・ラスト(ネタバレ)
2人には、“ディーヴァ”をハッキングする、フロンティア・セッターの目的が分からなかった。そこで、ディンゴはイザーク(三宅健太)という情報屋に会い、ロケットの燃料に欠かせない硝酸アンモニウムを取引しているというラズロ(遠藤大智)に会う。
硝酸アンモニウムの取引場を探る2人は、人間ではなく、ロボットだけでの取引に不安を感じた。発信機を付けて、運搬後を追うと廃墟らしき場所に見張りのロボットが1台いるのが確認された。
ディンゴが見張りのロボットに近づくと、意外にもフレンドーリーだった。
“ようこそ!警戒を解いて下さい。”
“フロンティア・セッターに会いたいのだが・・”
“はい、私です。実体はないのですが、人工知能を持つロボットです!”
フロンティア・セッター(神谷浩史)は、地下にある探査船へと2人を案内してくれた。
地球外への移住計画を考えていると言う。たった1体で、100年以上をかけて計画を温めてきたらしい。
“ディーヴァ”に対しては、敵対心など持っていないらしく、地球外に移住したい人を募っているのだ。
そんなフロンティア・セッターを見て、アンジェラは人間なのか?プログラミングされたものなのか疑問に思う。“ディーヴァ”に危険を及ぼす存在でないのなら捕まえる必要はない。
また、フロンティア・セッターは、ディンゴが歌っているのを聴いて、“アライズの曲ですね・・懐かしい”と言った。
こうして、2人と1体は交流を深め、アンジェラは“ディーヴァ”に干渉する意志がないことを確認して、“ディーヴァ”に戻ることを決めた。
アンジェラの心に、連帯感が生まれるが、ディンゴが“ディーヴァ”ではなく地上での暮らしを選択するのか分からなかった。
彼は言う、“ディーヴァ”に行けば人間はより幸せになれるっていうのは嘘だ“と。
アンジェラは、フロンティア・セッターの回線を借りて、“ディーヴァ”に転送された。
生身の体は、ネット接続を切断したまま保存することに。
“ディーヴァ”に戻ったアンジェラは、“ディーヴァ”保安局の高官3人に会い、これまでの捜査の報告をした。
ところが、高官たちは、フロンティア・セッターが安全だと言いきれないとして破壊するように命じた。彼女はその命令に反論したため、反逆罪に問われてしまう。
幽閉されたアンジェラのもとへ、フロンティア・セッターが現れた。
“上司は、あなたをスクラップにするつもりよ!”と告げ、フロンティア・セッターの力を借りて、アンジェラは“ディーヴァ”を脱出するのだった。
すぐに“ディーヴァ”の執拗な追撃を受けるが、それをかわしつつ地球へ向かった。
保管していた体に精神を移すと、地球上でも“ディーヴァ”VSアンジェラたちの交戦が始まった。
アンジェラの1機に対して、17機の“ディーヴァ”軍がやってきたが、ディンゴとフロンティア・セッターの援護もあり勝利を収めた。
“筋を通してこそ、仁義だぜ!”とディンゴ。
フロンティア・セッターの宇宙船が離陸する刻が迫っていた。アンジェラは、フロンティア・セッターから、一緒に宇宙に行かないかと誘われるが、断るのだった。
“ごめんね・・まだこの世界で知らないこと、見たいものがあるんだ!”と。
そして、フロンティア・セッターを乗せた宇宙船が旅立った。ディンゴは、得意のギターを弾きながら、アライズの曲「EONIAN」を歌い見送った。
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
SFアニメの進化形!美少女×ロボット物にハズレはない!
人間とは何か。電脳化の先にある幸福とは。深遠なテーマをさらりと問題提起し表現するアニメが、「楽園追放」なんです!
これまでのロボットアニメは少年・少女中心の世界を描くことが多かったが、美少女と素行の悪い相棒という組み合わせも互いを認めてゆく過程において必要不可欠な関係性として見逃せない。
ただ、精神年齢20代半ばの女性を16才の少女の肉体へ転送するという、設定のエロさには男性優位の社会性が見えてしまう。
また、フロンティア・セッターという人工知能が、“ディーヴァ”に敵意を持ってないとしてもすんなりと信用できるのか?この“甘さ”が、後半の鍵となります。
既存アニメの萌え要素や哲学的な問いかけを踏襲しながらも、電脳空間で起きる様々なことは現代のネット空間に繋がるものも多く、共感できるのではないでしょうか。
加えて、アンジェラ役を演じる釘宮理恵さんなど豪華な声優陣の演技に注目して下さい。
あなたも釘宮病に罹っちゃう?!声の魅力
釘宮理恵さんは、「鋼の錬金術師」のエドワードの弟アルフォンス・エルドリック役や「灼限のシャナ」のシャナ役でおなじみの人気声優です。
彼女の声の特徴は、ツンデレから少年声まで幅広く演じ分けられること!
特に、ツンデレな主人公を演じさせたら、右に出るものはいないほど声にはまってしまいます。
本作では、製作段階から釘宮理恵で配役しょうと考えていたそうです。声のイメージもぴったりですよね。
三木信一郎演じる、地上調査員ディンゴとの会話も掛け合いが面白くて、2人の距離感が縮まってゆく感じも必聴です!
釘宮理恵の最新作は、今年3月に公開になった「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!」です。キュアエース/円亜久里役で出演しており、これからも彼女の活動から目が離せません。
映画『楽園追放 Expelled from Paradise』 まとめ
私達の生活にインターネットは欠かせないものであり、本作のように電脳空間で生きる人間が存在する未来も不思議ではない。肉体を持つ者と持たない者の考え方を聞いていると人間という存在が曖昧になっていってしまう。
どちらが幸せかなんて言えないが、自分が生きると決めた土地で精いっぱい生きてゆきたいと思う。人生に迷っているあなたにこそ、観て欲しい。
フル3Dという映像の美しさはもちろんのこと、ツンデレな主人公アンジェラと相棒ディンゴの絶妙な会話や距離感が魅力です。
多くのアニメを観て、もう見飽きたという人もこの作品を観れば、アニメのストレートで萌えな魅力を再発見できるだろう。
みんなの感想・レビュー
結局、主人公2人も含めて誰一人としてフロンティア・セッターと共に旅に出る事を選ばなかった、という事が人類の精神の衰退とそう遠くはない滅亡を暗示しているんだなぁと
一見希望に満ちているようだけど、実はアンハッピーエンディングな作品だと感じました。