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映画『赤い雪 Red Snow』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『赤い雪 Red Snow』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『赤い雪 Red Snow』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『赤い雪 Red Snow』の結末までのストーリー
  • 『赤い雪 Red Snow』を見た感想・レビュー
  • 『赤い雪 Red Snow』を見た人におすすめの映画5選

映画『赤い雪 Red Snow』の作品情報

赤い雪 Red Snow

製作年:2017年
上映時間:106分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:甲斐さやか
キャスト:永瀬正敏、菜葉菜、井浦新、夏川結衣 etc

映画『赤い雪 Red Snow』の登場人物(キャスト)

白川一希(永瀬正敏)
30年前、行方不明になった弟を最後に目撃した人物。現在は漆の上塗り師として働いている。弟を見失った罪悪感を抱えており、事件当時の記憶を失っている。
江藤早百合(菜葉菜)
早奈江の娘。母親から監禁状態で育てられる。ネグレクトと暴力による虐待を受け、母親に逆らえずにいた。現在は離島の旅館で仕事をし、早奈江の男であった宅間と同居している。
木立省吾(井浦新)
ルポライター。民家全焼事件の取材をしており、その関連から卓己君神隠し事件へと辿り着く。執念で早奈江の娘、小百合の居場所を突き止め真実を明かそうとする。実は民家全焼事件にて亡くなった男の息子。
江藤早奈江(夏川結衣)
小百合の母親。男にだらしなく、相手に保険金をかけては殺して儲けている。仕方なく娘を産んだものの、育児をするつもりはなく押し入れに閉じ込めていた。どこか享楽的で人殺しに罪悪感など持っていない。現在は行方不明。
宅間隆(佐藤浩市)
小百合の同居人。早奈江から先生と呼ばれ、江藤母子の尻拭いをしてばかりいると言って憚らない。小百合の金で酒を飲んでは賭け事にかまけてばかりいる。実は殺人の実行犯で木立をも手にかける。

映画『赤い雪 Red Snow』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『赤い雪 Red Snow』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『赤い雪 Red Snow』のあらすじ【起】

漆器の上塗り師である白川一希には30年前、幼くして行方不明になった弟がいる。大雪がそぼ降る日、赤いセーターを着た弟の卓己から目を離した隙に姿を消してしまったのだ。後に卓己君神隠し事件と命名された事件の犯人として近所のアパートに住む女、江藤早奈江が逮捕されたが、早奈江は事件に関して完全黙秘を貫き真実は闇に葬られた。

その後、早奈江はアパートから去ったが、彼女の周りでは不審な事件が相次いで起こっている。3人の男の死と火事である。しかも、火事の現場からはDNA鑑定ができない少年の白骨死体が発見されていた。

そんな早奈江には小百合という娘がいる。彼女は母親によって部屋に監禁されて育っており、卓己君事件と民家全焼事件の目撃者ではないかと思われた。
ルポライターの木立省吾は新米の頃にこの事件を取材しており、娘の小百合が事件の真相を知っているのではないかと考えていた。現在、小百合は36歳。母親の早奈江は行方をくらましているため、真相を突き止めるには小百合を訪ねるしかなかった。

卓己君事件はすでに時効を迎え、やりきれない苦しみだけが残っている。一希は自分が弟から目を離したせいでいなくなったのだと、一層の罪悪感を抱えていた。そんな彼の前に木立が現れ、小百合の居場所を突き止めたと言う。小百合は一希が住む場所からフェリーでほんの数分の距離にある島に住んでいた。

早速、島の旅館で働く小百合の調査を始めた木立。民家全焼事件と卓己君事件の担当刑事の話では当時、深夜に発生した火事にもかかわらず、母子はよそ行きの恰好で煤一つなかったと言う。旅館の同僚の話によると、小百合には年配の同居人がいるらしい。

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映画『赤い雪 Red Snow』のあらすじ【承】

真っ白な雪に広がる真っ赤な染み。弟が血を流して倒れている。一希はいつもそんな悪夢に苛まれ目を覚ます。大雪の中、友達の家に忘れ物を取りに行くと飛び出して行った弟を必死に追いかけた一希だったが、途中で見失ってしまう。両親は必死になって息子を探し、最後に弟を目撃した長男をも責めるほどだった。両親が嘆き怒鳴り散らすほど、一希の罪悪感はいや増した。

小百合の同居人、宅間隆は彼女が働いた金で酒と賭け事の毎日を送る最低な男だった。宅間は島でも異質で胡散臭く、小百合の体を求めては暴力を振るう。木立は小百合に接触を図り、母親の早奈江が実は男の子を欲しがっていたという情報を聞き出した。
小百合は母親によって押し入れに閉じ込められて幼少期を過ごしている。食事も満足に与えられず押し入れから一歩でも出ると、早奈江は鬼のような形相で、娘を再び押し入れに投げ入れ出て来ないように足で押さえたものだ。早奈江には不特定多数の男がいて、娘の扱いを咎める男もいたほどだった。

数日悩んだ末、弟の事件の真相を知るべきだと判断した一希は、フェリーに乗って島へと渡った。木立を訪ね、事件当時の担当刑事だった人物から預かったという備忘録を見せてもらう。白骨化した少年の遺体が一希の弟ではないかと思われるが、DNA鑑定もできない状態では、はっきりしたことは分からない。30年もの間、罪悪感を抱えて生きてきた一希は心に闇を抱えるあまり、当時の記憶を喪失している。思い出したくしても思い出せないのが現実であった。

映画『赤い雪 Red Snow』のあらすじ【転】

木立と共に小百合の元を訪ねたが、彼女は何も知らないと頑なな態度を崩さない。木立と一希は翌日も小百合の部屋の前で待ち伏せをした。すると、怒った宅間が2人に対して灯油を撒き散らし、喧嘩をふっかけてくるのだった。

その日の夜、軽装でトンネルの歩道を歩いている小百合を発見した木立。彼女から話を聞き出すきっかけを得たとばかりに車へと乗せる。しかし、彼女は何も語らず突然、ハンドルへと飛び掛かって来る。2人は揉み合いとなりトンネルを出たところで雪の壁に突っ込んでしまった。奇しくも木立の車は外車の右ハンドルであったため、右に突っ込んだ車の窓から雪が入り動きを封じられてしまう。小百合は車から降りると笑い声を上げて、その場を去って行った。

翌日、買い物帰りの小百合へと詰め寄った一希。責めるわけではない。ただ当時何があったのか話してくれるだけでいいと言ったが、小百合は雪が積もった山へと入り込んでまで逃げる。一希は必死で彼女の後を追った。しかし、山に積もった根雪は深く思うように進めない。それでも諦めずに追いかけ、山中で意識を失って倒れている小百合へと追いついた。一希は空になった買い物袋で小百合を殺そうとしてしまう。すると、小百合は一希の手から逃れ、気が狂ったように笑い出した。

そんな彼女に腹を立てた一希は更に小百合へと襲いかかり、とうとう息の根を止めてしまう。動かなくなり失禁した小百合を目にした一希は恐怖に駆られ、その場から逃げ出してしまうのだった。

映画『赤い雪 Red Snow』の結末・ラスト(ネタバレ)

ところが、小百合は一時的に意識を失っていただけで、まだ死んではいなかった。あの後、現場へ戻った一希は彼女を連れて宿へ戻る。意識の戻った小百合に謝罪した一希。すると、小百合が真実を語り始める。火事があったあの日、死んだ少年を袋に詰めた早奈江は真っ先にその袋へと火を放ったと言う。小百合は何もできず、見ているしかできなかった。

翌朝、帰宅した宅間が木立の身分証を持って来る。免許証には木立ではなく高田と明記されていた。恐らく、木立は民家全焼事件にて殺された男の息子なのだろう。
事件のショックと罪悪感により記憶喪失になっている一希。彼は再び弟が姿を消した場所を訪れ、当時の記憶を思い出そうとする。

弟が何をしても両親は一希ばかりを叱って弟を叱らなかった。日頃の鬱憤が溜まっていた一希は、弟が早奈江の部屋に入り可愛がられている様子を目にし、早奈江までもが弟を可愛がるのかとショックを受ける。そうして、兄は弟を見捨ててしまうのだ。

自分の所業を思い出した一希は、自宅へと戻り黙々と仕事を続ける。そんな時、小百合の自宅にて火災が発生。火事の跡からは宅間のものと思われる焼死体が見つかった。小百合は行方をくらましたとニュースで報道されたが、ふと人の気配を察した一希が外へ出ると、そこには小百合の姿があった。
今思えば、一希と小百合は事件を見て見ぬふりをした者同士。互いに相通じるものがある。2人は冬の海へとボートを漕ぎ出し、そのまま姿を消すのであった。

映画『赤い雪 Red Snow』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

実話を基に監督甲斐さやかがオリジナル脚本で制作した初の長編映画作品。美しい映像の中、凍えるような寒さと罪の重さ。そして、あいまいな人の記憶で苦しむ様子が繊細且つ、重々しく描かれている。

配役は誰もが演技派で知られる俳優達ばかり。中でも娘の母親役の夏川結衣が狂気を孕んだ姿を演じ、母親から娘へと纏わりつく男を佐藤浩市が演じている。母子は人殺しをしてはいないが、実行する男がいたのは確かなのだと思う。狂った母親に育てられた娘を菜葉菜が演じているが、彼女の演技も素晴らしい。そして、主人公の記憶が戻った時、重苦しさはピークへと達し、静かな衝撃を受ける。美しい映像と重苦しいテーマであるが、見た後に鮮烈な印象を受ける作品。(MIHOシネマ編集部)


とにかく暗くて苦しい作品です。作品の世界観が終始暗い。登場人物の心の闇が物語る暗さに田舎の雪景色の暗さ。観ていてしんどくなるほど救いのないストーリー。そしてその暗さと対比するように描かれる「赤」染物の赤に真っ白な雪を染める血の赤。この色使いが素晴らしいです。赤い色が何を示しているのか分かると、作品により深くのめり込むことが出来ました。
はっきりと結末が描かれずに、観客に委ねる展開なのでそれぞれの価値観で楽しめる作品です。(女性 30代)


心に深い傷を抱えた登場人物たちが織り成す、重層的なサスペンス。終始静かなトーンで進みながらも、雪に閉ざされた寒村という舞台が不穏な空気をまとい、観る者をじわじわと追い詰めていく。兄の失踪を追う主人公・木立(永瀬正敏)の痛々しい執念と、誰もが何かを隠しているような空気が交錯する展開に引き込まれました。ラストの真相には驚きつつも、人間の弱さと残酷さが残る余韻の深い一作です。(20代 男性)


本作は単なるミステリーではなく、人間の内面に潜む闇を静かに描いた心理劇だと感じました。登場人物一人ひとりの過去が、現在の言動に微妙な影を落とし、それが見事に交差していく脚本が秀逸。特に菜穂子(井浦新)の存在が不気味で、物語のキーマンとして絶妙な不安感を演出していた。寒さと沈黙が支配する世界で描かれる、凍てつくような感情のやりとりに胸が締め付けられました。(30代 女性)


「赤い雪」というタイトルが示す通り、雪景色の中に浮かび上がる“赤”の描写が象徴的で印象に残りました。全体的にセリフが少なく、映像と演技で見せる作品。特に永瀬正敏の表情ひとつひとつが語りかけてくるようで、セリフ以上に深いメッセージを感じ取ることができました。事件の真相も一筋縄ではいかず、観た後に色々と考察したくなる映画でした。(40代 男性)


この映画、正直言って観るのに体力が要りました。暗くて重たいテーマ、登場人物もみんな何かしら闇を抱えていて、心がじわじわと冷えていく感覚。だけど、後半になると「なんでこうなるの?」という興味がどんどん湧いてきて、最後まで目が離せなくなった。派手な展開はないけど、じっくりと人間の本質をえぐってくる感じがすごい。(20代 女性)


静かな映画なのに、どうしてこんなに緊張感があるのか。不思議な体験だった。雪の白さと、そこに浮かぶ赤い記憶の象徴が、観ている側の想像力をかき立てる。誰が嘘をついていて、誰が本当のことを語っているのか、最後まで信じられなかった。事件の背景にある親子関係や罪の意識も、単なる事件ものではなく、深い余韻を残してくれた。(50代 男性)


井浦新さん演じる菜穂子の存在感がとにかく不気味で、言葉少ない中にも異様な緊張感が漂っていたのが印象的。兄の失踪という過去に囚われた主人公と、その過去を曖昧に語る人々との対話が、すごく文学的に感じられた。物語に明確な答えが出ないことが逆にリアリティを増していて、「あれはどういう意味だったんだろう」とずっと考えてしまう映画。(30代 男性)


サスペンス映画としてはかなり異色。事件の真相を暴くというより、むしろ人間の心の奥底にある“記憶の歪み”や“罪悪感”を描くことに重点が置かれているように感じた。寒村の風景、色彩、音の少なさ、どれもが物語の空気と一体化していて美しかった。派手さはないけど、こういう作品こそ日本映画の真骨頂だと思う。(40代 女性)


事件の謎を解くために戻ったはずの故郷で、逆に自分の心の闇に向き合わされていく…という構図がとても良かったです。静かな会話の中に込められた感情や、誰もが過去に何かを抱えているという感じがリアルで、観ていて苦しくなることもあった。でもそのぶん、ラストの数分で見せる“解放”の描写に涙が出た。観る人を選ぶけど、私はすごく好きです。(20代 女性)

映画『赤い雪 Red Snow』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『赤い雪 Red Snow』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

愚行録

この映画を一言で表すと?

過去の記憶と現実が交錯する、静かながら心をえぐる衝撃作。

どんな話?

週刊誌記者が一家惨殺事件の真相を追う中で、被害者家族の素顔や周囲の人々の証言が徐々に明らかになっていく。しかしその裏に隠された“愚行”が次第に浮かび上がり、彼自身の過去にも影響を及ぼしていく…。

ここがおすすめ!

セリフ一つ一つが張りつめた空気を生み出す緻密な構成と、人間の偽善や無意識の加害性を鋭く描いた脚本が光ります。『赤い雪』のように、事件の「語られなかった真実」を探る作品として強くおすすめです。

ノクターン〈夜想曲〉

この映画を一言で表すと?

音楽と嫉妬が織りなす、静かな狂気と心理崩壊の物語。

どんな話?

音楽アカデミーで天才的な姉に劣等感を抱く妹が、ある楽譜を手に入れたことで才能を覚醒させていく。しかしその先に待っていたのは、栄光ではなく狂気。芸術と自己肯定をめぐるダークな心理ドラマ。

ここがおすすめ!

視覚・聴覚を刺激する幻想的な演出と、不穏な空気が終始漂う世界観が魅力。『赤い雪』のように、抑圧された感情とアイデンティティの崩壊を描く映画を好む人にはぴったりの一本です。

白ゆき姫殺人事件

この映画を一言で表すと?

メディアに翻弄される“真実”の危うさを描いたサスペンス。

どんな話?

あるOLが殺害された事件を追うテレビディレクターが、周囲の証言を元に真相に迫ろうとする。しかし関係者の証言は食い違い、次第に“本当の犯人”が誰なのか分からなくなっていく。

ここがおすすめ!

証言という不確かな情報が積み上がっていく不安定さが見事。『赤い雪』のように、“語られない事実”や“記憶の曖昧さ”を主題にした作品として、観終わった後も考えさせられます。

夢売るふたり

この映画を一言で表すと?

夫婦の絆が詐欺という行為を通じて壊れていく、哀しくも美しい人間劇。

どんな話?

火事で店を失った夫婦が、再起を図るために“結婚詐欺”を始める。最初は共犯として協力するが、やがて二人の感情と関係が崩れ始め、詐欺そのものも破綻へと向かっていく。

ここがおすすめ!

阿部サダヲと松たか子のリアルな夫婦像、嘘の中にある本音、感情の複雑な揺れが圧巻。『赤い雪』が好きな人には、人間の奥底にある弱さと悲しさに共感できるポイントが多いはずです。

岸辺の旅

この映画を一言で表すと?

亡き夫との旅を通じて“喪失”と“再生”を描く静謐なヒューマンドラマ。

どんな話?

亡くなった夫が突然現れ、「一緒に旅をしよう」と妻を誘う。死者との対話を通して、妻は夫の死を受け入れ、自分自身の心と向き合っていく。静かで幻想的な時間が流れる作品。

ここがおすすめ!

黒沢清監督ならではの幽玄な映像美と、静かな情感が沁みわたる傑作。『赤い雪』が持つ“語られなかった想い”や“残された者の記憶”に惹かれた方には、深い余韻を残すこの映画もぜひ観てほしいです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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