映画『ロボコップ2』の概要:デトロイトでは“ヌーク”という麻薬が市場に出回り、中毒者が事件を起こしていた。その一方で、警察は給料や恩給などの待遇に不満を抱き、ストを起こしていた。だが、運営を任されているオムニ社は、交渉を拒否していた。
映画『ロボコップ2』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:SF、アクション
監督:アーヴィン・カーシュナー
キャスト:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダニエル・オハーリヒー、ベリンダ・バウアー etc
映画『ロボコップ2』の登場人物(キャスト)
- ロボコップ / アレックス・マーフィ(ピーター・ウェラー)
- 警官のアレックス・マーフィの遺体を使い、オムニ社が作った、機械で出来たサイボーグの警官。アレックスの頃の記憶を覚えており、人間と機械との間で苦悩する。
- アン・ルイス巡査(ナンシー・アレン)
- ロボコップの相棒。他の警官がストを起こす中、真面目に職務に取り組む。
- オールドマン会長(ダン・オハーリー)
- オムニ社の会長。自社の利益のためなら、他人を切り捨てることを何とも思わない非情な性格をしている。
- ジュリエット・ファックス博士(ベリンダ・バウアー)
- 心理学者。自分の研究のために、犯罪者を利用してロボコップを製作しようと画策する。
- キューザック市長(ウィラード・E・ピュー)
- デトロイトの市長。オムニ社に借金があり、市を乗っ取られそうになる。
- ケイン / ロボコップ2号(トム・ヌーナン)
- 麻薬の“ヌーク”を売り捌いている。麻薬組織のボス。ヌーク中毒者。
- ホブ・ミルズ(ガブリエル・デーモン)
- ケインの仲間。少年ながら大人顔負けに銃を扱い、人を殺すことも躊躇しない。ヌークを売り捌いている。
- ドナルド・ジョンソン(フェルトン・ペリー)
- オムニ社の副社長。自分勝手に会社を利用しているファックス博士に、いい感情を持っていない。
- エレン・マーフィ(アンジー・ボーリング)
- アレックスの妻。アレックスが亡くなってから心身が衰弱し、寝込むようになっていた。アレックスとの間に息子が1人いる。
- エステヴェス(ワンダ・デ・ジーザス)
- ロボコップの修理や点検を行っている技術者。
映画『ロボコップ2』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロボコップ2』のあらすじ【起】
厚生局長官が“ヌーク”中毒者に撃たれ、死亡した。ヌークは歴史上最悪の麻薬だと言われていた。ヌーク組織のボスのケインは、「人々の求める天国を与えるのだ」と言う声明を発表した。今回の長官殺しは、先週の麻薬更生施設の爆破に次ぐテロ行為だった。
デトロイトの警察官が再びストを起こした。給料は4割もカットされ、恩給もストップしていた。運営を任されているオムニ社は、警察官との交渉を拒否していた。そのため、町は轢き逃げや麻薬、ひったくりなどの犯罪が横行していた。
強盗達はパトカーを銃で撃って逃げようとした。しかし、パトカーから出てきたのは人ではなく、機械で出来たサイボーグの警官(ロボコップ)だった。ロボコップは強盗犯の車からヌークを見つけ、何処で造っているのか尋問した。しかし、強盗犯は購入しただけで製造場所を知らなかった。ロボコップは町を捜索し、製造場所を発見した。犯人との激しい銃撃戦となり、何人かを取り逃がしてしまう。しかも、子供(ホブ)に頭を撃たれたロボコップはエラーを起こし、息子の記憶を思い出して混乱してしまう。その間にホブは逃げて行った。
ロボコップは妻子の家を車から眺めるようになった。そのことをオムニ社も、妻のエレンの弁護士も許さなかった。エレンはやっと夫の死を受け入れ、精神的に安定してきたところだった。オムニ社の社員はロボコップに、お前は人間ではなくただのマシンなのだと言い聞かせた。ロボコップは妻のエレンに会い、君の夫は死んだのだと非情な言葉を伝えた。だが、エレンが泣きながら取り乱している姿を見て、悲痛な表情をした。
市はオムニ社に3700万ドルの借金をしていた。返済できない場合は、“市の全財産を譲る”という契約が交わされていた。オムニ社のオールドマン会長は、デトロイトを私有化するつもりだった。キューザック市長はそのことに腹を立て、訴えてやると捨て台詞を吐いて会長室を後にした。
映画『ロボコップ2』のあらすじ【承】
オールドマン会長はロボコップ2号の製作に、9000万ドルを投資していた。だが、人間の細胞がもたず、どれも失敗に終わっていた。心理学者のファックスは、警官では心がもたないのではないかと指摘した。そして、研究のために人選を任せて欲しいとオールドマン会長に頼んだ。オールドマン会長はファックスの話しに興味を惹かれ、任せることにした。
ロボコップはホブを相棒のアン巡査と見張った。ホブは警察官のダフィ巡査にもヌークを販売していた。しかも、ダフィ巡査は見返りとして、パトカーの見回りルートの情報を提供していた。ロボコップはダフィ巡査を尋問して、ケインの居場所を問いただした。ダフィ巡査はケインがリバー・ルージュの工場跡にいることを話した。
ロボコップは1人でリバー・ルージュの工場跡に向かった。ケインを見つけるが、ホブに腕を撃ち落とされ捕まってしまう。手下達はロボコップの体をバラバラに切断し、警察署の前に投げ捨てた。警官達はロボコップを地下の修理室に運んだ。しかし、部品が高いため、オムニ社は修理を行おうとはしなかった。技術者のエステヴェス達はロボコップが痛みを感じていることを指摘し、人殺しだと責め立てた。
ダフィ巡査はロボコップがやられたことを知り、浮かれながらホブ達の元へ戻った。だが、裏切ったことを咎められ、手術台に縛りつけられる。ケイン達が見守る中、ダフィ巡査は体を切り裂かれた。
映画『ロボコップ2』のあらすじ【転】
ファックスは死刑囚をロボコップ2号に使おうとしていた。ジョンソン副社長はそのことを知り、オールドマン会長に計画を止めてもらおうとするが、面白い案だと一蹴される。しかも、ロボコップが修理されていない件も、ロボコップがいなければ市が混乱して手に入りやすくなると気にした様子もなかった。ファックスはオールドマン会長と体の関係を持ち、手中に収めていた。
ファックスはロボコップのデータを弄り、アレックス・マーフィだった頃の記憶を消去した。そして、指令プログラムをインストールした。警官達は警察署に戻ってきたロボコップを見て喜んだ。だが、ロボコップの言動はどこかおかしかった。アン巡査はとりあえずロボコップと共に強盗現場に向かった。しかし、ロボコップの言動はやはり変で、死体になった犯人を逮捕しようとしたり、強盗犯の仲間である子供達を説教したりと、通常とは異なる行動をした。
エステヴェスはロボコップを調べ、不要な情報がインストールされていることを発見する。だが、情報を消すためには、命懸けで数千ボルトの電気を流すしか方法がなかった。話を聞いたロボコップは、自ら電流を浴びてショートさせた。そのおかげで、不要な情報を消去することができた。
ロボコップに叱られた警官達は、ストを止めてケインを逮捕しに行った。ロボコップはバイクに乗り、車で逃げたケインを追いかけた。そして、バイクから車の運転席に飛び移って捕まえた。だが、車が横転したせいで、ケインが酷い怪我を負ってしまう。
映画『ロボコップ2』の結末・ラスト(ネタバレ)
ファックスはケインをロボコップ2号にするため、生命維持装置を止めて殺した。そして、技術者達は何も知らないまま、ケインの体を解体し、脊髄と脳、顔、目を切り離した。
キューザック市長はテレビで寄付を募った。ヌークの仕事を引き継いだホブはそれを見て、キューザック市長に寄付する意思があることを電話した。その後、オールドマン会長は市の借金を支払う者が現れたと聞き、頭を悩ませた。オムニ社の資本の8割は市政計画に投資しており、計画が変わればオムニ社の信用は地に落ち、株価も下落するのは分かっていた。ファックスはロボコップ2号を利用して、キューザック市長を監視してはどうか提案した。
キューザック市長はホブに会いに行った。初めは子供だと馬鹿にしていたが、大量の金の延べ棒を見せられ、態度を軟化させた。ホブは見返りに、ヌークの取り締まりの停止を求めた。そこに、ロボコップ2号が現れる。ロボコップ2号はかつての仲間達を次々と殺していった。キューザック市長はマンホールから海に落ち、命からがら脱出した。
ロボコップは倉庫を見回り、瀕死の状態のホブを発見する。救助班を呼び行こうとするが、ホブが手を掴んで行かないでくれと頼んできた。ホブはケインが襲ってきたことを話し、ロボコップが見守る中息を引き取った。
オールドマン会長は市を守るロボットとして、ロボコップ2号を記者会見で発表した。そして、瓶詰めされたヌークを取り出し、今こそ取り締まりを強化しないといけないと訴えた。ヌーク中毒のケインの体を元にしているため、ロボコップ2号はヌークを求めて暴れてしまう。ロボコップがそれを止めようとして、激しい戦いとなる。警官達も加わってロボコップ2号を止めようとするが、全く歯が立たなかった。アン巡査がロボコップ2号にヌークを渡し、落ち着かせている間に、ロボコップがロボコップ2号の背中に飛び移った。そして、ロボコップ2号の脳を引き摺り出して破壊した。
死者が多数出ており、オールドマン会長は賠償責任と刑事責任問題に頭を抱えた。ジョンソン副社長はファックスに責任を取らせるのがいいのではと提案した。オールドマン会長はその提案に頷いた。そこに、ファックスが現れる。オールドマン会長はファックスを抱きしめ、何も心配はいらないと微笑んだ。
映画『ロボコップ2』の感想・評価・レビュー
この作品ではオムニ社のロボットではなく、人間の警官として同僚に認められた主人公のマーフィの葛藤を描いている。
確かに生前は立派な警官で妻子を持つ男だったが、今では体の大部分が機械化して、日々犯罪と戦っているが、それでもマーフィとしての記憶に悩まされる。
マーフィは過去との決別と同時に街を守るという使命を帯びた本物のスーパーヒーローになります。
この過程は決してハッピーエンドではないが、現在の自分を受け入れ、超人的な力を持った責務を果たしていく姿は悲しくも頼りになる。
自分では望まなかった姿でも、強い正義の心を持った彼だからこそ警官としての職務を全うする決意は深いメッセージが込められています。(男性 30代)
1990年に公開されたロボコップの続編。アレックス・マーフィの遺体をロボコップとして蘇らせた事から自身の存在への葛藤や、家族との再会、そしてロボコップを利用しようとする人間、前作よりもっと描写を明確にし、正義感だけでは収まりきらない様々な感情を描いている。自らの意思ではない出生をどう受け入れていくのか、そしてその存在が世の中にどのように受け入れられていくのかというのが、一番の見所である。(男性 30代)
サイボーグになった警官マーフィが、ロボコップとして巨悪と戦う物語。設定は面白いのに、話が散らかったまま終わってしまいました。奥さんと再会するも冷たく突き放し…その後が無い!描くのを忘れたのかな、とも思えてしまう程です。麻薬組織を潰すも黒幕オムニ社は知らん顔。子供の幹部は更生する間もなく亡くなってしまうなど、歯がゆい結末になってしまっています。次回作に引っ張る気が見え見えでした…ロボコップ2も初代が洗練された見た目をしているので、とても新型には見えません。(男性 20代)
1がスマートだっただけに、詰め込みすぎて中途半端な印象の作品です。子供が麻薬組織の悪役をやっていたり、治安が相当悪化したりしている設定には時代を感じてしまい、首を捻りたくなります。
ただ、アクションシーンは1よりも派手になっていて、ロボコップがバラバラになるなど残酷なシーンもたくさんあります。ロボコップのカクカクした動きは変わらず、前作を見たのがかなり小さい頃なのでそこに懐かしさを感じます。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
①ロボコップは人間なのか
前作から続くひとつの問題が今作でも語られています、それはロボコップは“ただの機械の塊なのかそれとも人格を持った人間なのか”ということです。オムニ社側は死んだ人間の組織をただ使っているだけだからただの機械だという認識です。当然人間としての権利はありません、そのため痛みで苦しむ様子を見ても何も感じません。ですが技術者や警官達は違います、技術者はマーフィを人として扱い警官達は同じ命を張って街の秩序を守る仲間として受け入れています。それはバラバラにされて苦しむロボコップがラボに連れて行かれる際に署長が“彼は私の大事な部下なのだから絶対に直してくれ”とオムニ社の社員に言っていることからも分かります。
マーフィとしての記憶が甦ったロボコップは妻を遠くから見ていたのですがそれが妻に見つかりついに念願の対面を果たします。再会した妻はマーフィに会えてうれしいと涙を流しますが今の自分では妻を幸せにはできないと分かっていたのでしょう、あくまでも“自分は機械出来ている、マーフィは死んだ“と言ってマーフィとしてではなくロボットとして妻に接します。嘆き悲しむ妻を遠くに見ながらロボコップは何を考えていたのでしょうか。人間の時の記憶や感情を持ちつつ機械の体で生きていくことのジレンマとはどんなものかを考えさせられてしまいます。
前作では専務のジェームスが悪役として登場していましたが今回はオムニ社のファックス博士がロボコップに明確な敵意を持って様々な妨害をしてきます。この博士は本当に嫌な性格をしていて上昇志向が高く周りを見下しつつ女を武器として使っています。人を手玉に取っているように見えて実は・・・というラストは前作のジェームスと同じようにすかっとさせてくれます。社会はそんなに甘くないんだよということですね。
ロボコップよりも高性能かつ武器の威力も数倍上だという触れ込みで華々しく登場した2号ですがどう見てもロボコップの方が成功作に見えてしまうのはひいき目ではないはず。やはりサイボーグは人型になっていた方がいいということかもしれないですね。