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映画『リアル』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『リアル』の概要:富も名声も手に入れたカジノオーナーの前に出所したてのギャングが現れ、利権の半分をよこせと言ってくる。同じ頃、自分と同じ名前の融資家と知り合い親交を深める主人公。劇薬の麻薬を巡り、それぞれの思惑が複雑に絡み合い現実感を失っていく様を描いた作品。

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映画『リアル』の作品情報

リアル

製作年:2017年
上映時間:138分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:イ・サラン
キャスト:キム・スヒョン、ソン・ドンイル、イ・ソンミン、チェ・ジンリ etc

映画『リアル』の登場人物(キャスト)

チャン・テヨン / もうひとりのチャン・テヨン(キム・スヒョン)
貧乏で喧嘩ばかりの毎日を送り、のし上がって来た男。現在はカジノオーナーとして地位と名誉、富を手にしている。実は二重人格者でもう1人のテヨンは、メガネをかけルポライターをしている。
チョ・ウォングン(ソン・ドンイル)
テヨンのカジノの半分の利権を狙うギャング。歳を経ているだけに顔が広く、あらゆる物事に精通している。執念深い男だが、貫録がある。
チェ・ジンギ(イ・ソンミン)
精神科医。テヨンの不眠症を治療するため、診察を行うも解離性人格障害であることを突き止める。実は麻薬シエスタを生成、売買する通称ボリスという売人。
ソン・ユファ(チェ・ジンリ)
カジノオーナー、テヨンの恋人で理学療法士。たおやかで美しい女性。実は麻薬シエスタの常習者で、苦しんでいる男に惹かれるという習性がある。

映画『リアル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『リアル』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『リアル』のあらすじ【起】

第1章、誕生

カジノオーナーのチャン・テヨンは紳士然としているが、全身にタトゥーを入れ危険極まりない人生を歩み、現在の地位と名誉、富を確立した。近頃、彼は酷い不眠症を患い頭痛に悩まされていたことから医師の診察を受けることにする。だが、精神科医チェ・ジンギが言うには、テヨンは解離性人格障害であり、1人の体に同じ名前、同じ年齢、同じ性別のもう1人の人格があるらしい。そこで、テヨンはもう1人のテヨンを殺して欲しいと頼むのだった。

すると、ジンギはテヨンに暗示をかけ、もう1人のテヨンを呼び出す。彼はメガネをかけたルポライターで、匿名で活動していた。2人のテヨンは正反対の性質を持ち、身体感覚も別々。人格同士の交流もなく互いに表へ出る度、一時的に記憶を失う。野心家のテヨンはルポライターのテヨンの存在を知らない。だが、ルポライターのテヨンは3年前、トラブルに巻き込まれ薬物中毒となり病んでいる。故にトラウマを思い出しては、衝動的に自殺を図ろうとする不安定な人格だった。

ジンギはメガネのテヨンに人格だけを殺す方法があると教える。すると、テヨンは同じ時期に重体となり植物状態となった男を見舞い、自分と共に死のうとする。だが、患者は今わの際で意識を取り戻しテヨンの腕を拒絶。すると、人格がすり替わり野心家のテヨンが現れる。彼は自分が置かれている状況に混乱し、病院を飛び出して行くのだった。

それから半年後、テヨンは新たなカジノ『シエスタ』を開店。もう1人のテヨンが患者の死を看取ったことで、不眠症が改善したため、ジンギも人格が消えたのだろうと診断を下した。

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映画『リアル』のあらすじ【承】

第2章、対決

カジノが開店して間もなく、テヨンの元に出所したばかりのギャング、チョ・ウォングンが現れ、カジノの利権の半分をよこせと言ってくる。歯噛みするテヨンはチョのブローカーを探すことにした。

日中、ジムへ向かったテヨンは、同じ名前で銀の仮面をかぶった男と遭遇する。テヨンは右利きだが、男は左利きだった。悲惨な事故にでも遭ったのか、声帯も治療中だそうで喉元に疑似声帯の機械を装着していた。

そんな折、奪われそうになっている利権を守るため、打診された出資の話に飛びついたテヨン。出資者の屋敷を訪ねると、以前ジムでも会った仮面の男、チャン・テヨンが待っていた。声帯の治療が完了したのか、発した声はテヨンと同じ声。不気味に思いつつ、出資の話を進めることにした。

後日、恋人で理学療法士のソン・ユファと共に仮面の男と食事をした。すると、奴も恋人だと言って、ユファそっくりの女を連れて来る。どういうつもりかと詰問したテヨンだったが、なぜか馬が合う2人のテヨン。無事に契約を交わし大金を得ることができた。

仮面の男とチョを潰す相談をする。奴は銀色の仮面から今はプラスチックのカバーを装着し、メガネをかけていた。素顔が気になるテヨン。
チョを潰す準備が完了したため、単身で奴のアジトへ。記録係としてもう1人のテヨンも同行した。拳と身一つでのし上がって来たテヨンの強さに間違いはなく、奥へ奥へと突き進む。アジトの奥では覚せい剤が扱われており、それらも余さず記録。そして、アジトに火をつけ全てを燃やしてしまった。

映画『リアル』のあらすじ【転】

このことでチェはコカイン密輸と流通の疑いで再逮捕されることになり、もう1人のテヨンが記録した映像が表彰されることになる。

姿から仕草、声に至るまで全てを同じにしようとする仮面の男。テヨンは奴に警告を発し、ジンギにそのことを相談した。すると、恐らくそれはミラー症候群だと言う。ありとあらゆることを真似してしまうため、止めようがないらしい。
仮面が取れたもう1人のテヨンは、やはり全くの同じ顔で唯一、違う点と言えばメガネをかけていることくらいであった。

そんなある夜、とうとうもう1人のテヨンが行動を起こす。彼は気分を悪くしたテヨンを追いかけてトイレへ向かい、麻薬入りのガムを食べさせる。そうして、ラリッたところで記憶のすり替えを行い、メガネをかけ替えた。これで喧嘩の強いテヨンは仮面の男テヨンとなり、仮面の男であったテヨンはカジノオーナーへ。だが、ユファだけは相手が違う男であることを見抜く。テヨンは彼女が薬漬けであることを知っていたため、薬を与えることにより陥落させた。

後は茫然自失となった元カジノオーナーのテヨンを事故に見せかけて消してしまえば、成り代わりが完了する。しかし、その瞬間を狙ってチョが復讐に現れる。奴は横転した車から這い出て来たメガネをかけた男と女を銃撃。ユファを人質に連れて行ってしまう。チョは自分のアジトを襲撃したのがテヨンであることを知らない様子。成り代わりのテヨンは、チョが去った後、銃撃に倒れた男の顔を足蹴にして去って行くのだった。

映画『リアル』の結末・ラスト(ネタバレ)

最終章、リアル

3か月後、カジノは最盛を極め、売り上げも順調に伸びていた。成り代わりのテヨンは、韓国系ロシア人と渡りをつけチョからユファを取り戻そうと交渉。そうして、チョとの交渉へ向かったが、喧嘩にはめっぽう弱い成り代わりテヨンは、強気の態度に出ることができない。

一方、薬漬けのせいで未だに自分がルポライターだと思い込んでいるテヨンは、薬の幻覚症状にて夢うつつをさ迷っていたが、知り合いの元刑事からの留守電を聞き正気を取り戻す。そして、密かにチョと連絡を取り今まで会っていたテヨンは、成り代わった偽物だと告げた。チョはそれを確かめるため、自分の好物を聞き判断。目の前にいる傷だらけのテヨンを本物だと認め、劇薬の麻薬売買の仲介をしている韓国系ロシア人を始末することで合意。

奴はシエスタという劇薬の麻薬を売りさばき、大金を得ている。チョと手を組むことで奴を始末。次の手がかりは自分の首元に入れられたタトゥーと、同じものを入れている男を探すことだった。

同じ頃、成り代わりのテヨンはシエスタを生成し、売買している大元の通称ボリスという男を見つける。それは、精神科医のジンギであった。奴はユファを預かっていたが、彼女はすでにシエスタ中毒を極めており吐血。ユファの腹にはテヨンの子が宿っていたようだったが、シエスタによって儚い命となってしまう。

ジンギ曰く、シエスタ中毒を克服したのは、成り代わりのテヨンと本物のテヨン、そしてジンギだけらしい。以前、ルポライターのテヨンはシエスタを調査しており、自らが実験台となって克服する術を見出していた。そのせいで心を病んだとも言える。
チョの情報により、ユファが預けられていた施設へやって来たテヨンは、そこで彼女の亡骸を発見するのだった。

真実を告げられ茫然自失となった成り代わりテヨンは、現実逃避をしてしまいカジノへ戻ってもチョが突入して来ても、現実と夢の境をさ迷っていた。
ジンギはシエスタを持って逃走を図ろうとしていたが、そこへ本物のテヨンが現れ果敢にも銃撃戦を繰り広げる。

そうして、成り代わりテヨンはとうとう逃避を極め、人間ではありえない尋常な能力を発揮し世界の崩壊を促した。その世界は最早、現実を逸脱した精神世界である。彼はひっきりなしに襲い来る敵を次々に撃破し、最終的に死にかけていた自分自身をも打ちのめした。
激しい銃撃戦と爆発によって、カジノ『シエスタ』は跡形もなく崩壊。2人のテヨンは対峙することとなったが、成り代わりテヨンは自ら退き、ビルから投身自殺を図るのであった。

映画『リアル』の感想・評価・レビュー

設定もさることながら、斬新な演出や映像、カメラワークが素晴らしく光っている。『リアル』というタイトル通り、劇薬でもある麻薬によって現実との境目が分からなくなっていくのが見どころ。更に主人公の全てをコピーし、成り代わろうとしていく執念も不気味で、ストーリーにどんどん引き込まれる。

本作が監督デビューのイ・サランはまだ若く、今後も斬新な映像を期待できるのではないだろうか。主演は実力派俳優のキム・スヒョンが演じているが、さすがと言うべきか同じテヨンでも全く表情が違い、まるで別人のように思える。ジャンルを超えた大作で、見応えのある作品である。(MIHOシネマ編集部)

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