映画『ROMA/ローマ』の概要:監督を務めたアルフォンソ・キュアロンの幼少期の経験を元にした作品。全編がモノクロで撮影されている。アカデミー賞外国語映画賞をはじめ、数々の映画祭で受賞した。主演のヤリッツァ・アパリシオは、本作が女優デビューとなる。メキシコを舞台に、家政婦とその雇い主一家の日々を描く。
映画『ROMA/ローマ』の作品情報
上映時間:135分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アルフォンソ・キュアロン
キャスト:ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ、マルコ・グラフ、ダニエラ・デメサ etc
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映画『ROMA/ローマ』の登場人物(キャスト)
- クレオ・グティエレス(ヤリッツァ・アパリシオ)
- 家政婦として働く若い女性。優しく面倒見が良い。雇い主一家の子供たちから慕われている。
- ソフィア(マリーナ・デ・タビラ)
- クレオの雇い主一家の女性。夫の出張が多く寂しい思いをしている。八つ当たりをすることもあるが、クレオのことは大切にしている。運転の腕はあまり良くない。
- アントニオ(フェルナンド・グレディアガ)
- ソフィアの夫で医師。出張と偽って家を空け、愛人と暮らしていた。
- トーニョ(ディエゴ・コルティナ・アウトレイ)
- アントニオとソフィア夫妻の長男。何かと不満を言いがちで、反抗的な面を覗かせる。
- パコ(カルロス・ペラルタ)
- アントニオとソフィア夫妻の次男。やんちゃな少年。最初に両親の不仲を知ってしまう。
- ソフィ(ダニエラ・デメサ)
- アントニオとソフィア夫妻の長女。おてんばな少女で、パコとはよく言い合いをしている。
- ペペ(マルコ・グラフ)
- アントニオとソフィア夫妻の末っ子。クレオのことをとても慕っている。甘えん坊。
- アデラ(ナンシー・ガルシア)
- クレオと共に家政婦を務めている。クレオとは仲が良く、困ったときには力になってくれる。
- フェルミン(ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ)
- クレオの恋人だったが、妊娠しているかもしれないと告げられると姿を消した。武術の訓練を積んでいる。デモが発端で起きた暴動に参加していた。
- テレサ(ヴェロニカ・ガルシア)
- ソフィアの母。クレオが破水したときに一緒にいて、病院まで付き添ってくれた。
映画『ROMA/ローマ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ROMA/ローマ』のあらすじ【起】
メキシコシティに近いコロニア・ローマで、クレオは家政婦として働いている。雇い主の一家は、アントニオとソフィア夫妻、ソフィアの母テレサ、それからトーニョ、パコ、ソフィ、ペペの4人の子供たち。クレオの毎日は、掃除、飼い犬ボラスの世話、子供たちのお迎え、食事の支度、洗濯などで忙しい。
一家がベッドに入ると、クレオは家中を消灯してから自分の部屋へと戻る。そして、クレオと同じく住み込みの家政婦であるアデラと、寝る前に軽くストレッチをする。いつまでも部屋の電気をつけているとテレサに怒られてしまうため、ろうそくの明かりを頼りにしていた。
休みの日、クレオとアデラは昼食を食べ、それぞれの恋人であるフェルミン、ラモンと合流した。4人で映画を観ようとしていたが、クレオとフェルミンは別行動をとることにし、アデラたちと別れた。武術をやっているフェルミンは、クレオの前で実演してみせるのだった。
翌朝、子供たちを起こすところから、またクレオの慌ただしい1日が始まる。トーニョ、パコ、ソフィの3人を学校へ送り出したあとは、夫妻とペペの朝ごはんの支度をする。その日から、アントニオは出張のためケベックへ発つことになっていた。医師であるアントニオは、出張で家を空けることが多い。寂しい思いをしているソフィアは、アントニオを見送ったあとクレオに八つ当たりすることもあった。
映画『ROMA/ローマ』のあらすじ【承】
次の休み、フェルミンと映画を観に行ったクレオは、妊娠しているかもしれないということを伝えた。フェルミンは喜ばしいことだと言い、それを聞いてクレオも微笑んだ。しかし、映画の終盤トイレに行くと言って席を立ったフェルミンは、そのまま戻ってくることはなかった。
クリスマスが近付いてきていた。クレオは、妊娠しているかもしれないこと、父親であるフェルミンが姿を消したことをソフィアに打ち明けた。首になるかと恐る恐る尋ねるクレオを安心させ、ソフィアは検査のために病院に連れて行くことにした。
検査の結果、妊娠3〜4ヶ月であることが判明した。クレオの検査中、ソフィアはアントニオから連絡がないことを知り合いのサバラ医師に相談していた。
1971年のお正月、ソフィアたちはクレオとアデラも連れて、親戚の家を訪れていた。アントニオからは連絡がないままで、同行していなかった。音楽を流し、祝いの宴は遅くまで続く。途中、森で火事が発生し、全員で消化活動にあたった。無事に鎮火した翌日、子供たちは外で走り回る。目の前に広がる田園風景や聞こえてくる動物たちの鳴き声に、クレオは自分の村を思い出していた。
コロニア・ローマの家へと戻り、クレオは子供たちとテレサを連れて映画を観に行くことになっていた。追いかけっこを始めた子供たちを見失わないように走りながら、映画館に辿り着く。そこでクレオは、ケベックへ出張に行っているはずのアントニオが女性と歩いているのを目撃してしまう。
アデラに協力してもらい、ある日クレオはフェルミンがいる道場を訪れた。そこでは大勢が列を成して、武術の訓練をしていた。訓練が終わり、仲間と話しながら帰ろうとするフェルミンをクレオは呼び止める。改めて妊娠していることを告げるが、フェルミンは自分には関係ないといった様子だ。そして二度と会いに来ないようにと凄み、召し使いが、と吐き捨てるのだった。
映画『ROMA/ローマ』のあらすじ【転】
アントニオが愛人と暮らし始めていたことを知ったソフィア。電話口の相手に相談していると、通りがかったパコがそれを盗み聞きしていた。気が付いたソフィアは、兄弟たちには言わないようにとパコに頼んだ。
出産予定日が近づき、クレオはベビーベッドを見にテレサと家具店を訪れた。その日、街では大規模なデモが行われていて、クレオたちが店内にいる間に暴動が始まった。店に逃げ込んできた男女を追って、銃を持つ男が何人も乱入してくる。男たちは店に居合わせた客に銃を向ける。そのうちの一人に、逃げてきた男は射殺された。クレオとテレサ夫人に銃を向けてきたのは、なんとフェルミンだった
動転したクレオはその場で破水してしまう。外では暴動が続いていて、何人も犠牲者が出ていた。車で病院に向かうが、道路は大渋滞でなかなか進まない。陣痛に苦しむクレオの隣で、 テレサはお祈りを続けていた。
病院に到着すると、クレオはすぐに分娩室へ運ばれる。記入が必要な用紙があり、看護師がテレサにクレオの情報を聞く。しかし、テレサはクレオの名前以外は何も答えられないのだった。医師が赤ん坊の心音を確認するが何も聞こえず、手術室で帝王切開が行われることになった。
取り上げられた赤ん坊からは、やはり心音が聞こえない。酸素吸入などの蘇生措置が行われるも、赤ん坊が息をすることはなかった。クレオは少しだけ赤ん坊を抱っこさせてもらった。それから、医師たちが赤ん坊を白い布に包むのを泣きながら見ていた。
映画『ROMA/ローマ』の結末・ラスト(ネタバレ)
家に戻ってからも、クレオは塞ぎ込んだままだった。アデラが懸命に励ますが、その声も耳に入らなかった。そこへ、新しい車に乗ったソフィアが帰って来た。新車にはしゃぐ子供たちに、トゥスパンのビーチへ旅行しようとソフィアは提案する。気晴らしになるから、とクレオのことも誘ってくれた。クレオは迷っていたが、アデラからの後押しもあり、一緒に行くことを決めた。子供たちも大喜びだった。
すぐに支度を済ませ、一行は出発した。子供たちがせがむので、先にビーチで遊んでからホテルへと向かった。夕食の時間、ソフィアは子供達にアントニオがもう帰って来ないことを告げる。アントニオが家に自分の荷物を取りに来るため、この旅行へ来たのだということも。子供達は落ち込み、パコとソフィは泣き出してしまうが、私たちはずっと一緒だとソフィアは力強く言い聞かせた。
翌日、またビーチへ遊びに行った。波打ち際までしか行ってはいけないというソフィアの言いつけを破り、パコとソフィは海へ入っていく。クレオがどんなに呼び止めても戻らず、2人は波に飲まれてしまった。泳げないにも関わらず、クレオは一目散に海へ入り、溺れかけた2人を助けた。
砂浜に上がると、ソフィアとトーニョ、ペペも駆け寄ってくる。クレオが助けてくれたとソフィが言うと、ソフィアは何度もクレオにお礼を言った。途中でクレオは泣き出し、赤ん坊に生まれないで欲しいと思っていたと告白した。クレオが塞ぎ込んでいたのは、罪悪感からでもあったのだ。ソフィアたちはクレオを抱き締め、大好きだと繰り返した。
家に帰ると、すでにアントニオが荷物を引き払ったあとで、本棚がなくなり部屋も入れ替わっていた。トーニョは前の方が良かったと零すが、パコとソフィ、ペペは気に入った様子だった。クレオは休む間もなく、また家事へと戻っていく。話したいことがたくさんあるのだとアデラに言い、まずは洗濯をするために屋上への階段を上がっていった。
映画『ROMA/ローマ』の感想・評価・レビュー
タイルに水が流れてくる冒頭のシーンがとても美しく、そこから引き込まれる映画だった。初めは「家政婦」と「雇い主」だったクレオとソフィアたち一家の関係性が、様々な出来事を通して少しずつ変わっていくのを感じた。とくに、溺れかけた子供たちをクレオが助け、海岸で抱き合う場面は本当の家族のようで、非常に感動的だった。モノクロの映像や街の喧騒など、視覚的にも聴覚的にも印象に残るものが多い作品だと思った。(MIHOシネマ編集部)
ゆったりとした映像、そこから観られるのはキッチンやリビングといったモノクロの生活感。時代に逆行するように感じるが、色があるより美しく感じてしまう。白黒の濃淡の映し方が匠がかっていて、モノクロの映像から温かみを生み出している。画面に魅せられていると同時に、見せられていることにも気づく。この物語で起こる悲惨な展開を、救いたい気持ちを堪え見続ける。そして、愛は人を傷つけ救うのだと知る。この結論に至るために、カメラワークすらも伏線となっていた。(男性 20代)
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