映画『RANMARU 神の舌を持つ男』の概要:朝永蘭丸は学者だった父に英才教育を受け、絶対舌感を身につける。だが、その影響で、キスをすると不快感を感じてしまうという欠点があった。蘭丸はその力を使い、旅の行く先々で起こる事件を解決に導いてきた。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:コメディ、サスペンス
監督:堤幸彦
キャスト:向井理、木村文乃、佐藤二朗、岡本信人 etc
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』の登場人物(キャスト)
- 朝永蘭丸(向井理)
- 学者である父に子供の頃から奇天烈な英才教育を受け続けたことで、絶対舌感を身につける。舌に乗せたものを全て脳内で成分に変換してしまう。口内細菌のせいで、女性とキスをしても不快感を感じてしまう。
- 甕棺墓光(木村文乃)
- まがい物ばかりを売りつける骨董屋。2時間サスペンスドラマが好き。コスプレ好き。自由奔放。傍若無人。蘭丸のことが好き。
- 宮沢寛治(佐藤二朗)
- 宮沢賢治をリスペクトしている。蘭丸に助けられたことがあり、恩を感じて旅に同行するようになる。
- 卜真(永瀬匡)
- 村の青年団である「5人組」の元一員。造り酒屋の息子。りんに一方的に思いを寄せている。
- 野々村龍之介(市原隼人)
- 村の青年団である「5人組」の1人。かつて、温泉を掘り起こす仕事を行っていた。現在は実家の宿屋を手伝っている。
- 湯川麗子(黒谷友香)
- 本名は、湯麗。鬼源水飲料水興社のCEO。鬼灯村の地下水を、海外に販売している。
- 武田竜胆(木村多江)
- 通称、りん先生。医師。代々鬼灯村で診療所を経営している。先祖は「中条流」という、堕胎専門を生業としている女医師。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』のあらすじ【起】
朝永蘭丸は絶対舌感の持ち主で、舌に乗せたものを全て脳内で成分に変換してしまう力があった。学者である父に子供の頃から奇天烈な英才教育を受け続けたことで、その能力を身につけた。蘭丸は行く先々で起こる殺人事件を、舌を使って解決に導いていた。そんな彼を、人々は「神の舌」と呼んだ。
蘭丸は祖父の通夜の席に突如として現れ、キスをしても成分が何も浮かんでこなかった流浪の温泉芸者のミヤビを追っていた。蘭丸にとってそのキスが初めてであった。蘭丸はミヤビに恋をし、温泉場巡りをすることになった。そんな蘭丸の旅を手助けしているのは、甕棺墓光と宮沢寛治。光は顔は良いが性格は最悪という女性で、蘭丸に一方的に思いを寄せていた。2時間サスペンスドラマが好きで事件が起きれば推理を行うのだが、当たったことは一度もなかった。寛治は蘭丸の舌に助けられ、恩義と興味を感じて旅に同行するようになった。
蘭丸はミヤビと再会を果たし、再びキスをした。だが、通夜でのキスは持病の薬で一時的に口内細菌が消えていただけだと判明し、蘭丸は嘔吐してしまう。こうして、蘭丸の初恋はあっけなく幕を閉じた。それで旅は終わる筈だったのだが、蘭丸は1人で旅を続けていた。
蘭丸が行き倒れていると、男性達に助けられ温泉に入れられる。そのまま沈んでしまい気絶してしまったのだが、女性(りん)に人工呼吸をされ助けられる。蘭丸はりんにキスをされたときに口内の成分を感じたが、不快感を感じなかった。蘭丸は驚きながらも、とりあえず地元民に着物を貸してもらい着替えた。そこは、山形県の鬼灯村の野天温泉で、蘭丸を助けてくれたのは村の青年団である「5人組」(肥田文吾・岩月丹治・野々村龍之介・六郎)だった。りんは村で唯一の医者で、蘭丸を介抱してくれたのだ。蘭丸の目の前には4人の男性しかいなかったため、残りの1人について尋ねた。すると、言い難そうに、近頃1人抜けたのだと教えられる。
蘭丸は温泉管理組合の理事をしている肥田文吾から、三助(銭湯で客の背中を流したり、肩揉みをしたりする)の仕事をしてくれと頼まれる。町役場の土木課に勤めている岩月丹治からも、観光客を増やすためにと頼み込まれる。蘭丸が困惑していると、宿屋を経営している野々村龍之介に自分のところに泊まればいいと声を掛けられる。龍之介の宿屋がりんの診療所と近いことを知り、蘭丸は二つ返事で仕事を引き受けた。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』のあらすじ【承】
蘭丸は龍之介とりんに村の周辺を案内してもらった。途中龍之介がネックレスを落としたため、思わず拾って舐めてしまう。それは銀製のアユを象ったネックレスで、龍之介の父の形見だった。龍之介は鬼灯村の水が美味しく、ペットボトルに詰めて販売していることを蘭丸に教えた。それは村唯一の産業で、工場のお蔭で村に戻ってくる人たちも増えていた。3人で話していると、元「5人組」の1人である真がやって来て、ここは子殺しの村だと罵ってきた。龍之介は怒って懲らしめようとするが、りんに止められる。
光と寛治が蘭丸を追ってきた。しかし、光の乗っていた車が、突然地面に空いた穴に落ちてしまう。光は丹治の助けを借り、穴に落ちた荷物を引き上げることにした。蘭丸と寛治は六郎達と共に村に向かった。すると、老婆達が騒ぎ、りんを責め立ててきた。鬼灯村のあちこちで黒い水が沸き起こるようになったのだが、老婆達はなぜかそれをりんのせいだと思っていた。しかも、老婆達は鬼火を見たと言い、騒ぎ始めた。六郎達が興奮する老婆達を諌めると、老婆達は「かごめかごめ」を歌い出した。蘭丸達はその異様な光景を驚きながら見ていた。
蘭丸と寛治は老婆達が冷たく当たる理由についてりんに尋ねた。だが、りんもはっきりした理由は知らない様子だった。りんの母も祖母も医者だったのだが、老婆達は病気になっても診療所を受診しなかった。りんの母は亡くなる前、代々女の医者だった訳を話そうとした。だが、「自分達の血に流れるあまりにも恐ろしい罪がある」ことを告げた瞬間、りんの母は息を引き取ってしまう。
蘭丸達は診療所の患者から、老婆達が子殺しの湯だと噂している話を聞く。そのことを宿屋の女将である花乃に話すと、怯えた表情で迷信ではないのだと教えられる。その晩、蘭丸は老婆達の姿に魘され、目を覚ました。すると、突然窓から眩い光が差し込んできた。蘭丸が光を追って外に出ると、岩陰で真が誰かに話している姿が見えた。蘭丸は真を観察しようとするが、再び眩い光が見えたため、その原因を探ることにした。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』のあらすじ【転】
次の日、蘭丸は光達を連れ、地面に空いた穴に向かった。昨夜その穴の付近から強い光が出ていたような気がしたのだ。蘭丸達がその穴を気にしていると、人の手が埋まっているのが見えた。蘭丸が引っ張り上げると、それは真の遺体だった。蘭丸は刑事に、昨夜の2時頃真の姿を見たことを話した。すると、老婆や真の父が、りんのことを責めた。周りは2人が恋人だと思っていた。だが、りんは真からの告白を断っており、真がしつこく言い寄っていただけだった。老婆達はその話を信じず騒ぎ立てていたため、刑事はりんを警察署に連行することにした。
龍之介は蘭丸が数々の殺人事件を解決した「神の舌」を持つ男だと知り、りんを助けて欲しいと頼んだ。実は、龍之介とりんは恋人同士だった。蘭丸はりんに好意を持っていたため複雑な思いを抱くが、事件解決のための手助けをすることにした。寛治は老婆達が歌っていた「かごめかごめ」について蘭丸に話した。「かごめかごめ」の意味は諸説あるが、その1つにかごめは籠女と書き、籠を抱いたような女=妊婦のことを表しているのではないかという説があった。それに則って考えれば、「かごめかごめ」とは妊婦を突き飛ばした人は誰だと問い掛ける歌だということになる。蘭丸と寛治は意見を交換し合い、「かごめかごめ」とは水子供養のための儀式ではないかという考えに辿り着く。
蘭丸達は地下水をペットボトルとして生産している工場を訪れた。工場では1日100トンの水を汲み上げており、蘭丸は地盤沈下の原因ではないかと考えた。だが、CEOの湯川麗子は蘭丸の話を一蹴した。蘭丸達は宿に戻ると、工場を経営している鬼源水飲料水興社について調べた。すると、鬼灯村の外からきた会社にも関わらず、本社が鬼灯村になっていることが判明する。しかも、上場しておらず、商品の生産量や売上について公表義務がないため、はっきりしたことは分からなかった。
蘭丸達は再び眩い光を目撃し、外に飛び出した。それは、放電プラズマ現象と呼ばれるものだった。鬼灯村の地面にある玄武岩などに含まれる細かい水晶が、地震や噴火などのストレスで放電発光することがあるのだ。地下水の汲み上げによって岩盤がズレ、人が感じられないほどの地震が発生したと考えられた。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』の結末・ラスト(ネタバレ)
蘭丸達は「蘭丸」と彫られた石を発見する。すると、老婆達はその石を見て突然鬼子(水子)の祟りだと騒ぎ出し、蘭丸達を閉じ込めて清めるために水攻めにした。六郎達に助けられた後、蘭丸達は花乃から事情を聞くことになる。かつて、この地方の月山藩の武士が、国元の女を孕ませたものの、江戸詰めになることが決まったため捨てることを決める。武士はある恐ろしい方法を使い、女を流産させた。その女は死んだ我が子の墓を作った。その子の名が蘭丸だった。その後すぐ、月山藩は改易になった。改易の理由は、世継断絶だった。それも全て蘭丸の呪いとされた。それから、村には堕胎しに女性がやって来るようになった。蘭丸はホオズキの根を舐め、あることに気づく。
蘭丸と光は陥没した地面を調べていて、下の洞窟に落ちてしまう。蘭丸はそこで人工物の粉を発見する。字が書いてあったが、擦れていて解読できなかった。その時、地震が起こって洞窟の中が崩れ出した。蘭丸はその光景を見て、事件の謎が解けた。
蘭丸は町の関係者を部屋に集めてもらった。りんや蘭丸の呪いだと叫ぶ老婆達に、寛治は自分で調査して分かったことを話して聞かせた。かつてこの地域には、「中条流」がいた。それは堕胎専門の女性の医師のことだった。りんはその子孫だった。他の医師達は水銀を使って堕胎をさせていたため、妊婦が死んでしまうことがあった。だが、りんの先祖はホオズキの地下茎や根を使って堕胎させていたため、妊婦を死なせることなく堕胎させる名医として有名だった。
蘭丸は洞窟の中で拾ったネックレスを皆に見せるよう光に頼んだ。そのネックレスは、龍之介の父の形見のネックレスだった。蘭丸が地下で見つけた粉は膨張剤で、ダイナマイト代わりに使って岩を破壊できるものだった。膨張剤を調べれば、かつて龍之介が勤めていた会社で使っていたものと同じかどうか判別することができた。龍之介は観念し、膨張剤を使ったことを認めた。真は自分の土地から汲める水の量が少なくなったため、鬼源水飲料水興社が協定以上の水を汲んでいるのではないかと疑いを持っていた。だが、鬼源水飲料水興社の稼ぎが村にとっては大事だったため、村の人々は真の話を真面に聞こうとはしなかった。そんな時、龍之介は麗子に呼び出され、水脈の流れを変えて鬼源水飲料水興社が多くの水を汲めるようにしろと脅される。りんの先祖が中条流だった件を持ち出されたため、龍之介は従うしかなかった。
真は麗子と共に龍之介が地下洞窟に入ったところを見ており、何があったのか問い詰めた。龍之介が話すのを拒んでいる内に揉み合いになった。その時、放電プラズマ現象が起き、真は眩い光に驚いて足を踏み外し給水管に頭をぶつけてしまう。しかも、その後岩にも頭をぶつけ、亡くなってしまったのだ。真の死は事故だった。龍之介が遺体を遺棄したのは、蘭丸に見られていたと思ったからだった。龍之介は過失致死と死体遺棄の容疑で逮捕されることになった。りんは連行される龍之介に、お腹の中に龍之介の子供がいることを打ち明けた。りんは話していなかったが、龍之介はそのことに気づいていた。だから、りんの先祖の秘密を守ろうとしたのだ。りんや村人達は悲しい結末に、涙を流した。
蘭丸はりんに告白するが、りんは村で龍之介を待つつもりだった。りんはもし結婚式を行うときは、蘭丸にも来て欲しいと笑顔を見せた。そして、現在は別々に暮らす父も誘うつもりであることを話した。両親は離婚しており、父は再婚していた。父の写真を見せられた蘭丸達は驚きの声を上げた。なぜなら、りんの父親と蘭丸の父親が同一人物だったからだ。遺伝的に口内細菌が近かったため、蘭丸はりんのキスに違和感を抱かなかったのだ。
蘭丸達は蘭丸がキスをしても違和感を抱かない女性を探す旅に出ることにした。去る間際、蘭丸はりんのことを姉と呼び、龍之介との未来を祝福する言葉を伝えた。
映画『RANMARU 神の舌を持つ男』の感想・評価・レビュー
TBSで放送されていたドラマのその後の主人公達の様子が描かれている。物語の最初で主人公達の説明やドラマのあらすじの紹介が行われているため、ドラマを見たことがない人でも楽しめるようになっている。
監督・原案は『TRICK』シリーズでお馴染の堤幸彦である。この映画を見た人は必ず思うことかもしれないが、やはり『TRICK』シリーズが好きな人には特におすすめしたい作品である。ギャグ満載でテンポがよく、とにかくおもしろい作品になっている。しかも、ただ笑えるだけではなく、ホロリと泣ける部分や胸が苦しくなるほど悲しい場面もある。色んな感情が揺さぶられる内容になっている。(女性 20代)
連続ドラマを見ていたため、待望の映画化が見られて嬉しかった。旅をするきっかけを失い、もう旅を止めるのかと思いきやまだ続いており、鬼灯村に辿り着いた蘭丸と光と寛治の姿に、懐かしさや安定さを感じた。真が亡くなった事件をきっかけに、蘭丸の神の舌の能力を生かし、事件解決に導いていく場面や、あっと驚く真相が発覚した場面などが面白く、ドラマ以上の物語であった。最後の、蘭丸がりんに姉と呼び、龍之介との子供や結婚を祝福するシーンに感動した。(女性 20代)
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